第三話 『依頼』
龍一郎の行先では誰も怪我など負っておらず、ただ気絶しているだけだった。
あの光は一体なんだったのか…
月ノ下学園 裏庭
龍一郎 雪!
如月 雪夜 ………
龍一郎 雪!雪!
如月 雪夜 う…うん?
龍一郎 はぁ…よかった…
如月 雪夜 私は…
龍一郎 後で教えてやる、今は傷をーー
泰誌 亮魔 その必要はない。
龍一郎 え? ってか起きてたのか!
泰誌 亮魔 妹さんは傷を追っていない、ただ疲れているだけだ。
…学園の方も大丈夫みたいだ。
龍一郎 (当たりを見渡す。)……… !
男の人 おい。傷が治ってるぞ!
女の人 私のも!
ざわざわ
如月 雪夜 よく…分からないけど…よかった…
[突然、怪奇が現れる]←忍びだから
宝裏 怪奇 泰誌先生。
泰誌 亮魔 怪奇か。
宝裏 怪奇 はい。
[雪夜の方を向く]
雪夜様がみな様を助けてくださったんですね。
会長よりお礼申し上げます。
如月 雪夜 いえ。私にもよく分からないので…
宝裏 怪奇 ?
泰誌 亮魔 このことについては後で報告する。
それより、何があったのか教えてくれ。
宝裏 怪奇 はい。
信長と義昭が京の槙島城にて戦争を起こし、
月影忍者隊第五部隊の隊員が十数名が織田に協力したところ
義昭に支えていた忍が攻め込みました。
義昭が降伏したことにより忍びのほとんどが自殺いたしました。
他のものは数名無事逃げ、数名を取り押さえました。
戦争では織田の勝利となりました。
如月 雪夜 ………
泰誌 亮魔 そうか。間に合わなくてすまなかった…
宝裏 怪奇 いえ。その者達の実力がなかったのです。
泰誌先生のせいではありません。
泰誌 亮魔 それでも、教え子が怪我をするのは辛い。
宝裏 怪奇 ………
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この戦いはのちに「槙島城の戦い』っと名付けられ、
月ノ宮学園の生徒や教員、隊員方は異常な現象に混乱していたが
亮魔と怪奇の説得や呪術などにより解決した。
槙島城の戦いとは
『織田信長』の助けもあり将軍の座についている『足利義昭』が信長に対して
『武田信玄』『浅井長政』『朝倉義景』『三好三人衆』に打倒信長を命じるが、
信玄が自身の病気により撤退、浅井・朝倉は雪の影響により春までは動けず、
三好三人衆との和解に成功。
これを機に信長は義昭を降伏させるために義昭のいる『二条御所』を攻める。
義昭は降伏。しかし、それから三ヶ月後。
義昭は降伏後の信長の指示にあった『行動をする場合は信長の家臣に報告せよ』
という命令などに怒りを覚え義昭は報告せずに槙島城に行き、
信長を討とうと考えましたが、信長の圧倒的な指示や軍の差により
1573年7月18日に城は開城、義昭は降伏した。
これが後に槙島城の戦いと言われたものである。
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次の日
[雪夜は調合室で薬草の整理をしていた。]
如月 雪夜 (昨日。私に何があったのか、龍くんから兄様と話しを聞くとーー)
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昨日の夜
龍一郎 初めは、雪夜様の目が白く光っていたんです。
如月 雪夜 その時かもしれません。体が急に熱くなったんです。
如月 夜琥弥 ………
龍一郎 それから、俺は亮魔に担がれてその場を離れたんですが…
如月 夜琥弥 雪夜を、置き去りにしたのか?
龍一郎 お、俺は亮魔に担がれて…
如月 夜琥弥 ほぉ〜?
龍一郎 も、申し訳ありませんでした…
そ、それで、雪夜様がいたところから
白い光が爆発したかのように広がったんです。
如月 雪夜 でも私…その時の記憶がないんです。
如月 夜琥弥 ………。それで、何でみなは無傷だったんだ?
