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衣装合わせと異性と誠也 2

昨日に投稿しようと思っていたんですが、遅れました。


また、この作品の文字数が20万字を超えました。

大変長くなってダルいとは思いますが、今後も御一読いただけるとうれしいです。

そういう訳で、カーテンを開けて仮設試着室を出て、誠也、由佳、鈴香の3人を探す。

すると、教卓のすぐそばで何やら作業をしている誠也を見つけた。


「誠也、何してんの?」


俺は、誠也に駆け寄っていき声をかける。


「ああ、小道具の最終チェックをだな…って、奈津希?」


問いに答えている最中に、問いを投げたのが俺と気づいたらしく、確認を取るように首を回してこちらを向き、その後、品定めをするように俺を眺めた。

ーーーお、おう。なんか緊張するな。


こうなる前まで、ついさっきまでは、意外と平静を保てていたのだ。

というのも、よくよく考えてみると、今は女の姿だから問題ないが、男が女子の制服着て学校に来るということを見つめ直してみると、俺って相当やばいことしてるんだよな。

それと比べれば、浴衣を着てることぐらい別に全然平気だった。

ーーーそう、だった(・・・)なのだ。

流石にこう、ジロッと思いっきりコスプレしているところを見られるのは、なんか恥ずかしい。

ーーーおい、黙ってないでなんとか言えよ。

そんな俺の思いが伝わったのか、誠也はゆっくりと口を開いた。


「結構様になるもんだな。似合ってるぞ、奈津希」


その言葉は肯定、衣装が似合っているというものだった。

ーーーやっぱり、仮初めの姿だったとしても、褒められたのだからどこか嬉しくなる。


「山藤さんがすごい衣装作ってくれたからね。馬子にも衣装ってやつだよ、へへっ」


少し照れながらそう返すと、誠也は突然「あ〜」と声をあげた。


「そういえば、お前の役回りって客寄せだから、驚かせる役はやらないんだよな?」

「え、あ、うん。そうだけど、どうしたの?」


突然なんでそんなことを聞くのかと疑問に思いつつも、とりあえず間違ってはいなかったので、YESと返しつつ、疑問に思ったことをそのまま誠也に対して投げてみるとと、誠也は1度ニマッと口角を大きく上げた後、それを隠すような挙動をとってから口を開いた。


「いや、だったらちょうどいいかなって思ってさ。ちょっと頼みたいことがあるんだけどいいか?」

「え?別にいいけど」

「お化け屋敷だから、少しは和の雰囲気を出した方が良いと思って、それを出すためにうちの班でこの和傘用意してみたんだけど、俺たちが持ってみても、衣装とかないわけだから、狙った雰囲気が出せているか、よく分かんなくてな。客寄せ用とはいえ、せっかく衣装着てるんだし、ちょっと持ってみてくれないか?」


そう言って誠也は俺に向かって、傘を広げた状態で差し出してきた。

ーーーあれ?雰囲気出すってことは、飾りとして置くってことじゃないの?なのに何で持つの?

そんな(はてな)がいっぱい浮かぶものの、特にしなければいけないことはないので、俺は「うん、全然大丈夫だよ」と返しつつ、傘を受け取った。

ーーー確認したいのは、和の雰囲気が出てるかどうかだったよな?だったら、脅かすようなポーズをとるんじゃなくて、それっぽいポーズを取った方がいいよな?

そう自己完結すると、俺は和傘を持って着物を着ているモデルさんをイメージしながら、傘を肩にかけることで斜めに持って、少し表情を作ってみた。

ーーー確か、こんな感じだったよな?

そんな風に振る舞い誠也の方を見ると、視界に飛び込んできたのは、予想外のものだった。

ーーー俺に傘を渡した誠也が、必死に笑い声を出すのを堪えている様子だった。

俺は思わず「え?」と声が漏れる。

視野を広げてみると、誠也と同じ班の男子も、笑いを堪えているのが目に見えて分かる。

ーーーえ?何で?どうして笑われてるの?

どういうことだと傘を閉じて見てみると、すぐに理由がわかった。

ーーー差し出された傘には、目玉が1つ、そしてあっかんべーと言わんばかりに突き出した舌が付いていた。


ーーーえ?何で?

頭の中でぐるぐると思考が回り回って、1つの結論が出た。


あっ…。


ーーーあんにゃろう、最初から冗談半分でおばけの傘を渡してきやがったんだな!

1つの目玉があり、舌を出している赤い傘、これの取っ手の部分を人の足へと変えれば、もう立派な『からかさ小僧』、傘のおばけになる。

俺は思わず、「あーー!」と声を上げた。

といっても、それは反射的に上げてしまっただけで、誠也の行動に対してイライラしたなんてことはなく、どこか以前を懐かしんでいた。

ーーー以前は、男だった頃はよくこんなやり取りをよくやっていたのだ。

誠也がくだらないことをやってきて、俺がそれに対しツッコミの要領で軽くやり返す、そんなやり取りを。

ーーー姿は変わったけど、誠也との関係はあんまり変わっていないんだな。

そのことで少し嬉しくなる。

誠也は、以前と同じように笑いつつも逃げる体勢に入っていた。しかし、その動きは今の俺が追いつける程度の速さだ。

そんな訳で、俺も冗談半分で誠也目掛けて走り出し、狭い教室で少し追いかけっこのような状況になる。

反射的に追いかけてしまったが、俺の今の格好は浴衣なのだ。しかも、教室中は文化祭の準備で物が広がっているので、とても障害物が多い。

ーーーとどのつまり何が言いたいかというと、俺は動きにくい格好で動きにくい場所を急いで動いてしまっい、そこにあった障害物を避けようとして、俺は自分の着ている服に足を取られて体勢を崩してしまったのだ。

