ドクサ騎士団にゃん
○帝国暦 二七三〇年〇六月十九日
○フルゲオ大公国 ドクサ州 城塞都市プロトポロス 騎士団演習場
翌日から守備隊改めドクサ騎士団としての訓練が開始された。
だだっ広い演習場でルチアと少女騎士たち全員に魔法馬と小銃を貸与して使い方を魔法で直接伝授する。
全員に忠誠を誓ってもらっての貸与だ。
これは魔法馬も小銃も強力な武器なので仕方がない。勝手をされると多大な被害が出てしまう。
魔法馬と小銃の仕様は以前にキャリーとベルにやったものとほぼ同じ性能だ。
いずれも格納可能。それにテントも支給してる。
後は知識を身体に馴染ませるため反復練習だ。
銃は基礎ができてるし魔法馬もそう難しいこともないので直ぐに慣れると思う。
「思った以上に様になってるではないか」
冒険者ギルドのギルマス、ブランディーヌと入れ替わりで近衛騎士団団長アンジェリーヌが城にやって来ていた。
こちらも宮廷魔導師たちを使って空からだ。
「にゃあ、早ければ明日から実戦にゃん」
「随分と早い出陣だな」
「にゃあ、オレもいろいろ忙しいにゃん」
乗馬訓練の後は、馬車を持ち出して実際のフォーメションで走らせる。
襲撃者役はゴーレムたちだ。
元々大公国軍の兵士なのでやはり銃の扱いはお手の物だ。ルチアの話では木で作った銃の模型で訓練していたそうだ。
思いの外、練度が高いので盗賊だろうが、他領の騎士団だろうが十分に渡り合えるだろう。
アナトリの近衛金ピカ騎士団はちょっとヤバいか。あれは反則だ。
金ピカが出てきたらとにかく逃げるように言っておこう。
「なんと言ってもゴーレムが驚きだな」
アンジェリーヌは撃たれて派手にやられるゴーレムを見詰める。
天を仰いでから倒れるとか芝居が大げさなのはどうかと思う。
「にゃあ、この城を再生したら付いて来たにゃん」
「城を再生と言うのがまずスゴいのだが、首都の城の再建もマコト殿に依頼すべきだった」
「にゃあ、そこは宮廷魔導師にやらせるのが大公国のためにゃん」
「確かに今後の事を考えるとそうだ、アルボラの冒険者ギルドからマコト殿の早期帰還を要請されてるし、そういつまでも引き止めるわけにはいかないか」
「にゃあ、早期帰還を要請されてるにゃん?」
「魔石を早く欲しいらしい」
「にゃお、オレ個人じゃないにゃんね」
ちょっと寂しい。
「無論、マコト殿を手元に置いておきたいのであろう。我が国としては救国の恩人であるマコト殿には一日でも長く滞在して欲しいのだが」
「にゃあ、大公国はオレがいなくても大丈夫にゃんよ」
「それだってマコト殿に魔石を融通してもらったことが大きい、破産寸前だった以前の国庫が嘘の様だと兄上も仰っていた」
「にゃあ、無駄遣いしないように見張ってないとダメにゃんよ」
「ああ、それはな」
苦笑いを浮かべるアンジェリーヌ。
早速、何かやらかしたのか次男坊陛下?