龍一郎 あの白い光が雪の忍術らしきものだったのではないかと。
如月 雪夜 でも、私はそんな忍術使ったことがないんです。
如月 夜琥弥 俺も知らないな。
龍一郎 でも、その力でみんなの傷が治ったんです。
如月 夜琥弥 確かにそれは事実だ。…雪夜。今日はもう寝よう。明日も仕事だ。
如月 雪夜 はい。わかりました。おやすみなさい。
如月 夜琥弥 おやすみ。
龍一郎 おやすみなさいませ。
如月 夜琥弥 ………。このことは、あまり気にしないでおくように。
龍一郎 ………はい。
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如月医院 調合室
コトン コン
如月 雪夜 ………
昨日のあれは…なんだったんだろう…あ、
薬草がきれて…今は山にはなさそうですし…
買い出しに行きましょう!
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街中 大路地
如月 雪夜 今日もいい天気です。
………………えっと…ここはどこでしょうか?
え〜と…ちゃんとまっすぐ進んだはずなんですが…
尋 お姉さん。
如月 雪夜 ?
尋 こんにちは。迷子ですか?
如月 雪夜 え?
尋 よく見たらお姉さん美人さんですね。
よろしければこの後僕と一緒に甘味処でお茶でもしながらーー
満月 紅愛 こら。
ゴン
尋 いってー
満月 紅愛 今日は私の付き添いとしてきてくれたんじゃなかったの?
如月 雪夜 ?
満月 紅愛 大丈夫?この子が何か変なこと言わなかった?
如月 雪夜 い、いえ。大丈夫でございます。
碧人 紅愛姉さん。本当にその方、迷子みたいですよ。
満月 紅愛 え?そ、そうなの?
如月 雪夜 は、はい。
満月 紅愛 ご、ごめんなさいね。えっと。どこに行きたいの?
如月 雪夜 如月医院にーー
尋 では、僕たちと一緒ですね!
よかったら僕たちと一緒に行きませんか?
碧人 尋。勝手にーー
満月 紅愛 大丈夫よ。あなたもそれでいい?
如月 雪夜 よろしいのですか!ありがとうございます!
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如月医院前
如月 雪夜 本当にありがとうございます。では、中へご案内いたします。
満月 紅愛 ?
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如月医院 茶の間
コトン
如月 雪夜 どうぞ。
碧人 ありがとうございます。
如月 雪夜 では、改めまして。如月医院で医者をしています。
如月雪夜と申します。
満月 紅愛 …なるほどね。じゃあ納得だわ。では、私も。
ササ(紅愛が片手を胸に当てる。)
満月 紅愛 改めて自己紹介をさせていただきます。
満月家三女。満月紅愛と申します。
今は孤児院を経営しています。
こちらは元私の孤児院にいた尋と碧人です。
本日は如月様にご依頼がありまいりました。
如月 雪夜 依頼ですか?
満月 紅愛 はい。申し上げたとうり私は孤児院を経営しているのですが、
そこに住んでいる子供たちが数日前からなんらかの病にかかってしまい
この町で有名な如月様にご依頼を申し上げた所存です。
如月 雪夜 病…
満月 紅愛 どうか…お願いできないでしょうか?
如月 雪夜 …わかりました。そのご依頼引き受けます。
満月 紅愛 !ありがとうございます。
如月 雪夜 お代は病を見てから考えます。
ここから満月様の孤児院までどのくらいありますか?
満月 紅愛 さほどではありません。
如月 雪夜 では、今すぐにでもまいりたいのですがーー
龍一郎 雪ー。いる…か…
・・・・・
龍一郎 来客中に申し訳ありません。雪夜様。
如月 雪夜 大丈夫ですよ。
満月 紅愛 あなたは?
龍一郎 はっ 雪夜様の幼馴染の龍一郎と申します。
満月 紅愛 そう…雪夜様に何かご用?
