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<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

勇者に幼馴染達が取られそうになったので本気を出してみた。

作者: 異世界のコッケ

楽しんでいってね

「パーティーメンバーとして義兄さんが

 一緒にいることは認めますが金輪際

 気安く話しかけないでください!!」



俺は魔王討伐の旅を共にしていて

義理とは言え自分の妹に実質絶縁の

宣言をいい渡されていた。


俺は何でこうなってしまったんだろうと

心の中で呟きながら

己の運命が狂い始めた原因である

成人の儀の時の事を思い出していた。



     *


俺の名前はラス。どこにでもあるような小さな村で

生まれたどこにでもいる平凡な少年である。


「ラスー起きなさーい。早く朝ご飯食べないと

 成人の儀に遅刻しちゃうわよー!」


食卓に朝ご飯を並べる音と母さんの起こす

声を聞きながら俺は出ようとすると

もう少し位ならいいじゃないかーという

布団の誘惑と必死に格闘しながら

もぞもぞしていると、俺の部屋の窓が

開く音が聞こえた。


「あーーラスやっぱりまだ寝てる!!

 今日は大事な成人の儀があるから

 寝坊はダメって言ったのに!!

 ほら早く起きな、さいっ!!」


「ぐえっ!?」


俺は布団の上から強い衝撃を受けて

かえるが潰れた時のような声を上げてしまった。


「ぐえだって。変なの~。」


「変なの~じゃねえよ! 朝から何

 やってんだよ! 危なく成人の儀が

 始まる前にお星さまになる所だったわ!!」


俺が布団から顔を出すとそこには、天真爛漫な

笑顔をした幼馴染のリリイの姿があった。


「おはようラス!」


「ああ、おはよう...。

 じゃなくて早く俺の上から降りろ!

 これじゃあ起きれないだろ! 

 それに重い!!」


リリイは隣の家の子で、家が隣という事も

あって小さいころから遊んだりご飯を食べたり

したとても親しい仲である。


「ひっどーい! 私そんな怒られるほど重くないもん!」


俺たちがぎゃーぎゃーふざけあってると

部屋の扉が開いた。


「義兄さん、リリイさん仲がいいのは良いのですが、

 今日は大事な日なのですから早く食事をとってください。」


扉の所には義理の妹のココが呆れ顔をして立っていた。


ココは母さんの再婚相手の子供で俺が10歳の時にやってきた。

年は俺よりも一つ下だが今日の成人の儀にはココも

参加することになっている。


成人の儀とは、15歳までに誰でも受ける事ができる儀式の事で

この儀式を受けるとそのものに相応しいジョブ

スキルを授かることが出来るというものである。


ココはまだ14歳だがこの成人の儀は王都から

派遣される神官様ではなくては行う事が出来ない。

今年受けるのが俺とリリイの二人だけで

来年はココだけなのだ。二人と一人の為に

決して王都から近くないこの村に態々神官様に

ご足労かけてしまうのは申し訳ないことなので

今年一辺に行ってしまおうという事になったのである。


「ほら義兄さんもう朝ご飯並べ終わってますよ。

 早く起きて来てください。遅れて神官様を

 待たせるつもりですか?」


「さすがにそれはまずいですよね。

 今すぐ起きます。ほらリリイそういう

 事だから早く降りてくれよ。」


「ふーん。ラスが謝ってくれたらすぐに

 おりますよー。」


「謝る? 義兄さんリリイさんに

 朝からナニをしたんですか?」


「別に変なことはしてない!

