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大公国首都ルークスにゃん

 ○帝国暦 二七三〇年〇六月〇九日


 ○フルゲオ大公国 アナトリ街道


 日の出とともに馬車を出した。

「にゃあ、朝ごはんは少し走ってからにするにゃんね」

「おう」

 ラルフとカティはシャキっとしてるが、他のメンバーはまだ眠そうだ。

「にゃあ、まだ寝ててもいいにゃんよ」

「だ、大丈夫です」

「ご主人様を差し置いて……」

 キュカとファナはあえなく撃沈。クッションに埋もれた。

 アレシアとビッキーとチャスそれにチャドは最初から抵抗することなく二度寝中だ。

「美味しいね」

 リーリはオレの頭の上でサクッサクッと一足先に朝食のドーナツを食べていた。

 頭に砂糖が降り注ぐ。

 御者を務めるオレは馬車の速度を思い切り上げて突っ走る。

「これはかなり早く着きそうですね」

「にゃあ、カティはわかるにゃん?」

「はい、この調子ならあと二日でルークスに到着できると思います」

「悪くないペースにゃん」

「十分過ぎる速さです」

「到着は、早ければ早いほどいいと違うにゃん?」

「当然そうだ」

「にゃあ、だったら、オレに任せるにゃん!」

 馬車全体に認識阻害の結界を張り更に速度を上げる。

「おい、マコトそんなに飛ばして大丈夫なのか?」

 森の中でも流石にわかるか。

「大丈夫だよ、マコトの馬車は外から見えなくなってるもん」

 リーリが代わりに答えてくれる。

「にゃあ、認識阻害の結界を張ってるにゃん、カティレベルの魔法使いがじっくりと観察して違和感を感じる程度だから、まず見付からないにゃん」

「違和感も何もこの速度では目を凝らしてる間に通り過ぎちゃいますね」


 馬車は一直線のこれまでに無く見晴らしのいい場所に出た。

 路面に刻印が刻まれてる。

 かなり劣化しているが魔法式は読み取れた。

「空間圧縮の補助魔法だね」

 リーリが、今度は生クリームをオレの髪に落としながら教えてくれる。

「にゃあ、いかにも空間圧縮魔法を使ってくれって感じの道にゃん」

「使ってみたら? マコトなら馬車ごといけるよ」

「にゃあ、そうにゃんね、この道なら行けそうにゃん」

 街道は相変わらず森の中だが、直線のなだらかなアップダウンが遥か先まで見通せる。

「一気に行くにゃん!」

 はるか先の目標にまで空間を縮め馬車を一瞬で通過させた。

「おい、いまのって!?」

「にゃあ、空間圧縮魔法にゃん」

 サーカスの団長じゃなくてアルボラの領主のお抱え魔導師が使っていた魔法だ。

 見通しがいい場所でしか使えないが、条件が揃えば使わない手はない。

 しかも路面には刻印の補助魔法付きだ。

「いまのって、馬車ごと使ったんですか!?」

 カティが驚きの声を上げる。

「にゃあ、オレだけ先に飛んで行っても仕方ないにゃん」

「いいえ、そうではなくて馬車の質量をものともしないことに驚いたんです」

「にゃあ、オレの空間魔法に質量は関係ないからどうにでもなるにゃん」

「そうだね、マコトが扱える魔力は半端ないから質量の制限なんて有ってないようなものだね」

 リーリが解説を挟んだ。

「羨ましいような怖いようなです」

「にゃあ、怖いことなんて少しもないにゃんよ、ただ距離を縮めるだけだから普通に馬車を走らせるのと安全性は何ら変わらないにゃん」

 路面に次の刻印が現れた。

「にゃあ、もう一発行くにゃん!」

 ふわりと圧縮された距離を飛び越える。

「マコトさんが使う分には安心なのはわかっています、私には到底無理です」

「にゃあ、路面に補助の刻印があるからカティなら直ぐにできるようになるにゃんよ」

「魔力的にマコトみたいな連続使用は無理だけどね」

 リーリには簡単にカティの魔力量を判定する。

「ええ、試すまでもなくわかります」

 連続じゃなきゃ使えるのだからカティもなかなかの魔力を持っているわけだ。

「いまさらだがマコトは本当に規格外だな」

 ラルフは本当に今更なことを言う。

「にゃあ、オレは常識的な六歳児にゃんよ」

「常識的なのはわかるが、普通じゃないのは確かだな」

「にゃお」

「普通の六歳児は革袋いっぱいの大金貨を簡単に稼いだりしないぞ」

「にゃあ、そこは天涯孤独の六歳児と言うことで大目に見て欲しいにゃん」

「そこは俺たちも世話になってるから感謝だけどな」

「そうですよ、マコトさんがいなかったら私もグールに殺されてラルフさんも天に還るか、幽霊になっていまでもあの辺りをさまよってますよ」

「違いない」

「マコトには感謝だね、朝ごはんをくれたらもっと感謝するよ」

「にゃあ」

 リーリが食べてたドーナツは朝ごはんじゃなかったらしい。


 某ハンバーガーショップの朝メニューみたいなのを格納空間で作って出した。

「マコト、御者を代わらなくていいのか?」

「にゃあ、オレは問題ないにゃん」

 それにここは直線が多いので空間魔法を有効活用してガッチリ距離を稼ぎたい。

 馬車をいくら速くしても空間圧縮魔法と比べたら移動距離はたかが知れてる。

 それに路面に刻まれた刻印からすると、この街道では元々、空間圧縮魔法が用いられていたのではないだろうか?

