8話(最終話)
「――ぷはぁっ!! そんでぇ、あたしがプレゼントにあげたはずの香水をぉ、あいつ何故かすぐにつけなくなってぇ、気に入らなかったの? って聞いたらぁ、あいつなんて言ったと思いますぅ? 『わりぃ、せっかくプレゼントしてくれてアレなんだけどさ…あのミント系の匂い、どうもりょうが苦手みたいで…だからつけるのやめることにしたんだ』って、はあぁぁぁぁっ!? あれっ、あたしのっ、初めてのプレゼントっ、だったんですけどおぉぉぉっ!!?」
「…りょうかちゃん、炭酸で酔っちゃうだなんて……それだけ色々溜め込んでいたのね…本当可哀想に」
「そもそも名前が例のあの子と似てる時点で、マジりょうかちゃん不幸すぎないっ!? 優劣つけるのもアレかもだけど…ここまで話してきたエピソードの内容も、歴代彼女の中で一番悲惨な気がするわぁ…」
「それねそれっ! アタシもそう感じてたっ! りょうかっち超ツラい事件の連続じゃない!?」
「それにエピソードの端々から、どうにも恵一郎さんの方も何だかりょうかさんのことをかなり気に入ってらした感じが見受けられるような……でもだとすると、この悲痛なエピソードの数々がより謎に…?」
「え~どーゆうことぉ? りょうかちゃんのことお気に入りだったのに、それなのにりょうかちゃんにこんな酷いこといっぱいしてきたって……ケイくんとうとうS属性まで身に付けちゃったのぉ? 何ソレ最悪すぎるよ~!」
「やっぱあいつ、今すぐ沈めてこなくちゃだわ」
「ぬぁ~にが『愛染恵一郎』よ!! もはや名前さえもムカツクわっ、名前の通り『たった一人にだけ染まるほどの愛を恵む』ってか!? わ~すご~い~♡ ってやかましいわっクソがっ!!!」
「大変、りょうかちゃんがいよいよ一人ツッコミまでしちゃうほどに……でもいいのよ、まだまだ時間はたっぷりあるんですもの。今日はとことんりょうかちゃんの言いたいこと、吐きだしたいことを全部ぶちまけちゃいましょうね」
「ううっ、まちせんぱぁ~い…ひぐっ、ううぅ~…」
「そうだよ! りんたちはもう固い絆で結ばれた同盟っ、友達なんだもん!」
「そーそーっ! おいしいものいっぱい食べて、そんでいっぱいアイツの嫌なとこ叫んじゃお~!」
「辛く苦しい話題は、皆で語り合えば和らぎますよ。私たちがそうだったんですから」
「あんな男に振り回されてた過去なんてしゃべってしゃべってしゃべりまくって、ぜ~んぶ外に出して中からキレイになっちゃお!」
「っ、み…皆さぁん……は、はいっわかりました! あたしっ今日はもうあいつに関わることの全部、余すことなく曝けだしちゃいます! っ、まだまだ新参者でわからないことも多いこんなあたしですが、先輩方っどうぞこれからもよろしくお願いします!!」
「ええ、もちろんよりょうかちゃん。『愛染恵一郎・被害者の会』一同は、あなたのことを心から歓迎するわ。これから私たちと一緒に、この会を大いに盛り上げていきましょう。――ということで、みんな」
「「「「イエッサー!!!!」」」」
「へっ? え、皆さん何を…」
「我ら乙女たちの心をズタボロに踏みにじり弄ぶ憎っくき女の敵こと『愛染恵一郎』にぃぃぃぃーーーっ」
「「「「天罰そして地獄を見せろっ!!!! オオォーーーーーっ!!!!」」」」
「って、世界で一番怨念のこもった円陣し始めたんですけどぉぉぉーーーっ!!? せっ先輩方、やっぱりすごすぎるっ……」
「――ぶあぁっくしょいっ!!!」
「!? どっどうしたの恵ちゃん、すっごいくしゃみだよっ?」
「ううっ、ずびっ…な、なんか突然寒気がして……何だぁ?」
「ええっ恵ちゃんもしかして風邪引き始めてるんじゃ…」
「ずずっ…かもなぁ…ううっ寒っ…」
「たっ大変!? えとえと……あっそうだ! 恵ちゃんっ!」
「えっ…」
――ぎゅうぅ、
「!! りょ、りょう…」
「えへへ…♡ 恵ちゃんが寒くならないよう、しばらくおれがこうしてぎゅってしてるね♡♡」
「っ、りょう…♡♡」
「どうですかぁ? 恵ちゃんあったかいですかぁ?」
「ははっ…おう、超あったけぇよ♡ サンキューな……でもっ」
「えっ、恵ちゃ」
ぎゅっぎゅうぅ、
「!? け、恵ちゃん…これじゃ、おれがあっためてもらってるみたいだよぅ…っ」
「い~のっ、俺はこっちの体勢のほうがあったかくて落ち着くから…なっ?」
「っ、おれは嬉しいけども…でもやっぱり…」
「ん~…じゃあさ、りょう。この体勢のまんま、いつものヨシヨシ…してくれるか?」
「えっ」
「そしたら俺、寒さなんてすぐに吹き飛んじゃうだろうからさ♡」
「! 恵ちゃん…♡ へへっ、うんまかせてっ。今日もいっぱいい~っぱい、恵ちゃんのことヨシヨシしてあげるね♡♡♡」
「おうっ頼んだぜ、りょう♡♡♡」




