特等せき
こんばんは(﹡ˆˆ﹡)
「オラ!起きな!!!!飯食ってとっとと行きな!!!」
とても女性とは思えないがなり声を上げながら、日も登らない早朝に、頭巾のおばさんことリンバさんが孤児たちを起こしに来る。
生前、朝がとても弱かったのに、こっちの体はどうやら朝方なようだ。
さあ、今日も情報を集めよう、
来てしまった以上は、こっちで生活するのだから、少しでも知識が無いと、孤児院を出たあと暮らしていけないだろう。
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朝ごはんは、昨日と同じ、硬いパンとスープだった。
違いといえば、スープの中身が少し白かったくらい
たぶん、昨日死んだ動物の乳袋に入ってた乳をぶち込んだんだろうな。
ここでは孤児は労働力の9割近くを締めている(たぶんだけど)
昨日見かけた大人がざっと10人くらいに対して、孤児は80人近くいる。
だから、孤児への栄養補給はそれすなわち施設の運営の円滑なんだろうな
と邪推してみる。
「エンラ、なんか難しい顔してるな」
といいつつロスくんは私の顔の前にカエルをちらつかせる
「ぎゃっ」
と思わず声が出たが、自分でも不思議だ。爬虫類は苦手どころかむしろ好きだったのに...
「ほらほら、食ったなら早く行きな!ここはレストランじゃないよ!!!!!」
リンバさんがイライラし始めた。
今日も、忙しくなりそうだ
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この世界に来てから2ヶ月ほどが経った。
分かったことと言えば、効率のいい仕事のサボり方、リンバさんのおだて方、ロスくんのいじりかた...
etc....
中でも、重要な事が一つだけわかった。
齢10歳になったら、この孤児院をでていかなくてはならない。という事です。
この孤児院のある『バルファロ王国』では、年齢が10を超えると、「適性機関」という所に連れていかれ、何か色々調べられるらしい!(みんなよく知らなかった。)
この孤児院の先輩で先月10歳になったミアちゃんは、私と少しだけ仲が良かったけれど、適性機関に行ってしまった。
元気にしているかな。
リンバさんが大きい声で「また1人奴隷が減ったねえ...!」と言っていたけど、表情は少し寂しそうだった
ロスくんは、私と同い年らしく、適性機関に送られる時期も近かった(ロスくんの方が3ヶ月早いけど)
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その日の夕食
「お前達。今日は川に行く前に聞いといて貰いたいことがある。」
リンバさんが珍しく神妙な面持ちで私たちに呼びかけた。
「明日。王の直属の配下の方が視察にくるからね。
少しでもよく見えるように今からまともな服を渡すからね。あと明日の仕事は無しだから、子供らしく遊ぶんだよ」
ごほん、と咳払いをして、続ける。
「くれぐれも!ぼろを出すんじゃないよ!!」
―上手くアピール出来た奴には明後日のパンおまけだよ!
と言い残し、足早に去っていった
「ロス、前にもこんなことあったっけ」
忘れているようなフリをして聞く
「んー、エンラは、少し前に入ったばかりだから知らないだろうけど、一年に一度あるんだよ、これ。」
そうらしい。
周囲を見渡すと、皆ウキウキしている
「「「明日、森まで行ってみようぜ」」」「「「王様の部下って、騎士様かな!?」」」「「「パン...パン...!!!」」」
「とりあえず、もう遅いし川に行こうぜ、エンラ」
わかった。とロスに頷いた。
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頑なに男の子達と川に行こうとする私に対して、ロスの努力は目を見張るものがあった。
やれ服を着たまま洗おう、とか
やれトイレ行ってきてから洗ったら?とか
それはそれは可愛らしくて面白かった。
しかしそれも最初の1週間のみで、今ではロスが見つけた、川の下流にある大きな岩の影で体を洗っている。
1人だと危ないとかなんとかで、ロスも着いてきているが。
そしてたまーに、トイレを装って他の子が見に来ているのも知っている。
「エ、エンラ、明日どうすんの?」
こっちを見ないようにしながらロスが話しかけてくる
「そうだ、そう言えば明日は仕事ないんだっけ。んーどうしようかなあ、こっちの遊びとか知らないし...」
「こっちの...?まあいいや、それなら俺と街に行かないか?少し興味のある店があって...」
お店...ということは何か買いたいものがあるのかな?ほんの少しだけど、賃金は出るらしい。
大抵の子は貯めておいて、施設から出たあとの資金にするらしいが。ロスは違うみたいだ。
街、か。ついて行けば、この世界の情報が手に入るかも知れないし、行ってみようかな
「いいよ、じゃあちゃんとエスコート頼むよロスくん」
少しからかう
「わ、わ...分かった!うわあっ!」
目に見えて焦っていたが、決意をしたようにこっちを向いた。
が、私はスッポンポンだったので慌てて向こうを向いた
あー面白い。
こんばんは(﹡ˆˆ﹡)