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軈て瞼はおちる

作者: 村雲


押し入れの片隅


夜が明ける場所


隙間から差し伸べられた光が


やけに眩しくて


僕は目を瞑った



畳の匂い


障子越しの枯れ木


誰かの寝息が聞こえて


退いた先の孫の手


部屋の外の呼吸が止まった



出来れば思い出して


父さんが迎えに来た月曜日


はしゃぐと頭を叩かれて


泣きながら縋った


母さんの冷たい手



怖い夢の後に


隣に居ない誰かの熱が


教えてくれただろ


僕が目を覚ますのは


いつだって皿が割れた後



ぶたれて青くなった皮膚


痛いの知ってて何度も触れる


それでも父さんの言葉で


僕のどこかは青くなる


聞いてよ



青く深く鬱血した皮膚が


もっと痛かったらよかったのに


自分でもどこだかわからない


ねぇ、父さんの言葉は


僕のどこを青くしたの?



押し入れの片隅


畳の匂いに赤と黒


部屋で誰かの呼吸が止まった


そして狂った顔をして


とても綺麗な顔をして



灼熱を掬する


ヨダレを垂らす体たらく


忘れないで


母さんにナイフを持たせたのは


僕だったこと。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 題材がショッキングです ひとつのホラー映画を見ているかのような この詩の『僕』の家庭の状態を現す表現 父の言葉や 虐待と思しき表現 皿の割れる音で目が覚める、など――。 さりげなく、…
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