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クルスタロスの戦いにゃん

 ○フルゲオ大公国 クルスタロス州 州道


 小麦粉の袋を満載した馬車一〇台と騎馬二〇騎、そして先頭を行くオレの魔法馬。領主の居城に続く州道をパカポコ進む。

 この戦力でクルスタロスの領主の城に攻め込むのが次のフェーズだ。いくら大公国の貧乏領地に攻め込むにしても少なすぎる兵力なのはわかってるので防御結界は厚く設定している。

 敵もまさか、小麦粉の輸送班に兵士たち全員が囚われてると思ってないらしくバリケードも何も用意されてなかった。

 それでも見張りがいたので、片っ端から電撃を浴びせた。

「マコト様、何故、全裸にするのですか?」

 セレナからごもっともな質問を受け取った。身体は大きくともそこは十四歳の乙女なだけあって、殿方のあられもない姿に頬を赤く染めている。

「……」

 クールビューティーなカリーヌはオレの視線に気づくとプイと横を向いた。こちらも頬に紅がさしてる。

 乙女たちには刺激が強かったか?

「にゃあ、武器を持ってたら危ないから全部没収しただけのことにゃん、例え目が覚めても全裸じゃ直ぐに反撃も無理にゃん」

「普通は気が付いて裸だったらびっくりして逃げますよね」

「にゃあ、それに没収した衣服も修復して売るといい儲けになるにゃん」

「それは有効な活用法ですね」

 セレナは深くうなずいた。



 ○フルゲオ大公国 クルスタロス州 領主居城前


 パカポコゆっくりした歩みで、オレたちはクルスタロスの領主ディエゴ・バンデラスが住まう居城の前に到着した。

 居城は石造りのかなり古い城塞だ。大きさはそれほどでもなく完全に戦うための城で、居住性はいまいちっぽいし、陰気な雰囲気でお化けが出そうだ。

 古くて陰気でも防御結界はかなりのもので、これなら死霊にたかられても被害は出さずに済んだと思われる。でも修理中みたいだ。

「「「敵襲!」」」

 城の見張りは倒してないのでドタバタ慌ただしくクルスタロスの兵士たちが迎撃の体勢になった。


『にゃ~こちらはドクサ領の領主マコトにゃん、クルスタロスの領主に告ぐ、三秒以内に降伏しなければぶっ放すにゃん』


 風に声を載せて城内にいる人間に降伏勧告を行った。

「「「早っ!」」」

 身内から突っ込まれた。


『にゃあ、一、二』


 先にディエゴ・バンデラスの居城から発砲があった。あまりいい銃は持たされてないらしく城の銃眼から撃ってくるが大半がまっすぐ飛ばずに外れ、運良く届いた弾丸も防御結界に軽く弾かれる。


