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万愛雪月花   作者: 四家雪稀
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第二話 『白い光』

生徒会の方々は雪夜に入学を希望するが夜琥弥はそれを許すことなどなかった。

長い沈黙が続く、如月家の茶の間。

(とりあえず、中へご案内しましたが。ど、どうしましょう…)

雪夜は心の中で怪奇の言葉を思い出していた。

(生徒会の方々はあの月ノ宮学園の生徒…)

月ノ宮学園とは、忍者の育成学園。優秀な忍びで有れば、平民でも貴族でも入れる。

だから、貴族のわがままや金などで入ることは許されない。

「本日はどのようなご用件でしょうか。宝裏様。」

長い沈黙の中で夜琥弥が一言怪奇たちに向かって発した。

「先程申したとうりです。如月雪夜様の入学希望に伺いました。」

「医療忍者は貴重です。それは兄であるあなた様もご存知でしょう?」

医療忍者とはこの世にもう存在しないとされていた者達にことであり、雪夜はその末裔である。

医療忍者は忍びの中でとても貴重で、どんな病も治す力があり、

この戦国の世では利用する価値があるということ。

「…その情報はどこで手に入れられたのですか。」

「そう、おっしゃるという事は事実なのですね。」

「それはどうでしょうか。」

「……。僕は本日雪夜様の治療を受けました。」

(え?)

龍一郎が声を上げた。

その場にいた龍一郎、夜琥弥、雪夜の中で雪夜が一番驚いていなかった。

「あの…恵弥様と一緒に来られた男の子の…」

「はい。術で幼子に姿を変えていました。それから…術が本当にかかってるかをもう少し確認するといいですよ。」

「!」

雪夜は自分の確認不足のせいで相手にバレてしまったことに気づく。

「話を戻しましょう。僕たちは、医療忍者を学園で保護することもできます。」

もちろん、これは郊外いたしません。自分たちと先生方だけです。」

(口約束だけというのはどうかと思うが…)

怪奇たちの説明を聞くと龍一郎は心の中で思考を巡らしていた。

パリン

すると、突然。どこからか何かが砕けた音が亮魔の方からした。

どうやら、亮魔の持っていた氷の塊が砕けたようだ。

「亮魔。それ、なんだ?」

氷に疑問を持った龍一郎が亮魔に尋ねた。

「!……これは、学園に何かあったら砕けるようになってる品物だ。」

その場にいるみんなが察した。今、氷が砕けたってことは、学園に何かあったのだと。

「申し訳ありませんが俺は一度学園に戻ります。」

そういい、亮魔は茶の間から去って行った。

またもや沈黙が続く。生徒会は三人で話し合いを行い。

しばらくすると雪夜たちの方を向いた。

「学園での出来事を確認するべく、自分たちも一度戻ります。また伺います。」

そういい、怪奇たちも去って行った。茶の間では三人がとりのこされてしまった。

(……いやどうゆう状況?)

龍一郎は心の中で今の状況に突っ込んでいた…

「…兄様…」

「だめだ。」

雪夜のいうことに察したのか、夜琥弥はきっぱりと返した。

「お願いです。私にも行かせてください!」

雪夜は夜琥弥に向かって頭を下げ必死に頼んだ。

「………。俺からもお願いします。雪夜様のことは俺が守りますので。どうか。」

龍一郎は雪夜の隣に座り夜琥弥に土下座した。

「医者として、行かせてください。」

雪夜は顔をあげて真剣な顔で夜琥弥を見つめていた。

「………わかった。」

「!……ありがとうございます。」

雪夜は笑顔を浮かべてもう一度頭を下げて、龍一郎と家を出て行った。

ーーーー

二人は家々の屋根ををわたって月ノ宮学園に向かった。

場所は以前亮魔が教えてくれていたおかげで無事に到着できた。

ーーーー

学園の入り口には門がありその奥は普通と変わらない神社だった。

(学園への入り方は、確か門の近くにいる生徒会の方々に開けてもらう必要があったんだよな。)

