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帰還するにゃん

 ○帝国暦 二七三〇年〇六月二四日


 ○フルゲオ大公国 首都ルークス郊外 集積場


 翌朝、オレはこれから引き返す騎士たちを見送り、リーリを連れて一足先に空を飛んでプロトポロスに向かうことにした。

「マコト様!」

 またレオンに泣かれたが、今度会う時は立派な領主になって欲しい。レオンなら大丈夫なはずだ。

「にゃあ、頼みがあるにゃん」

 ついでに近くにいた宮廷魔導師の面々にレオンの領地のインフラ整備を頼んだ。

「対価は聖魔法の伝授でどうにゃん?」

「「「承知したでござる」」」

 額をくっつけようとしたら、どいつもこいつも唇を突き出してきたので、片っ端から鼻に指を突っ込んで伝授してやった。

「「「拙者、たまらず昇天!」」」

 ヤツらは鼻血を流しながらも喜んでたから負けた気分がした。



 ○フルゲオ大公国 西方 上空


 そんなわけでシナシナになりながらも飛翔する。

 空を飛べば、オレの馬車でも三泊四日かかる行程がたった半日になる。

「にゃーん」

 リーリを頭に乗せて加速する。

「おお、前よりスピードが出てるね!」

「にゃあ、飛翔のコツが掴めたのと防御結界の形を変えて風圧を調整したのが功を奏したにゃん、ドラゴンにも教えるにゃん」

 その場でドラゴンゴーレムを再生して背中に乗った。

 風の抵抗を減らす前からかなりの速度が出る。

「オレよりドラゴンゴーレムの方が速いにゃん」

「そうだね」

「にゃあ、これで誰も怖がらなければ実用的なのに残念にゃん」

「何処からどう見てもドラゴンだもんね」

 一般の領民が予備知識なしにドラゴンゴーレムを見たらパニック間違いなしだ。

「にゃあ、認識阻害が必須にゃんね、最初からドラゴンゴーレムの防御結界に組み込むにゃん」

「それが面倒がなくていいね」

 ドラゴンゴーレムの中の魔法式をちょこちょこっと弄る。

「出来上がりにゃん」

 防御結界に認識阻害の効果がプラスされた。これで一般人にはまず認識されない。そして風の抵抗も減って速度が上がった。

「これで普段使いできるドラゴンゴーレムにゃん」

「何処でも乗って行けるね」

「にゃあ」

 馬車の旅も面白いが、遠く離れた場所に急行する場合は便利だ。

「魔法蟻のトンネルも早く試したいね」

「アレはかなりの速度が出る上に大量の物資を運べるにゃん」

 鉄道的な使い方ができる。

「マコトが運べばドラゴンゴーレムも変わらないんじゃない?」

「そうにゃんね、でもトンネルはオレがいなくても魔法蟻が運んでくれるから便利にゃんよ」

「小麦を運ぶんだね、焼き立てのパンが食べたいね」

「にゃあ」

 リーリに焼き立てパンを出してやる。

「トンネルの存在はオレたちだけの秘密だから、他の人を連れての急ぎの移動はドラゴンゴーレム一択にゃんね」

「何で秘密なの?」

「他人様の領地の下を勝手に通ってるからにゃん」

「五月蝿いことを言って来たらぶっ飛ばしちゃえばいいよ」

「にゃあ、それはそれで面倒にゃん、黙ってるのがいちばんにゃん、リーリも言っちゃダメにゃんよ」

「わかってるよ、わかってるからジャムをちょうだい」

「にゃあ」

 リーリにイチゴジャムの入った瓶を渡した。



 ○フルゲオ大公国 ドクサ州 城塞都市プロトポロス 屋上


 プロトポロスの城の屋上のヘリポートの様な場所にドラゴンゴーレムを着陸させてから消した。

「到着だね」

「予定よりも少し早く着いたにゃん」

 午前中に到着するとは思ってなかった。

 予想以上に魔法の改良が効いたみたいだ。

「「マコト様!」」

 ビッキーとチャスのふたりが駆け寄ってくる。

「にゃあ」

 ひしっと抱き着くふたり。

「ただいまにゃん、いい子にしてたにゃん?」

「「はい」」

 ふたりの頭を撫でる。

 最近気付いたのだが、オレより五歳児ふたりの方がちょっとでっかい。

 耳を含めればオレの方が大きいけど。

 やはりオレは六歳児としては小さいのか?

