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やることの無い異世界で。  作者: 椚田 雷兵衛
序章 目覚めと始まり
4/17

説得、後、転生。

 少々喉が痛い。本気で声を出し過ぎたようだ……。

 喉をうんうん鳴らしながら俺は我に返って疑問をぶつけた。

「新しい世界って……つまり異世界とかいうやつ!?」


「うん。そうよ」


落ち着いた彼女が怖い。

このご時世、何故か異世界転生だとかはよく聞く話になってしまった。

まさかこの俺が巻き込まれるとは思わなかった……。


「大丈夫よ。その世界は超がつくほど平和。よく聞く魔物とかはいないはずだし、平和な暮らしが出来るはずよ!」


「ほ……本当かよアルテミア……」

アルテミアの必死さから察するに、本当の様だった。

が、次の言葉で――

「え、ええホントよ……?」

ちょっと怖い。

アルテミアは必死に訴える顔で話し続けた。


「言わば、やることの無い異世界!平和に、のんびり!暮らせるのよ!それにーー」


いきなり甘い顔になって顔を寄せてきた。


先程までのアルテミアとは様子が違った。ギャップ萌えとかいう奴だろうが、すごいかわいい。

い、息がかかる。何だか緊張するけど嫌ではなかった。むしろ心地いいような……


「ハルトと私は主従の関係。もし何かあれば私が絶対に守るわ。でも……もし私が成功したら……ちゃんと褒めてね……」


ドキドキする。

かつて俺は女の子にこんなに迫られたことはあっただろうか。思い出した。俺は童貞だった。


「わ、分かったよアルテミア。異世界に行く」

俺は説教に折れた子供のように異世界転生の覚悟を決めた。

「うん!頑張ろうね。ハルト」

アルテミアは説教が成功した親のように俺を宥めた。


 「じゃあ……動かないでね」


混乱していて周りを見られていなかったので、アルテミアの言葉をきっかけに今頃辺りを見渡した。

 空は暗く、紺というよりは黒に近い。

 アルテミアの後ろには木が何本か見える。

 辺りには水のにおいが漂う。俺たちは湖の畔にいた。


場所的には十分異世界だったが、俺は新たな旅立ちに向け、心の準備をした。


 「いくよ……」

俺とアルテミアに眩い光が纏い、辺りがぱあっと明るくなった。

体が浮いてふわふわする……。


俺は目を閉じると同時に意識を失ってしまった。


□□□□□□□□□□□□□□□□


目を開けると、異世界だった。


「……やっぱり、この中世感はお約束なのか?」


隣にはアルテミアが羽をパタパタさせていた。

 あれ?この人羽あったっけ、と思ったがそう言えばアルテミアはエルフだった。

「わ!着いたよハルト」


 羽と口調でわくわくしているアルテミアの目は、わくわくだけでは無いような感じがした。


すると、誰かが俺たちに話しかけた。


「ようこそ!光り輝く町、ルミナヘルムへ!……また会えたね……ハルト」


また会えたねとは……?

一瞬そう思ったが、この子が誰かはすぐに分かった。

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