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万愛雪月花   作者: 四家雪稀
6/18

第六話 『小鳥』

紅愛の蓮に対する誤解が解け

正好様の病気も雪夜の手によって解決。

ところが、正好様のがどうやら雪夜にお礼をしたいそうで…?

満月 紅愛  れ、蓮様。近すぎます。カァァ[顔が赤くなる]

聖 蓮    嫌ですか?

満月 紅愛  い、嫌では…

聖 蓮    では、このままで。

満月 紅愛  カァァァ あ、え、えっと。

       こっちは私の経営している孤児医院の最年長の陸よ。

       今は雪夜様の弟子でもあるわね。

陸      ぺこ

龍一郎    (こいつが…)ジ〜 [龍一郎が陸を観察する]

陸      プイ [陸がそっぽを向く]

龍一郎    (何だこいつ。)

[龍一郎は心の中で怒り気味に言葉を発する]

陸      (雪夜様の隣にずっといた厄介者…)

如月 雪夜  お二人ご婚約はこの街に住むもの皆存じ上げておりますが、

       改めておめでとうございます。

満月 紅愛  ありがとうございます。雪夜様。

聖 蓮    さて、挨拶はこのぐらいにしましょう。

       御爺様の病気についてお聞きしても?

満月 紅愛  私どもも聞いてもよろしいのでしょうか?

聖 蓮    紅愛さんは僕の妻ですから、あなたの御爺様でもあるんですよ?

満月 紅愛  ボッ![顔が一気に赤くなる]は、はい。

聖 蓮    陸は雪夜様の弟子なのですから、

       いい機会ですし、勉強させてもらってはどうですか?

陸      ありがとうございます。師匠。お願いします。

如月 雪夜  わかりました。原因はハンキリウバナです。

       陸君。どんなものかわかりますか?

陸      はい。根に水をつけると根から毒が少量だけど放出される花です。

如月 雪夜  陸君の言ったとうりです。

       今回は少量でしたが大量に毒を取り入れると死に至ります。

聖 蓮    毒殺の可能性があると言うことですね。

如月 雪夜  はい。龍一郎。

龍一郎    はい。ササ ガサゴソ[龍一郎が持っていた包を開く]

       こちらは正好様の寝殿に飾ってある草花と水です。

如月 雪夜  この草花に混じっている ササ [草を一枚取り出す]

       これがハンキリウバナです。

       この量では、死に至ることはありません。

       今回のように薬を服用すれば大丈夫です。

聖 蓮    ………そちらの処分を任せても構いませんか?

如月 雪夜  承知いたしました。

満月 紅愛  ………

如月 雪夜  ?

聖 蓮    ですが、なぜ、死に至るほどの量を用意しなかったのでしょうか?

満月 紅愛  料理だと、毒見役がいますから。花池にしたのはわかりますが…

       相手の意図が見えません。

如月 雪夜  悪戯や嫌がらせ、理由なしの間違えてやってしまったっということもありえます。

如月 雪夜  お花を片付けるのは大体使用人の仕事ではないでしょうか?

聖 蓮    その使用人がお花を用意し毒殺しようとしたと言う可能性。

満月 紅愛  その使用人とは誰ですか?

聖 蓮    山田っというものです。

如月 雪夜  私を正好様の寝殿に案内してくださったとき

       山田さんは、部屋に入っていませんでした。

聖 蓮    寝殿に毒があると知っているからもしれませんね。

満月 紅愛  少量の理由はわかりませんが、山田さんの事を少し

       意識しておいた方がいいかもですね。

聖 蓮    そうですね。では、そろそろ夕食の時間です。

       雪夜さん方もご一緒にどうですか?

如月 雪夜  ありがとうございます。そうさせていただきます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 夕食後 寝殿

ごくごく

聖 正好   …ふぅ…

如月 雪夜  では、少し、見させていただきますね。

       目を瞑っていただけますか?

聖 正好   ササ これでいいかね?

如月 雪夜  ありがとうございます。

       (《眼麗身》……)

       はい。もう大丈夫ですよ。

       では、少し薬を調合しなおしてお渡ししますね。

聖 正好   ありがとうね。

如月 雪夜  あ、陸君。

陸      はい。

[雪夜が眼麗身を使っている時ちょうど雪夜の背で術を使っているところが隠れていた。]

如月 雪夜  薬を作ってみますか?

陸      よろしいのですか?

聖 正好   儂は構わないよ。雪夜さんがついているからね。

如月 雪夜  ありがとうございます。

ササ [薬草をいくつか用意する]

如月 雪夜  陸君。ハンキリウバナに対応するための薬を作る時、

       この中のどれを使うと思いますか?

