フルグル村にゃん
○フルグル村 エルアナの家
オレたちは村の中の小さな家に案内された。
「ここだよ! ネコちゃんたちも早く! お姉ちゃん、いま帰ったよ!」
エルアナは馬車から飛び降りると家の中に駆け込んだ。
オレたちも後を追う。
ビッキーとチャスの五歳児たちはそれぞれの防御結界で守られているのでウイルス感染は心配ない。
「お姉ちゃん!」
ベッドに寝かされてる娘は十二歳ぐらい。髪の毛がエルアナより色が濃いのは汗に濡れてるからか?
妹の声に反応しない。
衰弱が激しく呼吸も鼓動も弱まっていた。
かなりマズい状態だ。
「ネコちゃん、お姉ちゃんが死んじゃいそうだよ」
「にゃあ、オレに任せるにゃん」
すぐに治癒魔法を使う。エーテル器官に魔力を流しつつダメージの大きい器官を併せて修復する。
呼吸が落ち着き苦しそうな表情からも解放された。
「お姉ちゃん?」
エルアナの声にお姉ちゃんが薄く目が開いた。
「エルアナ、どこに行ってたの?」
「お姉ちゃん!」
エルアナは涙ぐんでお姉ちゃんにすがりついた。
「にゃあ、お姉ちゃんにこれを飲ませるにゃん」
瓶を受け取ったエルアナは姉の頭を抱えて栄養剤の入ったコップを唇に当てた。
少しずつ口の中に流し込む。
「ふぅ、ありがとう」
エルアナのお姉ちゃんは笑みを浮かべた。
「お姉ちゃん、大丈夫なの?」
「うん、もう苦しくないよ、エルアナこそ大丈夫?」
「あたしもネコちゃんたちに治して貰ったの」
「ネコちゃんたちってこの子たちと妖精さんのこと?」
「にゃあ、オレはマコトにゃん、こっちはビッキーとチャスとリーリにゃん」
「「こんにちわ」」
「よろしくね!」
「ありがとうございます、私はエルアナの姉のアルテアです、マコトさんは治癒師様なの?」
「にゃあ、違うにゃん、オレは治癒魔法が使える冒険者にゃん」
「そうなの、ネコちゃんは六歳なのに冒険者なんだよ、自分の魔法馬と馬車まで持ってるんだから」
「魔法馬!?」
「にゃあ、冒険者には必要な装備にゃん」
「マコトさんは、もしかして貴族様ですか?」
「にゃあ、そう言えば騎士だったにゃんね」
「そうだね」
「「ええっ!?」」
姉妹そろって驚きの声を上げた。
「「それと辺境伯様!」」
五歳児たちが補足する。
「辺境伯は大公国の称号だから王国では関係ないにゃん、そんなことよりふたりともまだ完全に治ったわけじゃないから身体を休めなきゃダメにゃんよ」
家全体にウォッシュを掛けてウイルスを一掃した。
「「スゴい!」」
ふたりも一緒に綺麗になって驚いていた。
「にゃあ、村の人たちはどんな感じにゃん?」
「半分以上の人が感染っていたみたいです、いまはもっと多いかも」
お姉ちゃんのアルテアが答えた。
「にゃあ、それは昨日よりも前にゃん?」
「はい、私が感染る前でした」
「エルアナは知らないにゃん?」
「あたしは外に出なかったから」
「にゃあ、それはそれで正解にゃん」
「ふたりとも具合はどうだ?」
ガタイのいいおっさんが扉を開けた。
「にゃ?」
山賊!?
