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13話



「面白かったね!」



「ええ」



「じゃあ僕もガチャ引こうかな」



 雫の配信を見ていたらガチャを引きたくなってきた。



「和田くんなら大丈夫」



「何が?」



「爆死王だもの」



 全然大丈夫じゃなかった。



 というか誰が爆死王じゃい!

 こちとら運がいいことで有名な和田明くんなんですが!



「僕は爆死王じゃないよ!」



 全く。

 僕が爆死王なんて失礼な話しだ。



「じゃあ何?」





「爆死王だよ! いや、どういうこと!」



「じゃあさっさと爆死しちゃって」



「そんなコンビニ行ってきてみたいなノリで爆死したくないよ! 無課金は爆死が原因でアカウントを消したりリセマラする人もいるんだからね!」



 特に無課金でもガチャが沢山引けるソシャゲにありがちな気がする。



「じゃあ爆死したら貴方もアカウントを消すのね。楽しみだわ」



「そんなこと楽しみにしないで! あとアカウントも消さないから!」



「残念」



「もう! それじゃあ引くね」



「ええ」



 八神さんが僕のガチャ画面を見るために近づいてくる…



 いやいや! 

 近いって!



 もう腕と腕がくっつきそうな距離だ。というか、よく見るとまつ毛が長いし横顔も綺麗だな。

 


「まだ引かないの?」



 彼女にドキドキしていた僕はガチャを回すのを忘れていた。しかも自然と上目遣いで聞いてくるもんだから破壊力抜群だ。




「ひ、引くよ…」


 

 それに彼女からは女の子特有の桃のような甘くていい匂いがしてくる。正直なところガチャどころでは無い。

 


「ふふっ、外したわね」



 これで学校にいる時のような不機嫌な表情ではなく、自然な感じで話しかけてくるわけだから勘違いしそうにもなる。日に日に僕の前では無防備になっていくし。



「まだ最初の10連だしね。勝負はこれからだよ」



「雫ちゃんみたいなこと言ってるじゃない」



「そうかな?」



「ええ、言ってるわ」



「そっか」



「ええ。そう言えば和田くんに話したい事があったのよ」



「どうしたの?」



 話したい事ってなんだろう?



「だから、もし貴方がこのガチャで目当てのキャラを引けたら言うことにするわ」



「なんか露骨に外れるようなフラグ立てるのやめて!」



 それに、そんな変なルール作らずに普通に話してくれればいいんだけどね。



「大丈夫。和田くんなら出来るってアタシ信じてる。だから無事に目当てのキャラを引いて戻ってきて」



 僕のリアクションを見てニヤニヤと楽しそうな八神さん。

 


「だからフラグ立てるのやめてー! 戻るもクソも無いから!」








・・・







「お! これは勝ったんじゃない! 来たー!」



 なんだかんだで僕はお目当てのキャラを引く事が出来た。



「おめでとう」



「ありがとう」



「アタシ的には外れてくれた方が面白かったのだけれどね」



「そんな気はしてたよ! それで本当に話したいことはあるの?」



 まあ、さっきの『話したいことがある』はただノリで言っただけで特に深い意味はないだろう。

 



「『それ行けモブ太郎 洗濯機と豆腐のハーモニーは夢がいっぱい』ってアニメ知ってる?」



 本当に話したいことあったんだ。



「知ってるよ」



 ちょうど世間で話題になっているアニメだ。



「映画をやってるのだけど」



「大ヒット上映中だよね」



 CMもTVで見たことがある。1週間で興行収入が500億円を突破して日本記録も作ったとか。



「一緒に観に行かないかしら?」



「いいね。行こうよ!」



 僕もアニメは全話履修したし映画も気になってたんだ。



「今週の土曜日は空いてるかしら?」



「うん。大丈夫だよ」



 今週の土曜日は学校も休みだし特に予定はない。まあ、僕は帰宅部でアルバイトもしてないから基本的に休日は暇なんだけど…



 そんなわけで映画に誘ってもらえるのは嬉しい。

 


「そう、じゃあ今週の土曜日に観にいきましょう」



「了解!」



 うん?

 あれ?



 よく考えたら、今サラッと八神さんと2人で映画館に行く約束しなかった?

 




 というわけで急遽、八神さんと映画を観に出かける事が決定した。


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