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12 賑やかなグリーンガーデン

 大阪の片隅にある風情ある喫茶店で、やる気のない政宗に、やる気満々の銀狐がコーヒーの淹れ方を熱血指導している。

「違います! 何度言ったらできるんですか?」

「ええっ? どこが違うんだ?」

 どこが違うのかも分からないのかと銀狐が溜息をついていると、チリン、チリンとドアに付いている銀鈴が鳴った。

「いらっしゃいませ」

 営業スマイルを浮かべかけた銀狐だが、入ってきたのが東三条と瑠美なので、微妙な顔になる。本腰を入れてマスター修行をさせようとしていたのに、政宗はいそいそとカウンターから出て行ってしまった。

「東三条さん、どうやら黒い影は戻っていませんね」

 マスカレードで黒い影は東三条から離れたが、また戻るかもしれないとほんの少し心配していたのだ。

「お陰様で……武藤さんも技術的には優れていますし、仕事のオファーは問題ないのですが……」

 若い瑠美の前でキャバ嬢のルミの話をしにくそうな東三条だ。

「なぁに? 東三条のおじ様?」

「あっ、瑠美さんは銀さんに紅茶の淹れ方を教えて貰ったら?」

「やったぁ! 前から習いたいと思っていたの」

 銀狐は「カウンターに部外者など入れない」と揉めている間に、東三条と政宗は観葉植物に遮られたソファー席に座る。

「仕事面は問題無いのですが、ルミちゃんとの仲を疑われるのが面倒臭いのです。私はバッグを買った後は、マスカレードに行ってもいないのに……」

 政宗は厄介ごとかと心配したのにとガクンとなる。

「そちら関係のお悩みは銀蝶ママにお願いします」

 政宗は冷たく東三条に言い捨てて、カウンターの定位置へ座る。ぎゃんぎゃん煩い瑠美と銀狐の争いをよそに、愛読するミステリー小説を開き、こんな難事件を解決してみたいものだと呟くのだった。


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