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1616(イロイロ)!!16人の高校二年生世界を変える  作者: ゆぴた
第ニ章:み吉野 大和(みよしの やまと)
10/16

07:み吉野病院・丙

【2-7】


暗闇から1発の銃声があった。


それはすぐに消え、風の音だけになる。


弾丸を受けた老医師の身体は、倒れたままの俺や地面に血を吹きかけながら倒れた。


赤い女と出会ったその日の夜のことだった。


<1時間前>


「誰だ、そこにいるのは!!」


眩しいっ!

暗がりの中で大きく膨らんだ瞳は、不意にあてられた男の持つ懐中電灯で急にしぼむ。


電灯が近づいてくる。


「……若いな 学生か?」


「あ……はい」

身体をまともに動かせず、周りに服が脱ぎ散らかしているこの変な状況……

そんな様を見られて俺は非常に焦っていたが、事実を返答する。


ライトのこぼれ光で相手の姿が判る。


大きな声がこんな小さな体、しかも老人に出せるとは信じられない。


身長は小学生低学年を思わせる。

腰が曲がっているから小さいのではない、彼の背筋は年に似合わずまっすぐだ。


顔のしわの深さ・多さは還暦を迎えた校長といい勝負だ。


「……なにかあったのか?」


「えぇと……」


元気そうには見えない表情、ぴたりとも動かすことない身体……

男は俺に駆け寄ってきてくれた。


さっきまでの敵意丸出しの声は、寄り添うような優しいそれに変わっていた。


ぴと……

男は手のひらを俺のおでこにあてると、驚いてすぐに手を引っ込める。


「酷い熱だ…… それに身体も腫れている…… 

君、少し待っていなさい。」


「……はい」



2分ほどして彼は両腕で重そうなカバンを持って、帰ってきた。


走ってきたらしく肩を上下させている。


「あ、あの……」


「何も言わなくていいから。……こんな患者は初めてだよ」


患者?……ってことはやっぱりこの老人は医者なのかな


カバンを開いてガチャガチャ音を立てながら何かを探している。


月光が何本ものメス、鉗子……そういったモノを見せつける。


医学のことは全く知らないが、高熱で外科行為をするとは思えない。


それでも弱い光を受けて青白くなった刃物は不気味だった。


この医者は何をしようとしているのだろう……


俺はただただ、彼の探し物が見つかるのをゆっくりと待つことしかできない。



「君、年齢は?」


忙しくしていた両手が止まる。


「16です」


「……じゃあ使えるな」


そう言いながら老医師は俺の右腕をしっかりと掴み二の腕に透明な液体をかける。


――スッ

皮膚がキュッとなる。


俺は今からどんな医療行為をされるのかが分かった。


ほっとする。


予想通り、老医師は小さな薬瓶の中身は針を通って短いパイプの中に溜まっていく。


そして注射器は刺された。


続く


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