『三! こちらも気絶なしの全裸モードで反撃にゃん!』


 二〇人の騎乗の騎士がオレの指示で銃を撃った。

 あっという間に石壁に穴が空き素っ裸の男女が多数飛び出して来た。全裸にするだけで気絶させないのは回収が面倒だからだ。外まで自分の足で出て来てもらう。

「にゃあ!」

 素っ裸で出て来たところを電撃で気絶させる。

 それも数分で誰も出て来なくなった。

「にゃあ、撃ち方、止めにゃん!」

 城の外壁には小さな穴がいくつも空いている。分厚い石材だろうが、オレたちの銃で穴が空かないのは人体だけだ。

「出て来ないね」

 リーリがオレの頭の上から様子を伺う。

「にゃあ」

 オレも鞍の上に立って背伸びした。

「お気をつけ下さいマコト様」

「まだ、バンデラス男爵の姿が見えません」

 セレナに心配されカリーヌから報告を受ける。

「にゃあ、そうにゃんね」

 クマに形容されるほどの巨漢ディエゴ・バンデラスに該当する人物はまだ外に出て来てない。

「城内にはまだたくさんの人間が隠れてるにゃん」

 全裸で。

「にゃあ、次は気絶なしの激痛弾に変更にゃん」

 オレの騎士たちは銃のモードを切り替えた。

 今度のは撃たれると全裸+激痛が走る。

 気絶するよりヤバいにゃんよ。

「撃ち方、始めにゃん!」

 二〇騎の騎士がフルオートでバンデラス男爵の居城に弾丸を撃ち込んだ。


「「「ぎゃああ!」」」


 複数の悲鳴を確認。

「にゃあ、全員出て来るまで撃ち続けるにゃん、特にこことここにゃん」

 オレは人が隠れている場所の表側の壁に光の輪でマーキングした。


「「「ぎゃああああああああ!」」」


 おお、さっきよりも大きな悲鳴だ。

 動き回る人間の位置に合わせてマーキングをずらす。

 遂に裸の男女が飛び出してきた。

 直ぐに電撃の餌食だ。


「にゃあ、問題のディエゴ・バンデラスのおっさんはいたにゃん?」

「いないようです」

「こちらにもいません」

 オレの騎士たちが気絶してる男女を検分したがそれらしい人物は見当たらなかった。

 クマのような大男だそうだから、まず見間違えることはない。

「ディエゴ・バンデラスは、不在かと思われます」

 セレナが最終報告をした。

「了解にゃん、いなければいないで問題ないにゃん」

 ざっくり魔法で探査したがパッセルの市庁舎といい、この城といい地下に拷問部屋を作る決まりでもあるのか?

