異邦人
こんばんは(﹡ˆˆ﹡)
僕のことを話しましょうか
少し前までは普通の社会人でしたが、仕事の帰り道に酔っぱらいにビール瓶で殴られ、救急搬送されました。
ここまではよかったのですが、病院で意識を取り戻した僕は、後遺症によって両腕麻痺になっていました。
そのまま絶望の日々を過ごし二、三ヶ月
リハビリの後にお昼ご飯を食べたあと、舌を噛み切って死にました。
これがこの世界での僕の幕切れでした
そうです、この世界での。ということは続きがあったんですね
舌をかんだ後僕は口いっぱいに血液が広がる感覚と共に目を閉じました、「ああ、もう溢れる性欲を我慢しなくてもいいんだ」と、右手と言う今はなき恋人を想いながらーーー
すぐに、周りに沢山の人の気配を感じて目を覚ましました。
ここは一体どこなのでしょうか。
木造のとても大きい教会?のような場所で、白髪の子供たちが硬そうなパンに齧り付いています。
「あ、エンラそのパンいらないんだったら貰うぜ」
僕の目の前にあったパンは見知らぬ少年に取られてしまいました。
状況は飲み込めませんが、お腹は空いていたので、とりあえず目の前にあった薄いスープを飲み干しました
食材といえばニンジンのような野菜と白菜の切れ端のようなものが浮かんでいるだけであんまり美味しくはありません
「はいはいお前達、食ったならさっさと仕事にいかないか!今日もくたばるまで労働するんだよ!」
白い頭巾を被った、顔中シワシワのおばさんが、叱りつけるようにそう叫んでいます
仕事、とはなんでしょうか、状況が未だに飲み込めていないまま、走り出した子供達のあとを追いました。
ーーー
「仕事」は思いのほか大変でした。牛のような角の生えた動物に餌をあげ、畑の作物を収穫し、庭の雑草を引き抜きました。
どうやらこの施設は牧場に、農業、孤児院が合併していて、その労働者として孤児たちを利用しているようでした
つまりは、僕は孤児として、見知らぬ土地へ転生してしまったようです。
ここでの僕の名は「エンラ」
正式な名前はなく、こちらの世界の言葉で9を意味する数字らしいです
もちろん、隙を見て他の孤児から聞き出した情報なので、性格かはわかりません。識字率はハチャメチャに低いみたいですから。
そして最も驚いたのが、どうやらこの肉体は女の子であると言うことです
8歳かそこらなので胸の膨らみでは判断つきませんが、生前は確かに備わっていた「まいさん」がきれいさっぱりと消失していました。
お決まりとして、女体化した場合は胸をまさぐったりするものですが、自分の体ということもあって、劣情を抱くことは無かったのでした(生前に少女性愛者では無かった影響も大きいと思う)
「エンラ、腹減ってんだろ、俺のスープちょっとやるよ」
話しかけてきたのはロスという少年でした
この子は転生直後に僕のパンを奪ってきた子です
この子は、「エンラ」に気があるらしく、仕事中にもちょっかいを出してきます(動物の糞を投げるふりをしてきた時はビビって叫びました)
「ありがとうロスくん」
というと、とても驚いた表情をしながら、恐らく誰かから奪ってきたであろうスープを分けてくれました
ーーー
食事も終わり、お風呂の時間かと思いましたが、ここにはそんな施設はないらしく、体力のある子達だけ川辺で体を洗うみたいです。
僕はこれでもとても綺麗好きなので参加することにしました。
ロスくんを誘うと、顔真っ赤で着いてきてくれました
ちょっかいをかけてくる割に以外とピュアなのかな?
「エンラ...お前、恥ずかしいとか感じないのかよ、周りに男いんのに...」
川には仕切り板なんて当然ないので、全員すっぽんぽんで体を洗います。
後で聞いたところによると、女の子達は男子が帰ってきてからこっそり洗いに行くようです
おっと、これはひどい痴女になってしまった。
でも生前男だったせいか全く恥ずかしくはなかったので、そのまま洗っていました。
他の子がチラチラこっちを見ていましたが、ロスくんは頑張って壁になって、僕、いや私の裸体を衆目に晒さないよう必死でした。
それがあまりにおかしかったので、明日もロスくんと来ようと思いました。
その後、6人1部屋の雑多な部屋で、薄い毛布を分け合いながら、誰とも知らない女の子達と朝までぐっすりでした。
実は女の子と寝るなんて初めてだったから、しばらく寝付けなかったとはとても言えません。
こんばんは^^