00:ラスト・ボス
いきなりの話。
突然の話。
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私が、この物語でのラスボスだ。
だが私はとっくの昔に死んでいる。
私の名前は人離草枯 冬山。
大学教授だ。
私が人類をこの地球から消してしまおう……
これが、私が“アレ”を作った理由だ。
人間はさまざまなモノを作り、進歩させてきた。
科学技術や医療、素晴らしい物語や美しい数式……
数多を作ってきた人間が素晴らしい生き物だということは、私も認める。
私だって人間だ……
しかし、人間が地球の寿命をむしばんでいるのも事実だ。
私がなにより許せないのは、我々人間が好き勝手しすぎたということだ。
他の種に酷いことをしたその結果、その種は絶滅した。
絶滅しかけている種は人間に檻の中で管理されている。
彼らの気持ちは示すまでもない。
そして
地球は決して下がることのない高熱を出している。
我々は看病するどころか、寧ろそれを悪化させている。
……これが現状だ。
一方的に傷つけられていく者たちのためにも、私は地球とその住民に味方することにした。
つまりヒトを場から無くすことにした。
そこで私は自分の計画のためにスーパーコンピューター(=アレ)を作った。
表向きは“ヒト・モノの簡易修復”とした人類滅亡システム。
――ヒト・モノの簡易修復――
これを簡単に説明すると、
ヒトは右手に付けられたブレスレット、
モノは地面に埋め込んだ電子チップによって
あっという間に元通りにできるというものだ。
日本の二人の若き天才、そしてアメリカやドイツなど世界中の精鋭にコンピュータのプロジェクトに加わってもらった。
そして完成した、SPC-雪嶺。
私は起動前にそのシステムにバグを何か所か仕組んでおいた。
いつ発動するかもすでに設定しておいた。
私が作り上げたコンピュータは確実に地球から人間を消すことができ、実際にそうなるだろう。
せいぜい残りのわずかな時間を楽しく過ごせ、なんてことは言わない。
勝手に人間を消すことになり、本当にすまない。
私も好き勝手していることは痛感している。
人間にはやはり罪はある。だが、罪はない。
それでも仕方ないのだ。
たった一つの種が他の全ての種・地球をめちゃくちゃにするのならそれを取り除くしか他に手はないのだ。
だから、
皆にはいつもどおり生きて、
何も知らず何にも恐れることなく消えてもらいたい。
私からは以上である。
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果たして、高校二年生、秋野白露は世界を救えるか!?
始まる、