「アルテア、エルアナ、いま薬を分けて貰ったぞ! って、治ったのか!?」
「伯父さん!」
伯父さんか、危なく反射的に電撃をぶっ飛ばすところだったぜ。
「こちらのマコトさんたちが治してくれたの」
「そうなの、ネコちゃんは冒険者で治癒師で貴族様なの」
「冒険者で治癒師で貴族様?」
伯父さんは意味がわからず目をパチクリさせる。
「この子が治癒師なのか?」
「伯父さん、マコトさんは騎士様だから指を指しちゃダメだよ」
「すいません、騎士様でしたか?」
「にゃあ、そうかしこまらなくていいにゃん」
「はあ」
「あたしはもっと偉いけどね」
妖精が話をややこしくする。
「にゃあ、同じ病の村人がいるとアルテアとエルアナのふたりから聞いたにゃん、伯父さんは平気にゃん?」
「え、ええ、俺と嫁さんは何とか動ける様になったが、チビどもはまだ伏せったままでして、薬は飲ませたんだが思わしくなくて」
「にゃあ、わかったにゃん、まずは伯父さんのところに行くにゃん、それから村長のところに案内して欲しいにゃん」
「チビどもを診てくれるのか、いや、ですか?」
「にゃあ、直ぐ行くにゃん」
「おお、わかった、こっちです!」
「にゃあ、アルテアとエルアナは身体を休めてるにゃんよ」
「「はい」」
○フルグル村 エルアナの伯父の家
オレたちは伯父さんの家に案内された。
すぐ隣だけどな。
お隣は爺さんと伯父さん夫婦、チビ×ふたりの五人家族だった。
「おい、治癒師様が来てくれたぞ!」
「本当って、その子たちが治癒師なの!?」
伯母さんも似たようなリアクションだ。
「「治癒師はマコト様です」」
五歳児が訂正する。
「こんなにちっちゃいのに?」
「魔法に大きさは関係ないよ!」
リーリが補足する。
「まあ、妖精さんまで」
山賊みたいな伯父さんと違って伯母さんは美人だった。
聞いたとおり伯母さんも自然治癒した様だ。
「ああ、アルテアとエルアナを治してくれた」
「アルテアちゃんとエルアナちゃんは治ったの? そう、良かった」
「にゃあ、いちばん具合の悪いのは誰にゃん? おチビちゃんたちにゃん」
「実は爺さんもヤバいんだ」
「にゃあ、爺ちゃんにゃんね」
「頼みます」
「こっちよ」
案内されなくても死にゆく人の臭いがする。
爺さんの部屋は薄暗く寒々としていた。
確かにアルテアより悪い。
「にゃあ、すぐに治療するにゃん」
部屋のウォッシュと同時に室内を治癒の光で満たして爺さんのエーテル器官に魔力を注いだ。
「お、おお」
爺さんは直ぐに意識を取り戻した。
重篤な状態だったが治療は簡単な部類だ。
「親父?」
「お、おお、何だ急に楽になったぞ」
ベッドから身体を起こしたが直ぐにふらついた。
「にゃあ、病が治っても体力は落ちたままだから気を付けないとぽっくりにゃん」
「この子は?」
「にゃあ、オレはマコトにゃん」
「親父を治してくれた魔法使いで冒険者で騎士様だ」
「騎士様」
「にゃあ、まだ成り立てにゃん」
「騎士様、チビたちも診てあげて」
「にゃあ、慌てなくても爺ちゃんと一緒に治したにゃん」
「「本当ですか!?」」
夫婦の声が揃う。
「本当にゃん、確認するといいにゃん」
実はチビたちもかなりヤバかったが間一髪で間に合った。
「本当に治ってる!」
チビたちの様子を見に行った伯母さんの声がした。
「にゃあ、爺ちゃんとチビたちは栄養を取って身体を休めなきゃダメにゃん」
「ありがとう、マコト様、恩に着る」
「にゃあ、次は村長のところに頼むにゃん」
「村長のところだったな、直ぐに案内するぞ」
○フルグル村 村長宅
伯父さんも馬車に乗せて案内してもらったフルグル村の村長の家では、使用人も含めて家人全員がダウンしていた。
直ぐに屋敷の中の全員を治療する。
ビッキーとチャスも覚えたてのウォッシュを連発する。