「マコト様、わたしたち探査魔法が使えるよ」

「にゃ、ビッキーはもう魔法を覚えたにゃん?」

「わたしも使える」

「にゃあ、チャスもにゃん、それはスゴいにゃん」

「カティ先生がいっぱい教えてくれたの」

「マコト様が帰って来たのもわかったよ」

「にゃあ、それで直ぐに来てくれたにゃんね」

「いきなりマコト様の反応がしたからびっくりしたの」

「うん、びっくり」

「にゃあ、プロトポロスの近くまで認識阻害を使ってたからにゃんね」

「「にんしきそがい?」」

「簡単に言うと姿を見えなくする魔法だね」

 リーリが解説する。

「「スゴい!」」

「他にどんな魔法を覚えたにゃん?」

「「かくのう!」」

「にゃあ、格納魔法を覚えたにゃん、偉いにゃんね」

 ふたりの頭を撫でた。

「マコト様、ご帰還お疲れ様であります」

 少し遅れ駆け付けたルチアが敬礼する。

「にゃあ、いま戻ったにゃん、こちらは変わりないにゃん?」

「予定通り、小麦を積んだ第二陣も今朝出発いたしました、馬車の御者はご指示どおりゴーレムに替えましたが特に問題はございません」

 最大の懸念だったクルスタロスが落ちたことから、騎馬のみ騎士を使い馬車はゴーレムに任せる編成に変えた。

「にゃあ、それは何よりにゃん」

 プロトポロスも順調に運営されていた。

「お昼ごはんの時間だよ!」

 リーリにせっつかれてその場にいた全員が大食堂に向かった。



 ○フルゲオ大公国 ドクサ州 城塞都市プロトポロス 大食堂


 昼食は最初から最後まですべてゴーレムたちが作ったものだが、リーリも十分満足できる出来だった。

 大盛りのチャーハンを三回もお代わりしていた。

「にゃあ、明日は一気にオパルスに帰るにゃん」

「「「はあ?」」」

 ラルフにアレシアにチャドが気の抜けた声を出す。

「マコトさんは、明日一日でオパルスに帰ると仰るのですか?」

 カティだけが確認する。

「にゃあ」

「直接アルボラに入れるとは言え、急いでも七~八日は掛かる距離だぞ」

「遂に瞬間移動の魔法を使うんだな?」

 チャドが真面目な顔でわけのわからないことを言う。

「にゃお、そんな魔法は存在しないにゃん」

「飛んで行くんだよ」

「「「飛んで行く!?」」」

 リーリの解答に顔を見合わせるラルフとアレシアとチャドにカティ。

「ああ、大公国の宮廷魔導師な」

「えっ、あの人たちと飛ぶの?」

 アレシアが嫌そうな顔をするが、大丈夫だヤツらの興味はそこにはない。

「違うよ」

 リーリが否定した。

「にゃあ、別に無理には誘わないにゃん、馬車で帰ってもいいにゃん」

「いや、俺はマコトと一緒に帰る」

 チャドが最初に手を挙げた。

「俺たちも同行する」

 ラルフとアレシアも手を挙げた。

「にゃあ、カティはどうするにゃん?」

「わ、私ももちろん同行いたします」

「だったら決まりにゃんね」



 ○フルゲオ大公国 ドクサ州 城塞都市プロトポロス 領主執務室


 昼食の後はキュカとファナに会った。

「にゃあ、ルチアから聞いてるにゃん、ふたりはここに残りたいにゃんね?」

 昨夜、念話を使ってルチアにキュカとファナの希望を確認して欲しいと相談しておいたのだ。

「はい、ルチア様のお手伝いをさせて頂きたいのです」

「奴隷の身でありながら分不相応なことをお願いして申し訳ありません」

 ふたりは深々と頭を下げた。

「にゃあ、奴隷は犯罪奴隷以外は禁止になったにゃん、だから奴隷については気にしなくていいにゃんよ」

「そうですが」

「マコト様に忠誠を誓ったばかりですし」

「にゃあ、ルチアはオレの部下にゃん、そのルチアを助けてくれるならふたりの忠誠心には何のゆらぎもないにゃん」

「では、よろしいのですか?」

「にゃあ、もちろんにゃん、キュカとファナでルチアを盛り立てて欲しいにゃん」

「「かしこまりました」」

「にゃあ、ふたりをドクサの執政官秘書に任命するにゃん」

「「拝命いたします!」」

 その敬礼はルチアに習ったにゃん?



