はずれた天気予報
窓を振り向けば、そこには眩しいほどの日差しが差し込んでいた。この後の嵐が来るなんて微塵も思えないほど――
「うわあ、マジ最悪。さっきまで晴れていたくせに、なんで急に荒れだすんだよ。私今日傘持ってないし。」中間テストが終わったばかりだからだろうか、いつもより妙にモヤモヤする。高校二年生にもなってやっと志望校が決まり、両親に毎日のように勉強、勉強と唆される。正直大学なんてどこでもいい。
「明日香、この前も傘持ってなかったじゃん。天気予報見ないのなら折り畳み毎日カバンに入れとけば?ま、この雨は予報されてないけど。」
「薫はいつも妙なことだけ良く覚えてるよね。じゃあ今日は相合傘決まりっ。」
「えー、またかよー。」
雨が思っていたより弱くて少しほっとした。それでも足首は傘で防げない雨水でびちゃびちゃになっている。
「ねぇ薫、今彼氏とどうなの?もうすぐ花火大会の季節だし。」薫と私は中学からの友達で、同じ高校に入り、たまたま二人とも二年生の文理選択で同じ文系をせんたくし、同じクラスに偶然なった。薫の彼氏は私たちとクラスが違って、二人はバンドで知り合い、両思いになったそう。私は写真で彼の顔を見たことがある程度で、そこそこイケメンだと思った。薫のくせに――
「あー海斗?連絡は毎日取ってるけど、あんまり会ってないかもなぁ。部活が忙しいから仕方ないとは思ってるけど…。」
「サッカー部なんだっけか。たしかにあの部活は忙しそう…。薫も苦労してるねぇ。」この学校には、彼女が帰宅部で彼氏が運動部のカップルは沢山いて、珍しくはない。高校で付き合ってそのまま結婚するケースは凄く稀だけど、ないわけではない。だから登下校中にカップルが歩いてるのを見ると、不覚にも、ああ、この人たちはどんな別れかれ方をするんだろう…?なんて思ってしまう嫌な自分がいる。結局は嫉みなんだろうけど。
「そそ。そういえば、明日香の方は?好きな人はできたのかい?」まただ、この質問、これで何回目だろう?
「うーん、まぁ。想像にお任せするよ。じゃあ私はこっちだから、またねっ。」
「あ!もー。また逃げる。ばいばい、気を付けてね。」
好きな人かぁ..。いないわけではないのだけど…。あ、そういえば、今日は確か金曜日だっけ?画面が今にも分解しそうな勢いで割れてるスマホをポケットから取り出し、日付と曜日を確認する。金曜日だ!あの人に――週に一回しか会えない、私の好きな人にやっと会える日だ。イヤホンを取り出し、重低音がメインの洋楽を流しながら軽いステップを踏んで家に向かう。
―――雨はすでに止んでいた。