龍一郎たちはあたりを見渡し人がいないか確認した。すると木陰で倒れてる人を見つけた。

二人はすぐに駆け寄り話かけた。

「大丈夫ですか?私の声は聞こえますか?」

雪夜は木陰で倒れていた女性の手を取り、持ってきた道具で治療しながら声をかけた。

「………う、…うん?人か?」

「私は医者です。こちらはーー」

「彼女の助手です。」

「もしかして、学園関係者のお医者様ですか?」

二人はそのことを利用しようと頷く。

「学園で何かあったと聞きました。どこか教えてくれますか?」

「はい。あ、治療ありがとうございます。もう立てます。」

「あまり無理はなさらないでください。」

「はい。ありがとうございます。」

女性は立ち上がり、二人を案内した。

ーーーー

女性の案内により二人は学園の中に入ることができたが、学園は…

「………」

「これが…」

そこにいたのは重症だと思われる人々が何十人もいた。

「私はこれで失礼します。」

「…負傷者はこれで全員でしょうか?」

「いいえ。重症でも動ける方はまだ…」

「………わかりました。この方々の治療が終わり次第、

そちらへ向かいたいので場所を教えてもらってもいいですか?」

女性は驚いた顔をしていた。『これだけの人数の治療終わらせる』ということに驚いたのだ。

人数はぱっと見でも十五はいる。それを終わらせるなど、それもたった二人で真剣な顔をして。

女性は驚き戸惑っていたけれど、二人の真剣な顔を見て決心したのか。口を開いた。

「この学園のーー」

ドッカーン

女性が場所を言っていた途中だった。突然、女性が言っていた学園の後ろから突然、爆発の音がした。

そこにいた三人は驚きその爆発音の方に目を向けた。

「状況からしてかなり悪いようです。私はこれで失礼します。」

そういい。女性は去って行った。

「龍君。すぐに終わらせるよ!」

雪夜は少し怒ってるかのようにはっきりと真剣な顔で言った。

龍一郎は少し驚いた顔をしたが真剣な顔に戻り頷いた。

二人は周りにいた人を追い返して、患者以外誰もいないようにした。

雪夜たちは患者たちの中心へ行くと術を唱えた。

(《昏睡の術》!)

雪夜が術を唱えると薄く白い霧が広がった。

「《風遁の術》!」

今度は龍一郎が風術を唱えると風が吹いて霧が全体に広がった。

龍一郎が一番奥の患者に近づく。

「これで、みんな眠ったな。」

「分かった。」(《回寮の術》!)

雪夜が医療術を唱えると薄緑色の霧が発生し、それをまた龍一郎が唱えた術によって広範囲に広げた。

患者の苦しそうな声や荒い息も少しずつ止んで行っていく。

(これよりも重傷を負っている人がいるかもしれない。早く行かないと。)

雪夜と龍一郎は治療が終わると爆発が起きた学園の後ろへと向かった。

ーーーー

「……」

「なんだよ…これ…」

二人は猛然と立ち尽くしていた。そこは広い広場の形をしていて

さっきの患者たちとは比べ物にならない重症の傷を背負って倒れてる人たちがいた。

服は血まみれ、腕や足がなくなっている人々もいた。

広場の真ん中には人一人分の大きな石があり、そこには亮魔が倒れていた。

龍一郎は亮魔を見つけると、雪夜に報告しようと彼女の方を向くが、

雪夜は息が荒れて、汗もかいていた。発作だ。

「雪!」

「はぁ…はぁ…」

(?…なんだ…あれ。白い…光?)

龍一郎は雪夜の右目が白く光っているのに気がついた…

(…あつ…い…?…これは…)

雪夜は自分の体温で気が付いたのか、雪夜は自分の右目を片手で押さえた。

(まずいな…これ…絶対まずいやつだ!)

そう、龍一郎が心の中で判断し、雪夜に駆け寄ろうとしたとき。

ガバッ ドッカーン

雪夜を中心としてさっきの爆発よりも大きい白い光の爆発が起こった。

龍一郎は爆発寸前に亮魔に飛ばされて爆発の爆風と共に飛ばされてしまった。

ーーーー

「………う…うん?」

龍一郎はうまく受け身を取れずに気絶していたようだ。

「…!…雪は!」

龍一郎は自分に何が起こったのかわかったのか。二人の元へ走った。

(さっきの爆発はなんだったんだ?………とにかく、雪と亮魔は無事なのか?…なんで…俺だけ…)

龍一郎は心の中で二人の状況を考えるとどうして自分だけが助かるのだと現状に怒っていた。

それでも走って、周りに忍びだとバレてもいいからと忍び走りで二人の元へと急いだ。

雪夜と亮魔は無事なのか。あの光はなんだったのか。学園で何が起こったのか。

龍一郎が行先の後継とは。


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