陸      ………ササ [目の前にある薬草の三種類を取り上げる。]

       これらです。

如月 雪夜  正解です。では、調合の仕方をお教えしますね。

ーーーーー

ゴキ ゴキ ササ 

如月 雪夜  薬草と粒を一緒に切って粉にする感じです。

[後ろから陸君を抱くように手を回し一緒に薬研を動かす。]

陸      カァァァ あ、あの…

如月 雪夜  ?あ、横に着いてしまった粉も刃で落として一緒に切って行ってください。

陸      は、はい…

聖 正好   ………(初々しいね…)

龍一郎    ………

聖 正好   あ、そうだ。蓮から代金はもらったかい?

如月 雪夜  はい。 ササ [手を離す]

陸      ふぅ…[ちょっと緊張が解けた…]

龍一郎    (あまりに多いから説得するのに時間かかったけどな。)

聖 正好   それで何だが、私からも君に何かお礼がしたいんだが…

       何か願いはあるかね?

如月 雪夜  ………ではーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 戌の刻 聖家からの帰り道

タ、タ、タ、タ

如月 雪夜  正好様。最後には少し楽になっていたようでした。

龍一郎    そうだな。お前の薬が効いたんだろ。

如月 雪夜  このまま、元気になってくださったら、

       兄様のこと色々とお聞きしたいです。

龍一郎    あぁ。何事もなくーーって言いたいところだが…そうも以下ねぇか。

       走れるか?

如月 雪夜  はい。

シュ シュ [二手に分かれて逃げる]

怪しい影   シュ シュ

[怪しい二つの影が二人を追う]

ーーーーー

タタタタ  [屋根瓦の上を雪夜と龍一郎が走る、その後ろを怪しい影が追う]

シュ シュ [怪しい影が雪夜と龍一郎に手裏剣や苦無を投げる]

龍一郎    キン キン[忍刀や苦無で打ち返す]

如月 雪夜  キン キン

ーーーーー

シュ シュ 森の中へ行く

龍一郎    何者だ。

怪しい影   その娘の身柄、貰い受ける!

龍一郎    (自分の任務言うとか、下級忍者かよ。)

もわもわ 霧が出る

怪しい影   タ、タ、タ、タ クソ、どこに行った… グラ ! バタ

怪しい影   おい!どうし…バタ

ーーーーー

木の上

龍一郎    霧に注意しないといけないって習わなかったのか?

如月 雪夜  龍君もギリギリで上がっていましたよ。

龍一郎    …気のせいだ。

如月 雪夜  ふふ

龍一郎    もういいか?

如月 雪夜  はい。いいですよ。

ササ [木の上から降りる]

ーーーーー

怪しい影   ………

ガサゴソ [怪しい影の忍びの懐から文を取り出す]

龍一郎    あ、あったぞ。

如月 雪夜  じゃあ、戻ろっか。

タ、タ、タ、タ

龍一郎    そうだな。

タ、タ、タ、タ[雪夜たちが去っていく]

ーーーーー

ササ [亮魔が怪しい影の忍びの近くによる。]

泰誌 亮魔  たく、龍も人使いが荒い。

       こんな奴らの処分なんてな…

       あなた様はどう思いますか?

聖 蓮    そうですね。僕は龍一郎さんに賛成です。

       これで、御爺様に病を犯させた犯人がわかるのですから。

       早く拷問致しませんか?

泰誌 亮魔  おぉ。怖い怖い。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

如月 雪夜  翌日、あの忍びから泰誌先生が色々なことを聞き出して、

       毒の犯人が山田さんであることが判明しました。

       山田さんは、私を自らのところに誘き出そうとして

       私を攫い、高値で売ろうとしたっと言うことがわかりました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 数週間後 神奈月

如月医院 作業室

如月 雪夜  ……… [薬作り中]

龍一郎    大丈夫か?

如月 雪夜  ?は、はい。大丈夫ですよ。

龍一郎    …その態度は、大丈夫じゃないってことだろ?

       幼馴染、騙せると思ってーー

海      ご、ごめんくださーい。

如月 雪夜  あ、はーい。

龍一郎    ?(陸じゃない子供の声?)

