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初恋。第二章  作者: 冬鳥
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六人のそれぞれ

彰と壮太と奈緒子はマンションの前で待ち合わせをして それぞれの自転車で駅へと向かう。


朝早い時間だが天候よく気温もすでに高めであった。


壮太は半袖のTシャツ姿で太い二の腕が日にあたりオレンジ色に輝いていた。


彰はジーパンに黒い薄手の灰色のパーカー姿だった。



奈緒子は ピンク色のインナーに白いカーディガンがよく似合っていた。

奈緒子は白が似合う

それは彰も壮太も小さいころから 思っていることだった。


自転車にまたがる奈緒子を囲むように二人の男が両脇にいる。

外界から奈緒子を隠すかのように二つの盾が壁を作りあげていた。


最寄りの小さな近鉄線の駅で 皆と合流をする。


三人が構内に入っていくと改札口の手前で、すでに仲間が集まっていた。



「おせーぞ」


沢村俊介は相変わらずオシャレであり、また鋭い眼光の持ち主であった。



Gジャンに帽子

タイトなパンツはシャープなラインを存分に出していた。



「おはよう」



樹里は膝丈のフレアスカート。身長が高いから

高校生といっても不思議には思われない。

髪を止めるカチューシャがよく似合っていた。


「全員集合!」


麗奈は青いトレーナーを着ていた。


いつもの学生服姿とは違う印象を六人全員が抱き三重県鳥羽市へと向かう。



「よし行くか!」


壮太が太い声を張り上げた。

そして先頭に立った。



六人はぞろぞろと改札口を通りプラットフォームへと行く。




「鳥羽に行くためには、まず桑名駅で乗り換えだからね」



樹里が長く細い人差し指をだした。すぐ後ろには俊介がいてタバコをくわえている。



「樹里。迷ったらお前の責任だ」


俊介がバニラの香りを風に乗せた。



「シュンくん。任せて。昨日何度も予習しときました。あ、こら。タバコはダメ」




「さすがだな学級委員長」


前にいる壮太が笑いながら大きな両手をぶつけあうように拍手をすると、電車を待つ数人がこちらに注目した。



「さすがだ。おれがくわえた煙草を無理矢理に引き離すのはこの世でお前くらいしかいない」


睨み付ける俊介に思わず樹里は小さく後退りしながらも煙草を俊介の口にそっと戻した。


「も、もうお願いだから火は付けないで」



「逆だ」


「え?」



「さすがだな学級委員長」


俊介は逆にくわえた煙草を地面に吹き飛ばして肩をぶつけるようにして樹里を追い越していった。




「まあまあ樹里。あんたはよくやってるよ彼はまだ樹里の素晴らしさに気づいてないんだよ」


麗奈が樹里を抱きしめて頭を撫でつけた。 そして俊介の後ろ姿に向けて中指をぐいっと立てて見せた。



「ガキが」




麗奈の言い方はうまい。


わだかまりなく笑いを拾いあげる言い方に最後尾にいた奈緒子が吹き出した。


思わずクスクスと笑いだす。



「あ、杉田先輩すいません。自己紹介しないと。えーと、彰くんと壮太くんはもちろんわかりますよね。あとあのわんぱくな人が沢村俊介くんで、この子が春日部麗奈ちゃんです」



「みなさんよろしくお願いします」


深々と頭を下げる奈緒子。

麗奈もつられて頭を下げた

俊介は足を止めて振り向き奈緒子を睨んだ。



六人の小さな旅が始まる



遠足のように気分は高揚としていた。

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