 ○フルゲオ大公国 ドクサ州 城塞都市プロトポロス 城内


 既にルチアを通して報告されていた城の不具合は遠隔で修正してある。

 それを実際に確かめる為にリーリと一緒に城の中を飛び回る。

 屋内を飛ぶなんて天井が高いからできる芸当だ。

 城の中では少女騎士たちがカートで走り回っていた。

「にゃあ、まだ数日なのに皆んなここでの仕事に慣れて来たにゃんね」

「そうだね」

 騎士たちは、魔導具も使いこなしてるしゴーレムたちとも上手く連携している。もともと優秀な娘たちなのだ。


「修正箇所は、どこも問題ないにゃんね」

「問題はあるよ」

「にゃ?」

「おなかが空いた問題だよ」

「にゃあ、おやつだったら大食堂に用意してるにゃん」

「だったら問題なしだね、お先に!」

 リーリはオレから離脱して大食堂に飛んで行った。


 オレは自分で見付けた邪魔くさい壁を何枚かぶち抜いた。

 各所に可動式の防壁が隠されてるので後で困った展開になることはないだろう。

 オレの騎士たちを守るのに手抜きは一切無しだ。



 ○フルゲオ大公国 ドクサ州 城塞都市プロトポロス ペントハウス 露天風呂


 夜は皆んなが一緒にお風呂に入りたいと言うのでペントハウスのジャグジーを拡張して大きな露天風呂を作った。

 城にいる女子全員を招待してある。

「にゃあ、ここはいつでも使える様にしたから、仕事の合間に利用してもらっていいにゃんよ」

「ペントハウスもですか?」

「にゃあ、好きに使っていいにゃんよ」

「「「ありがとうございます!」」」

 アレシアとカティも招待してある。

「ネコちゃんとお風呂に入るのも今夜が最後なのね」

 名残惜しそうなアレシア。

「私はお風呂自体が最後だと思います」

 カティは悲しそう。

「ウォッシュだけなのは女子としてどうかと思うにゃん」

「い、いいえ、ちゃんとシャワーは浴びてます!」

「にゃあ、いい心がけにゃん」

「臭うと獣が寄って来ますから、消臭は基本です」

「にゃあ、するとプリンキピウムのおっさんどもはわざと臭くしてるにゃんね」

「そうかもしれませんね」

「意外と考えてるにゃん」

「いや、絶対それは違うと思うけど」



 ○フルゲオ大公国 ドクサ州 城塞都市プロトポロス ペントハウス


 お風呂の後は、ビッキーとチャスと一緒にペントハウスのベッドに入る。両側からぴったりくっついていた。

 ふたりはオレの手をギュっと握っている。

「明日は、一日じゅう飛んでるから今夜は早く寝るにゃん」

「マコト様、わたしたちも一緒に行っていいの?」

 ビッキーが心配そうに聞いた。

「行きたい」

 チャスも小さな声で言った。

「にゃあ、ちゃんとふたりともプリンキピウムの街に連れて行くにゃん」

「プリンキピウム?」

 チャスが問いかける。

「にゃあ、プリンキピウムにゃん、そこにはビッキーとチャスぐらいの子たちが一緒に暮らしてるにゃん」

「奴隷の子?」

「違うにゃん、王国には子供の奴隷はいないにゃん」

 孤児の悲惨さは奴隷と大差ない現状ではあるが。少なくともプリンキピウムの孤児院は違う。

「皆んなで勉強したり遊んだりご飯やおやつを食べたりするにゃん」

 オレのおなかの上でリーリがもぞもぞした。ご飯かおやつのいずれかもしくは両方に反応したらしい。

「まずはプリンキピウムに着いたら連れて行くから自分の目で確かめるといいにゃん、きっと楽しい場所になると思うにゃん」

「「楽しい?」」

 ふたりは楽しいという感覚をいまひとつ理解できてなかった。

「にゃあ、プリンキピウムに着いたらわかるにゃん」