ーーーーー

如月医院 玄関

ガラガラ

如月 雪夜  あ、こんにちは。海君。

海      お、お久しぶりでございます。お医者様。

如月 雪夜  中へどうぞ。

海      し、失礼します。

ーーーーー

如月医院 客間

海      ………

龍一郎    ジ〜

海      ! お、お初にお目にかかります。海っと申します。

       先日、刻利奈村でお医者様の医術に助けられた村人に一人にございます。

龍一郎    ?あ、俺には敬語はいいぞ。俺も平民だから。

海      いえ。僕は平民よりも低い身分ですので。

龍一郎    それがもう終わるんだろ?

海      …はい。お医者様。こちら、村長からの文です。

如月 雪夜  ありがとうございます。 

       『如月雪夜様へ

       お久しぶりでございます。

       この度は儂らの村に支援をしてくださり誠にありがとうございます。

       何度お礼を申しても足りません。

       聖様にもお礼をお伝えてくださるとありがたい限りにございます。』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 数日前 寝殿

聖 正好   刻利奈村に支援?

如月 雪夜  はい。実はその街の住民が先日感染病にかかっていたところを

       私が治療したのですが、またいつ感染するかわかりません。

       あの伝染病は衛生状態が悪い地域で起こりやすいものなんです。

       どうか、お力添えをいただけないでしょうか?

聖 正好   わかりました。

       すぐには動けませんが、できる限りのことはいたしましょう。

如月 雪夜  ありがとうございます。

       心から感謝いたします。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー               

龍一郎    (流石、大貴族。行動が早いな。)

如月 雪夜  『海に使いを頼んだのは、海からあなたに話があるから、

       文を届けさせて欲しいと頼まれたからです。

       どうぞ、心広く聞いてあげてくださいませんか?』

       お話ですか?

海      ………はい。

龍一郎    (? まさか…)

海      ぼ、僕を…お医者様の弟子にしてくださいませんか!

如月 雪夜  ………

龍一郎    (はい、そのまさか…)

如月 雪夜  理由をお聞きしても?

海      五右衛門のお兄さんに頼まれたんです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー                  

 海の家

海      お医者様を?

石川五右衛門 あぁ。お前が守ってくれねぇか?

海      そ、そんな、僕にはそんな力…

石川五右衛門 俺が修行をつけてやったんだぞ。自信持て。

       それに、俺がお前に忍びのことを教えてやった恩はどうしてくれるんだ?

海      ………

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー               

如月 雪夜  五右衛門さんが…

海      五右衛門のお兄さんからお医者様はすごい技術を持っているから

       悪い人に狙われやすいって…

龍一郎    待った、お前、俺も忍びだって知って話してるのか?

海      ?はい。五右衛門のお兄さんから、

       白髪の小僧も忍びだから、そいつ一緒にお医者様を守れと。

龍一郎    小僧…

如月 雪夜  じゃあ、私は小娘かな?

龍一郎    そうじゃねぇだろ。

[龍一郎は少し呆れ気味になっていた。]

海      僕はランジの伝染病が村に広がっているとき

       お医者様の姿を見て、かっこいいと思ったんです。

       お願いします。僕に薬学、医学を教えてください。

       僕も病気で苦しんでいる人たちを助けたいんです。

如月 雪夜  ……わかりました。そのお願い承ります。

海      !ほ、本当ですか?

如月 雪夜  はい。これからよろしくお願いしますね。海君。

龍一郎    よかったな、後輩ができたぞ。

海      ?

陸      ………

海      あなたは?

陸      如月先生の弟子、陸。

       僕も尋兄さんたちと修行はしてたから大丈夫だよ。

海      !よ、よろしくお願いします。ぺこ

陸      同い年くらいだし、敬語はいいよ。

       これからよろしくね。

海      ………うん。よろしく…陸さん。

陸      陸でいいよ。海でいい?

海      !うん。ニコ

龍一郎    これまた、賑やかになりそうだな。

如月 雪夜  ニコ 楽しそうです。

ーーーーー

陸      ………

龍一郎    大丈夫そうだな。

陸      姉さんを苦しませたのは五右衛門ではないとわかったんだから、

       五右衛門はも恨んでない。

龍一郎    お前、年上には敬語を使え。

陸      海には敬語はいいって言ってた。

龍一郎    (こいつ本当に可愛くねぇ。)

如月 雪夜  陸君。これから、薬草を買いに行きますが

       陸君もどうですか?

陸      ぜひ、ご一緒させてください。

龍一郎    (んで、雪には敬語かよ)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 薬問屋

ガラガラ

朔夜の爺さん いらっしゃいませ。如月様。お待ちしておりました。

如月 雪夜  いつも、ありがとうございます。

朔夜の爺さん ? お子さんですかな?

陸・海    !