生活魔法と防御系は魔力を消費しない方法を伝授してある。
村長に栄養剤を飲ませてシャッキっとさせた。
六〇すぎの村長にはこのインフルエンザみたいな病はダメージが大きかった様だ。
「助かりましたマコト様」
「にゃあ、村長には村の中を効率的に回る道を教えて欲しいにゃん」
「だったら俺が案内します」
フラフラ出て来たのは村長の息子だった。こちらは二〇代後半の青年だ。まだ青白い顔をしてるが病魔は去った。
「大丈夫にゃん?」
「問題ありません」
「にゃあ、わかったにゃん、行くにゃん、その前にこれを飲むにゃん」
村長の息子も栄養剤でしゃっきりさせた。
○フルグル村 村内
「馬車で走ったまま家の外から魔法を掛けるにゃん」
「走ったままですか?」
「そうにゃん、一軒一軒訪ねて治療するのは時間が掛かり過ぎるにゃん、いまは効率重視で行くにゃん」
「わかりました、だったら俺が馬車を走らせます」
「にゃあ、頼むにゃん」
村長の息子に御者を任せてオレたちは走る馬車から魔法を使った。
オレは治癒魔法、ビッキーとチャスの五歳児たちにはウォッシュを掛けてもらった。
リーリは栄養ドリンクを飲んでる。エネルギッシュな妖精になるにゃんね。
「皆さんスゴい魔力ですね」
「にゃあ、オレたちはちょっとだけ他の人より魔力が有るにゃん」
エーテルを直接魔力に変換してるなんて種明かしはしない。
「流石、騎士様です」
「にゃあ、オレのカードも見ないで信用していいにゃん?」
「これだけ魔力がある人だったら、子供でも只者ではないでしょう?」
「にゃあ、この前まではただの魔法が使える冒険者だったにゃん」
「強力な魔力を持つ魔法使い自体が少ないですからね、いたとしても王都に行くでしょうから」
「魔法使いは誰もが宮廷魔導師を目指すものにゃん?」
「後は貴族のお抱え魔導師ですね、マコト様は目指さないのですか?」
「にゃあ、オレは宮仕えより気ままな冒険者稼業が性に合ってるにゃん」
「冒険者が気楽というのも豪気ですね」
「慣れの問題にゃん」
一時間ほどでフルグル村の三つある集落を回った。
「これで全部です」
「にゃあ、この村の他に同じ病気になってる人はいるにゃん?」
「いえ、俺が知ってる限りはないです、月に一度来る紙問屋の人は幸いまだですし、オパルスから治癒師の方には来ていただきましたが、まさか感染りはしないでしょう」
治癒師だったら防御ぐらいはしてるはずだ。
「オパルスに治癒師を呼びに行った以外は誰も来てないし外にも出てないにゃんね?」
「病が流行りだしてから時間がたってませんから、私が知る限り外との接触はないと思います」
「にゃあ、だったら心配はないにゃん」
例え感染者が出てもオパルスなら治癒師がいるだろうから何とかするだろう。
「マコト様、治療費はいかほどでしょうか?」
「にゃ?」
「直ぐにお支払したいのはやまやまですが、フルグル村では細々と紙と小麦を作ってるだけなので直ぐに全額はお渡しできないかもしれません」
「にゃあ、要らないにゃんよ」
「えっ、あのそれはいったいどういう?」
「オレの本業は冒険者だから、治癒師では金を取ってないにゃん」
「いえ、しかしそういうわけには、とにかく父と相談しますのでお待ち下さい」
「にゃあ、それより村の人たちにまだ具合が悪い人がいないか聞いて回って欲しいにゃん」
「わかりました」
○フルグル村 村長宅
村長の屋敷に戻って、オレたちは応接室に通されお茶をいただく。お菓子は自分で出した。
その間に伝令が走って、村の家々を確認してもらった。
ゴーストタウンの様に静まり返っていた村が少しずつ賑やかになってくる。
「おかげさまで皆、元気を取り戻しました」
村長が出て来て調査結果を教えてくれた。
「特に問題はないにゃんね」