 リリイが俺を起こす際に乗っかってきた

 から重いって言っただけだぞ!」


「義兄さん。いくらリリイさんが相手とはいえ

 女性に重いなんて言うのはマナー違反です。

 すぐに謝ることをオススメします。」


「うっ、そうだな。リリイ無神経に

 重いなんて言ってしまってすまない。」


俺がリリイに向かって頭を下げると

リリイは俺の頭をポンポン叩いてきた。


「ふふん。私は寛大だから赦してしんぜよー。

 ありがたく思うのだぞー。」


リリイはそういうとようやく俺の上から降りた。

俺がぐぬぬぬとうなっているとココがせかすように

俺の手をつかんできた。


「ほら義兄さんはいつまでもうなってないで

 早く来てください。遅刻以前にご飯が冷めちゃいますよ。」


「分かったからそんなに引っ張るな。」


俺は慌ててココについていく


「じゃあまたあとでねラス!」


「おうまたあとでなリリイ!」


俺はリリイと一旦別れ食卓に向かった。




ご飯を食べ終わった後俺とココは準備を終えて

家を出た。家を出たすぐの所にリリイがいて

そのまま一緒に神官様が待つ教会に向かった。


「しかしリリイさんいくらなんでも、年頃の

 女性が男性の部屋に一人で行くのは危険ですよ。」


協会に向かう道中ココが今朝の事をリリイに注意していた。


「ええ、別に大丈夫だよ~。」


「大丈夫じゃありません。義兄さんはこれでも

 年頃の男性です。もっと危機感を持ってください。」


「そうだぞ~。俺は年頃の男だぞ~。油断してると

 その内たべちゃうぞ~。」


「きゃ~怖い怖い。でもラスにそんな勇気あるのかな~。」


「うぐっ。そ、その内見てろよ本当にたべちゃうからな。」


俺がそういううとリリイはニコニコして


「ええ。楽しみに待ってるわ。」


と少し顔を赤らめて言ってきた。

そんなリリイの下にココが駆け足で近づいて行った。


「リリイさん抜け駆けは禁止だと約束している

 ではありませんか。」


「いいじゃない。どうせこれから成人の儀を

 受けてこれからは成人として扱われるんだから

 ここからは早い者勝負よ。それにラスはどっちか

 なんて小さい事言わないわよ。」


「そんなことわかっています。

 だけど複数奥さんがいる中で私は

 正妻に選ばれたいんです。

 だから、リリイさんがそういう事をするのなら

 私も全力で行かせていただきますからね。」


「ふん。上等よ正妻の座は絶対に渡さないんだから。」


そんな俺にとって最重要な話が繰り広げている中

俺の頭の中は先のリリイの言葉でいっぱいだった。


おいもしかしてOK貰ったのか

将来リリイの事をいただいちゃてもいいんか。

それともただいつもみたいにからかわれただけなのか?


俺がそんな事を自分の中で加藤していると

ほどなくして教会についた。


「ほら義兄さん邪な感情で教会の中に入らないでくださいよ。」


「べ、べつに邪な事なんて考えてないし。」


「そんな動揺しきった状態で言われても説得力ありませんよ。」


くっ。さすがは我妹俺の考えなんてお見通しか。

俺がそんなくだらない感想を心の中で抱いていると


「ほーら。ラス早く行くよー。」


リリイが教会の中からこっちに来るように

催促してきた。

俺はその誘いに応じて教会に入った。



「これから成人の儀を執り行います。

 呼ばれたものは私の前に出てき下さい。」


こうして成人の儀は執り行われた。

順番はリリイ→ココ→俺の順番である

リリイとココのステータスが開示された時は

周りが騒然となった。

 


リリイ 剣士


スキル 剣聖


剣聖:剣を誰よりも扱えるようになる。

身体能力が大幅に増加する。


ココ 魔法使い


スキル 魔道


魔道:聖属性魔法以外の魔法を完全に使いこなす。

魔力量が大幅に増加する。


千年前魔王を討伐した際に勇者パーティーの

メンバーはこの二つのスキルを持っていた。

この他にも守護者と聖者のスキルもあったが

この内聖者のスキル持ちが約半年前に魔王軍に

殺されている。

そう魔王は復活しているのだ。

復活したのは約一年前、復活が確認されてから

すぐに討伐軍を編成したがその編成のさなかの

隙を付かれ聖者のスキル持ちは殺されてしまったのである。

よって今回の二人のこのスキルの発現はとても

喜ばしい物であると同時に注意が必要なものになった。


「それでは最後にラス君前へ。」


ついに俺の番だ。リリイ達の方を見ると何やら

頑張ってと目で声援を送って来ているが

なるようにしかならないからな~と思いつつ

神官様の前に立った。


「我らが神よこの者に祝福を!!」


その言葉と共に俺の体が少し光ると

すぐにその光は引っ込み元に戻る。


「ではステータスを読み上げよ。」


「はい。私のスキルは――――」


ラス 聖人


スキル 状態異常無効

    聖属性魔法

    ???