 いまは商人の道に移ってるが、この街道の真っ直ぐで見通しの良さはいかにも空間を圧縮してくれと言わんばかりだ。

「にゃあ、どんどん行くにゃんよ!」

「行け!」

 妖精もノリノリだ。

「「「うわ!」」」

 他のメンバーは次々と切り替わる風景に目を回しそうになる。

 森の中でも空間圧縮で切り替わった風景は誤魔化せ無かったようだ。

「「わあ!」」

 ビッキーとチャスだけは目を輝かせてる。

「にゃあ! もっと行くにゃん!」

 連続で空間圧縮魔法を使った。

「この調子だと今日中にルークスに到着するんじゃないか?」

 ラルフは揺れてないのにしっかり御者台のシートを掴んでる。

「にゃあ、いくらなんでもそれはないにゃん」

 オレの計算では日没までにルークスには届かない。


 それでも夕方にはルークスの巨大な城壁が肉眼で捉えられる野営地に到着した。



 ○フルゲオ大公国 アナトリ街道 ルークス近郊 野営地


 中途半端に街に近いので門限に間に合わなかった人の為の緊急避難場所的な場所なのだろうか。

 例の事件の影響なのか首都近郊だというのに交通量は少なく野営地にも先客はいない。

「いやあ、マコトの魔法は半端ないな」

 チャドが馬車を降りて伸びをする。

「もうこんなところに来てるなんて信じられません」

 唖然としてるカティ。

「にゃあ、コツが掴めたから帰りはもっと短縮できるにゃん」

「帰りは急がなくてもいいはずだぞ」

「それもそうにゃんね」

「場合によっては急ぐことになるかもね」

 アレシアが縁起でもないことを言う。

 ここから見えるオレンジ色の夕日を浴びた城壁では、大公国軍の兵士たちが慌ただしく動き回っていた。

 城壁の外にも人家はあるが人気はない。

「マコト、近くに死霊の反応はあるか?」

 ラルフは日が沈む西の空を見る。

「にゃあ、まだないにゃんね」

「まだ日が沈みきってないから動いてないんじゃない」

 リーリも周囲を見回す。

「にゃあ、死霊は夜に活動するんだったにゃんね」

「首都には届いてないと聞いてはいるが、本当のところは夜にならないとわからんか」

 ラルフも具体的な出現ポイントは不明らしい。

「夜はマコトの結界から出ないことをお勧めするよ」

 リーリが皆んなに告げる。

「妖精さんの言う通りだ」

 チャドが最初に同意した。

「誰も出ないから安心して」

「にゃあ」

「死霊はわかりませんが、反乱軍はまだルークスには到達してないはずです」

「早くても一週間と聞きました」

 キュカとファナが教えてくれた。

「にゃあ、いつ聞いたにゃん?」

「マコト様と出会った日です」

「反乱軍の正体が死霊だとするとまだ四~五日有りそうにゃんね」

