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やることの無い異世界で。  作者: 椚田 雷兵衛
序章 目覚めと始まり
3/17

説明と告白。

「なっ……名前は思い出したら教えるよ。それより、ここまでの経緯を話してくれないか……?」

と、俺はショックを隠し、誤魔化した。


「分かりました」


「……多分あなたとは長い付き合いになるので、敬語は使わなくても……いいかしら?」

アルテミアは緑の瞳を真面目な色に変え、話す準備をする顔で俺に聞いた。

「ああ。全然いいぜ!何かわからないけどよろしくな、アルテミア!」

俺は堅いのは慣れなかったので二つ返事でOKした。


ーーまた会う日まで。ハルト。

 あの言葉が頭をよぎった。

 …………!


「名前はハルト!風野ハルトだ!」

俺は思い出した名前をアルテミアに伝えた。

「うん。よろしくね!ハルト」

アルテミアは天使のような笑顔をして見せた。


 ここに来て良かったと思ってる自分がいる。

何故だろうか。そう言えば俺はずっと寝っ転がっていた。そろそろ起きようか。

……ってずっと膝枕だったじゃないか!!!

起きないでおこう。紳士として。……という切なる願いは無かったことにし、起き上がってアルテミアの言葉に耳を傾けた。


「で、ここまでの経緯だけど、今 ルーメンで思い出させた通り、あなたは人に会いに行ったわ。誰にお願いされて訪ねたかは覚えてる?」


「……覚えてない」

覚えていないのだ。誰に頼まれて、誰に会いに行ったのか分からないのだ……。

 そんな無力な自分を知りたくなかった。


「まあ、無理ないわね。それで、屋敷に誰もいなくて、引き返そうとした所を老婆に引き止められたわ。そしてーー」

アルテミアは少しだけ口篭り……

「老婆はあなたに、エナジードレインという呪術をかけた。握手をした時にね」


「呪術!? ひっ……」

俺は純粋な恐怖をそのまま口から出した。

「もう大丈夫よ。私が治したわ」

 

 「エナジードレインっていう魔法は、呪術の部類に入るの。まあ難しいんだけど、即効性の魔法と違って、呪術は時限爆弾みたいなものかな?」


 なるほど。わかりやすい。


「ーーそれで エナジーについてなんだけど、エナジーっていうのは人間が生きていく力の事。人間はエナジーを使って日々、生活しているわ。エナジーは睡眠によって回復できて、エナジーが無くなると死ぬか、瀕死になるかの二択ね」


「じゃあ、アルテミアにも、エナジーはあるのか?」

と、聞いた。……いや、聞いてしまったの方が正しいか。でも、この質問は今後のことを知るには避けては通れない道ではあった。


「……いいえ、私にはエナジーはないの。人間ではないから」


「えっ……じゃあ……」

俺は隠したかった動揺を隠せなかった。


 「私はエルフ。人間と契約をして人間を守る生き物」



「ハルトがいた世界では、ハルトはあと少しで死んでしまうわ。普通はそのまま死んでしまうのだけれど、選ばれた人間は、人間とエルフが繋がる意識世界に飛ぶの」


「え? それじゃ、俺は……」

次の言葉は誰もが男なら誰でも夢見る言葉だった。


「そう。選ばれた人間よ。そしてーー」



「私と契約して、新しい世界に行くことになったわ。」


え……。

俺は絶句した後……


「ええええええええぇぇぇ!!!!」


と、大きく叫んだ。

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