 置いていかれるのを心配していたらしいビッキーとチャスは安心した途端、寝息を立て始めた。

 手はギュっと繋いだままだ。

 この国のすべての子を救うなんてことはできないけど、ビッキーとチャスのふたりぐらいは幸せにしてやりたい。

 そんなことを考えながら目を閉じた。



 ○帝国暦 二七三〇年〇六月二五日


 翌朝、目を覚ますとビッキーとチャスがそれぞれオレの手を抱え込んだまま眠っていた。可愛いのはいいのだけど動けない。

「ビッキーとチャスもマコトがいないと寂しくて仕方ないんだね」

 先に起きていたリーリはテーブルでお菓子を食べていた。

「にゃあ、だからプリンキピウムの孤児院に連れて行くにゃん、そこでもっと世界を広げて欲しいにゃん」

「マコトは面倒見がいいね」

「にゃあ、オレの感覚だと普通にゃんよ」

 ふたりが目を覚ました。

「おはようにゃん」

「「おはようございます」」

「顔を洗って着替えたら朝ご飯に行くにゃん」

「「「はい!」」」

 リーリも元気に返事をした。



 ○フルゲオ大公国 ドクサ州 城塞都市プロトポロス 大食堂


 大食堂では騎士たちが待っていた。

「マコト様、これから帰られるのですか!?」

 あっという間に騎士たちが周りに集まった。

「そんな」

「帰っちゃダメです」

「まだ、ここにいてください!」

 皆んな涙を浮かべてる。

 抱き上げられてギュっとされた。熱い涙がオレにもしたたり落ちた。

「みゃあ」

 オレも泣けて来た。

「おまえたち、マコト様に無理を言うんじゃない」

 今度はルチアに抱っこされた。

「申し訳ありませんマコト様、小官が至らぬばかりに」

「にゃあ、そんなことないにゃん」

 涙を拭った。

「「マコト様!」」

 ビッキーとチャスがルチアの足にすがりついて心配そうにオレを見上げていた。

「おまえら、マコトは魔法はスゴいがまだ六歳なんだぞ、どこまで頼るつもりだ。ここは笑顔で送り出してやるところだろう」

 チャドがたまにもっともなことをいう。

「「「……」」」

 シュンとしてうつむく騎士たち。

「にゃあ、ルチアは皆んなに念話のこと話してないにゃん?」

「も、申し訳ございません! 失念しておりました!」

「にゃあ、だったらオレから説明するにゃん」

 念話に切り替える。

『にゃあ、オレから騎士の皆んなに貸与した魔法馬の機能で、念話が使えるようになったにゃん』

「えっ、いまのマコト様の声は?」

『にゃあ、念話にゃん』

「「「念話!?」」」

『にゃあ、同じ魔法馬を持ってる者同士の間で念話が可能にゃん、オレとも念話ができるにゃん』

「「「本当ですか!?」」」

『試してみるといいにゃん』

『『『マコト様!』』』

『にゃあ、聞こえたにゃん』

「スゴい!」

「魔法使いになったみたい」

「私たちと同じ魔法馬を持ってるなら誰とでも念話ができるの?」

「いつでもマコト様とお話できるってこと?」

「いいけど、緊張する」

 緊張するほど大したもんじゃないにゃんよ。

「静かに!」

「「「……」」」

 ルチアの声に騎士たちが静かになった。

「マコト様との念話を希望する者は、あらかじめ私と所属する小隊の隊長の許可を取ること」

「「「はい!」」」

 ビシっと敬礼した。

「にゃあ、そういうわけだからオレたちの間に距離は関係ないにゃん、ルチアももう下ろしてくれていいにゃん」

「失礼しました」

 ルチアもオレを下ろしてからビシっと敬礼した。


 朝食の後、改めて騎士たちそれにキュカとファナに別れを告げた。

