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初恋。第二章  作者: 冬鳥
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指二本

樹里は大橋君とペアになりたかったんだよね、残念だったな。



麗奈は眼鏡のブリッジに触れる樹里を優しげに見つめていた。



いまは少し寂しげに少し恥ずかしそうな顔をしてあの背中を追いかけようとしてるね。



樹里の心はドキンドキン。

こら。頬を赤らめ口が僅かに開いてるぞ。

無防備だな。


樹里。いまきちんと勉強できてる?

目指すもの見失ってない?

日々、頭のなかは大橋君でいっぱいなんだよね。



今日のことを決めるあなたはとても、とても楽しそうだった。


日々勉強で疲れてるはずなのに。

日々何かしらに追い込まれてるのに。

あなたはいま真剣に恋してるんだ。




よく私に見せる樹里はしゃきしゃきとしていて知的さを前面に出したりする。たまに強がりたまに弱くなる。

正義感は強いのに人の悪口を簡単に言ったりしちゃう。

たまに一言で他人を地獄の底まで落とす毒を持ってる。

そのあとあなたはけろっとしてる。



いまは違うよ。いまのあなたはただ恋してる女の子。



樹里。どちらのあなたも私は好きだよ。

大親友さ。


麗奈はいまの樹里をとても可愛いなと思った。

樹里は背がすらっと高く脚もすらっと長い。


知的な雰囲気はかける眼鏡がいっそう際立たせている。



麗奈も眼鏡のブリッジに触れてみる。



前方には沢村俊介がいる。


離れた後ろ姿でも、様になるのが俊介だ。


なんだあいつは。


私を虜にしたままだ。


樹里が大橋君を好きなように。私は俊介が好きだよ。



麗奈はブリッジに触れたまま眼鏡を激しく上下に動かし始めた。隣りにいる樹里が驚いた様子で窺う。


「どうしたの?」



カタカタと目頭に当たる眼鏡が何度も鳴った。


「ど、どうしたの?」



私は顔立ちは良くない。かなり悪いほうに位置する。体型はとにかく丸いが当てはまる。


身体のいたるところが丸い柔らかい。


それはわかってる。



俊介の後ろ姿をずっと見続けるだけかもしれない。


あんな背中を見続けていたら

私は将来ずっと恋ができないかもしれない。


あんなに


そそる男は 世界中探してもそうはいない。

絶対に。


だから私は彼を笑わせてやるのだ。



私にできることは。


あの人をとことん笑わせて楽しませること。


ずっとずっと先に。


大人になった俊介が、中学の同級生にすごく面白い女がいてさ名前は麗奈っていってさ。

と。言われたい。

あの人の頭の片隅に私がいる。


ずばり私の存在意義は笑いだ。




「行こう樹里。よしあいつらの尾行よ。頃合いを見て後ろからカンチョーしてやろ」



「え…彰君にそんな…カ…カ…!」


顔を真っ赤にする樹里の手を取り早足になる麗奈。


「指二本ずぽっといれてまお!そんで大橋君と俊介の、はうっっって声を聞いてやろ!樹里は大橋君のお尻。わたしは俊介よ」



「や、やだ麗奈。本気なの!」



「わたしはいたってマジよ。二人の、はうぅっっって喘ぎ声聞いたら学校で自慢できるじゃない。人差し指と中指の第二間接までいってまおうぜ。樹里。これは、はぅっっ対決よ。どちらがより男をはうはうさせれるか勝負ね。大丈夫よ。そのあとわたしが必ず笑いにもってくから」



彰と俊介が入ったブースに二人も遅れて入っていった。

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