「はい、確認したところいずれも問題はないとのことでした」
「にゃあ、それは良かったにゃん、オレたちも一安心にゃん」
「改めましてお礼を申し上げます」
「にゃあ、これも何かの縁にゃん」
「息子から聞きましたが、礼は無用と仰ったとか?」
「にゃあ、治癒魔法では金は取らないにゃん」
「いけませんマコト様」
「にゃ?」
「これだけのことをなされて何も報酬を得ないのは厄介ごとの種になります」
「にゃ、そうにゃん?」
「ええ、間違いなくマコト様を利用しようとする輩が群れをなして現れます」
「にゃあ」
数人の顔が浮かんだ。
「そうにゃんね、変なのが他の人に迷惑をかけたらオレも困るにゃん」
「私も偉そうなことを申しましたが、お恥ずかしながらない袖は振れない状態でして」
村長が善人なのはわかった。
「にゃあ、落とし所の難しい問題にゃんね」
相手が金持ちなら適当な金額をもらって帰るのだが、見たところ何もない。
「何か差し上げられるモノがあれば良かったのですが」
村長さんが無理をする前にオレからリクエストした方が良さそうだ。
ここで作ってる紙とか大量にもらっても使いみちがないし、この村の現金収入を奪うことにもなる。
「にゃあ、だったら壊れた魔法馬とか有ったら欲しいにゃん」
「壊れた魔法馬ですか?」
「にゃあ、自壊して刻印の打ち直しが出来なくなった奴にゃん」
「そんなものをどうされるんですか?」
「にゃあ、魔導具研究の一環にゃん、刻印を読み取ったりいろいろ役に立つにゃん」
「なるほど、魔法使いのマコト様なだけはありますな、それにしても壊れた魔法馬ですか」
ここには魔法馬の残骸もないのか?
「親父、魔法馬の残骸だったら馬井戸に埋まってるのがそれじゃないのか?」
「馬井戸にゃん?」
「私の祖父の代に調査に来た王宮のお役人が『大昔の人が使えなくなった魔法馬を捨てた場所だろう』と仰っていたとか」
「にゃあ、それって遺跡と違うにゃん?」
「いえ、使える物がないので遺跡ではないそうです」
「にゃあ、そう言うものにゃんね」
オレの知ってる遺跡とは定義が違うらしい。
「ちゃんとした遺跡でしたらこの辺り一体も栄えていたでしょうね」
「そうにゃん?」
「遺跡から掘り出されたモノは高額で取引されますから皆、豊かになるのです」
「にゃあ、それは惜しかったにゃんね」
「世の中そう上手く行かないものです」
「マコト様、今日は我が家にお泊り下さい、明日、馬井戸にご案内しますので」
「にゃあ、オレたちは枕が変わると眠れないので裏庭を貸してくれればいいにゃん」
「裏庭ですか?」
「にゃあ、オレたちは小さな家を持ち歩いてるにゃん」
「家ですか?」
「私は驚きませんよ」
息子が頷く。
「にゃあ、何か用事が有ったら呼んでくれていいにゃん」
「お心遣い感謝いたします」
村長親子が丁寧にお辞儀してくれた。
「親父、それじゃ俺はこれから州都に行ってくる、明日の夜までには戻れるはずだ」
「済まないが頼む」
「にゃあ、いまから夜通し走るにゃん?」
「ええ、実は誰も買い出しに出られず村の食料が底を突きそうな有り様でして、これから息子に行かせるのです」
「村の人たちの分にゃんね」
「そうです、この様な非常時には村の備蓄を解放するのが仕来たりなものですから」
「にゃあ、だったら獣の肉と小麦で良かったら売るほど持ってるから分けてもいいにゃんよ」
「「本当ですか!?」」
「にゃあ、いまからあわてて買い出しに行かなくても足りるはずにゃん」
「是非、お願いします、もちろん買わせて頂きますので」
「にゃあ、わかったにゃん、何処に出せばいいにゃん」
「こちらの食料庫でお願いします、済まないがおまえたちはまた村の者たちに連絡してくれないか?」
村長が使用人たちに指示を出すと、伝令役がすぐの村長の家を飛び出した。