???:のちに明かされるであろう。


「―――の以上三つです。」


「なるほど。状態異常無効の他に聖属性魔法も

 持っていますか。???とは一体何なのか

 わかりませんがのちに分かることでしょう。

 以上で成人の儀は終了ですが、三人には

 お願いがあります。」


曰く、極秘に近々勇者召喚の儀が行われる。

そこで召喚される勇者と共に魔王を討伐して

ほしいとのことだった。


俺はともかく二人はスキルがわかった時には

覚悟が決まっていたらしく即座にOKを出した。


俺もまさか選ばれるとは思わなかったが、

曰く、聖者のスキル持ちがいない今

???という可能性がある俺にかけて

みたいとのことだった。


俺はそれを聞かされNOとは言えなかった。

これが苦難が待つ茨の道とは知らずに。



俺たちは王都に着いてからすぐに

訓練が始まった今まで戦いをしたことがない

俺たちには必要な事だった。


この時すでに勇者は召喚されていて俺たちと

共に訓練の日々が始まった。


勇者ユウキとリリイ、ココはそれぞれ

国で一番強い戦士たちと訓練の日々が

始まった。一方俺も国にある病院を

回って聖属性魔法を鍛える訓練が始まった。


各々が自分たちの指導者から合格を貰えるまで

約半年の時間がかかった。その間守護者の

スキル持ったナーシャという女性騎士も合流した。


ナーシャは元々騎士の訓練を幼少の時から受けていたため

すぐにパーティーに合流した。


それから色々な街や敵地を回った。


始めこそリリイもココも非戦闘員の俺を

気遣ってくれていたが旅が進むにつれ

二人の心がどんどん離れていくのが

分かった。


旅の荷物は馬車が使えないところでは

咄嗟の戦闘の邪魔だからと俺がすべて

引き受けることになり、戦闘では

勇者が基本無傷で完封してしまう為

夜の見張りも疲労していない

俺がほとんどの時間をやらされることに

なっていた。

二人は最初夜の見張りの間話相手や

荷物を少しは手伝ってくれていたのだが、

最近では男女で分かれているテントの

中にすぐにこもってしまい夜は一人だし、

荷物も手伝いもしなければ途中の町で

討伐した魔物を売って出来たお金で買った

物で嵩が増えたのにも関わらず全く手伝って

くれない。


そして魔王軍4人中2人の幹部を倒した

その日の夕方勇者から驚愕の一言が

パーティーメンバー全員になされた。


「魔王の幹部も残る所後二人になった。

 ここまでこれたのはみんなのおかげだ。

 これをきに伝えたい事がある。

 リリイ、ココ、ナーシャ魔王を

 倒した暁には国王陛下が僕を次期国王に

 してくれると言ってくれたんだ。

 そこで三人には妃になって僕を支えて

 ほしいんだ。どうだろうか?」


そう驚愕の一言リリイ、ココ、ナーシャに

対するプロポーズだった。


そして三人の答えはどれも涙ながらのYESだった。




俺はその光景に愕然としていた。

当然だ。今までうぬぼれではなくリリイもココも

俺の事を好いていると感じていた。

確かに最近冷たくされていたがふとした時

二人はいつもの優しい二人に戻る瞬間があった。

だから俺は一時的なストレスからくるものだろうと

たかをくくっていた。


だがその結果がこれだ。

二人は勇者のプロポーズを受け妃に

なることを選んだ。


俺は絶望した今まで積み上げてきた信頼関係は

何だったのか。ふとした瞬間に見せるあの笑顔は

まやかしだったのかそんなマイナスの考えが

ぐるぐる頭の中を駆け巡っている中ふと

ユウキの顔を見ると奴は声には出さず俺に

”残念だったな。こいつらは俺のモ・ノ・ダ。”

