3話 ヨシヨシぎゅっ♡ と、ストロベリー♡
「―ーほんと、何であのゆみちゃんて子、こんなにカッコよくて優しい恵ちゃんのこと、一週間も絶たないうちにフっちゃったんだろうね~謎すぎるよ」
「……な。つか、あ~あの子? 確かゆかって名前じゃなかったけか?」
「あれ、そうだっけ? とにかくそのゆかちゃん、ほんっと勿体ないことしたよね~今頃絶対後悔してるよっうん! 絶対そう!」
「! ……うぅ、りょうはほんと可愛いこと言ってくれるな~、このこのっ!」
「わっ、あははっ恵ちゃんくすぐったいよぅ!」
「うりうり~! あ~…やっぱ毎回こうしてりょうをぎゅってすると、毎度毎度彼女にフラれた後の痛みも和らぐわぁ」
「ほんとっ? なら良かったぁ~! ふふっ、ヨシヨシ恵ちゃん元気だして?」
「ああ~…りょうのヨシヨシほんと最高♡♡ ずっとこうしてもらいたいくらい、すげぇ落ち着くんだよなぁ……あとめっちゃ気持ちいい…はぁ♡♡」
「あははっ、じゃあもっといっぱいヨシヨシするね! ……ん、あれ? ていうか恵ちゃん、もしかして香水新しいのに変えた? 前と違う匂いするよ、すっごいいい匂い…クンクン」
「お、気づいたか、さっすがワンコりょう! ほらこれ、前にお前が店で一番真剣に嗅いでた」
「え……あっ! そうだこれ、あの時おれが惹かれた甘い匂いの」
「そ、ストロベリーのやつな。ははっほんとりょうはイチゴに目がないよなぁ昔っからさ」
「っ、じゃあ、わざわざそのストロベリーの香水買ってつけてくれたの、恵ちゃん」
「だって、前に彼女……まぁ今は『元』だけどさ……が、プレゼントしてくれたミント系のあの香水の匂い、お前苦手そうにしてただろ? だからすぐつけんのやめて、しばらく何にもしてなかったんだけどさ」
「あっ確かに、最近なんにも匂いしなかった!」
「だろ? んで、もうくれたソイツとも別れた……つかフラれたし。じゃあそんならせっかくだし、新しいのはりょうが見てたあれにしようかな~? って、昨日フラれた後ソッコーで買いに行ったんだよな」
「そ、そうだったんだ……」
「へへ、どうよ? りょうの好きな匂いにつつまれた俺は、さ?」
「~~っ、うんめちゃくちゃかっこいいよっ、さすが恵ちゃんだ!」
「おう、お前が喜んでくれるなら何よりだ」
ほら、こんなおれのちょっとしたことでもこうして気づいてくれる紳士な男なんだよ、恵ちゃんはさ!