第十七話 『第四部隊』
凛の術は紅愛たちをどう追い詰めるのだろうか…
蓮と奏の戦いはいかに!
学園寮内 広間
伊能 凛 こんにちは。
[その女性は黒髪の長髪を高い位置で一つに結び濃い桃色の瞳をしている]
伊能 凛 あなたは、医療忍者よね?ここでなにをしているの?
如月 雪夜 え、えっと…
伊能 凛 これは、話を聞かないとね。
[凛が動く前に先手を取ろうと思ったのか忍刀を構えて凛に攻撃するが
凛がいつも持っている扇子で防がれる]
満月 紅愛 なっ!
伊能 凛 攻撃を仕掛けてくるなんて…やっぱり怪しいわね。
満月 紅愛 くっ 雪夜様ここから離れてください。
ここで私が食い止めておきますから!
如月 雪夜 はい!
[雪夜が広間を出ようと反対側の入り口に向かうと凛は術を唱える]
伊能 凛 《痺香の術》
如月 雪夜 (?何の匂いでしょう?って今はそんなの考えては駄目です!
早く生徒の場所へ向かわなくては…]
伊能 凛 あれ?香が効かない?
[凛は目に見えない香を発生させ相手を痺れさせようとしていたが
雪夜には毒に耐性があるため香は効かなかった]
満月 紅愛 よそ見なんて余裕そうですね。
伊能 凛 あら。それはごめんなさい。少し考え事をね。
それじゃあ、始めましょうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
北西部
龍一郎 はぁ はぁ
雫 ちょっと、ちょっと。もう少し頑張れよ。
さっきまでの威勢はどうした。
[龍一郎の体には避けきれずにかすった針の跡がある。
数箇所から血が流れて痛みはあるがそんなことよりも血が出過ぎたせいで
目眩が龍一郎を襲う]
龍一郎 (相手は月影忍者隊の副隊長…簡単には倒せない…
まずは…手持ちの針を無くさせるか?
いや地面に落ちた針を拾われたら埒が明かない。
はやく雪のところに行かないといけないんだが…)
雫 あまり生徒を傷つけるとあいつに説教喰らうからな…
龍一郎 (時間稼ぎはもう無理ってことか…)
《鎌鼬の術》
[龍一郎が術を唱えるとすぐに自分の武器である鎖鎌を構え風を何度か切ると
無数の薄緑色の刃が雫を狙う。
雫は何事もなくかわしていくと刃に夢中になっていたのか龍一郎を見失ってしまう]
雫 ………
はぁ…バレバレ
龍一郎 !
[気配を消して雫の背後を取ろうと考えていた龍一郎は背後についた途端
雫に目を合わせられた。
その目つきは呆れと殺気を組み合わせ得ていた。
龍一郎はその強大な殺気に当てられて体が重くなってしまった。
雫はその隙を狙おうと針を構えるが
どこからか薄緑色の刃が飛んでくるその刃を避けようと体を後ろに飛ばすと
空中にいる間に見えない縄に縛られた感覚が体全体に伝わる]
雫 !
龍一郎 危ねぇ…
雫 なるほどね、殺気で隙を狙うこと知ってたんだ。
龍一郎 亮魔から痛いほど聞かされました。
雫 あぁ… 手加減しすぎたか…
龍一郎 あなた相手に一瞬で死ぬことぐらい知っていますよ。
天沢 雫 はは。まあいいや。
いいよ。負けたし好きにしろ。
[地面に横倒れになっていた雫は力を抜く。
本当の戦いの場であれば毒針を使って龍一郎を殺すことも
今、縛られている状況で龍一郎が雫を殺すこともできるため
雫は負けを認める]
龍一郎 では。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
学園寮内
如月 雪夜 え〜っと… ここはどこの辺りでしょう?
[雪夜はどうやら迷子になっていた]
如月 雪夜 えっと…
[奥の方から人の声がすると雪夜はその方向に向かい
近くの部屋から記消の術を使う]
女子入学生 あれ?なんだか眠くなってきた…
女子生徒 伊能先生のお香かなぁ?
男子生徒 なら大丈夫だな。
[どんどん倒れる音が聞こえるが龍一郎がいないせいか広がる範囲が狭いため
複数の箇所で記消の術を使う。
寮内全てに霧が回ると紅愛の元へもどる]
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
広間
満月 紅愛 ………
如月 雪夜 紅愛様!