と言ってきやがった。俺はその瞬間ブチギレ

そうになった心を必死に抑え込んだ。

ここで感情に任せて動いてはいけない。

それは最悪の悪手だ、だから俺は今とれる

最善と思われる手を取った。


「お、おめでとうみんな。そうだ

 ココこんな話の後だけど少し大事な

 話があるんだ。これは俺たち家族に

 関する重要な話だから他の人に聞かれる

 訳にはいかない者なんだ。

 ココの夫になるユウキにもまだ

 話していい物ではない重要な話だ。

 だからユウキ少しココを連れて行っても

 いいかな?」


「ああ、構わないそれじゃあ僕たちは

 もう少ししたら部屋に行くから

 今日はここで解散だね。」


ユウキ達はそういうと運ばれてきた食事を

食べ始めた。


「じゃあ行こうかココ。」


「....はい。」


ものすごく不満そうなむしろ少し殺意がこもった声で

ココが答えると俺に黙ってついてきてくれた。



誰もいない裏庭に来てココの方を振り返って

話を始めようとしたらいきなりココが怒鳴り散らしてきた。


「いったいこんな時になんだというのです!!

 やっとユウキさんが私達に告白してくれて

 その余韻に浸っている時にどうして話しかけてくるの

 ですか!? あなたは私の邪魔をして楽しんでいるの

 ですか!? 最悪です最悪ですよ全く。

 どうしてあなたのような人が私の義兄さんなのですか。

 どうしてこのタイミングで邪魔してくるのですか!?

 あなたは私が好いてるとでも思っているのですか!?

 そんな勘違いをしているのなら言ってあげます。

 あなたの事なんて大っ嫌いですよ!?!?!」


それは俺に向けられた一方的な負の感情。

疑いようのないような言葉の数々。


そして


「パーティーメンバーとして義兄さんが

 一緒にいることは認めますが金輪際

 気安く話しかけないでください!!」


時は今に戻る。


俺はここまで完璧に否定されてなお

どうしてこんなことになってしまったのかとも

考えつつも今までの違和感を考えていた。


なぜココ達はここまで急変したのか。

なぜ深い信頼関係にあったココ達が俺に対し

負の感情を見せるのか。いくらプロポーズの

余韻をぶち壊されたからと言ってこれは

あくまで過剰だ。

なぜふとした瞬間前の優しい子に戻るのか。

そして一番の疑問、なぜ俺がココの好意に

気づいている事を知っていると確信をもって

言えるのだろうか。


俺は鈍感のキャラ(・・・)を演じて

二人の好意に気が付かないようにしていたのに。


本来ココのこの完全なる拒絶の言葉たちは

俺をさらなる絶望の淵に突き落とす物だろう。

しかし、今俺は絶望どころか希望に満ちている。


もし俺が感じている違和感が間違えじゃなければ。

もし俺の仮説道理なら、これは終わりじゃなくて

始まりではないか。なら、進めようじゃないか

全部俺の勘違いならそれでいい。それでもリリイ達は

幸せになれる。でも俺の仮説が間違えじゃないのなら

これは俺もリリイもココも不幸にしてしまう最悪の

結末になってしまう。ならやらずに後悔より

やって後悔だ!!


俺は今まさにここから去ろうとしているココに向かって

王都での訓練の途中で目覚めたスキルを起動しながら

ココの手を握って問うた。


「ココ俺はお前が好きだ!! だから何の隠さず

 お前の本心を聞かせてくれ!!」


ココは信じられないような顔を見せた。

しかし、次の瞬間拒絶の言葉が始まったが

俺はその偽りの声を聞かず本心に耳を傾けた。


「何を気色の悪いことを言っているんですか。

 私は先ほど言いましたよね!? あなたの事なんて

 大っ嫌いだと。それともパーティーに残っていいなんて

 言ったから勘違いしたのですか!? でしたら、今すぐ

 ここから消えて二度と私の前に現れないでください。」

(ああ義兄さんが私の事を好きだと言ってくれた。

 なのに口から出るのは態度で出てしまうのは拒絶の

 物ばかり、私の本心はこんなのじゃないのに。助けて、

 助けてよお義兄ちゃん。私の前からいなくならないでよ。)


ああ聞こえたココの本心が聞こえた。

俺は違和感の一つふとした瞬間に

戻るやさしさについて考えていた。

あの時はどんな状況だったかを

そして気づいた。あれは俺がココの体の

一部に触れてしまった時だった。

だから今回俺はココの手を握りながら

問うた。本心を第三のスキル

さとりの瞳>の力を使って。

本来手を繋がらなくてもよかったかもしれない。

だけど直感がそうさせた。繋がって無いと

本心を聞けないと思ったから。


覚の瞳:相手の本心を読む。


俺はこれを使えないでいた。

本心を知って拒絶されるのが怖かったからだ。

だけど今回はそうはいってられなかった。

例え拒絶が本心だとしてもそれを受け入れよう

使わずに後悔はしたくなかったから。


本心は聞けた。そしてココは俺に助けを

求めているなら助けようじゃないか。

全力で俺の全力を持って!!


