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1616(イロイロ)!!16人の高校二年生世界を変える  作者: ゆぴた
第ニ章:み吉野 大和(みよしの やまと)
15/16

12:情報庁・上

【2-12】


「……ヤバっ!!」


ネズミ捕りがパチンとなるように、そこから跳ね起きる。


白で統一した部屋は窓からの光を受けて、だいだいに色づいている事に俺は青ざめた。


デスクの上のスマホを掴む。


現時刻のすぐ下に小さく4月4日 “土曜日”とあったのだ。

土曜日。つまり学校も無ければバイトもひとつもない。


俺は文字の通り胸をなでおろした。

声の入った大きなあくびを10畳にぶちまけ、目尻が涙で濡れる快感を味わう。

いざベッドに向かわんとした時だった。


「……?」

デスクに半分に折られた一枚の紙が置かれている。

何も考えずにそれを開き文面に目を通す。


眠気が瞬時に引いた。


 切符を手に、昼夜問わず真っ暗な外を見呆ける。


最後に地下鉄を利用したのはいつだったか。


手紙にあった目的地まであと4駅だ。

この前にJRも利用している。往路1000円超えに関しては初めてかもしれない。


地下鉄に揺られている間、昨日の事件がフラッシュバックする。


銃撃の音、血の匂い・熱、少女の手に握られた拳銃……


そもそもその少女、神代紅水はどこに行ったのだろうか。

昨日いきなりうちに住むと決まったが、家にその姿はなかった。


正直、会ったところで何を話せばいいか思い浮かばない。

それにその時に聞かなかったとしても、いつか必ずみ吉野さんのことを聞かなければいけない。


俺はまだ彼女とコミュニケーションを取りたくない。

自分が何を言ってしまうか、分かったものじゃないから――


課題はそれだけじゃない。み吉野さんの事、遺言の事……


あのメッセージは遺族に伝えるべきなのか、もしそうだとしたら早めがいいだろう。

幸い、彼の住所は薬をもらった時に聞いている。


「(明日も暇だし……明日行こうかな)」


とにかく昨日の午後の出来事は、処理にかなりの時間を要するのは間違いなかった。


電車アナウンスが流れる。


『次は情報庁前、情報庁前です。お出口は……』


続く。


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