龍一郎    なぜ、そうなるのですか?雪の弟子ですよ。

朔夜の爺さん おや、そこれは失敬。

陸      如月先生の弟子の陸です。

海      か、海っと申します。

朔夜の爺さん 丁寧にありがとうね。

       如月様とはお母様の頃から契約をしているんだよ。

陸      如月様のお母様?

朔夜の爺さん おっと、長話になってしまいますね。

       いつもので?

如月 雪夜  はい。それからこちらのもいただけますか?

[薬草が書かれた紙を渡す]

朔夜の爺さん かしこまりました。少しお待ちください。

[お爺さんが店の奥の方に向かい、雪夜たちは近くにあった椅子に座って待っている]

陸      師匠の母君はどんな方なのですか?

海      お兄さんからはもう亡くなっているっと…

陸      !も、申し訳ありません。ですぎたことを…

如月 雪夜  いいのですよ。

       ………母様はとても優しい方で、どんな患者様にも丁寧で平等でした。

       私にも色々な医術、薬学、精神学を教えてくれました。

       掟も…

海      掟…ですか?

如月 雪夜  ! そうですね。私の弟子のお二人にも守って欲しいことです。

陸      教えてください。

如月 雪夜  ………

龍一郎    ………

如月 雪夜  一つ、医術を数多のものに知られてはならない。

陸      ………

龍一郎    二つ、医術を悪事に使ってはならない

海      ………

如月 雪夜  三つ、医術で人を殺してはならない。です。

陸      なるほど…

海      わかりました。その掟、必ず守ります。

如月 雪夜  ありがとうございます。

龍一郎    ………

ガラガラ

朔夜     おや?お客様ですか?

如月 雪夜  朔夜さん。

朔夜     如月様。いつもご利用いただきありがとうございます。

如月 雪夜  いえ。こちらこそ、いつもありがとうございます。

朔夜     ………お子さんですか?

龍一郎    違いますよ。

朔夜     それは、残念です。

如月 雪夜  この方は先ほどの方のお孫さんですよ。

朔夜     朔夜っと申します。

陸      如月先生の弟子の陸と

海      海です。

朔夜     お弟子さんでしたか。お珍しいですね。

如月 雪夜  お願いされてしまったので。

朔夜     なるほど。

朔夜の爺さん 朔夜。帰ったか。如月様。これでいいですか?

ガサゴソ [お爺さんから受けっと包みを開け中身を確認する]

如月 雪夜  はい。ありがとうございます。

       こちら、代金です。

朔夜の爺さん ありがとうございます。

朔夜     またお弟子さんも来てくださいね。

陸      はい。

海      ありがとうございました。

ガラガラ [薬問屋を出る]

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 街中

陸      師匠。何の薬草を買ったのですか?

如月 雪夜  見てみますか?

龍一郎    何んの薬草か当ててみたらどうだ?

ササ [包みを開ける。]

陸      風邪薬の薬草

海      金創膏の材料

如月 雪夜  正解です。

龍一郎    それがいつものだろ。追加で頼んだものは何だ?

如月 雪夜  これは、ランジの伝染病予防の薬の材料。

海      !

如月 雪夜  作り方を海君に学んで欲しいんです。

海      あ、ありがとうございます。

如月 雪夜  ニコ

ーーーーー

 路地裏

タ、タ、タ、タ

小鳥     ピー ピー ピー

龍一郎    ?小鳥の鳴き声…

陸      師匠。

如月 雪夜  ?

小鳥     ピー ピー ピー

海      怪我しています。

如月 雪夜  もうすぐ医院だから、連れて帰って診てみましょう。

不死原 ノア あ、あの…

如月 雪夜  ?

不死原 ノア その子…

[突然現れた男の子は水や布を持っていた]

如月 雪夜  あ、もしかして、飼い主さんですか?

不死原 ノア え?あ、い、いえ…その子…怪我してたから…

龍一郎    じゃあ、心配だと思うし、あなたも一緒に来てくれませんか?

不死原 ノア ど、どこにーー

陸      僕もそれがいいと思います。第一発見者なら何か知っているかも…

海      お兄さん。行こう?

不死原 ノア ま、待って、ど、どこに…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 如月医院 医療室

如月 雪夜  これでもう大丈夫よ

小鳥     ピー! ピー!

陸      少し元気になったみたいです。

海      鳥さん、飛べるようになりますか?

如月 雪夜  はい。安静にしていれば大丈夫ですよ。

小鳥     ピー ピー

如月 雪夜  では、次はあなたの番ですよ。

不死原 ノア !のっ ぼ、僕は…怪我なんてしてないです!