 今度は一人ずつハグされたけど、もう涙はなかった。

 キュカとファナは大泣きしてたけど。

 それとおっぱいに埋もれてちょっと危なかった。

「「マコト様!」」

「ぷは、にゃあ、ふたりが初めて自分たちの意思で決めたことにゃん、大丈夫にゃん、きっと上手くやれるにゃん、もしダメだったらオレが助けにくるにゃん」

「「マコト様!」」

 今度は更に危なかったがルチアが助けてくれた。ちょっとぶらんとなったにゃん。


「「「マコト様! ありがとうございました! お帰りをお待ちしています!」」」

「にゃあ、そのうちまた帰って来るにゃん!」



 ○フルゲオ大公国 ドクサ州 城塞都市プロトポロス 屋上


 騎士たちに見送られ、オレはラルフたちを連れてヘリポートの様な屋上の張り出しにやって来た。

「にゃあ、ビッキーとチャスはそんなにくっつかなくても大丈夫にゃん」

「キュカお姉ちゃんとファナお姉ちゃんは、置いて行っちゃうんでしょう?」

「にゃあ、置いていくんじゃなくて、キュカとファナは自分から残るって言ったにゃん、ビッキーとチャスはちゃんとプリンキピウムに連れて行くにゃん」

「「本当に?」」

「にゃあ、本当にゃん」

「「マコト様!」」

 さっきよりもしっかり抱き付かれた。

「にゃあ」

「今日は諦めてふたりの好きにさせておくんだな」

 チャドが達観したような表情を浮かべた。

「そうにゃんね、飛んで帰るだけだからこのままでもいいにゃん」

「マコト、ドラゴンとお弁当出して」

 ドラゴンゴーレムはいいとして、弁当はまだ早い様な気がするが。

「にゃあ、出すにゃん」

 ドラゴンゴーレムとお弁当の入ったバスケットを出した。

「「「ドラゴン!?」」」

 冒険者ギルド組が驚きの声を上げた。

「これは、ドラゴンゴーレムにゃん」

「こ、これも城の付属品なんですか?」

 カティはまだ顔が驚いたままだ。

「にゃあ、こいつはプリンキピウムの森で拾ったにゃん」

「ネコちゃん、こういう危ないものはちゃんと冒険者ギルドに報告してくれないと」

 アレシアが難しい顔をしてる。

「にゃあ、未完成品の暴れるドラゴンゴーレムを冒険者ギルドのカウンターに出したら大惨事にゃん」

「だよな」

 ラルフが肩をすくめる。

「にゃあ、こいつは最近やっと完成させたにゃん、でも、他の人には内緒にゃんよ」

「マコト、このドラゴンにそんなに乗れるのか?」

「にゃあ、チャドにしては鋭いにゃん、そうにゃんね、乗れないことはないけどちょっと窮屈にゃん」

 ドラゴンゴーレムの防御結界があるから間違って背中から転げ落ちる心配はない。

「だからドラゴンゴーレムを増やすにゃん、にゃあ!」

 もう二体のドラゴンゴーレムを再生した。

「にゃあ、最初のドラゴンゴーレムにオレたちが乗るにゃん、ラルフたちは好きに乗っていいにゃんよ」

 ラルフとチャドが二番目、アレシアとカティは三番目のドラゴンゴーレムに乗った。

「お弁当も渡しておくにゃん」

 お弁当のバスケットも追加で二つ出してそれぞれ渡した。

「にゃあ、出発にゃん!」

 三体のドラゴンゴーレムが飛翔する。



 ○フルゲオ大公国 ドクサ州 城塞都市プロトポロス 上空


「「「マコト様!」」」


 中庭から騎士たちが手を振ってくれる。

 ルチアとキュカとファナは塔から手を振ってくれた。


「にゃあ! またにゃん!」


 オレも手を振った。

 今度はオレがちょっと泣いちゃったにゃん。


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