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異世界孤児達と本好きエルフ君の安息処興隆史  作者: にゃっちン


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2/2

精霊ウンディーネと、本の能力と、

リーフェンを立つ前の夜、

三人から食事に招待された。


三人は口々に


「今日は俺たちの奢り」

「ちゃんと稼ぎ方、覚えたよ」

「……ありがとう、兄ちゃん」


と、語った。


安食堂だけど、温かい夕食だった。

パンとスープ、それに少しの肉。

それだけで、胸の奥がじんわりと満たされる。


「美味しいね、ありがとう♪」


エリエがそう言うと、三人は少し照れくさそうに笑った。

エリエも満たされ癒される。

(コレがぼくの目的だったのかナ?)

エリエと三人の夜は更けていった。


三人と別れて、数日が過ぎた。


街道を歩きながら、エリエは改めて思う。

――旅が、思った以上に楽だ。


重たい水筒を持ち歩く必要もない。

綺麗な川がなくても、手拭いを濡らして、

身体を拭けば清潔は保てる。

喉が渇けば、清い水を両手に必要な分だけ注いでくれる。

水の下位精霊――

ウンディーネの力。


「助かるなぁ……」


それだけでも十分ありがたいのに、


本のスキルが、もう一つの支えになっていた。


道端の草や木の実。

林の縁に生える葉。


「食べられるもの」と「食べちゃダメなもの」

に分けられるのを、今のエリエは知っている。


野草の味。

下処理の仕方。


エリエは、本を枕にして眠ることで、

その物語の登場人物から、知恵や力、経験を少しだけ借りられる。

気持ちを通わせ共感できた登場人物ほど、安定して力を発揮出来る。

毎回主人公から借りられると言う訳にも行かないが、

エリエの能力は、そういう性質だった。


『名も無き農民の40年』


この本の住人は殆どが農民さんなので助かっている。


「エルフの森の外でも……コレでちゃんと、生きていけそうだナ♪」


ニナンベル到着前夜、焚き火の横で天幕を貼った、

野営の準備だ。


エリエは荷物から本が二冊取り出した。


『名も無き農民の40年』 そして――

『剣を抜かなかった勇者が、国境を越えた理由』


「……そろそろ、切り替え時かな」


街道はもう終わる。

次に足を踏み入れるのは、人と人が密集する場所だ。

『剣を抜かなかった勇者が、国境を超えた理由』は、

とにかく武力以外で立ち向かう勇者の話しだ。

魔王と戦争中なので警戒度をあげるには丁度良い。

魔王の力が借りられれば理屈では無双も夢じゃない。

まだ魔王と共感出来てないけど♪


「今夜の枕は……君だね」


まだ二冊しか持っていない。

だけど、その恵みは十分すぎるほどだった。


(魔王と共感とか難易度高いって……)


そう不服に思いながら、 エリエは静かに眠りについた。


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