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6話


「――ってわけでさ、もう何を質問してもなんの話題を振ってもどっかしらに必ず例のあの子の存在絡めてくるわけよっあのクソ恵一郎はっ!! わたし当時小六よ!? 何で二人っきりの時も、好きだった括弧開き括弧閉じ男から別の男の話延々と聞かなきゃなんないわけ!? 新手の拷問マジやめてっ!!」

「ああ~わかる~わかりすぎる~先週までのあたしがそこにいるうぅぅ…」

「新手の拷問納得です……聞いてる時、私前世で何か悪いことでもしたんでしょうか……と、何度思ったことか…」

「例のあの子のことだと、ケイくんほんとバグってるのってくらい同じ話しまくるもんね~。りん覚えたくないのに例のあの子のプロフィールとか大体言えちゃうもんっほんと笑えな~い」

「ねっアタシ物覚えるの超苦手なのに、例のあの子の好きな食べ物とかマジビックリするくらいスラスラ言えるしっ! そりゃあいちごみるくといい、ああいうのばっか食べてたら虫歯になるっての……って、うぐぅっ…む、虫歯っ…」

「大変っ、ななおちゃんが自分の言った台詞で自爆をっ…大丈夫? しっかり気をもって…!」

「だ、だいじょーぶ…アタシ、身体だけはじょーぶだからっ…ぐふっ…!」

「全然大丈夫そうじゃないっ!? ななお先輩一体どうしたんですか…!?」

「…その、実を言うと…ななおさんは…」

「待ってこころっち! …っ平気……あのね、りょうかっち…」

「先輩…?」

「アタシがね、けいいちろーと別れた理由は…」



 ♪~♪♪~

『あっけいいちろーからじゃん♡ 土曜のデート…アタシの誕生日のことについてかなぁ♡ ふふっ、ハイッもっしーけいいちろー? うんっ、ねねっ明後日のデートさぁ…――――はっ? えっちょっと待って行けなくなったって…!? はっ? りょうが虫歯になったから、土曜に歯医者の予約入れて付き添うことになった…って……ハァっ!!? 何言ってくれちゃってんのさ!? 幼なじみクンの歯医者なんてけいいちろーが付いていく必要……はっ? 無理…りょうの奴歯医者の音怖くて一人で行けないって怯えてっから、俺が一緒に行って傍で見守ってやんなくちゃ……って、いやいやいやっ何さソレっ!? ちょっと待って、だって明後日はアタシの誕生日でっ――――ああはいソウデスカっ!! じゃあもういいっ!! どうせ前からわかってたことだしもうアタシも超限界キてたからっ、いいよアンタなんてこっちからお断りっ!! けいいちろーのぶぁぁぁぁぁぁあっかっ!!! くたばれアホ男っ!!!』



「――…ってね…うげぇ、思い出しただけでさっき食べたチキンナゲットが口から出てきそうっ、うぷっ…」

「ななおさんしっかりっ……こちらお水です、そうゆっくり飲んで…」

「あわわわわわっ…!? おっおぞましいにもほどがある事件なんですけどぉ…!! ななお先輩可哀想すぎるぅ…」

「…本当、りょうかちゃんの言う通り、おぞましい以外のなにものでもないわよね…」

「付き合ってる彼女の誕生日にする特別なデートより例のあの子の歯医者の付き添い選ぶとかさ…ケイくんの頭の中ほんと一度しっかり覗いてみたいくらいだよね~」

「マジそれね。高校生男子の虫歯確認に付き添ってきたのが母親じゃなくて何故か幼なじみの同年代の男だったとか、歯医者さんだってビックリの案件だっつの」



「ゴクッ…ぷはっ! はぁ、生き返ったぁ…こころっちあんがと…」

「いいえ、お気になさらず」

「はぁ…でもさ、アタシもこんな感じで最低だったけど…こころっちも中々、だったよねほんと…」

「えっ!? もしかしてこころ先輩も、誕生日をよくわかんない理由でドタキャンされたとかそういうっ…!?」

「ああ、いえ私は……そうですね、他のみなさんに比べれば全然大したことないのかもしれませんが……」



『――…ん……っ、』

『はぁ…っと、こころ? どうかしたか顔背けて…』

『あ、いえその……やはりこうして男の方と接吻…キスをするのは、は、恥ずかしくなってしまって…』

『ははっ、こころはほんとウブだな~まっ、そこがいいところなんだけどさっ。俺はこころとこうしてキスできて、幸せだぞ?』

『っ……あの、恵一郎さん』

『ん?』

『恵一郎さんは、何をしている時が一番幸せ…ですか?』

『えっ、俺が一番幸せな時…?』

『は、はい』

『う~ん、そうだなぁ…』

『…わ、私はその…これまで色々あったり思ったりもしましたが……やはり、あなたとこうして過ごせる時間が一番しあわ…』


『やっぱアレだな! 俺が一番幸せを感じる時は、りょうに頭ヨシヨシしてもらってる時だわ!!』


『―――はい?』

『うんっ絶対そう! って、あ~…こんなこと話してたら、なんかりょうに頭ヨシヨシしてもらいたくなってきたわ。わりぃ、これから俺の家呼ぶって約束してたけど、あれ無しにしてもらっていいか?』

『え……えっあっあのっ、』

『じゃ、こころっまた明日な! ――あっ、もしもしりょうか? 今どこにいる? えっ、ああそうわかった。今からそっち行くからっ』

『………』



「――なんてことが、あったくらいでしょうかね。ふふ、もちろんその後すぐにあの方とは別れさせていただきましたよ…ふふ、ああ、懐かしい…ふふふふふふふ」


「ひぎぃやあぁぁぁぁぁぁっぜんっぜん大したことありすぎるんですけどおぉぉぉぉぉっ!!? そしてこころ先輩どうかコッチに戻ってきてぇぇぇっ!!!」


「ふふふ、ふふふふふ…」



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