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13.暴君くん

 中司さんがミルクを飲んでいる間に僕たちも軽くお腹に入れて、買い物を再開することに。

 食事中、中司さんをずっとだっこしていた谷山先輩に、

「僕はぜんぜん分からないから、谷山先輩が選んでくださいね」

だから、僕がだっこしますよと僕は中司さんの前に両手を出した。だけど、彼はひゅっとその手を谷山先輩の方に伸ばして、彼女にしがみつこうとする。その様子を見て、彼女がぷっと吹き出したけれど、僕は構わず彼の脇に手を突っ込んで引き剥がした。その途端、中司さんは頭が下になるくらいそっくり返り、火がついたように泣いて暴れる。

まるで、誘拐犯にでもなった気分だ。

「やっぱりダメみたいね。宮本君には荷物持ちしてもらうから良いわよ」

谷山先輩はそう言いながら中司さんの前に手を差し出す。すると中司さんは、思いっきり手を伸ばして谷山先輩に縋りつき、その胸の中にすとんと納まるとピタッと泣き止んだ。何とも現金なことで……

「大丈夫ですか? この子結構持ち重りがしますよ」

さっき、立って抱いていた時でもだんだんに重みが増してきたもの。慣れもあるのかも知れないし、だからといって放り投げる訳にもいかないのだろうけど、世のお母さんたちは本当に偉いと思う。

「大丈夫よ、買い物カートについている座席に座らせるから」

 そう言って歩き出す谷山先輩に、僕も慌てて続いた。

 だけど、その買い物カートにも中司さんは頑として乗らず、結局急遽だっこバンドを買う羽目になってしまった。おむつもミルクも消耗品だし、服は必要だからまだしも、布団と言い、こんなのはなんだかなぁ……と思っていると、僕の携帯に電話が入る。先輩からだった。

「買い物済んだか?」

「後少しで」

布団もパジャマも買ったし、たぶん。

「じゃぁ、もう出られるな。ところでお前、XXの『メルヘン』って喫茶店は知ってるな」

「ええ、知ってます」

知ってるも何も、僕があることで足重く通っているおなじみのお店だ。

「俺は会社に戻んなきゃなんねぇから、ビクトールをそこに迎えに行って、マンションに戻ってくれ」

「はい、わかりました」

って答えたけど、何だかイヤな予感がする。あの店を選んだのは、絶対先輩じゃなくってセルディオさんだと思う。

 先輩の電話を受けて、僕たちはいっぱいの荷物を載せて『メルヘン』に向かった。

 で、店の扉を開けてまず目に飛び込んできたのは、予想通りお店の名物メニュー、『ジャンボプリンパフェ』にかじりついているセルディオさんの姿だった。もう、半分以上食べ尽くしていて陥落間近。

「お、宮ちゃんも来たな。さすが兄弟だな、良い食いっぷりだぜ。双子なんだってな」

「え、ええ」

双子と言うことにしている訳ね。僕は、適当に相づちを打つ。

「大体、アレを一人で食い切れる奴はそうそうはいない」

と、人の良い店のマスターは笑う。だけど、

「ま、不思議と、こういうもんは女の方が完食するもんだがな」

と続けたので、僕はあわてた。

「そ、それセル……いや、あの子に言いました?」

それで、僕はぐっと声のトーンを落としてマスターにそう聞いた。

「いや?」

僕のあわてようにマスターは首を傾げる。

「それ、彼の前では絶対に言わないでくださいね」

「か、彼ってことは、男か!?」

セルディオさんが男だと分かってマスターは素っ頓狂な声を上げる。ぼくは人差し指を口元にたてて、

「ええ」

と頷く。

「スカート穿いてるのに?」

あれは、魔術師のローブで別にスカートでもワンピースでもないんだけどな。って言っても地球人のマスターに解る訳はないし。

「あ、あれは仕事上仕方なく……でも、本人気にしてますから。でないと……」

ひどい目に遭います。僕は、赤ちゃんがもう一人増える図を想像してぞっとした。




 






 

いや、ビクトールは縦しんば美久と同じ事をしてもすぐに回避出来るんですけど……というツッコミを入れる作者なのでした。

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