「マコト殿ほど派手なことはやってないから安心して欲しい」
「にゃあ」
アンジェリーヌはこちらに泊まること無く駆け足の視察を終えて戻って行った。
○フルゲオ大公国 ドクサ州 城塞都市プロトポロス ペントハウス
『にゃあ、オレにゃん』
『わっ、マコトから念話だ』
『あたしもいるよ!』
『妖精さんなのです』
『にゃあ、いま大丈夫にゃん?』
夕食の後、ペントハウスでくつろぎながらキャリーとベルに念話を送った。
『問題ないよ、マコトはまだ大公国にいるの?』
『にゃあ、まだ帰れないでいるにゃん』
『大公国の死霊の大発生が落ち着いたとは聞いているのです』
『死霊は全部、マコトが退治したよ!』
『マコトが全部退治したの!?』
『そうだよ!』
リーリが得意気に答えた。
『マコトは相変わらずなのです』
『でも、無事で安心したよ』
『にゃあ、聖魔法が効いたから良かったにゃん』
『死霊の脅威が去ったのは幸いなのです』
『どうしてマコトはまだ帰って来れないの?』
『困ってるのなら相談に乗るのです』
『にゃあ、実は大公国で領地を貰ったからにゃん』
『『領地!?』』
『マコトは大公国の貴族にもなったの?』
『にゃあ』
『辺境伯だよ!』
リーリが思い切りばらしてくれる。
『いきなり辺境伯とはスゴいのです』
『本当に辺境だったにゃん』
『大公国の辺境でもマコトなら平気なんじゃない?』
『にゃあ、確かに特に困ってはいないにゃん』
『それなら良かったのです』
『ふたりにひとつお願いが有るにゃん』
『『お願い?』』
『にゃあ、うちの騎士団に着せるマントのデザインにゃん。キャリーとベルが着けていた王国軍のを参考にしたいにゃん』
『軍服のマントね、シルエットは良くあるタイプだから問題ないんじゃない?』
『マコトならもっといいものが作れそうなのです』
『にゃあ、オレにデザインセンスを求めちゃダメにゃん』
『そっくりそのままじゃなければ大丈夫なのです』
『了解にゃん、シルエットだけ使わせてもらうにゃん』
『私たちが王国軍を代表してるわけじゃないけどそれなら問題ないよ」
『誰も気付かないのです』
『にゃあ、助かったにゃん、これはお礼にゃん』
ベルの格納空間に魔石をザラっと放り込んでやった。
『びっくりしたのです!』
『死霊の魔石にゃん、ふたりで分けて欲しいにゃん』
『『死霊の魔石!?』』
『にゃあ、近いうちに潤沢に出回るから使うにも処分するにもそう目立つことはないはずにゃん』
『それよりこの距離でモノを送れる力に驚いたのです』
『マコトだからね!』
『そうだね、妖精さんの言うとおりだね』
『納得の一言なのです』
キャリーとベルは「オレだから」という雑な理由で納得した。それもどうなんだ?
○帝国暦 二七三〇年〇六月二〇日
○フルゲオ大公国 ドクサ州 城塞都市プロトポロス 操車場
一〇台の四頭立て馬車にはすべてトレーラーが連結され、一台に荷台二つ分の小麦粉の袋が載せられた。
タイヤはゴムに似た材質で作られた極太のもので全輪駆動全輪操舵の魔法車でもある。オレが使ってた馬車とほぼ同型だ。
トラック型の魔法車にしても良かったのだが、あまり目立ちすぎるのも得策ではないので非効率だが馬車の形を取った。
騎士たちが動かしやすいのはやはり馬車だろうし。
荷台と満載した小麦の袋にシートを掛けきっちり縛り上げる。
御者台にはふたりずつ乗り、馬車の列の左右を一〇騎ずつの騎馬が固めた。
騎士と言っても動きづらい金属の鎧は無し。軽いボディプロテクターを装着しドクサ騎士団の紋章と各種結界の魔法陣を織り込んだ青いハーフマントをしている。
紋章自体は昔からあったものでドラゴンがデザインされていた。言うまでもなくハーフマントのシルエットはキャリーとベルのところのパクリだ。
「出発!」
リーリの号令で馬車が動き出す。
「「マコト様!」」
今回はお留守番のビッキーとチャスが手を振ってくれる。
「にゃあ、行って来るにゃん」
「気を付けて行けよ!」
ラルフも大きく手を振ってくれた。
「にゃあ、心配要らないにゃん!」
城に残るほぼ全員の見送りを受けて馬車の車列は城の外に出た。
○フルゲオ大公国 フルゴル州 ドクサ街道