「ココ待ってろ。今自由にしてやるからな。」


「何をいって?」

(何をいって?)


俺は自分が立てた仮説を今はもう真実だと

疑いもしなかった。仮説すなわち

ココ達はユウキのスキルで操られている。

ならそれを解除すればいい。

俺ならそれができる。そう聖属性魔法を

極めた俺ならな!!


「ココいくぞ!

 <クリアマインド>!!」


瞬間すさまじい魔力の抵抗があった。

解除されまいとする強い抵抗。

しかし、今の俺にはそんな抵抗は無駄だ。

数秒後ココの中から何かが割れる音がした

と思ったらそのまま体が傾いた。


俺は倒れるココをしっかり支えると、

無事を確認して安堵した。


数分後、ココは目が覚めると同時に

泣き出していまった。


「ごめんなさい義兄さん。ごめんなさい。

 私は義兄さんに今までひどい事を―――」


「ココもういいんだ。ココの気持ちはちゃんと通じたから。」


「う、うわーーーーーーーーん。」


ココが泣き止むまで俺はずっと

ココの頭を撫でてやった。


泣き止んだのを確認すると

ココと向かいあって話をした。


「ココ俺はお前が操られていたのを知っている。

 ココが操られていたという事はリリイも操られて

 いる可能性が高い。俺は今からリリイを助けに行く。」


「なら私も行きます。いえ、行かせてください。

 きっと助けられた直後は私みたいに気絶するか

 倒れてしまいます。そしてひどく取り乱すでしょう。

 だから私がいくのです。」


「ココ俺がリリイを助ける意味わかっているんだよな?」


「ええ、もちろん。敵対するんですよね。

 あいつと。ですが義兄さんが付いてます。

 だから何も怖い物はありません!」


ああさっきまでの絶望が嘘みたいだ。

味方が、ココがいるだけでこんなに救われるのか。


なら今現在寂しがっているリリイの事を助けにいかないとな。


「ココいくぞ!! 俺たちでリリイを助けるんだ!!」


「はい!! 義兄さん!!」




俺が食堂に戻るとそこにはユウキ達の姿は無かった。

俺とココは急いでユウキ達の元へ向かった。


ユウキ達がいる部屋に着くとリリイがユウキにキスを

されている場面だった。

俺はその場面を見ただけで今まで我慢していた物が

はじけ飛んだ。


奴の懐にすかさず入り魔力を込めて(・・・)顔面を思いっきりぶん殴った。


「ぐはっ」


ユウキは俺のパンチをもろに食らい三メートルほどぶっ飛んだ。

背後で倒れる気配があったので瞬時に振り返り、今まさに

倒れようとしていたリリイの事を支えた。


「っつー。いやー油断したよ。

 まさか入ってくると同時にぶん殴るんだもん。

 そんなに幼馴染のキスしているシーンが

 衝撃的だったかい。でも別にいいだろう僕たちは

 もう夫婦なんだ何をしようと勝手だろう。」


ユウキはケラケラと笑いながら言った。


「それより僕の事を殴って満足したかい。

 満足したなら出て行ってくれないかい。

 これから夫婦の夜の営みをする所なんだから。

 それとも見学していくかい。」


俺はそんな言葉無視してリリイをココに預ける。


「リリイを頼む。」


ココは無言でうなずくとリリイのことを

俺から受け取る。


「ねえさっきっから聞いてるの?」


「黙れよこの糞勇者。」


俺はリリイをココに渡すとユウキに

向かって歩きだした。


「アアン? 君何言ってるの?

