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ひさし

 ご飯を食べ終わり、しばらく雑談してから街へと歩き始めた


「そう言えばロスくん、施設の子は皆白髪だけど、なんで?リンバさん達大人は青だったり、赤だったりカラフルだよねー」


 そう言えば何故今まで聞かなかったのか不思議な質問だ

 

施設で暮らしているとあまりにも当たり前すぎて触れてこなかったが、良く考えればおかしい話だ

 まさかこの世界の子供はみんな白髪なんて事はないだろう


「あー、それか。

俺も考えたことあってさ、リンバさんとか他の大人達に聞いたこともあるんだけど、皆答えてくれないんだ。」


 そうなのか。特に深い理由は無いのかな。


なんて、そんな訳は無いだろうけど今頼れる情報源はロスくんしか居ないし、街に行ったら少し調べてみよう


「それよりエンラ、お前ってビックリするぐらい知識が無い時あるよな。まるで生まれたばっかみたいにさ。」


ロスくんがははっと冗談ぽく笑いながらそう言った

いやー、当たり前と言えば当たり前だったんだけど、失念していた

そうだよねもうすぐ9歳になる、前の世界なら小三のになる人間が、自分の住んでいる場所のことはおろか、字も文化も知らないなんて不自然だ。

これは何かしらの言い訳が必要か...


「えっと...施設に来る前は、ずーっと働いてたから...あんまり分からなくて...」


嘘じゃないよ?日本では一流の社畜やってたんだからね!

どうかこれで誤魔化されてください...


「ふーん。そっか。あんまり深くは聞かないけど、色々あるよな。俺達は孤児だし。ま、分からないことあったら俺に聞けよ。」


ロスくんがアホで良かった。どうやら私の棒演技で誤魔化されてくれたようだ。



ーーーーー






「あっあれって」


「着いたな。」


 とても大きな門だ。


 街を囲む壁の1部に大きな門が取り付けられており、その両端にはいかにも騎士然とした格好の男の人が立っている。


 余程腕が立つのか、1人で門番をしているようだ

 入れてもらうために話しかけることにした。


 おお、ロスくん。自分から行くとは...

冗談で言ったエスコート云々を守ろうとしているのだろうか


「あの...街に入りたいんだけど...」


 びびっている

 あのロスくんがびびっている

 リンバさんにババアと言い放ったり、動物を追いかけ回して施設の外に出してしまい、朝まで正座させられていたあのロスくんがだ。


 無理もない、目の前の御仁は髭生え放題でいかつい表情をした怖いおじさんなのだ


「おお、ボウズ!久しぶりだな!なんだ可愛い彼女連れてきやがってマセてんなあ!」


 知り合いなのだろうか?


 良く考えれば当たり前か、ロスくんは街に来るのは初めてじゃないだろうし


「は、はい!ブラドさん!お久しぶりでした!本日はお日柄も...ってそうじゃなくて、こいつはエンラって言うんです、友達です!」


 言い終わると共にお辞儀をした。


 ブラドさん、と言うのか。このおじさん


 焦りすぎて言葉が変になってるぞ、ロス。


「そうかそうか!お前にも友達が出来るなんてな...初めて来た時は門を正面突破しようとして俺にぶっ飛ばされてたっけなあ!」


 がはは。とブラドさんは豪快に笑った。

 てかロスくん、何してんだよ、やべー奴じゃないですか


「嬢ちゃん、ロスはバカだが、優しい奴だ。仲良くしてやってくれよ」


 ブラドさんが私に耳打ちする。

 こそばゆい。


「ええ、分かっていますとも。ロスは私の手下です。大事にしますよ。」


 そう言うと、ブラドさんはロスくんと私を交互に見たあとにニヤリとした


 手下と言うのはもちろん冗談だが、大事にするというのは本音だ


「おい、二人とも、何話してんだよ教えろよ。」


 おやおや嫉妬なさって可愛らしい、大丈夫ですよ私はおじさんはおろか男の人に恋愛感情はありませんので!


「まあまあいいだろロス?街に入れてやるからデートの続きをしてこい」


「...」


 少し不満な様子だったが、渋々頭を下げ、私の手を引いた

 うひゃー大胆。前世ですらい異性と手を繋ぐなんてお母さんとしかしたこと無かったのに。


「ヤンデレにはならないでね、ロスくん...」


 小声で呟いた。


「ん?なんだそれ。それより早く、門が開く。」

 



 恥ずかしくなったのか振りほどかれた手にさっきまでの温もりを感じつつ、急かすロスくんにつられて早く歩き、2人は飛び込むように門をくぐり抜けた。

ぶり

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