プロローグ。 〜翠の美少女アルテミア〜
「エナジーの消費が……。今治します……」
……誰かが……俺を治そうと……してる……?
「〈リファイン〉!」
あ……明るい……!
明るさに耐えかねて、俺はがばりと起き上がった。
「あっ! まだダメですよ!」
可愛らしい声の呼びかけで、俺は柔らかい肌へ頭を戻された。
それは純白の太ももだ。
「まだ魔法をかけたばかりなので、あまり体は治っていません。どうか安静にお願いします」
彼女は、澄んだ翡翠の瞳をこちらに向け、真面目な顔で言った。
「お……あの……あなたはっ……?」
俺は勇気を出して聞いてみた。
「私はアルテミア。そしてここはエリューシアよ」
え……エリューシア?
聞いたこともない場所だった。
思えば俺はなんでこんな訳分からない場所にいるんだ? 誰かに連れてこられたのか?いや、自分で来たか?……いやそんなことはない……。もしかして……死んだ?
そんな自問自答を繰り返し、次第に俺は混乱の渦にもみくちゃにされていった。
「混乱するのも無理はないですよね……ここは特別な場所だから……」
彼女……アルテミアは同情の言葉を俺にかけた。
彼女は綺麗な緑色の髪を背中のあたりまで伸ばしていた。その髪を振り、俺に何かを唱えた。
「……〈ルーメン〉!」
再び辺りに眩い光が現れたその瞬間、俺は何かを思い出した。