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幸せのお届けに参ります
幸せが数値化され全ての国民のが一定以上の幸せを享受することが権利として認められた国に僕は住んでいる。住んでいるというのは少し語弊がある。僕はこの国を支える側の人間なのだから。
僕の仕事を簡単に言えば数値化された幸せ、いわゆる「幸せ指数」が一定の数値以下の人を幸せにし、数値を一定以上に戻すという仕事だ。
この仕事は他人の不幸とか憎悪とかっていう人の汚い部分を多く見ることになるから、嫌な仕事として避けられることが多い。でもその分給料は高い。
僕は今の仕事に不満はない。仕事終わりのビールがあれば文句はないと思っている。
さあ、今日の仕事も始まる。今日はどんな人を幸せにするのだろうか。