「十分だ」

「余裕で間に合ったんじゃないか」

 ラルフとチャドがうなずき合う。

 城壁を右往左往してる兵士をたちを見ると本当に間に合ってるのか不安になるけどな。本当に反乱軍が来たらそれはそれで困るにゃん。


 日没を迎え夕食を終えたところで街道をルークスの方向から二頭立ての馬車が近付いて来た。

「にゃあ、貴族の馬車にゃん」

 凝った装飾に分厚い防御結界とくれば、じっくり探索するまでもない。

「ああ、あれはルークスの冒険者ギルドのギルマスだ」

 ラルフがテントから顔を出して確認した。

「にゃ、ギルマスが来たにゃん?」

「ああ、待ちきれずにギルマスから出向いたらしい」

「にゃあ、夜間は外出禁止と違うにゃん?」

「ルークスのギルマスだったら禁止してる側だからいいんじゃないか?」

 チャドはルークスのギルマスを知ってるらしい。

「にゃあ、貴族でもあるにゃんね」

 馬車からしてそうだし。

「貴族ってより大公陛下の第二公女殿下だからもう一段上だ」

「随分と偉い人がやってるにゃんね」

「道楽?」

 リーリがズバリ聞く。

「いや、ボワモルティエ大公家のブランディーヌ第二公女殿下は、優秀なギルドマスターだぞ」

「ネコちゃんにいち早く目を付けて呼び寄せるぐらいにね」

 ラルフとアレシアも良く知ってる様だ。

 冒険者ギルドの職員だから知ってて当然か。


 テントの前で馬車が停まりラルフが出迎える。

「久しいわねラルフ、来てもらえてうれしいわ、それに今回は無理を言いました」

「いえ、我々にはマコトがいましたから」

「予想の半分の日程で到着したのも噂のネコちゃんのおかげ?」

「そうです、ではこちらへ」

 ラルフがブランディーヌ第二公女殿下をオレのテントに案内した。

 おいおい空間拡張使いまくりのテントにいきなり連れてくるんじゃないよ。

「うわあ、これはスゴいわね」

 誤魔化すタイミングを逸してしまった。

 ブランディーヌ第二公女殿下はゴージャスな明るい金髪の若い女性だった。

 なるほどギルマスだけあって胸の方もかなりゴージャスだ。

 白いマントに金の刺繍と派手な出で立ちだが、しっかり似合ってる辺りお姫様なだけはある。

 ギルマスの後ろには護衛らしき女性の騎士がふたり。

「私はルークスの冒険者ギルドのブランディーヌ・ボワモルティエです、あなたがネコちゃんね?」

「にゃあ、オレがマコト・アマノにゃん」

「急な招集に応じていただき感謝します」

「あたしはリーリだよ」

「妖精さんも一緒とは幸先が良いわね、それにネコちゃんは本当に六歳の女の子だったのね」

 フリーダが話を盛ってるとでも思っていたのだろうか?

