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典型的!前日談 後篇

誤字脱字はデフォルト。 後編です。

突然ですが、皆さんは、乳首毛気になりますか? 私は毛ほどには、気になります。

 少女は、待つ。

 目に映る雑踏は、上流の川のように忙しない。

 そのせいだろうか、流れゆく時間すらも早く感じてしまう。

 いや、きっとこれは私が、あの人を求めているからだ。

 今日のために、整えてきた黒髪の長髪を、手で軽く整えて、ふと手を胸にあてる。

 彼のことを思うだけで、鼓動は、秒針よりも速くなる。

 合流場所である忠犬パチン公の像周りは、自分のように待ち人を待つ人たちで、ごった返している。

 集合時間から、10分がすぎた。


「…やっぱり…来ないみたいですね」


 少女が、諦めて帰ろうとしたとき。


「お~い、真理愛ぁ~遅れてすまん」


 真理愛と呼ぶ声に、少女は振り向いた。

 そこには、あの人がいた。

 近づいてくるつどに、ハッキリと鮮明にその容貌を捉えることができた。

 前より少し伸びた自分と似た黒い髪毛と身長。

 面影を残す顔。

 どれもが、彼を愛しいあの人、自分の兄であることを証拠ずけた。

 少女は、手をなでおろす。

 そのまま拳を固めて、殴りかかった。


「やぁ~、お待たs(セイッ!)ゴバッ!!」


 二度あることは三度あるものである。


「い、いまのは…中々に…重いあいだったよ」

「久しぶりですね兄さん。 まったく、女の子を待たせるなんて最低です。 反省してください」


 双実真理愛ふたみまりあは育成の妹である。

 年は、育成たちの一つ下の16歳。ぴちぴちである。

 家庭の事情で、育成とは別居しており会うのは実に2年ぶりとなる。


「まぁまぁ真理愛ちゃん。 そのくらいにしようよ、ほら育成も反省してるみたいだし」

「反省はしている、だが後悔はしていない!!」

「お久しぶりですね、紅星先輩。 あの頃に比べて、随分と雰囲気が変わりましたね」

「う、うん。 まぁ~ね」

「え、お前らスルー!? まあいいや。 それにしてもお前…2年間で、まぁ成長したなぁ」

(特に胸部辺りが! この2年間で、なにがあったんだ、妹よ)

「なんかこう、大人っぽくなったな!」

(特におっぱいが!!)

「そ、そうですかね? えへへ そうですかねぇ~」

(おっぱぁぁぁぁい!!)


 …うるさい

 真理愛は、俯きながら手をモジモジさせる。

 彼女は、髪や服、化粧や立ち振る舞いを、褒められたのだと感じた。

 しかし、悲しいかな実際に評価の対象となったが、ごく一点のみであったことを、この先も知ることはなかった。

 そうして、久しぶりの再開の感傷に、しばらく浸ったあと、3人は、本来の目的である買い物へと向かった。


 ――――――


「兄さん、兄さん。 私、あのお店まわりたいです!」

「おいおい、店回りもいいけど、お前の欲しいものってのは、買わなくていいのか?」

「いいんですよ。 そうゆうのは、最後の最後でいいんですよ~」

「そうゆうものか?」

「えへへ、そうゆうもんです!」


 仲睦まじい二人の姿に、黒子はムッとした。


「ほら早く行きましょう!(ムニュ)」

「うお!!」

「ナッ!!」


 真理愛は、育成の体にもたれかかるように身体を押し付ける。


「ん? どうしました兄さん?」

「ひ、ひや、な、なんでもひゃい!」


 育成の童貞が、ここで発動!!