龍一郎 いえ。お客様のお話より大切なものではございません。
満月 紅愛 ……雪夜様。明日、ご予定はございますか?
如月 雪夜 いえ。特には…
満月 紅愛 では、明日、私の孤児院にいらしてください。
如月 雪夜 よろしいのですか?
満月 紅愛 はい。いきなり訪ねた私もいけないと思いますので。
では、私どもはこれで失礼いたします。
如月 雪夜 あ、少しお待ちください。
ーーーーー
如月医院 玄関前
如月 雪夜 こちらをその病にかかっている子供達に飲ませてあげてください。
満月 紅愛 こちらは?
如月 雪夜 これは病の進行を遅らせる薬です。分量なども書かれていますので。
満月 紅愛 わかりました。本当にありがとうございます。
明日、こちらに使いをおくります。それでは。
如月 雪夜 はい。お気をつけて。
タ、タ、タ、タ[紅愛たちが去って行く。]
如月 雪夜 …龍くん。今日はどうしたのですか?
龍一郎 あぁ。学園で亮魔の手伝いをしていたんだが…
それで手が荒れたから、亮魔が軟膏が欲しいって言っててな。
如月 雪夜 わかりました。すぐ持ってきますね。
ーーーーー
如月 雪夜 はい。
龍一郎 ありがとな。じゃあ、俺は行くが明日、満月様のお屋敷に行くんだろ?
如月 雪夜 そうなるのかな?
龍一郎 一応、夜琥弥様にも言っといた方がいいと思うぞ。
如月 雪夜 はい。そうしておきます。
龍一郎 じゃ、俺は行くから。
如月 雪夜 お気をつけて。
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男の人 こちらです。
如月 雪夜 すごく素敵なお屋敷ですね。
男の人 ありがとうございます。主様もお喜びになります。
ガラガラ (扉を開ける)
満月 紅愛 お待ちしておりました。如月雪夜様。
此度は我が孤児院の子供達のためにおいでくださり
誠にありがとうございます。
如月 雪夜 いえ。こちらこそ、子供達を見させてくださりありがとうございます。
満月 紅愛 申し訳ないのですが、私はこの後仕事がございますので
孤児院の最年長のこちらの陸が雪夜様をご案内いたします。
何か必要なものがございましたら陸にお申し付けください。
陸 陸と申します。早速ですが如月様。孤児院にご案内いたします。
こちらです。
如月 雪夜 ありがとうございます。
満月 紅愛 では、私はこれで、子供達をお願いいたします。
如月 雪夜 はい。お任せください。
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満月家 孤児院 広場
ガラガラ [扉を開ける]
陸 こちらでございます。
如月 雪夜 ありがとうございます。
病にかかった子供たちはここにいる子たちだけですか?
陸 はい。全員で37名です。
如月 雪夜 この病は全員が一度にかかりましたか?
それとも、一人が病にかかり伝染して他の子供達に病が広がりましたか?
陸 奥にいる女の子から伝染して広がっていきました。
如月 雪夜 では、その女の子の症状を見させていただきます。
診察が終わりましたら治療を行いますので別の部屋でお待ちください。
陸 はい。
ガラガラ [陸が立ち去る]
ーーーーー
女の子 はぁ はぁ
ササ [女の子の手を握る]
如月 雪夜 (呼吸が荒れていて、体が熱く、少し痺れがありますね。
昨日、満月様にお渡しした薬は私の術も込めてありますが
それは、病の進行を遅らせるためのものですが
あまり効果はなかったのでしょうか。
ではまず、この病の原因を…
《眼麗身》)
《眼麗身》 がんれいしん…肺などの体内の中を見て
異物などがないか調べる医療忍術
如月 雪夜 (………白い…粉…カンキリグサですね。)
カンキリグサ
山に生えていて繁殖しにくく滅多にない草。
葉には毒がある。触っても洗えば大丈夫だが、
体内に入ると高熱を引き起こしたり体が動きにくくなったり、
放置し続けると目が見えなくなったり手や足などが動かなくなる可能性がある。
如月 雪夜 (でもこれは滅多にないはずですが…
いいえ。まずは早急に治療しましょう。)
ササ [子供達の中央に行く]
如月 雪夜 (まずは、異物を体から出さないと…《吸纒の術》!)