[広間では扇子を口元に当てており紅愛は壁の方に寄りかかって気絶していた。
雪夜はすぐに駆けつけて傷がないかみる]
如月 雪夜 (紅愛様方には事前に私の術の霧を吸わないように
術を込めた薬を渡してあるから私の術で眠っているわけではないはずです。
傷は手首の打撲くらい…)
伊能 凛 ………
[雪夜が紅愛の体を診ている間、凛は雪夜に一切攻撃を仕掛けて来ず観察している]
如月 雪夜 あ、あの…
伊能 凛 大丈夫よ。今は休憩中だから。
如月 雪夜 あ、ありがとうございます!
伊能 凛 (お礼を言う必要はないのだけど…)
[雪夜の態度に戦場で戦ってきた上級の忍びは混乱しつつも観察を続ける]
如月 雪夜 (《回療の術》)
[雪夜が術を唱えると紅愛の傷がどんどん癒えていく]
如月 雪夜 (《氷冷術》)
[違う術を唱えると紅愛の手首の打撲が冷やされていき紅愛も体が冷やされたことに
体が反応したのかゆっくり目を覚ます]
満月 紅愛 雪夜様?
如月 雪夜 目を覚まされたのですね。頭痛などの痛みはありますか?
満月 紅愛 少しだけでも伊能先生の香のせいだと思うから大丈夫です。
伊能 凛 ………
満月 紅愛 ………
[紅愛は凛が雪夜を観察していたことに気がつくと自分の持っていた手裏剣を投げる。
しかし、凛の扇子で止められてしまう]
伊能 凛 あらあら もう、すっかり元気みたいですね。
満月 紅愛 見逃してくれてありがとうございます。
伊能 凛 私は、医療忍術を見たかっただ家ですのでお気になさらず。
満月 紅愛 そうでしたか。
雪夜様。どうやら先ほどの私たちが聞いた複数の足音は伊能先生の術だったようです。
香術は幻術の一種でもあるので。
如月 雪夜 そうだったのですね。
満月 紅愛 雪夜様は先に向かってください。
だんだん体の調子が戻ってきました。
如月 雪夜 わかりました。ですが、無理はなさらないでください。
それから、龍君がこちらにくると思いますので報告をよろしくお願いします。
[そういい雪夜は寮を後にする]
満月 紅愛 止めないのですね。
伊能 凛 あら。止めて欲しかったのですか?
満月 紅愛 いいえ。それはそれで結構です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
学園寮周辺
[学園寮周辺では蓮が奏の手裏剣に苦戦していた]
暁 奏 もう、諦めた方がいいのではないですか?
聖 蓮 申し訳ないのですが、
恋人の友達が困っていますので。
暁 奏 何故…そこまでする必要がある?
聖 蓮 恋人の願いは叶えてあげたいのですよ。
ご褒美に笑顔をもらえますから。
暁 奏 …そうですね。好きな人の笑顔は見たいです。
聖 蓮 それでは、これを見なかったことにはーー
暁 奏 できないですね。
聖 蓮 そうですよね。
暁 奏 そりゃぁ、好きな人に褒められたいですから。
聖 蓮 あぁ。伊能先生ですね。
暁 奏 ・・・
[少しの沈黙の中、奏の顔が赤くなる]
暁 奏 ななななんで知ってるんだぁぁ!?
聖 蓮 (うん?)
暁 奏 たしかに表には出さない様にしていたのに…
聖 蓮 (………なるほど…)
隠していたつもりだったのですね。
暁 奏 ビク
聖 蓮 これは…教師ともあろう方が…
暁 奏 な、なにを望んでいるのですか…
[奏の性格を利用しようと蓮は要求を言う]
聖 蓮 生徒の皆さんにばれたくなかったのでしたら僕たちを見逃してください。
暁 奏 ………
聖 蓮 なにも、隊長方全員が見逃すことはありません。
あなたが、僕たちに攻撃しなければいいのです。
暁 奏 ?それでいいのですか?
