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1.プロローグ 


【日本における積雪の記録】


◆観測史上最大の積雪

滋賀県伊吹山 11メートル82センチ(1927年2月14日)世界記録


◆平地における最大の積雪

富山県上新川郡大山町真川 7メートル50センチ(1945年2月26日)


◆東京都内の最大積雪

48センチ(1883年2月8日)


◆一日の最大積雪

滋賀県伊吹山 2メートル30センチ(1975年1月14日)世界記録


◆平地における一日の最大積雪

新潟県中頸城郡関山村 2メートル10センチ(1946年1月17日)世界記録






▼南極 ドームふじ基地(2月8日11:00)



南極に、日本の基地は4つある。


昭和基地、あすか基地、みずほ基地、そしてドームふじ基地だ。


最も有名なのは昭和基地だろう。

昭和基地の歴史がそのまま、日本の南極観測の歴史とされているぐらいだ。


そして、ドームふじ基地は、1995年にドームふじ観測拠点として開設され、その後、2004年に現在の「ドームふじ基地」に改称された基地だ。


標高は、名称の由来となった富士山の頂上より高い、標高3810メートルに位置する。

南緯は77度19分01秒、東経が39度42分12秒。


昭和基地からは1,000kmほど離れている。


氷床深層掘削計画を実施しており、現在は無人だが、2~3年に一度はキャラバン隊が訪れている。


自由大気シーイングが0.2秒角程度で、地球上で最も天体観測に適した場所とされているが、極寒の地において、吹き荒ぶ氷雪は自由な研究を行うことをなかなか許してはくれない。




その日、ドームふじ基地は、マイナス50度を越えていたが晴天だった。


見上げるものが誰もいない空には、朝から薄い半透明の緑色のカーテンが懸かっていた。


昼間のオーロラは珍しい。


だが、風の音のみが氷原のバックミュージックを奏でているこの地において、怪しく揺れるカーテンは吉兆に感じられなかった。



そして午前11時過ぎ。


それは突然始まった。



ゴゴゴゴゴゴ……



重厚なサウンドが、氷原をわずかに振動させる。


動く影が一切ない白雪の世界は、やがて大きく動き始めた。



南極プレートの上に乗る南極大陸では、ほとんど地震が起きないとされている。


1957年の国際地球観測年に始まった南極観測から、1997年の40年間に起こった有感地震は、わずか3回のみ。


いずれもプレート型の地震ではなく、周辺の火山爆発などによるものだ。


1998年3月25日に、初めてプレート上でマグニチュード8.0の地震が起きたが、沖合300kmの地点だったため、南極大陸そのものへの影響は特に見られなかった。


だが、今回の地震は、南極大陸の中央近く、ちょうどドームふじ基地と極点の中央あたりが震源だった。


マグニチュードは9.2。


プレート内で生じた地震としては史上最大だった。


地鳴りに、氷床が割れる音が重なり、轟音が響きわたる。



それはまるで、白一色の世界が身をよじる悲鳴に聞こえた。



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