第1章:運命の出会い
彼氏の欲しい小百合が仕事で出会った彼…二人はどうなるのか…。
私はこの冬、運命といえる出会いを果たした…。
2006年、冬
もうすぐクリスマスだというのに私は彼氏もなく寂しい冬休みを過ごしている。
「はぁ〜…今年のクリスマスは一人か…」
そんな事を一人呟きながらテレビを見ていた。
そんな時、珍しく私の携帯の着信音が流れた。
電話の相手は咲子からだった。
咲子とは学校での親友と呼べるただ一人の友人…。
「どうした〜?」
「小百合ごめん…。23日ダメになった。」
早百合とは私の事だ…。
「用事でも出来た?」
咲子は風邪をこじらせて入院する事になったらしい。
お見舞い行くね。お大事に。その言葉を最後に電話を切った。
これで冬休みの予定は何もなし…か。
咲子との予定も無くなり残りの冬休み…それとクリスマスどうやって過ごすか考えたが何も浮かばない。
学校の宿題は冬休みに入ってすぐに終わらせてしまったし定期的なアルバイトもしてない。
仕事といえばたまにコンパニオンの仕事をしているだけで後は家でゴロゴロしてるだけ…。
そんな毎日じゃあ出会いなんてないのは分かっているけど寒いので布団から出たくない。
私が布団から出るのはご飯とお風呂とトイレのみでたまにタバコを買いに近くの自販機まで行く程度だった。
それから二日程経った。
珍しくまた私の携帯がなった。
相手は…地元の女友達の奈美からだ。一緒にコンパニオンの仕事をしている。
「奈美どうした〜?」
「23日あいてる?」
私は予定がないので余裕で暇と答えた。
奈美は私と一緒に登録している会社以外にもコンパニオン登録をしている。
その会社から依頼がきたのだが人手が足りないため私にも入って欲しいと言ってきた。
私は特に予定もなくお金が欲しかったので出る事にした。
この時、私はこの仕事で運命をとなる出会いが待っているとは少しも思ってなかった。
仕事当日−−−
私は席に入ると挨拶をするため他の仲間と共に前に座った。
そしてお客様を一通り見渡した私の目線はある一人の男性に引き付けられた。
胸が高鳴った。
彼に近づきたかったけれど私にそんな勇気はなかった。
それでも彼を見ていたかった私は彼の見える位置にいるおじ様の席に着いた。
仕事の時間は二時間。延長が入れば延長の時間がプラスされる。
一時間程経つと次第にお客様は少しお酒が入り始め自由に動き出す。
私はおじ様の相手をしながらも彼を見つめていた。
しかし、少し目を離した瞬間彼の姿がそこから消えていた。
あれ?いない…。少し残念に思いながら私は視線を手元へと戻した。
ん…?私は異変に気付き顔をあげた。
すると目の前に彼の姿があった。
私は驚きのあまり放心状態になっていたがすぐに我にかえった。
「こんにちは。はじめまして。」
彼が話しかけてきた。
私の胸は周りに聞こえるのではないかと思うくらいドキドキと音をたてていた。
でも私もプロとして顔に出すわけにはいかないと思い平静を装い笑って答えた。
「はじめまして。早百合です。よろしくね。」
彼は折川 朋久23歳。未婚の彼女ナシ。好きな人も現在はいないらしい。
私より3つも年上とは思えない程幼げな顔をして身長は高く細身だった。
とりとめのない話しをした後、彼は同僚に呼ばれて行ってしまった。
その後彼と話す事はなかった…。
仕事終了まであと30分−−−。
彼とこのまま終わるのは嫌だ。
でも…時間も無ければ勇気も無い。
私はモヤモヤとした気持ちで一杯だった。
その時、突然私の肩が叩かれた。
驚いて振り向くとそこには奈美が立っていた。
「早百合延長いける?」
私は思ってもいなかった言葉に驚きながらも嬉しくて即答した。
「もちろん。」
そして私たちはホテルの地下にあるスナックへと移動した。