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異世界孤児達と本好きエルフ君の安息処興隆史  作者: にゃっちン


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1/2

行ってらっしゃいと、街道宿と、

エリエ・ファンデルは、森の外れで一度だけ振り返った。


見慣れた緑の天蓋。

幾重にも重なった木々の枝と葉の向こうに、

エルフの森の静けさが広がっている。


ここで生まれ、ここで育ち、

そして――今日、初めて外へ出る。


「行ってきます」


そう言って軽く手を振ると、

背後から穏やかな声が返ってきた。


「行ってらっしゃい、エリエ」


森の奥、少し開けた場所で女王は微笑んでいた。

エルフの森において彼女は紛れもなく「皆の母」であり、国の象徴だった。


「森の外へ行くのはまだ早いんですよ?掟によるとですけど……」


エリエは少し考え、言葉を選びながら続けた。


「僕の能力のために。本……物語が、もっと欲しいンです」


エリエの能力は、制約は有るけど、

物語の登場人物から力や知識や経験を借りる事が出来る能力。


転生特典ってヤツだ。


誰かの人生を、ほんの少し借りるような ――そんな力だった。


女王は一瞬だけ目を閉じ、それから小さくうなずいた。


「ええ。あなたらしい理由です」


立ち上がり、エリエの前まで歩み寄ると、そっと抱き寄せる。


「失敗しなさい。

遠回りしなさい。

恥を書きなさい。

立ち止まってもいいのですよ?

必ずあなたの糧になります」


「……はい」


「コレは貴方がやった改革や発明の正当な対価です」


女王は金貨の入った重めの袋と各ギルドへの委任状を渡した。


「当面の生活費と身元保証書だと思って下さい」


改革と発明……

能力×現代知識チートの賜物だと思っている。


が、未成年が森を出る掟を破るのは間違いなく女王の温情采配である。

感謝するのはコッチなのに、

女王は若干涙を浮かべて最後に抱きしめてくれた。


森を抜けて数日。


エリエは主要街道沿いの街道宿に辿り着いた。

リーフェン街道宿……

エルフの王国アライネルトと王都ニナンベルの中継地点だ。


行商人、旅人、護衛、職人。

人の流れは絶えないが、どこか落ち着いた空気の町だ。


エリエは突然、見知らぬ三人組に声をかけられた。


「パン、余ってないかい?」

「少しでいいんだ」

「……腹、減っててさ」


年の近い子供たちだった。 身なりは粗末で、靴も擦り切れている。

物乞いではあるが、しっかりした顔付きだ。

周囲をよく見ていて、旅人の動線も把握している様子だった。


「この町、詳しい?」


三人は顔を見合わせ、うなずいた。


「そりゃまあ」

「宿も店も、近道も」

「危ない所もな」


エリエは少し考え、それから言った。


「じゃあさ。今日泊まる宿を探してるンだ♪

案内してよ?お駄賃、はずむよ?」


「……は?」


「お金の稼ぎ方ダヨ♪ 周辺を案内して駄賃をもらうんだ。

街道宿なら、客には困らないでしょ?」


三人は最初、ぽかんとした顔をしていた。

だが次第に、言葉の意味が染み込んでいく。


「……案内?」

「金、もらえるのか?」


「そりゃそう。ちゃんと仕事すればね」


エリエは笑って続けた。


「やり方は教えるよ。 この町、悪くないスタート地点だと思うンだ」


三人はしばらく沈黙し、やがて一人が口を開いた。


「……やってみるか」

「失うもん、ねぇし」

「腹減るよりマシだ」


エリエは内心で、少しだけ安堵した。

こうしてエリエは、街道宿で小さな関わりを持った。


エリエは、三人が落ち着くまでの数日は滞在しようと、 ぼんやり考えながら床に着いた。


コレがこの旅最初の人間関係?友達?


せっかく恵まれた条件で転生したんだ、

自分にも出来ることはないか探してみるのもいい……

目指すは王都ニナンベル、王立図書館。


ニナンベルには何が待ってるのかなぁ……と 眠りについた

共同制作 チャトランさん

安息処興隆史は「あんそくどころこうりゅうし」とお読み下さい(⋆ᴗ͈ˬᴗ͈)”

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