オレは先頭の馬車の小麦粉満載の荷台にちょこんと乗ってる。
「おなか空いたね」
一緒にいるのはリーリだ。
ドーナツを差し出すと両手で抱えてサクサク食べ始めた。
ドクサの境界門も抜け、街道は小麦畑から森へと風景を変える。
この前よりも路面状況がいいのは、宮廷魔導師たちにプロトポロスから首都ルークスまでの整備も頼んだからだ。
仕事は迅速丁寧なのだが、まあ、森の精霊の魔石は超すっぱく味付けして渡した。
「誰も攻めて来ないね」
リーリは早くも退屈気味だ。
「にゃあ、まだ出発して一時間にゃん、それに初日はレオンの領地のフルゴル州だから出たとしても盗賊ぐらいにゃん」
その盗賊も死霊の大発生で貴族よりも早く国外に逃げ去ってるから、大公国内にはほぼ残ってなかった。
再入国しようにも宮廷魔導師の作った新しい結界が境界門に張られてるのでまず無理だろう。
食い詰めた人間がこれから盗賊になる可能性はあるにはあるが、二〇騎の騎士に守られた馬車を襲撃できる規模にはそう簡単に育たない。
オレたちの馬車を襲えるのは他所の騎士団だけだ。
○大公国軍 フルゴル州 ドクサ騎士団専用宿泊所
今夜は少女たちがこの前までいた元大公国軍西方面駐屯地で一泊する。ここはドクサ騎士団の専用の宿泊所として大公国から譲渡されていた。
扉を開けて馬車を中に入れる。この辺りの手際は慣れたもので少女たちは綺麗に馬車を並べる。
オレも荷台から飛び降りた。
「にゃあ、まずはここを建て直すにゃん」
嫌な思い出が詰まった駐屯地の建物は壊して欲しいと言うのが少女たちの希望だ。
「にゃあ!」
駐屯地のカビ臭い建物をすべて分解し、簡易宿泊所を再生した。
首都で宮廷魔導師の陣地に作ったものと同じものだ。基本の建物を三つ地下と地上一階で連結したアレだ。
馬車は新たに作った地下駐車場に入れる。
城壁もリニューアルした。
「馬車の駐車完了しました!」
「魔法馬も各人格納完了です!」
小隊長のセレナ・オージェとカリーヌ・アメデが報告した。
「ご苦労にゃん」
セレナは、大柄で赤毛の十四歳。姉御肌で猪突猛進型のちょっぴり脳筋が入ってる。
カリーヌは、小柄で銀髪の十五歳。物静かで理性的なクールビューティーだ。
対象的なふたりだが、どちらもオレが十四~五の頃に比べたら遥かにしっかりしている。今日のオレなんか荷台でゴロゴロしてただけだし。
「小隊長はオレとミーティングにゃん、他の騎士たちは夕食の時間まで自由にしていいにゃん」
「「了解です!」」
小隊長たちとのミーティングは、明日入る予定のクルスタロス州について。
クルスタロス州はパッセルを州都とするヤバい領主ディエゴ・バンデラス男爵が治める領地だ。
「マコト様、明日はこのままクルスタロス州に入られるのですか?」
カリーヌは特に表情を変えずに質問する。
「にゃあ、そうにゃん」
「危険ではありませんか?」
クルスタロスは、輸送ルート上にある唯一残ってるバカ貴族の領地だ。
「にゃあ、当然、襲撃が予想されるにゃんね」
「問題ありません! こちらにはマコト様の武器も馬もあります! 必ずや蹴散らしてご覧にいれましょう!」
セレナは身を乗り出す。
「セレナ、あなたには聞いてません」
「マコト様が答えるまでもないことだ!」
「あなたが勝手に決めないで下さい!」
険悪な空気になる。
「にゃあ、ふたりとも待つにゃん」
「「申し訳ありません」」
「クルスタロス州の領主ディエゴ・バンデラス男爵は、現状の混乱を好機として近隣領地への侵略の準備を開始してるにゃん」
アンジェリーヌ経由の情報だ。
「ヤツの最初のターゲットがドクサにゃん。だからディエゴ・バンデラスはオレが潰すにゃん」
「「マコト様が!?」」
「だから明日はオレが先頭を行くにゃんよ」
「「危険です!」」
「にゃあ、騎士団はオレが守るから心配無用にゃん」
「「いいえ!」」
「マコト様をお守りするのは我らが使命!」
「どうか我々にお任せ下さい!」
今度は息ピッタリになった。
「にゃあ、皆んなの忠誠は微塵も疑ってないにゃん、明日、先頭を行くのはオレの都合にゃん」
「マコト様の都合ですか?」
「にゃあ、宣戦布告は当主がやるのが手っ取り早いにゃん」