聖 蓮 僕は紅愛さんのところに行きたいので。
暁 奏 ………わかりました。
ですが、約束は守ってください。
聖 蓮 はい。
(っと言っても、大体の生徒は気づいているでしょうが)
それでは。
[蓮が紅愛の元へ向かう]
暁 奏 はぁ…凛様になんと説明すれば…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
学園寮内 広間
[紅愛は息が乱れており苦無や手裏剣もあまり残っていないようだ]
伊能 凛 もう、終わりかしら?
満月 紅愛 いえ…まだいけますよ。
(っと言っても…結構無理をしてるけどね…)
[すると雪夜が出ていった扉から手裏剣が凛の方に飛んでいく。
凛は扇子で防ぐが扇子に当たった瞬間、
手裏剣は花弁に姿を変えてひらひらと空中で広がるが
ある程度広がると花弁一枚一枚が凛に向かって飛んでいく。
凛は全て避けきるが紅愛の方を見ると隣には蓮がいた]
聖 蓮 遅れてしまい申し訳ありません。
満月 紅愛 蓮様…
どうしてこちらに?
暁先生はどうしたのですか?
聖 蓮 秘密です。
伊能 凛 (暁がやられたのか?いや。それはありえない。
才能があるとしても一年生だというのに…)
聖 蓮 紅愛さん。大丈夫ですか?
満月 紅愛 は、はい。
聖 蓮 あなたは少し休んでいてください。
僕が相手をしますから。
満月 紅愛 あ、ありがとうございます。
[蓮は紅愛の傷を見ると少し言葉に圧が加わっており強制的に休ませる]
伊能 凛 そろそろ、いいかしら?
聖 蓮 えぇ。紅愛さんを傷つけた代償は重いですよ?
伊能 凛 そうなの?それはそれは怖いですわね。《甘香の術》
聖 蓮 ………
伊能 凛 (この匂いを嗅げば男性はみんな私に酔いしるわ。)
聖 蓮 ………
伊能 凛 ?
聖 蓮 特に体に異常はないですが…
伊能 凛 え?
[蓮は凛の反応を見る限り自分への攻撃が失敗したのだろうっと判断し
距離を縮め忍刀で攻撃をする。
凛は蓮の攻撃を扇子で受け止めたり自身も扇子を使って攻撃をする]
聖 蓮 なるほど。その扇子は鉄扇ですね。
満月 紅愛 てっせん?
聖 蓮 持ち手の部分が鉄になっているのです。防御にはちょうどいいですね。
伊能 凛 お褒めくださりありがとうございます。
聖 蓮 いえいえ。
褒めていませんので、そんなことおっしゃらなくてもいいですよ。
満月 紅愛 (やっぱり蓮様少し怒ってる?)
[凛は蓮ではなく紅愛の方に手裏剣を数枚投げるが蓮に全て防がれてしまう]
聖 蓮 少々、慌てている様ですね。
伊能 凛 いえ。そんなことはありませんわ。
聖 蓮 そうでしたか。
[両者とも笑っている様子に見えるが背後には殺気や怒りが混ざっており
目が笑っていないように見える]
満月 紅愛 (こ、怖い…)
[蓮と凛の戦いはまだ続く。
凛は自分の香術が効かないとわかると別の術である水遁の術を使い蓮に攻撃を仕掛ける。
蓮は水に強い花術を使う。
出現した水は蓮が出した花で受け止められ吸収すると花は少し大きくなり
凛の方に向かう]
伊能 凛 《火遁の術》
[凛は花術に強い火術を使って向かってくる花を燃やし
無数の火の玉を蓮に向かってはなつ]
聖 蓮 《花盾の術》
[蓮は火の玉を自分が生み出す花の壁で防ぐ。
花の壁は何本もの花を咲かせているその壁を何枚も作る]
聖 蓮 花や草は火に弱い。たしかにそうです。
でも、盾を増やせば防げます。
伊能 凛 確かにそうね。威力を出しすぎると建物が燃えちゃうわ。
聖 蓮 おや?もう終わりですか?
伊能 凛 まさか。
聖 蓮 それでは。そろそろ、本気で行きましょうか。
伊能 凛 (まだ、本気を出していなかったというの?)