 糞勇者それって僕の事かい。」


「ああそうだよ。テメーの事だ勇者なんて

 テメー以外居ねーだろボケが。」


「君面白いね。いいよここまでしたんだ

 覚悟はいいねこれから―――」


「話がなげーんだよ!!」


俺はなおもしゃべり続けようとした

その口を閉じさせるためもう一発叩き込んだ。


この攻撃もヒットこいつこんなのも避けられないのかよ。


「ああなぜ避けないかって顔をしているね。

 そんなの簡単だよ。後で君自身に治して

 貰うからね、自分で殴った奴を自分で治す

 どれだけ無駄な事なんだろうね~。」


「俺がテメーの事を治す? 冗談は休み休みいいな

 治す訳ねーだろうが。」


「いいや君は治すね。試してみるかい?

 ほら勇者ユウキが命令するラス僕を治せ。」


こいつは何をいって...。

ああなるほどね。


「勘違いしているみたいだけど、俺に

 洗脳はきかねえぜ。」


「!! 君なぜ洗脳魔法の事を知っている!?」


「そんなのリリイ達の状態を見れば分かることだぜ。

 あそこまで態度が急変すれば誰だって分かるだろ

 何かおかしな力で洗脳されているってな。」


「馬鹿な!! この世界では洗脳魔法のような

 物は存在しない。あそこまで態度が変わったの

 を見たら普通愛想をつかされたって思うのが

 この世界なんじゃないのか。」


ああ、なるほどね。こいつはこの世界に洗脳

系統のスキルや魔法が無いのを知っていたのね。

でこいつは勇者のほかにその洗脳のすべがあったから

調子に乗ったわけね。


「なら残念だったな。ああ本当に残念だ何も知らないとは

 実に滑稽だ。なぜスキルなどで洗脳されている

 事を俺が考え付いたかって?」


「ああそうだ! なぜだそしてなぜお前に

 洗脳魔法が効かない!」


「それはシンプルな答えだぜ。まずな俺には状態異常無効

 のスキルがある。それによりお前の洗脳は俺には効かない。」


「!! そうかならココ! ラスを殺せ!