○大公国軍 クルスタロス州 州都パッセル郊外 領主居城
パッセルからほど近い場所にある陰鬱な空気をまとった城。クルスタロス州領主の居城だ。
表の政務はパッセルの市庁舎に集約し、居城には無粋なものは持ち込まないのが代々の領主の方針だ。
堅牢な城塞都市の中にない領主の城は盗賊の格好の標的になりそうだが、バンデラス一族の名を知って攻め込む馬鹿はいない。
表の仕事は市庁舎で行い裏の仕事は居城で行う。その道に通じた者なら誰でも知ってる事実だ。
クルスタロスの領主、ディエゴ・バンデラスはご機嫌だった。テーブルに置かれたのは目の前の商人が持ち込んだ一掴みの魔石。
二〇個はあるだろう。
クマの様な大男は、背中を丸めて魔石を一つ摘む。
「なるほど死霊の瞳と同じ色だ」
「近々、大公国より売りに出される予定の物にございます、品質はこれ以上はない極上品かと」
初見の商人は、大公家とちょっとした繋がりがあるという触れ込みで、現に市場に流される前の魔石を持ち込んでいた。
「確かに良いものだ」
「一つ大金貨五〇枚でお譲り致します」
「少し高くはないか?」
「これだけまとまった数と品質なら、決してお高くはございません」
「まあ、良かろう」
「ありがとうございます、魔石の他にも何かご入用なものがございましたら何なりとお申し付け下さい」
商人は大金貨の詰まった革袋を自身の格納空間に入れると一礼して立ち去った。
普段なら首を刎ねて金貨を回収するのだが、魔石はまだ必要なため、もう少し生かしてやる。
ディエゴ・バンデラスは、先日、口うるさい弟の首を飛ばして黙らせ領主の地位に就いた。
州都パッセルに居座った大公国軍のバカどもを口実にして、臆病者の弟の裏をかき政変を成功させた。
何でも役に立つ瞬間があるものだ。
震える弟に剣を突きつけ廃嫡の破棄と家督譲渡の文書を作成させた。
実に愉快だった。
不満があるとすればヒョロガリの首は落としがいのない手応えだったぐらいか。
ディエゴは、隠し部屋から家宝である龍砲を取り出した。
魔石を装填した龍砲は長き眠りから目覚め低く唸る。
「おお、まさに言い伝え通りだ」
ディエゴは笑みを浮かべる。
足早にバルコニーに出るとかなり距離のある見張り台の兵士に狙いを付けた。大きく重い銃も巨漢のディエゴが持てば、まるで並の小銃だ。
「龍の咆哮を聞かせてみよ!」
躊躇なく引き金を引く。
閃光と同時に見張り台ごと兵士が消滅した。
遅れて龍の咆哮と呼ばれるに相応しい音が鳴り響く。
兵士どもが騒ぎ出した。
「おお、紛れもなく龍の咆哮!」
これが有ればそう遠くない将来ルークスを落とすことも可能だ。
「まずはドクサか」
情報によれば、明日にも小麦を満載した馬車が連なって来る。
既に積荷を奪取する指示も出してある。
ついでにドクサを攻めてもボンクラの次男が継いだいまの大公家では、どうすることも出来まい。
「しかし、あのような牢獄しかない場所で小麦が穫れるとはな、このタイミングまさに天啓」
ドクサの小麦とアーティファクトの龍砲が有れば次の大公は自分に決まったも同然だ。
「兵どもは集まったか?」
ディエゴは騎士団長を呼び出した。
まだ年若い団長はディエゴと共にクーデターを画策し実行した仲間だ。
「はい、一万人を徴兵いたしました」
「三万だ」
「かしこまりました、早急に三万人を確保します!」
ディエゴの気質を知り抜いてる団長は余計なことなど言わない。
それがわからなかった前団長は早々に粛清された。
三万を徴兵などそれこそパッセルの赤ん坊からジジイ、ババアどもまで全部入れても足りない。
近隣の領地に越境してでもかき集めるしかあるまい。そうしないと物理的に首が飛ぶ。
「まあいい、明日領内に入るドクサの連中だが」
「既に準備は整っております」
「よかろう、なるべく殺さず確保しろ、小娘とは言え元王国軍の兵士だ。その辺りのジジイよりは使えるだろう」
「承知いたしました」
小娘なら他に使いようもあるしな。ディエゴは裏の稼業に相応しい下衆な笑みを浮かべた。
○大公国軍 フルゴル州 ドクサ騎士団専用宿泊所
夜中、オレは簡易宿泊所の下に秘密の地下室を作った。
そこに再生する魔法蟻とゴーレムたち。
