冬は終わったんだな、と思った。
また、眠れなかった。
下敷きになった毛布に包まりなおし、目を開けた。
静かだ。
早朝の空気はまだ肌寒い。
幸いな事、今日は休日だ。起きなければならない理由は無かった。
うとうと、1枚きりの温もりに微睡む。
掛け放しだった目覚ましが鳴り出した。
………………。
神妙な顔で残りの目覚ましを止める。
もはや、起きださないのは意地だった。
◇ ◇ ◇
窓の外が少し明るい。
時刻は昼前のようだった。
名を知らぬ鳥が囀る。
下へ降りた。
とた、とたん。ギシィ、ギィィ。
階段が軋む。
先に降りたのは誰だっけか、すぐ食べられるモノが今あっただろうか、昔と音が違うのは登り方の違いだろうか?
思考が鈍く散逸する。
エネルギー残量が大分少ないようだ。
ゆっくり降りる十数段もない階段は、長いようですぐおわる。
今日は全員出る日だったらしく、下には誰も居なかった。
昼前とはいってもこの時期はまだ寒く、ストーブが静かに唸っている。
少し温まってから動こうか。
じわ、じわりと背に温もりが移る。
動きたくないけど、動かなくては。
ごろり、ソファへ身を投げ出すように寝転んだ。
適当に選んだ本を、ぱらりぱらりと捲る。
何か、つまらないな。
すぐに飽きて投げ出した。
耳をすます。
雪の静寂ではなく、雨の騒めきに世界が閉じていく。
ばららら、ばたたたっ。
雨の音だけが静寂に響いている。
あぁ、そうか────