[雪夜が唱えると子供たちの体内から白いものが浮かび上がる。
白いものは雪夜の手の上の袋に入り、雪夜は袋の口を縛った。]
子供達 はぁ はぁ
如月 雪夜 (早くしな…次は高熱の問題ですね。)
[異物を取り除いたとしても体には後遺症が残ることがある。
今回の場合は高熱が残ってしまったのだろう。]
如月 雪夜 (《回療の術》《氷冷術》…合勠!)
《氷冷術》 ひょうれいじゅつ…体を冷やす術。
合勠 ごうりょう…忍術を合成すること。
[雪夜は心の中で二つの術を唱えその術を合成した。
二つの術を合成するのは上級の忍びでも困難なこと。
雪夜の氷冷術で子供たちの体が冷やされて熱が引いてく。
回療の術で残った体の小さな後遺症が残っているかもしれないためを癒す。
すると子供たちの顔色はどんどん良くなって行き、息も整っていった。
雪夜は確認のために子供達、一人一人に異常がないか確かめた。]
如月 雪夜 よかった。みんなさん無事ですね。
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四半刻後 満月家孤児院広場前の廊下
満月 紅愛 如月様。紅愛です。尋も一緒です。
如月 雪夜 は、はい!どうぞ!
満月 紅愛 ? 失礼します。
ガラガラ [扉を開ける]
満月 紅愛 !
尋 え?
バタ バタ バタ
女の子 お姉ちゃん!お姉ちゃん!一緒に遊ぼ!
男の子 お姉ちゃん御本読んで!
女の子 お姉ちゃん私にも!
如月 雪夜 はい。みんなで一緒に遊びましょう!
満月 紅愛 これは…
尋 流石、僕の認めたお医者様ですね。
バシ
尋 イテッ!
如月 雪夜 みんな、満月様がみんなの様子を見にきてくださいましたよ。
女の子 ! 紅愛お姉ちゃんだ!
陸 あ、尋兄も
尋 なんで後付けなんだよ…てか、陸も一緒だったんだな。
男の子 お姉ちゃんも一緒に遊ぼ!
満月 紅愛 みんな、体はもう大丈夫なの?
女の子 うん。起きたら体が軽くなってたの!
男の子 もう辛くないよ。
満月 紅愛 ………そう…よかった…
陸。客間にお茶を用意してくれる?
陸 はい。わかりました。
満月 紅愛 みんな。お姉ちゃんは如月様にお話があるから後で一緒に遊ぼうね。
子供達 はーい!
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満月家 客間
満月 紅愛 改めまして、子供達の病を治してくださり本当にありがとうございました。
ぺこ [土下座]
如月 雪夜 いえ。貴族の方が私目などに頭を下げないでください。
私は、医者として当然のことをしたまでです。
満月 紅愛 それでもお礼の言葉は受け取ってください。それと、お代なのですが。
ササ [尋が持ってきた赤い台の上にはに白い包みがある。]
[紅愛がその白い包みを開けると中には大量の一文銭がある。]
如月 雪夜 み、満月様!?そちらは…
満月 紅愛 あなた様への褒美でございます。どうかお受け取りください。
如月 雪夜 そ、そんな、こんなにいただけません。
[雪夜は薬草などは使っておらず、自分の忍術で治したのだから、お金はあまりもらってはいけない]
満月 紅愛 お願いします。どうか。お受け取りください。
如月 雪夜 ……ではこういたしましょう。お金はいただきます。
ですが、100文でどうでしょう?
満月 紅愛 100文ですか?
