間話1
高校生活が始まって2ヶ月。既にこのクラス内でもグループが出来上がっていて、大体のクラスメイトは3、4人で纏まって楽しそうにお昼を食べている。
まあ、表面上は楽しそうに見えても裏ではギスギスのドロドロかも知れないが。
その点アタシはあえて一人でいる事を選択しているから人間関係に悩まされることもない。
確かに他のクラスメイトのようにお喋り出来る相手が欲しくないと言えば嘘になる…
特に趣味の事を話せるような関係の人間が居れば楽しいんだろうなと思うし、日常系アニメに登場するような友達も欲しいとは思う。
でも現実はアニメのようにはいかない。だからアタシには友達はいらない。
三人寄れば文殊の知恵なんていうことわざもあるけれど、人間三人集まれば派閥が生まれるのだ。
しかもその交友関係はちょっとした事で揺らぎ、痴情のもつれだったりくだらない事で簡単に崩壊する。
それ以外にもグループ内でカーストがあったり、誰々が誰々のSNS見てないとか、ロインの返事が遅いとか。
そういう面倒ごとがあるぐらないお一人様でいた方が楽だ。
それにアタシには生き甲斐があるから、友達なんて居なくても大丈夫だ。
アタシの生き甲斐がはオタ活。特にVtuberにのめり込んでいる。可愛くてトークの面白い彼女たちはアタシの荒んだ心を癒やしてくれる。
そんなVtuberにのめり込んでいる生徒がすぐ近くにいた。
それは隣の席に座る和田明。彼もアタシと同じで友達がいない。
彼との出会いは、いま思い出して最悪だった。アタシの人生の中でも黒歴史の部類に入るぐらいには…
普段のアタシはオタばれしない為に、Vtuberの動画を見るときの場所や時間には最新の注意を払っている。
しかし、その日は家に帰ってから学校に忘れ物をしたことに気が付いた。もちろんアタシは学校に戻ることにした。
学校に戻るまでの間にVtuberの雑談配信を聞きながら歩いていたのだが、教室に戻って忘れ物を回収したタイミングで雑談配信が終わってしまったのだ。
なのでアタシは家に戻るまでに聞く動画を探そうとTouTubeを見ると、オススメにとあるVtuberの切り抜きがアップされていた。
時刻は16時40分を過ぎて残っているのは部活動をやっている生徒ばかり。一般の生徒は帰宅しているため教室にやって来そうにない。
そう考えたアタシは教室でVtuberの動画を見ないという誓約を破った。
まさかこの時間帯に人はこないだろうという油断からの決断だった。
この決断がアタシの学園生活を大きく変える事になるとはこの時には思いもしなかった。