「にゃあ!」

 誰もいなくなった居城を分解して更地にした。

「賠償金がわりにもらっておくにゃん」

 ゴーレムを使って素っ裸で倒れてるヤツらをその場で作った牢屋に入れた。

 大部分が兵士で全部で二〇〇〇人ちょっと。

 全員が悪いヤツじゃないだろうが、犯罪奴隷落ちを免れないのもかなりいそうだ。

 領主の威を借りて好き放題やったツケは払ってもらう。

「にゃあ、魔法馬が一〇騎こっちに来るにゃんね、全員、騎乗にゃん!」

 少女騎士たちを馬に乗せた。

「やっとバンデラス男爵の登場にゃん」

 先頭のクマみたいな男がディエゴ・バンデラス男爵で間違いあるまい。

 なるほど伝え聞いた通りクマだ。

 その後ろに続く九騎は、これまでの盗賊だか山賊みたいなヤツらと違ってちゃんと騎士っぽい格好をしている。

 お気に入りの腰巾着ってあたりか。


「何だこれは!?」

 クマが吠えた。

「にゃあ、城と盗賊どもは接収したにゃん」

「我が兵を盗賊だと!?」

「にゃあ、オレの小麦を狙ったから盗賊にゃん、おまえはその親玉にゃんね?」

「おのれ、子供がこの俺を愚弄するとは! 構わん殺せ!」

 沸点が低すぎるディエゴの指示に従って腰巾着たちが銃を撃つ。

 さっきの銃よりはまっすぐ飛ぶだけマシだがオレたちの防御結界に全弾が弾かれる。

「にゃあ、そんな安物でオレらの防御結界に傷を付けられると思ってるにゃん?」

「バカな」

 ディエゴの騎士たちが動揺する。

「ディエゴ様、龍砲を使われてはいかがでしょう?」

 腰巾着の一人がバンデラス男爵に囁く。

「にゃ?」

「そうだな、此奴らに使うのも勿体ないが仕方あるまい」

 ディエゴは自分の格納空間からバズーカ砲みたいなモノを取り出した。

「にゃあ、それは何にゃん?」

「聞きたくば教えてやろう、これは龍砲、我が家の家宝である」

「家宝だから何だと言うにゃん?」

「おまえらをこの世から消してやる」

「にゃあ、それは無理にゃん、オレの防御結界は抜けないにゃん」

「果たしてそうかな? では、このアーティファクトである龍砲の前でいつまで大口が叩けるか試してみるか」

「にゃ、アーティファクトにゃん!?」

「いまごろ驚いても遅いわ!」

 ディエゴは、龍砲の引き金を引いた。

 龍砲から魔力が閃光と熱となって吐き出され、龍の唸り声が響いた。

 ディエゴも自ら撃った龍砲の光で視界を奪われた。

 それすら圧倒的な破壊力の前では大したハンデにはならない。

「ふふ、おとなしく俺の配下になれば死なずに済んだ……なっ!?」

 バンデラス男爵はオレたちが傷一つ負ってないことに驚きの表情を浮かべた。

「にゃあ、せっかく魔石を都合してやったのに大した事ないにゃんね」

「なっ!?」

「魔石を使うアーティファクトが家宝だって言うから、使える様にアンジェリーヌ様に頼んでおまえに売り付けてもらったにゃん」

「貴様が、魔石を俺に売り付けただと!?」

「にゃあ、でもその程度でアーティファクトは片腹痛いにゃん」

「化け物か、貴様!?」

「違うにゃん、ディエゴ・バンデラスおまえが弱すぎなだけにゃん、にゃあ、撃っていいにゃんよ」

 オレの騎士たちがバンデラス男爵たちに銃を向け激痛弾を発射した。

 素っ裸の男たちが痛みにのたうち回る様は美しくなかった。


 ディエゴ・バンデラスたちとその騎士たちを檻付き馬車に乗せパッセルに向かう。



 ○フルゲオ大公国 クルスタロス州 州都パッセル 城壁門


『にゃあ、クルスタロスの兵士に告ぐ、ディエゴ・バンデラスはオレたちドクサ騎士団が捕まえたにゃん、無駄な抵抗をヤメて直ぐに投降するにゃん、抵抗した者は問答無用で犯罪奴隷にするにゃんよ』


