16話
「映画良かったわね!」
「うん、良かった!」
「最後のシーンも感動したわ!」
「まさかモブ太郎があんな事をすると思わなかったよ」
「そうよね! アタシもビックリしたわ!」
映画『それ行けモブ太郎 洗濯機と豆腐のハーモニーは夢がいっぱい』を見終わった僕たちは感想を言い合いながら帰り道を歩いていた。
「洗濯機に豆腐を入れるシーンも最高だったよね」
「まさかあんな事になるなんて!」
『それ行けモブ太郎 洗濯機と豆腐のハーモニーは夢がいっぱい』は世間で大ヒットしているだけの事はあって面白い映画だった。
「ねぇ、このあと家で話していかない?」
「八神さんがいいなら喜んで」
もっと八神さんといたいという気持ちが強かった僕は彼女からのお誘いを即答した。
まだ一緒の時間を過ごしたいし、このまま帰りたくは無かった。
「お茶出すわね」
彼女がお茶の準備をしてくれる間はソファで待つ。
「うん。ありがとう」
なんだかんだで八神さん家にお邪魔するのにも慣れてきた。最初は女の子が一人暮らしをしてる部屋に居ることに対して緊張があったけど、最近は頻繁にお邪魔しているから耐性がついたんだろう。
「お待たせ」
お茶を持って来てくれた彼女が僕の横に座る。
「ありがとう」
八神さんが用意してくれたお茶を飲みながら2人で映画の感想を言い合う。
あのシーンが良かったとか、あのキャラは好きじゃないとか。
気が付けば徐々にお互い距離が近くなっていき手が触れ合う。
キスをしたのがどちらからだったのかは分からない。
同じぐらいのタイミングで顔が近づき、唇が触れ合った。
「何か言うことはないの?」
「好きだよ」
「アタシも」