陸      じゃあ、何で、血の匂いがするのですか?

不死原 ノア !

海      手にも足にも傷がある…

龍一郎    今、ここには三人の医者がいるが…どうする?

不死原 ノア ふるふる [体が少しだけ震えていた]

如月 雪夜  ササ [雪夜がノアの震えた手を握る]

不死原 ノア !

如月 雪夜  大丈夫です。まずは、その緊張をほぐしましょう。

       陸君はお茶を、海君は水と手拭いを持ってきてもらえますか?

陸・海    はい。

ーーーーー

ペチャ [海が持ってきた手拭いに水をつけて、ノアの手に当てる。]

不死原 ノア ビクッ

如月 雪夜  しみますか?

不死原 ノア だ、大丈夫…です…驚いただけです…から…

如月 雪夜  まずはお話を伺ってもいいですか?

不死原 ノア は、はい…

如月 雪夜  陸君と海君は傷薬や氷の準備をお願いできますか?

陸・海    わかりました。

如月 雪夜  龍君は二人を手伝ってあげてください。

龍一郎    わかった。

如月 雪夜  お名前は何て言うんですか?

不死原 ノア ふ、不死原(ふしはら)…ノア…

如月 雪夜  ノア様…素敵な名前ですね。

不死原 ノア あ、ありがとう…ございます…

如月 雪夜  体を横にして、この手拭いを目の上に置いてください。

不死原 ノア ? は、はい。

[雪夜に言われたとおりに横になる]

如月 雪夜  体の傷は痛みますか?

不死原 ノア いえ…古いものもあるので…

如月 雪夜  わかりました。

       不死原様は小鳥さんがどうして怪我をしたか知っていますか?

       (《回療の術》…)

[雪夜はノアが気が付かないように医療術を使っていく。]

不死原 ノア 実際に見てはいませんが…猫に襲われたのではないかと…

如月 雪夜  では、小鳥さんの近くにお母さんらしき鳥さんはいましたか?

不死原 ノア いえ…周りを探してみたのですが…

如月 雪夜  そうでしたか…

       不死原様は小鳥さんのことをどう思いますか?

       (《昏睡の術》…)


昏睡の術…相手を眠らすことができる術


不死原 ノア え?えっと…可愛いと…思います…

[気づくとノアは雪夜の術で眠ってしまった。]

陸      師匠、準備できました。

如月 雪夜  ありがとうございます。では、二人も手伝ってくれますか?

[陸と海が頷く。三人でノアの傷口に薬を塗ったり、包帯を巻いたり

病気にかかっていないか診察する。]

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  数刻後 酉の刻

不死原 ノア …う…うん? !がばっ[勢いよく起き上がる]

       …ここは…

海      目が覚めましたか?

不死原 ノア え、えっと…僕は…

海      師匠から、

      『お節介かもしれませんが、傷を見させていただきました。

       私がしたいと思ってしたことですので、代金もいりません。

       診察した結果、特別な病気などにはかかっていませんでした。

       傷薬や包帯を出しますので、お使いください。』

       っと。

不死原 ノア 師匠様は…さっきのお医者様のことですか?

海      はい。

不死原 ノア …師匠様に…お伝え願えますか?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 雪夜の部屋

如月 雪夜  ………

[雪夜は今日の記録を紙にかいている。]

海      師匠…

如月 雪夜  海君…どうかしましたか?

海      不死原様がお帰りになられました。

       それから、師匠に伝言を頼まれました。

如月 雪夜  ………

海      『傷を治してくださり誠に有難うございます。

       今度、お礼をさせてください。

       それから、もう、僕には関わらないで欲しいです。』

       っと。

如月 雪夜  やはり、失礼でしたか。

[雪夜は悲しい笑顔を浮かべている]

海      そんなことありません。

       師匠は正しいと思います。

       僕も師匠の立場だったら同じことをしていました。

如月 雪夜  …ありがとうございます。今日はもう帰って大丈夫ですよ。

       それから、これはちょっとした宿題です。

[雪夜は薬草について書かれた紙を渡す]

如月 雪夜  明日までにこれを解いて来てください。

海      わかりました。ありがとうございます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ノアの家

不死原 ノア 父上…ただいま戻りました。

ノアの父   ………

不死原 ノア …遅くなり申し訳ありません。すぐに食事の準備をします。

ノアの父   次からは気をつけろ。

不死原 ノア ………はい。

海が雪夜の二人目の弟子となり

新しい人物不死原ノアに出会う。

だが、ノアには何か秘密があるようで…

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