 こいつは僕たちの敵だ!!」


ユウキはココに命令を送った。

しかし、


「あれ? いつもみたいな体を縛るような感じがない。」


「馬鹿な! なぜ俺の洗脳が発動しない!」


おうおう慌ててる慌ててる

じゃあここでネタ晴らしと行くか。


「それもシンプルな答えだぜ。ユウキ自分の

 ステータスを確認してみな。」


「ああん。何だっていうんだよ

今更ステータスを見たってっ!?」


「気づいたかい。気づいたよなー。

 自分の洗脳の魔法が消えていることによー。」


「貴様! どうゆう事だ! なぜ僕のスキルが

 消えている!?」


ユウキのその言葉にココも驚愕の顔えを見せる。


「どういう事も何も俺が聖属性魔法で消した。

 ほらシンプルな答えだろう?」


「ふざけるな聖属性魔法はただケガを治す

 魔法だろう!! そんな事ができるはずがない!!」


「できるんだよ。聖属性魔法を極めればこれぐらい。」


俺の発現にユウキは呆けた顔をする。


「極める? 何を言っている。

 極めた所で傷を治す魔法でこんな事が

 できるはずがないだろう!?」


「そもそもの考えが間違っているんだよ。

 聖属性魔法は他の魔法と違う所がある。

 それは他者に直接干渉ができるってことだ。

 傷を治すの然り、解毒をするのも然り、どれも

 これも他者に干渉するものだ。

 これを極めれば、洗脳みたく他者を操ることは

 できないが相手の内側つまりステータスに干渉する

 事が出来たって不思議じゃーない。」


「ま、まさか。」


「気づいたみたいだな。そうさっきの攻撃の時に

 お前のステータスに干渉して洗脳魔法を

 消しといた。」


ユウキは顔を真っ青にして俺を見る。


「き、きさま。こ、こんな事をして赦されると

 思っているのかこんな事をしたら大事な戦力が

 減ってしまって魔王に負けてしまうぞ。

 それでもいいのかって言ってんだよ!?」


「そんなことはさせない。魔王は俺が倒す

 今度こそ復活しないように徹底的にな。

 だからテメーは黙って俺にやられておきな。」


引導を渡そうとする俺からユウキはどんどん

離れようとするが、途中で止まり剣を抜いた。


「そうだいくら洗脳が無いっていっても

 俺は勇者なんだ今ここで他の力を使って

 貴様を殺せばいいことじゃないか。」


ユウキが俺を殺すことに考えをまとめると

剣を構えて斬りかかる準備を始めた。


すると俺の後ろから声がかかった。


「さ、させない。ラスを殺させるなんて

 絶対にさせない。」


見るとそこにはふらふらと立ち上がる

リリイの姿があった。


俺が直接洗脳を解いたわけじゃないから

精神的にダメージを負ってたみたいで

その足取りはしのびない。


「リリイ無理をするな。

 お前はそこで休んで見てな。」


「でも非戦闘職のラスじゃユウキには勝てないよ。」


「そうだぜラス。カッコつけてないでリリイに

 助けを求めるのが利口な判断だぜ。」


外野がごちゃごちゃうるさい


「いいからテメーはさっさとかかってきな。

 俺がボコボコにしてやるからよう。」


「貴様!! 僕を舐めるのも

 大概にしろっ!!」


ユウキはそういうと俺に突っ込んできた。


「ラス避けて!!」


「義兄さん!!」


二人のそんな叫びが聞こえる。


「シネーッ!! ラスーッ!」


ユウキは俺に剣を振り下ろした。


俺はその剣を寸での所で綺麗に避けて見せた。


「な、なに!! 僕の剣が避けられただと。」


ユウキは俺が避けたことによって地面に刺さった

剣を抜こうとするが俺はそれを阻止するかのように

ユウキの顔面をぶん殴った。


「ぶげらっ」


またもぶっ飛ばされたユウキは今度は

中々起き上がっては来ずに地面でのたうち

回っている。


「い、いたい。なぜださっきは全然たいしたこと

 無かったのに。一体どうして!?」


「そんなの簡単だぜ。今の一撃でテメーから

 身体強化のスキルが消えた。だから、テメーは

 生身の状態で何の防御もなく俺の拳を食らった。

 だから、そんなに痛いんだぜ。」


洗脳に続き身体強化まで消されたユウキは

他にも勇者のおかげでスキルは持っているが

決定打を与えるスキルが無いことに気づき

顔をさらに青くした。


「き、貴様は一体何なんだ。

 どうして勇者でもないのにそこまで

 自分のスキルを使いこなせる。」


ユウキは完全に怯え切った格好で俺に聞いてきた。


「そう言えば俺まだテメーの質問に答えて無かったな。

 俺がなぜこんな単期間で聖属性魔法を極められたって

 これも簡単だよ。俺は赤ん坊の生まれた時から

 自我をきっちり持っていた。

 そして赤ん坊のころからずっと聖属性魔法を鍛えてきた

 別に成人の儀を行わなくとも魔法はつかえるんだぜ。」


「あ、ありえねえ。赤ん坊の時からしっかりした自我が

 あるなんてそんなのありえる訳ねーだろ!」


ユウキのその言葉にリリイもココも首を振って

理解に苦しんでるようだ。


「ならここでしっかりとした自己紹介をしておこう。

 俺の名前はラス。日本・・・にいた時の名は

 鈴木次郎。異世界に転生してきて幼馴染みのリリイと

 妹のココを嫁に迎える為に魔王討伐を目指している

 ただの異世界転生した小市民だ!!!」


俺の自己紹介を聞いた三名は唖然としていたが

その沈黙を破ったのがユウキだった。


「異世界転生者だと、ふざけるな!!

 そんな奴がなぜ僕の邪魔をする!!

 ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、

 ふざけるなーーーーーーー!!?」


こいつはもうだめだ。

考える事をやめてやがる。自分の

思い通りにいかなすぎて

壊れちまった。


「これが全ての答えだ。

 テメーがよそで何をしようが

 俺には関係ないことだからどうでもよかったが

 俺の周りリリイとココに手を出したのが

 テメーのミスだ。さ、ミスの清算と行こうか。」


「ひ、ひー。ゆ、赦してくれ。

 勇者なんてスキルを貰ったから調子に乗ってた

 だけなんだ。これからは心を入れ替えて

 行動するから赦してくれよ。」


ユウキはプライドも何もかもを捨てた。

土下座をしてきた。


「赦してくれか。ダメだね!!