聖 蓮 《蔦縛の術》
[蓮が術を唱えると床から芽が出てどんどん成長していく
蔓のようにグネグネと動き凛の足元へと向かい足を拘束する]
伊能 凛 (足に絡まって動かない。)
聖 蓮 あなたの弱点は体術が得意ではないことです。
[凛は近づいてくる蓮に殺気を立てて扇子を構えるが蔓が腕まで延びてくると
印も結べなくなってしまった。
すると凛の首をねらって紅愛が峰打ちをする。
凛は気絶してしまう]
聖 蓮 お見事です。
満月 紅愛 隙を作ってくださったおかげです。
それよりも、暁先生との戦闘で怪我をされています。
すぐに雪夜様の元へ行きましょう。
聖 蓮 そうですね。ですが僕は、それより僕はあなたからご褒美が欲しいです。
[蓮は紅愛に近づく]
満月 紅愛 え!?え〜と
(私の代わりに戦ってくださったのだから理にはかなっているけど…)
聖 蓮 では、戦いが終わりましたら僕の屋敷に来ていただけると嬉しいです。
満月 紅愛 は、はい…
[紅愛は顔を赤く染めて俯いてしまう]
龍一郎 あのぉ。お取り込み中のところすみませんが…
満月 紅愛 龍一郎さん…い、いつからそこに。
龍一郎 え〜と…聖様が《蔦縛の術》を使ってからです。
[その言葉を聞くと紅愛はますます顔を赤く染める]
聖 蓮 そうでしたか。それでどうかしたのですか?
龍一郎 (蓮様は顔色一つ変えてねぇ…)
えっと…雪夜様はもう次に行かれたのですか?
満月 紅愛 雪夜様なら南東の方へ行きました。
龍一郎 そうでしたか…ありがとうございます。
俺は雪夜様を追うので、雫先生を頼めますでしょうか?
[龍一郎は風で運んで来たのか寝ている雫が宙に浮いている。
術を解くと雫を地面に置く]
聖 蓮 はい。わかりました。
龍一郎 では、失礼します。
[龍一郎は二人に一礼すると南東へ向かう]
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
南東部 夜琥弥・ルイ班
[南東部では話が流れてきたのか生徒や保護者たちが困った顔で話し合っている]
不死原 ルイ ど、どうしましょう…
生徒方などが原因不明の何かで
眠らされていることに戸惑っているようです。
如月 夜琥弥 だが、出入り口は一つだけのはず。
生徒会が守っているから少しの間は大丈夫でしょう。
不死原 ルイ そ、そうですね…
[すると、空からバサッっと言う音が聞こえルイがその音の方へ向くと
ミラが飛んできていた]
ミラ ピー!
不死原 ルイ ミラ!?
如月 夜琥弥 どうしてここに?
[どうやら説明会が始まってからは学園中を飛び回っていたようだ]
ミラ ピピ ピッピピ ピピ! ピピピピー!
不死原 ルイ どうやら、雪夜様がそろそろこちらに到着なさるようです。
如月 夜琥弥 ルイ様はミラの言葉がわかるのですか?
不死原 ルイ い、いえ。な、なんとなくで…
如月 夜琥弥 ?
如月 雪夜 兄様!
[雪夜が夜琥弥たちと合流する]
如月 夜琥弥 体は大丈夫か?
如月 雪夜 はい。今はまだ発作も起こっていません。
ここの状況はどうですか?
如月 夜琥弥 人が倒れたのという話が流れてここはざわつき始めている。
不死原 ルイ この木の下に隠れて忍術を使ってください。
[ここは実践訓練でよく使われる背の高い木が何本も植えられており
木の幅が人三人が横に並ぶくらいの大きさだ]
如月 雪夜 ですが、龍君がいなければ一度でこの人数を眠らせることは難しいです。
[学園寮内では生徒たちが固まって行動していたり
壁があったりっと視覚を防ぐことはできたが
ここは背の高い木と学園の間にある平地であり視覚が多すぎるのだ]
如月 夜琥弥 待つしかないか…
[すると龍一郎がタイミングよく合流する。
額には少しばかり汗が滲んでおり行き使いも乱れている]
龍一郎 お待たせして申し訳ありません。
如月 雪夜 大丈夫だよ。生き整えて。
龍一郎 ありがとうございます。雪夜様。
水野 斉一 なにしてるの?
どうやら東南部には斉一が!
残り三箇所、雪夜の発作も気になってくるだろう…