 姫様に抱き上げられた。

「にゃあ、六歳にゃん」

 本当の年齢を言っても信じてもらえないのは、さんざん経験したので余計なことは言わない。

「早速で申し訳ないけど、大公陛下が謁見を希望しておられるの、このまま来てもらっても構わないかしら?」

「にゃあ、オレだけでいいにゃん?」

「ええ、問題ないわ」

「にゃあ、だったら行って来るにゃん」


 リーリに防御結界の維持を頼み、皆んなをテントに置いてオレはブランディーヌの馬車に乗った。正確には抱っこされたまま連れて行かれた。



 ○フルゲオ大公国 アナトリ街道 ルークス近郊


「にゃあ、まずはいまの状況を教えて欲しいにゃん」

「いいわよ、地図をここに」

 ブランディーヌの指示で護衛の一人が格納空間から大きな地図を取り出し馬車のテーブルに広げた。

「ここがルークス」

 地図の中心を指差す。

 ルークスから放射線状に街道が伸びていた。どれも直線に近い。

「死霊はどの辺りにゃん?」

「最新の報告では、ルークスから南西の方角に馬で三日の距離まで来ているみたい」

 ブランディーヌは地図でその方角を指差す。

「既に四つの都市が落ちてるわ」

「にゃあ、都市の防御結界は効かなかったにゃん?」

「いずれも刻印が事前に細工されていたみたい」

「にゃお、人間の中に死霊を手引きしてるヤツがいるにゃんね」

「人間もしくは死霊魔導師ね」

「今回、死霊魔導師の目撃情報はあるにゃん?」

「いいえ、確かなものはまだないわ」

「だったら自分の目で確認するのが手っ取り早いにゃんね、許可がもらえれば直ぐに出発してもいいにゃん」

「ええ、謁見の後はパッセルの街に向かって」

 ブランディーヌが指差した城塞都市はルークスから南西に馬で二日の距離だ。

「パッセルには大公国軍の前線基地が置かれているわ。騎士団も詰めているから私の姉を訪ねて」

「にゃあ、ブランディーヌ様のお姉さんにゃん?」

「大公国軍騎士団団長のアンジェリーヌよ」

「にゃあ、騎士団の団長さんなら話が早そうにゃんね」

「ええ、信用してくれていいわ」

「にゃあ」

 つまり他の人間は信用ならないってことか。

「ネコちゃんにはここにいるふたりを同行させるわね、私の守護騎士を務める魔法剣士だから、好きに使って」

 オレとブランディーヌの対面にいるふたりが一礼する。

「リンダ・ガレータだ」

「エリカ・モリストです」

 どちらも長身の女性だ。

 美人だが残念ながら冒険者ギルドでの出世は望めない感じのお胸だ。

 リンダは黒髪のロングで黒い瞳。

 エリカは鳶色の瞳でプラチナブロンドの巻き毛だ。

 どちらも騎士だがゴツゴツした鎧は装着せず代わりに強力な防御結界をまとっている。

 実力はそれだけで十分に伺えた。

「にゃあ、よろしく頼むにゃん」

「夜間走行の許可を出しておくわね」

 今度はブランディーヌ自らクレジットカード大の金属のプレートを取り出した。

「にゃあ、確かに受け取ったにゃん」



 ○フルゲオ大公国 首都ルークス 城壁門


 巨大な壁の様な城壁を抜ける門はまるでトンネルだった。

 厚さ五〇メートルぐらいあるんじゃないか?