 大のおっぱい好きである彼だが、なんと彼は触ることに関しては、まったく耐性がないのだ。

 たとえそれが、実の妹のモノであろうと、おっぱいはおっぱいである。

 本人曰く、その後しばらくの記憶が曖昧で、マシュマロの夢を見ていたという。


 ――――――


「ほら、約束のクレープだ。 黒子おまえがこっちで、真理愛おまえはこっち」


 育成は、ベンチに隣り合って座る黒子にチョコバナナを真理愛にはストロベリーのクレープを差し出す。


「やった~!! ありがとさんクス!」

「ありがとう、兄さん」

「・・・」

「どうかしたの? 兄さん?」

「え、いやなんでもない。 そうだ、どうせだし飲み物買ってくるぜ。 二人ともお茶でいいか?」

「オッケー」

「うん、よろしく。 そうだ先輩、後でクレープ食べさせ合いっこしましょうよ」

「う、うん、そうだね…」

「了解、じゃ~行ってくるよ」


そう言い残すと育成は、逃げるように去っていった。


「・・・」

「…パクッ、モグモグ」


女子の間に訪れた沈黙。

手に持つクレープを、真理愛は淡々と食し、黒子は俯いて、唯々眺めていた。


「・・・」

「モグモグ、モグモグ、ゴクリ。 先輩、今怒ってますよね」

「え!! そ、そんなことないよ!! 別に怒ってなんて…怒って…なんて…」

「・・・」

「…ごめん、うそ。 本当は今、凄く怒ってる」

「…そうですか」

「だって、実の妹とはいっても、好きな人が私以外の娘とベタベタするのは、その…イヤなの…真理愛ちゃんもそうでしょ?」

「…ええ、そうですね」

「じゃあ、なんでウチを呼んだの!?」

「別に、強制はしていませんでしたよね」

「それは、そうだけど… 」

「あのことを、どうしても、知られたくなかったんですね」

「・・・」

「…見せつけたかったんです」

「え?」

「あなたは、私よりも多くの時間を、兄と過ごしています。 これからも過ごしていくことになると思います。 そこには、私の入る隙間なんて無い…だから、欲しかったです、思い出が。 私だって兄の隣にいることが出来ていたんだって言える思い出がね。 それを誰かに見せ付け、証明したかっただけだったんです」


 真理愛は、淡々とすべてを語った。

 今回の買い物の本当の目的を、自分の思いを。


「それだけなの…?」

「はい、それだけです」


 真理愛は、小さく微笑んだ。


「ハァ~、てっきり真理愛ちゃんも育成を、狙っているのかと… ア!! でも、真理愛ちゃん可愛いし、スタイルいいしだから、あんなスキンシップをしたら育成が、そういう目で意識しちゃうかも!!」

「多分、心配は、いりませんよ。 ところで、そのチョコバナナ少しもらっていいですか?」


 ――――――


 同時刻、お手洗い場にて。


「ウオォォォォォォ!! 心頭滅却! 心頭滅却!! 心頭滅却!!! 心頭滅却ゥゥッ!!!!」

「パパ~あれなぁに~?」

「こらこら、お兄ちゃんの邪魔しちゃダメだよ~」

(彼は今、闘っているんだ! 脆弱な己の心と!!) 


育成は、頭を冷やしている。

水道を使い頭を濡らす。

頭髪を伝う冷たい流水を肌で感じながら、己を見つめ直す。


(俺は、妹に…欲情を…してしまったのか…)


 クレープをを渡したあの時、確かに感じたリビドー。

 自分は、妹に、欲情するほどの変態なのか。

 そこまで、飢え堕落しているのか。


「・・・」


 彼は、考える何故自分は、欲情してしまったのか。

 ナニが、そうさせたのか。

 罪悪という枷をとるために、終わりのない鍵の山脈を彷徨う。

 そして、一つの考えに行き着いた。

 それはこの問題に終止符を打ち、育成を解き放つ鍵になった!!


(……いや違う!! 俺が欲情したのは、妹じゃない!! 妹のおっぱいだ!!)


 そう!! これは、ギャップ萌えからくるリビドーなのだ!

 2年前、真理愛は貧乳であった。 それが、2年という月日を経て巨乳となった。

 まさに、まな板の鯉が、竜となった。

 飛翔したのだ!!

 漲る生命力を目の当たりにし、触れたことで起こった衝動!!

 即ち、神秘的リビドー!!

 この境地に到達するまでに、5秒という時間を費やした。

 育成は、駆け出した。 

 彼の目に曇りはない。

 戻ろう、あの場所へ、二人が待つ帰るべき場所へ。


「パパ~どうしてないてるの~」

「いや…グスッ…なんでもないよ」

(そうか、君は打ち勝ったんだね…己自身に!! いいものを見せてもらった、ありがとう!! 少年!!)


――――――


 3人は駅の近くにある公園にいた。


「今日は、とても楽しかったです」

「そりゃ良かった。 でも結局なにも買ってないが、何が欲しかたんだ?」

「フフフ、内緒です。 でもちゃんと手に入りましたから」

「なんだそれ」


 隣り合ってブランコに乗る真理愛と黒子は、お互いに理解し合ったかのように笑みを浮かべた。


「これからも私の代わりに、兄をよろしくお願いしますね、先輩」

「何言ってるの? 真理愛ちゃんの代わりなんて、ウチはできないよ?」

「え?」

「真理愛ちゃんは、真理愛ちゃんだもん、代わりなんて誰もできないよ! だからまた、今日みたいにお買い物しようね!」

「先輩…わかりました!! また行きましょう!」


 疎外感を感じる育成であったが、二人の様子は見ていてとても微笑ましものだと感じた。

 まさに平和そのものであった。

 だが…


「おやおや、こんなところに巨乳えものが、2匹もいるなんて~ 今日はついてるニャン!!」


 遂に、彼らの日常は、音もたてずに崩れていった。


「巨乳死すべし慈悲は…無いニャン」

まだまだ改善点が多いですが、今後ともよろしくお願いいたします。

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