「こんなによろしいのですか?」
倉庫に小麦粉の袋を積み上げた。肉は状態保存の魔法を掛けてある保存庫に並べる。
「にゃあ、オレは冒険者なので肉は幾らでも手に入るにゃん、小麦は大公国の領地で栽培してるにゃん」
オレの手持ちは地下農場で魔法蟻を使って栽培したものだけどな。
「助かります、一度にこれだけの量を仕入れるのは骨ですから」
息子にも感謝される。
食料は村長のところから分けられて各家庭に配給されるそうだ。
○フルグル村 村長宅 裏庭 ロッジ
オレたちの仕事は終わったので村長の屋敷の裏庭にロッジを出した。
ビッキーとチャスは疲れていたのか、夕ご飯を食べるとすぐにソファーで寝てしまう。
「ふたりとも今日は大活躍だったにゃんね」
いつものようにふたりをゴーレムにベッドまで運ばれて行った。
「マコト、お客さんだよ」
「にゃ?」
「ネコちゃん」
エルアナとアルテアの姉妹が外からこちらを覗き込んでいた。
「にゃあ、どうしたにゃん?」
入口を開けてふたりを招き入れた。
「伯父さんにネコちゃんたちが村長さんのお庭にいるって聞いたから」
「あらためてお礼に来ました」
「「ありがとうございました」」
「にゃあ、そんなにあらたまられるとオレが緊張するにゃん」
「こっちに来ておやつでも食べたら?」
テーブルの上でリーリが手招きする。
「「おやつ?」」
エルアナとアルテアの声がそろう。
「にゃあ、ふたりとも夕ごはんは食べたにゃん?」
「まだですけど」
お姉さんのアルテアが答えた。
「にゃあ、あり合わせで良かったら食べて行くといいにゃん」
「いいんですか?」
「にゃあ、いいにゃんよ、いっぱい食べて体力を取り戻すにゃん」
あり合わせといえばハンバーガーだ。
テーブルに載せたハンバーガーをリーリと一緒にむしゃむしゃ食べるエルアナとアルテア。
リーリ?
さっき夕食を食べたはずだが。
「美味しい?」
リーリがふたりに訊く。
「うん、美味しい!」
「とっても美味しいです!」
「にゃあ、それはよかったにゃん」
ポテトとジュースも出す。
「このお家ってネコちゃんのなの?」
エルアナがジュースを飲んで一息ついてから聞いてきた。
「にゃあ、そうにゃん」
「ねえ、お姉ちゃんあたしの言ったとおりだったでしょう? ネコちゃんはすごい魔法使いなんだからお家だって出せるんだよ」
勝ち誇るエルアナ。このロッジについて姉妹で意見が違っていたようだ。
「う、うん、信じられないけどそうなんだね」
姉のアルテアが改めてロッジの中を見回す。掘りごたつのテーブルはこっちの人には受けがいまひとつなので普通のテーブルと椅子に取り替えてある。
「にゃあ、オレはこのロッジを持ち歩いてるにゃん、プリンキピウムの森は危険だからこれぐらい頑丈なのが必要にゃん」
「プリンキピウムの森って魔獣が棲んでるんですよね、マコトさんはそんなところにも行ってるんですか?」
アルテアの中でプリンキピウムの森と魔獣の森がごちゃまぜになってるみたいだ。
フルグル村はオパルス寄りでプリンキピウムからはちょっと離れてるから、組織に属していない一般人の知識はそんなものなのかも。
一般人からすると特異種も魔獣も危険度に変わりないか。
「にゃあ、プリンキピウムの森はオレの狩場にゃん」
「プリンキピウムの森には、魔獣はいないから安心していいよ」
リーリが訂正してくれる。
「にゃあ、ふたりとももう遅いから今夜はここに泊まって行くといいにゃん」
エルアナとアルテアの家は村長の家から徒歩で十五~六分の場所にある。危険てことはなさそうだが、念には念を。
それに治癒効果のあるベッドで今晩は寝てもらいたい。
「いいんですか?」
「にゃあ、その方がオレも安心にゃん」
「だね」
リーリも同意した。
一緒にお風呂に入るのが目的じゃないにゃんよ。