[100文は紅愛が持ってきたものの十分の一ほどだ]
満月 紅愛 ………わかりました。それでは…100文分の一文銭です。
如月 雪夜 ありがとうございます。
そして、病についてお話ししておきたいことがございます。
満月 紅愛 そ、それってどういう…
如月 雪夜 子供たちの病の原因はカンキリグサです。
満月 紅愛 カンキリグサ?
如月 雪夜 はい。カンキリグサは葉に毒があるんです。
それが、体内に入ると高熱を引き起こしたり体が動きにくくなったり、
放置し続けると目が見えなくなったり手や足などが
動かなくなる可能性があります。
今回は、高熱と多少体が動きにくくなる痺れだけでよかったですが。
満月 紅愛 なんでそんな薬草が孤児院に…
如月 雪夜 カンキリグサは繁殖しにくく滅多にない薬草なんです。
私も治療の仕方は学んでいましたが実物は初めて見ました。
それでなのですがーー
陸 満月様。お茶をお持ちしました。
満月 紅愛 どうぞ。
ガラガラ 扉を開ける
ーーーーー
コト [雪夜にお茶を出す] コト [紅愛にお茶を出す]
陸 では、僕はこれで。
尋 あれ?俺のは?
陸 尋兄は前に変なものを孤児院に送ってきたのでなしです。
尋 なんでだよ。送るものぐらい時間かけて考えたんだぞ!
陸 でしたらもっと時間をかけてください…
満月 紅愛 尋、その話は後でじっっくり聞かせてもらうから。
今は子供達の病の原因をさぐらないと。
尋 …はい…
如月 雪夜 陸さん。広場に飾られている花は誰かからいただいたものですか?
陸 え?はい。ですが、なぜいただいたものだと…
如月 雪夜 僭越ながら孤児院を調べさせていただきました。
そして、広場に飾られている花を調べさせていただきました。
花にはカンキリグサの葉は混ざっていませんでした。
満月 紅愛 では…どうして…
如月 雪夜 ですが、花が生けられている花器の中の水に
カンキリグサの毒がありました。
この季節は気温が高く水に溶けた毒も
広場の空気と混ざり人から人への伝染ではなく
空気に含まれた毒によるものということです。
陸 ですが、花器の中の水は枯れて入れ直す時もあります。
部屋の掃除や換気も行いました。
如月 雪夜 飾られていた花の葉にカンキリグサの毒の粉が付着していました。
水を変えてもまたその新しい水に、葉についた毒がとけたのではないかと。
陸 その草花は…
如月 雪夜 今はもう私が毒を拭き取り除き元の位置に戻してあります。
満月 紅愛 そう…よかった…
尋 ですが、そのカンキリグサという毒を別の葉に付着させ、
この孤児院の子達を病で苦しめた奴は一体…
陸 もしかすると、和花が知っているかもしれません。
ーーーーー
和花 お花をくれたおじさん?
満月 紅愛 そう。その人にお花をくれたお礼を言いたいの。
特徴とか覚えてない?
和花 う〜ん。お花を手渡しでくれた時に見えた!両手に火傷の跡があったよ。
それから…布をかぶってたからよく見えなかったけど…
茶色の髪に青の瞳の…
ガッシャーン [紅愛の湯呑みが床に落ちた]
陸・雪・尋・和 !
満月 紅愛 ………
[紅愛の体は震えていて目は恐怖と言うよりも誰かに悪意を持っているようだった。]
陸 和花。話してくれてありがとう。また後で遊ぼうね。
和花 う、うん…
タ、タ、タ、タ [和花が去っていく]
尋 紅愛姉さん。大丈夫?
満月 紅愛 あいつよ…
尋 !
満月 紅愛 あいつがまた…私の…大切な人を…
尋 姉さん!
満月 紅愛 !…尋?
尋 一回落ち着いてください。まずは水をーー
タタタタ [碧人が走ってくる]
碧人 紅愛姉さん。大変です。あいつから手紙が。
全員 !
満月家からの依頼を終えるが、まだ疑問が残っていた。
紅愛のいうあいつとは?