 パッセルの城壁門からまた声を風に乗せて呼び掛けた。

 檻に入れられたディエゴの姿に戦意を喪失したのか、兵士たちが次々と投降する。

 それに兵士として集められていた市民たちもぞろぞろやって来た。

 犯罪歴のないものはその場で解放する。

 殺人や窃盗などを行った罪人はもちろん犯罪奴隷だ。

 街からコソコソ逃げ出そうとする奴らも捕まえて拘束する。

 犯罪ギルドのメンバーも当然、犯罪奴隷送りだ。

 それから門の外から駆け寄ってくる薄汚い身なりの老若男女。子供たちもいる。

「どうか、お助け下さい!」

「「「お助け下さい!」」」

 力なく魔法馬の前にうずくまり手を合わせた。こっちでも手を合わせたりするんだ。それはさておき。

「にゃあ、どういうことにゃん?」

「彼らは奴隷ですね」

 カリーヌが小さな声で教えてくれる。

「にゃあ、何をどう助けて欲しいにゃん?」

「我らはすべて奴隷禁止令により主人の元を追われた者たちです、行く宛もなくこのまま野垂れ死ぬのを待つだけです、どうか御慈悲を!」

「にゃあ、奴隷禁止令も随分と乱暴にゃんね」

 公布するのは賛成だがもう少し考えて欲しい。

 この場合、大公を焚き付けたオレにも責任が有りか。

「にゃあ、首都に着いたら大公陛下に文句を言っておくにゃん」

「あ、あの、それで我々は?」

「にゃあ、ちゃんと保護するにゃん、大公国軍の前線基地の場所が空いてるにゃんね」

「はい、撤退されてるはずです」

「にゃあ、ひとまずそっちに連れて行くにゃん、その前にウォッシュと治癒にゃん」

 目の前の集団ホームレスな人たちをウォッシュ+治癒魔法でスッキリ健康にする。

「おお、これは!?」

「我らが主、マコト様の魔法です」

 セレナが誇らしげに語る。

「にゃあ」

 ちょっと恥ずかしい。

「「「ありがとうございます」」」

 身奇麗になった元奴隷たちにまた手を合わされる。

「にゃあ、セレナとカリーヌは騎士を連れて元奴隷の人たちを大公国軍の前線基地だった場所に案内するにゃん、オレは馬車と一緒に街に入って宿泊拠点を作るにゃん」

「「了解しました」」



 ○フルゲオ大公国 クルスタロス州 州都パッセル


 元奴隷の集団と騎士たちを見送った後、一〇台の馬車を率いてパッセルに入る。

 市民たちは恐々とオレたちを物陰から見ていた。

「来るにゃんね」

「うん、来るね」

 頭の上からリーリが返事をする。

 三〇〇人はいるだろうか、銃を持った男たちが建物の影からわらわらと出て来た。

「誰にゃん?」

「うるせぇ! 死ね!」

 男たちは問答無用で撃って来た。

「さっきの徴兵されてた市民とは違うにゃんね」

 身なりが幾分マシだった。

「金を使って徴兵を免れた連中にゃん?」

「そんなところじゃない」

 リーリがオレの頭の上で頷く。

「オレに襲い掛かって来ると言うことは何か後ろ暗いことがあるにゃんね?」

 しょぼい銃などいくら撃たれたところでどうってことはない。

「「「何で当たらない!?」」」

 引きつった顔で銃を乱射する。

「にゃあ、クルスタロスの人間は防御結界も知らないにゃん?」

「マコト、防御結界を常時展開してる人間なんてそうはいないよ」

「にゃ、そうにゃん?」

「だから庶民は知らないと思うよ」

「にゃあ」

 リーリの話を聞いてる間も銃を撃ちまくって魔力切れで倒れるやつ多数。

「に、逃げろ!」

 一人が逃げ出すと残り全員にもパニックが伝染して一斉に逃げ出した。

「にゃあ!」

 電撃で三〇〇人が素っ裸で倒れる。

 魔力切れで倒れてた奴にも電撃と素っ裸をプレゼントした。

 オレは公平な六歳児なのだ。

「にゃあ、全員捕縛にゃん」

 ゴーレムを再生して三〇〇ちょっとの素っ裸をまた即席の牢に放り込んだ。

 こいつらは審査するまでもなく全員、犯罪奴隷に決定だ。



 ○フルゲオ大公国 クルスタロス州 州都パッセル 市庁舎前


 市庁舎横の広場に宿泊施設と馬車を停める地下駐車場を設置した。

 構成は駐屯地に作ったのと同じだ。

「皆んなはひとまず宿泊地の警備を頼んだにゃん」

「「「はい」」」

 少女騎士たちが配置に付く。


 そこに冒険者ギルドの旗を付けた馬車が二台、市庁舎前に到着した。

「にゃあ、ちょうどぴったりにゃんね」

 馬車から降りて来るガタイのいい男たちは、首都ルークスから来た冒険者ギルドの職員たちだ。

 クルスタロスもオレが譲り受けることであらかじめ話はついていたため、こちらの領地運営の人材として冒険者ギルドのメンバーも派遣してもらっていたのだ。

「ただいまヤルマル・ベイアー以下二〇人、ルークスより到着いたしました」

 代表して中でもいちばんゴツいおっさんが挨拶をしてくれた。

「にゃあ、オレがマコトにゃん、とりあえず市庁舎は冒険者ギルドで好きに使って構わないにゃん、でも地下はダメにゃんよ、ヤバい死霊が埋まってるから」

「かしこまりました」

 今回このヤルマル・ベイアーがクルスタロスの冒険者ギルドのギルマスに就任してくれることになってる。

