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美少女にかじられる

ご閲覧ありがとうございます。


 スイッチどこだ!? 暗くてよく解らない。


 いたっ、何かが(ほお)をかすめた。生暖かい感触が頬を伝っている。これはもしや、血。こ、殺される。いわゆるポルターガイストに殺される!


 そ、そうだっ! 退室してしまえばっ!


 真っ暗とはいえ自宅だ。部屋の場所はわかる!


 大至急戸を引いてみる。しかし、まるで接着されたように動かない。なんとか力ずくで戸を引いたら、ようやく開いた。やった、共用廊下は明るいぞ! では早速脱走を!


 あれっ、身体は動くのに何故か前進できない! 理由を探るため、自分の身体に目をやる。


 な、なんだこれは! 俺のパジャマにフォークとナイフがたくさん刺さっており、引き戸に(はりつけ)にされてる! こうなったら、パジャマを引きちぎってでも……。


 な、なぜだっ!? こんな時に金縛りだなんて! もう逃げられない! 悪寒はするが、わななくことも不可能だ。完全硬直の状態で、持ってるスマホが光を放つ。


 「なんであたしを検索したの?」


 「なんであたしを検索したの?」


 まるでイカれたペッパーくんみたいに、同じことを繰り返すイットちゃん。反復しながら、ゆっくりと画面から姿を現した。上半身が完全に出現した時、彼女は言った。


 「検索なんて、つまらないことするキミにはおしおきが必要かな?」


 イットちゃんはか細い口を大きく開け、腕を甘く噛んだ。 うぐっ、優しい噛み心地だったはず……。それなのに猛烈な痛さだっ!


 腕肉を少し引きちぎられて、悶絶するほどの傷み。一方イットちゃんはご満悦で、


 「おいしぃいいいい! あなたは最高においしぃよぉおお! 他の人みたいに一部だけじゃなくてぇえ、全部食べてあげる! 骨・皮、肉も余すことなく食べてあげるぅう!」


 突然、室内が飲食店に変わった! そしてポルターガイストという不可思議な原理で、宙に浮くマイク。


 「はいどーも、こんにちは! 『バーチャルでも食べちゃうぞ』の山杜イットでーす! 今日のもぐもぐディッシュは馬刺しだよ!」


 そうかこれがっ! 俺が喜んで見ていたのは、カニバリズム動画だったのか……。


 「さぁーて、どこから食べようかなぁ?」


 多量のヨダレを(したた)らせて、イットちゃんは俺を凝視する。


 「肩からいっちゃおうか! 新鮮なまま食べたいから、臓器と頭はおあずけで!」


 うわあああっ! 右肩がっ、右肩がかじり取られたっ! 瞳を輝かせながら、肉を皿に乗せるイットちゃん……。くっ、撮影してるのかっ? なんでだよっ、今のうちに逃げたいのに動けよ身体!


 「ごちそうさまぁ! じゃあ、またね~」


 マイク・飲食店のような背景などは、幽霊のようにスッと消えた。そして元の(ほの)暗い部屋に戻る。


 「撮影はおしまいだからぁ、本格的に食べようかぁ。次はどこにしようかなぁ? あ、胸がいいかなぁ!」


 俺の鎖骨(さこつ)に舌を()わせるイットちゃん。このままでは胸が危ない!

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