 テメーは犯してはいけない罪を犯した。

 それはテメーは俺の女に手を出した。

 テメーは俺の女を苦しめた。

 そしてテメーはリリイの初めての

 唇を奪った俺の怒りはそれだけで

 頂点に達しているんだよ!!

 テメーの罪は俺から全てを

 奪おうした罪の清算はテメーの

 命以外のすべてで償いやがれ!!」


俺はそういうとユウキを無理やり立たせて

真上に放り投げて、某有名な幽霊

ス〇ー・プ〇チ〇のように

拳のラッシュを叩き込んだ。

勿論スキル破壊の効果付きで。


「オラッ!!」


そして最後の一発を気合の掛け声と共に

ユウキの顔面に思いっきり叩き込んだ。


ユウキは窓ガラスを割って屋外にぶっ飛んでいった。


ユウキから全てのスキルを消し去ったあと

王都は大変な騒ぎになっていた。


曰く散々高い飯を食ったにもかかわらず

金を払わずに出て行ったと。

曰く路地裏に無理矢理連れていかれて

無理矢理いろんな事をされたと。

他にも数々の被害の声が王都に届けられた。


王は勇者召喚をした責任を取り

すべての被害者に謝礼金を謝罪と共に

送る羽目になった。


そして王都に帰還した勇者はスキルを

全て失っておりただの使えないゴミに

なってしまっていた。


俺たちは王には敵の幹部の攻撃により

勇者が全ての力が奪われてしまった。

と報告した。勿論ユウキは俺に奪われた

と反論したが非戦闘員である俺が

そんなことが出来る訳もないと

信じて貰えずユウキは城の

地下牢にぶち込まれた。


ユウキはこれで名実ともに

勇者の称号を剥奪されたのである。



そして季節は巡り三年後の春


「うう、緊張するわね。」


「ほらリリイさんいつまでも

 そんなところにいないで

 行きますよ。もう皆さん

 待っているんですから。」


「そうだぜリリイ今日から伯爵

 夫人になるんだからもっと

 キリッとしないと。」


「そういうラスだって震えてるじゃない。」


「ばっかこれは武者震いってやつだ。」


「何よそれ。」


「ほーら二人とも行きますよ。

 皆さんに迷惑がかかってしまいますから。」


そう言うとココは俺とリリイの手を引いて

外に通じる屋敷の扉の前まで来た。



あの勇者の事件のあと何事もなく

あっさり魔王をその魂ごと葬り去った。


俺はその魔王を完全消滅させたことと

元勇者の事後処理に追力した功績をたたえられ

伯爵の爵位を貰った。


リリイとココも授与される予定だったのだが

そうすると後々面倒なので辞退した。


そして俺は二人にプロポーズをした。

二人は俺が言い終わる前にOKを

出してくれた。


そして今はその結婚式の最中だ。


「リリイ、ココ俺の秘密をしったうえで

 プロポーズに答えてくれてありがとな。」


「何をいまさら言ってるのよ。」


「そうですよ。義兄さんが異世界の人であろうと

 無かろうとピンチになったら助けてくれる

 私たちの旦那様なのですから。」


「そうよこれからもっとピンチに巻き込まれるの

 だからしっかりしてよね♪」


「ふふそうだな。二人をちゃんとピンチから

 守り通せるように俺頑張るよ!」


「「期待してるわ(ますよ)」」


そうこれからも沢山ピンチに

見回られるだろうけど俺は

二人のお嫁さんを守り通せるように

頑張っていこう。


「さあ行こう一緒に!!」


俺は二人に手を差し伸べた。


「ええ!」


「はい!」


そして二人も俺の手を喜んで取ってくれた。


そして俺たちの新たなるスタートの

扉が光と共に開かれた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 中学生が初めて書いたようなストーリー内容になんとも言えない感情が湧き上がり、ある意味懐かしい気持ちを思い出しました。
[一言] 文章が中学生みたいな感じで面白かった。
[気になる点] 勇者「なぜ日本人転生者が勇者である僕の邪魔をする」 どういう理論?同郷だから大目に見ろってこと?
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