 冒険者ギルドでは筋肉で偉くなる説がまた証明された。

「にゃあ、それとあちこち檻に入ってるのは犯罪奴隷にゃん、馬車の後ろのもそうにゃん、売り先に付いて後で相談に乗って欲しいにゃん」

「ディエゴ・バンデラスもいるのですね、了解いたしました」

「にゃあ、オレはちょっと街の外に出るので、何かあったら騎士の誰かに連絡を頼んで欲しいにゃん」

「頼むね!」

 リーリも手を振った。


 手早く冒険者ギルドのギルマスに指示とお願いをしたオレは、すぐに門の外の元大公国軍の前線基地に向かった。

 慌ただしいのは小隊長たちから連絡を受けていたからだ。

『マコト様、次々と元奴隷たちが押し寄せて来ます』

『二〇〇〇を超えてまだ集まっています、聞いたところ行く宛のない者はパッセルに向かえとお触れが出ているようです』

『にゃおおお! とにかく直ぐに行くにゃん』


 次男坊大公が自分の不始末をオレに押し付けやがった。



 ○フルゲオ大公国 クルスタロス州 州都パッセル 大公国軍の前線基地跡


 確かにいっぱいいた。

 元前線基地の前が汚い身なりの人間であふれていた。

 まだウォッシュと治癒魔法を掛けてない人たちは外で待たされている。

「にゃあ、いま入れてやるから道を空けるにゃん」

 人々に道を空けてもらってオレは門の前に到着した。

「にゃあ、まずはウォッシュと治癒魔法を掛けるにゃん」

「「「おおお」」」

 人数の割に声が小さいのは、皆んな疲弊してるからだろう。

「にゃあ!」

 全員にウォッシュ&治癒魔法を掛けた。

 ひどい悪臭が一瞬で消えた。

「「「おおお!」」」

 今度の声は力強かった。

 そんな中、オレの近くにいた五人の男たちが全裸で倒れていた。

「マコト様、この男たちは?」

 カリーヌに質問される。

「にゃあ、格納空間に銃を入れていたにゃん、後で取り調べにゃん」

 ゴーレムを再生してこれまた急ごしらえの牢にぶち込んだ。


 それから旧前線基地の敷地を拡張して全部で三〇棟の簡易宿泊所を建てた。

 各一〇〇人は余裕で収容できるのでこれから人が増えても間に合うだろう。

 そんなに増えられても困るし。


「避難民の収容が完了しました!」

 セレナが報告してくれた。

 実際、三〇〇〇人行かないぐらいの数で落ち着いた。

「にゃあ、近隣の生き残った元奴隷はほぼ収容したんじゃないかって人数にゃんね」

「そうかもしれません」

 カリーヌがうなずいた。



 ○フルゲオ大公国 クルスタロス州 州都パッセル


 パッセルの市庁舎と郊外の簡易宿泊所を行き来して日付が変わる前までにすべての大筋を決定した。


 解放されてパッセルに流れ着いた元奴隷のうち二〇〇人ほど犯罪奴隷行きがいたが、他の約二八〇〇人は善良な人たちだった。

 このうち約八〇〇人は、もうのんびり暮らしてもいいかなという歳なのでここに住んでもらう。それと子供たちも。

 残りの約二〇〇〇人はまだバリバリ働ける人たちなので、パッセルの守備隊や小麦粉の配送の手伝いをして貰うのがいいだろうということになった。

 勝手に決めるけど悪く思わないでくれ。

 小麦は冒険者ギルドに納品するが、その先の配達もこちらでやることにして仕事を作り出した。

 これぐらいの人数がいれば、馬車で大公国内を縦横無尽に走り回れるはずだ。

 銃を渡すから全員にオレへの忠誠を誓わせるけどな。

 それからオレが捕まえた犯罪奴隷の行き先も決めた。

 半分を冒険者ギルドで引き取り、残りはレオンの領地に送る。

 あそこは全滅した集落もかなりあるから人手はいくらでも欲しいそうだ。

 上手く使える様に冒険者ギルドには補助をお願いした。



 ○フルゲオ大公国 クルスタロス州 州都パッセル 宿泊所 制限エリア 地下


 話し合いの後は宿泊所の秘密の地下室で魔法蟻とゴーレムたちを作った。

 もう慣れたものなので時間はそう掛からない。

 魔法蟻たちにはここでもトンネルと地下施設を作らせる。

 今回は更にクルスタロスの結界で人間が入れない場所をドクサと同じく農場化した。



 ○フルゲオ大公国 クルスタロス州 結界外


「にゃあ!」

 夜空を華麗に飛ぶ六歳児。

 街道の結界をぶち抜いて森の上を旋回しながら魔法蟻とゴーレムたちを配置して行く。

 結界を弄って領主の居城があった辺りも全部、小麦畑だ。

 絨毯爆撃のごとく魔法蟻とゴーレムたちそれにトラクターを配置し続ける。

「空を飛べるって便利にゃん」

「そうだね」

 リーリがオレの胸元から出て来た。

 さっきまでおなかに張り付いて気持ち良さそうに寝ていた。

「これでクルスタロスでも小麦とそれに米と野菜ができるにゃん」

「お米も食べられるね」

「にゃあ」

「おなか空いたね」

「にゃあ、それじゃ宿泊所に帰るにゃん」

「おー!」

 最後に小麦の出荷施設を元前線基地の隣に作ってからパッセルの宿泊所に戻って夜食の牛丼を食べて寝た。


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