「スゴい城壁にゃんね」

「ええ、鉄壁の守備力を誇っているけど、貴族の半数が逃げ出しているわ」

「街を守る防御結界はかなり強力にゃん、刻印さえ守ればここは死霊に囲まれても持ちこたえられるにゃん」

「ネコちゃんは結界の内容がわかるの?」

「にゃあ、魔法式を読み取るのがやっとにゃん」

「それだって普通はできないわよ」

「そうにゃん?」

「六歳で冒険者をやるだけのことはあるわね」



 ○フルゲオ大公国 首都ルークス 市街地


 城壁のトンネルを抜けてルークスの中に入る。首都だけあって街の雰囲気はオパルスよりも重厚な感じの建物が多い。夜間外出禁止とあって兵士以外の人影は皆無だ。

 街の中にも幾重にも防御結界が張られている。

「下手に逃げ出さないほうが安全に思えるにゃん」

「凡人には結界が見えないから仕方ないわ」

「それもそうにゃんね」

 街を旋回するように馬車が走り大公の城を目指す。

 一直線に道が伸びてないのは防衛の為なんだろうが不便だ。



 ○フルゲオ大公国 首都ルークス ルークス城


 この時間だからか、それともいつもこんな感じなのかは知らないが大公の居城は、しんと静まり返っていた。

 入口にいる兵士が儀仗兵よろしく敬礼してくれる。

 そう言えば、オレも一応は貴族だった。

 ブランディーヌに手を引かれてるのでまるで遊びに来た親戚の子供だ。

 貴族の当主には見えないか。

 城内も華美な装飾はなく質実剛健な造りをしている。ただ暗い。明かりの魔導具が壊れてるのでは無く最初から無いっぽい。



 ○フルゲオ大公国 首都ルークス ルークス城 謁見の間


 暗く迷路のような通路を歩いて遂に謁見の間に到着した。

 城がデカいのは構わんが、カートか何か用意しとけよ。それと暗いよ。

 大きな扉を兵士が開けてくれた。

 謁見の間は他国の使者に国力を見せつける場でもあるので、大きくそして豪華絢爛に造られる。

 この部屋も例外では無かった。ただアナトリ王国の貴族はここ暫く来ていないらしい。

 居並ぶ騎士以外は貴族っぽい人はいない。皆んな逃げちゃったか?

 おっと、大公が既に玉座に座っていた。

 まさか先に来てるとは思わなかったぜ。

 ブランディーヌに連れられてオレは大公の前に行き、片膝を着いた。

 礼儀作法は予めブランディーヌに聞いていたので抜かりはない。

「面を上げよ」

 顔を上げた。

「余がオーギュスト・ボワモルティエである」

 大公陛下は今年五二歳。なんとなくでっぷりしたハゲオヤジを想像していたが、均整の取れた体躯のなかなかの美中年だ。

「にゃあ、アナトリ王国にて騎士を拝命しているマコト・アマノにゃん、お初に御目文字するにゃん」

「マコト、この度は大儀であった、なるほど可愛らしい童女であるな」

「にゃあ」

「疑ってるわけではないがそなたの聖魔法、軽くここで見せてはくれぬか?」

「にゃあ、わかったにゃん」

 オレは立ち上がりこの謁見の間を聖魔法の青い光で満たす。

「おお、これは」

 大公だけじゃなく居並ぶ騎士たちもざわついた。

 壁際で光の粒子が数体分弾けた。

 たまたまうろついていたのか、ここに棲んでいたのか知らないが幽霊が天に還った。

 怨霊が大量に光の粒子になって乱舞とか、気まずい展開にならなくて良かった。

「紛れもなく聖魔法、しかもこれほどとは」

 驚きを隠そうともしない大公。

「陛下、これよりネコちゃんにはパッセルに向かって貰います」

 ブランディーヌが告げる。

「パッセルであるか、間に合えば良かったのだが仕方あるまい」

 馬で二日の距離では通常は届かない。

「にゃあ、全力を上げるにゃん」



 ○フルゲオ大公国 アナトリ街道 野営地


 謁見の後はブランディーヌと別れリンダとエリカを伴って魔法馬で野営地に戻ったオレは直ぐに出発の準備に取り掛かった。

 テントを仕舞って馬車にトレーラーを増設する。

 そこにはお眠になってるビッキーとチャスに戦闘力皆無のキュカとファナを移す。

「我らもマコト殿の馬車に乗るのか?」

「にゃあ」

 リンダとエリカは馬で先導してくれるつもりだったらしい。魔法馬はしっかりふたりの格納空間に仕舞われていた。

「にゃあ、魔法を使う予定なのでふたりとも馬車に乗って欲しいにゃん」

「騎士が馬車では護衛にならないのだが」

「その通りだ」

「にゃあ、これも夜明け前にパッセルに到着する為にゃん」

「「夜明け前!?」」

「そんなことが可能なのか?」

「単騎でも二日の距離ですよ」

「にゃあ、可能かどうかふたりにも直ぐにわかるにゃんよ」

 御者台にオレが座り、リンダとエリカには道案内として隣に座って貰った。

「出発!」

 オレの頭に飛び乗ったリーリが号令を掛けた。



 ○フルゲオ大公国 ドクサ街道


 馬車を野営地から出したオレは、首都ルークスから南西に伸びるドクサ街道に移動させた。

 地図で確認したがドクサ街道も真っ直ぐな道だ。

 邪魔な馬車も魔法馬も無し。

「にゃあ、行くにゃん」

 直ぐに空間圧縮魔法を使う。

「「これは!?」」

「にゃあ、魔法にゃん」

 オレの隣に座るリンダとエリカは突然切り替わった風景に驚いて固まったが、直ぐに慣れるだろう。


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