「にゃあ、この下にトンネルを作るにゃん!」
『『『……!』』』
魔法蟻たちは口をカチカチさせると直ぐに縦坑を掘り始め、ゴーレムはその背中に乗って降りて行く。
「にゃあ、頼んだにゃんよ」
オレは状況を見ながら魔法蟻とゴーレムを追加する。
トンネルはプロトポロスからも掘ってるので今夜中に開通しそうだ。
○帝国暦 二七三〇年〇六月二一日
○フルゲオ大公国 フルゴル州 ドクサ街道
「出発!」
リーリの号令のもとオレたちは宿泊地を予定どおりに出発した。
オレの魔法馬が先頭を行く。
その背後を二騎の小隊長が固める。
頭の上ではリーリが砂糖をドバドバ落としながらドーナツを食べてる。
今日のオレは一味違うにゃん。
森なので風景は変わらないが、初めて来た時の死霊が巣食っていた陰気な雰囲気が一掃され、いまは清涼な空気で満たされていた。
「あの、マコト様」
セレナに声を掛けられた。
「にゃあ」
「マコト様は、いつもそうやって魔法馬に乗ってるのですか?」
オレは鞍の上であぐらをかいていた。
「にゃあ、そうにゃんね」
「流石、マコト様です」
何故か感心された。
オレの作った魔法馬なら誰でもできるけどな。
○フルゲオ大公国 クルスタロス州 ドクサ街道
昼過ぎに境界門を越えてクルスタロス州に入った。
のどかな田園風景にオレもリーリも居眠り。
お昼ごはんの後はちょっと居眠りするとスッキリするのは前世もいまも変わらず。
魔法馬は居眠りしていてもそこそこの速度で自動運転する。
「「マコト様!」」
ふたりの小隊長から警戒トーンの声が掛かった。
「にゃ?」
前方にバリケードが出来上がっていた。
「用意のいい盗賊にゃん」
「いえ、あれはクルスタロスの騎士です」
「にゃあ、騎士にしては服装がバラバラにゃんね」
「制服が支給されるのは大公国軍ぐらいです、諸侯軍や騎士団はあんなものです」
「にゃお」
どう見ても寄せ集めだ。
「このまま行くにゃん」
「マコト様、左右にも伏兵です」
カリーヌは目がいいようだ。農家の影に隠れている様だ。
「にゃあ、問題ないにゃんよ、隊列を維持したまま前進にゃん、慌てなくてもオレたちの防御結界は抜けないにゃんよ」
オレたちはそのままバリケードの前に行った。
「ドクサの騎士の皆様方、ようこそクルスタロスへ、歓迎の準備ができてるから死にたくなかったらさっさと馬を降りろ!」
バリケードの前に立っていた男が声を張り上げた。年の頃三〇ぐらいで見た感じ騎士じゃなくて少し身ぎれいな盗賊だ。
「にゃあ、それはクルスタロスのドクサに対する宣戦布告にゃんね?」
「魔法馬が喋った!」
「にゃあ、馬じゃなくてオレにゃん!」
魔法馬を斜めに向けた。
「何だ子供か、驚かすなよ」
「にゃお、宣戦布告じゃないならただの盗賊として処理するにゃんよ」
「勝手にしろ!」
「聞いたにゃん?」
「「はい!」」
小隊長ふたりはいい返事をくれた。
「あたしも聞いたよ!」
オレの頭の上でリーリがムクっと起きて手を上げた。
「にゃあ、クルスタロスの宣戦布告しかと受け取ったにゃん! 捕獲した捕虜は全員を犯罪奴隷で構わないにゃんね?」
「俺たちを犯罪奴隷にするってよ」
「好きにしてくれていいぜ」
ゲラゲラ笑う男たち。
「にゃあ、決まりにゃん」
目の前のリーダーらしき男以外全員に電撃を食らわせた。
素っ裸の男たちが転がる。
もちろん伏兵も全員マッパだ。
「なっ!?」
「にゃー、おまえら弱すぎて話にならないにゃん」
ゴーレムを再生して真っ裸の男どもをその場に作った牢屋に放り込んだ。護送袋みたいになってるので一週間ぐらいそのまま放置でも死なない便利グッズだ。
「にゃあ、気の毒だがおまえも犯罪奴隷にゃんね」
「ちょっと待ってくれ! いい情報があるんだ!」
「にゃあ、それならおまえの頭の中を覗いたから知ってるにゃん、それ以前にその程度のネタじゃ取引は無理にゃん」
オレは牢屋を指差した。
男はオレを睨みつけてから牢屋に向かったが、方向転換して駆け出した。
もちろん次の瞬間、電撃をお見舞いして素っ裸にして倒した。
「にゃあ、ちょっと戦争するから寄り道するにゃんね」
最後の男をゴーレムが牢屋に放り込んだところでオレの騎士たちに声を掛けた。