ーーーあ、やばい。転ぶわ、これ。

見ている映像がまるでスローモーションのように流れる。

かといって、取れる行動は限られているので、前受け身を取ろうと両肘を曲げる。

しかし、俺が落下すると思われる場所にはお化け屋敷のセットに使う、さまざまな物が散乱していた。

ーーーああ、痛いだろうな。

これから来る痛みに備え、思わず目をつむる。

ーーーつむったのだが、痛みはいつまで経っても来なかった。

いや、来なかったわけではないか。少しばかり衝撃は来たものの、肘に木材が当たるなどといったそれではなく、何かにぶつかったようなそれだったのだ。

ーーーというか、何でまだ俺、身体が起きてるんだ?

俺は足を取られて転んだはずなのだ。

なのに、転んだのに身体が倒れていないなんておかしい。

どういうことだ?と俺は目を開けてみる。

ーーー飛び込んできたのは黒色だった。


「え?」


ーーー思わず頭がフリーズする。

よくよく見てみるとそれは、男子の制服の、学ランの色だった。

困惑しつつ上を見ると、そこには誠也の顔があった。


「お前な、俺もからかったのは悪かったけど、自分の格好を考えて行動しろよな」


ーーー何でこんな近くに誠也の顔があるんだ?

身体と身体のいろんな場所が当たってるし、これってどういう!!??


そこまで思考が回って、ようやく理解できた。

誠也は、俺を抱きとめるようにして支えてくれているのだ。


「わあああっ!!??」


誠也の身体を押し、その反動を利用して、咄嗟に誠也と距離を取る。


「あ、えっと、うん。ごめんなさい。それと、ありがとう」

「いいっていいって。それじゃ、俺は作業に戻るな」


誠也はそう言って、ほとんど動揺することなく言葉通り作業に戻っていった。

それを見た後、俺は思わず大きく深呼吸をする。

ーーー心臓が、バクバクと普段よりも早く音を鳴らしている。

落ち着け。なんでこんなにうるさく鳴ってるんだ。

ただ、友達が、親友が俺がこけそうになったのを助けてくれただけだろ。

ーーーこんなにあいつと密着したの、いつ以来だろう。

病院で目が回って転びかけたときかな?

あのとき俺、あいつにお姫様抱っこされたんだよな…。

ってダメだろ、俺!この短期間で何回も転んで、あいつに助けられてんじゃねーよ。

ーーーって、また思考が変な方行ってる!落ち着け!

再度、深呼吸をして心を落ち着かせる。

そうしてなんとかましになったところでふと自分の姿を見てみると、さっき激しく動いたからか、俺の着ている浴衣は少し崩れてしまっていた。

自分で出来るレベルで浴衣を少し正してから、顔を上げる。

すると、ふと2人の女の子と目が合った。

ーーー由佳と鈴香だった。

そっか、2人も準備班なんだから近くにいるよなと、俺が納得していると、2人はこちらに駆け寄ってきた。


「ねえ、今の何何何!?」


鈴香が、興奮した様子でそう言ってくる。

ーーーこう聞いてくるということは、さっきの様子を見られていたってことか。

あんな様子を見られていたことに気づき、恥ずかしくなる。

そんな風に俺が恥ずかしがっていると、2人はさらに勢いを増す。


「今のいつも一緒に登下校してる、高原くんだよね!?2人ってもしかして…」

「「付き合ってるの?」」


2人が口を揃えてそう言ってくる。


「いや、違うよ。今のだって、ただ私が転びそうになったのを助けてくれただけだし、何でそう付き合ってることにしてくるのさ?」

「えー。だって、さっきの雰囲気はそうとしか見えなかったよ?」

「さっきって?」

「ほら、さっきのお化けの傘のくだりだよ」

「うんうん。あれは、ただの男友達とは出すことはできない空気が出てたよー」

「いつも一緒に登校してるっていうしねー」


2人は意味ありげに見つめ合い、微笑んだままこちらを見てくる。

ーーーいや、ただの男友達じゃなくて、親友ですから。

そんな言い方をするわけにもいかないので、俺は嘘をつく覚悟を決めて、口を開く。


「いやいや、違うよ。誠也くんはあくまで仲のいい友達だって」


誠也の俺の中のポジションを、親友から少し下げて友達にして否定するものの、2人は俺の答えに納得はしていないようで、「えー?本当にー?」と繰り返してきた。

そんな2人に、俺は思わず手のひらを固く握り込み、声を張り上げた。


「もー、だから本当に違うってば!」

親友同士のからかい合いって難しいですね。最初書いていたのだと、ただのいじめみたいになってしまい、修正していて遅れました。(修正し切れたとは言っていない。)

また、今回の内容で奈津希が、最後に密着したのは病院でぐるぐる回った時と言っていますが、実際は身体動かしたいとお願いして投げようとしたけど投げれずって時が最後です。

しかし、その時は頭いっぱいいっぱい過ぎてそんなこと考えてられなかったので、奈津希が思い浮かべる最後に密着した状態というのは、その一個前となっています。


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