フルゲオ大公国にゃん
○フルゲオ大公国 アナトリ街道
エパネノスの街から出る境界門も国境守備隊の計らいでほとんどノーチェックで通された。
厄介者はさっさと出て行って欲しいのだろう。
ここから先はアナトリの人間がほとんど足を踏み入れない本当のフルゲオ大公国の大地だ。
「にゃあ、雰囲気はプリンキピウム街道と変わらないにゃんね」
首都ルークスに続く街道にはアナトリ王国の名前が冠されていたが、森の中の道と今ひとつの路面はプリンキピウム街道とそっくりだ。
あちらと違って対向車はそれなりに走ってるが、首都に向かう馬車はそれほど多くなかった。
「思ったよりルークスに行く馬車が少ないにゃんね」
「荷物の大半は街道ではなく商人専用の別の道を使って運んでいるからです」
カティが教えてくれる。
「にゃあ、そっちが近道と違うにゃん?」
「いえ、商人の道は中継点が幾つもあるので街道に比べると遠回りになります」
「わざわざ遠回りするにゃん?」
「はい、それでも移動に魔法を使うそうですから馬車より到着は早いと聞きます、詳細は秘密なのでわかりませんが」
「にゃあ、それはスゴいにゃん」
「魔法使いが多いだけあるね」
アレシアも感心する。
「どんな魔法だろうね?」
「そうにゃんね、思い付くのは、オパルスに行く途中で襲ってきた領主のお抱え魔導師の使った空間干渉系の魔法にゃんね」
「ああ、あの変なおっさんだね」
「空間を縮めて距離を稼ぐあれなら現実的にゃん」
「瞬間移動だったらびっくりだったんだけどね」
「にゃあ、そんな魔法本当にあるにゃん?」
精霊情報体には物質だけの擬似的な瞬間移動は有るが、魂が分解できないため本当の瞬間移動は不可能とされている。
「ないんじゃない?」
「やっぱりないにゃんね」
空間圧縮魔法は見通しが効く範囲でしか使えないから、街道とは違う別ルートは極力直線で作られてるのではないだろうか?
「にゃあ、その道は商人じゃないと通れないにゃん?」
「そうです、首都にある五つの大店が独占して使用しています」
「他の人が通れないならスピードが出せるね、こっそり通っちゃう?」
猫耳に妖精の悪魔の囁き。
「にゃあ、いいにゃんね」
「間違ってもそんなことするなよ、特権のある大商会とトラブルったらそれこそ面倒なことになる」
ラルフに冗談は通じない。
「にゃあ、わかってるにゃん」
機会があったら帰りにでも使わせて貰うにゃん。
獣が薄いオパルス近郊みたいな街道をひた走る。
大店の商会が別ルートなので、首都に向かう車線はガラ空きだったが国境に向かう車線は渋滞一歩手前の混み具合だ。
「にゃあ、貴族ばかりなのでお行儀よく走ってるにゃんね」
センターラインが引かれてるわけじゃないのに大きくはみ出して走る奴は皆無だ。
「それは下手に追い抜いた貴族が自分より上位だったりすると、とてもマズいことになるからだ」
チャドが教えてくれる。
大公国の内情に詳しいみたいだ。酒場経由の情報だろうか?
「貴族同士でもそうにゃん?」
「貴族だからなおさら序列を重視します」
カティが付け加える。
「俺と違って、それぐらいしか誇れるものがない連中だからな」
ガハハと笑うチャド。
冗談なのかマジなのか判断が難しい。
キュカとファナはクッションに身体を預けて眠っていた。
なかなか肝の座った娘たちだ。
オレが男のまま転移してたらハーレム要員になっていたのだろうが、現実は六歳女児なのでホテルで働いてもらうのが精一杯のお世話だ。
ちゃんと仕事を教えないと勘違いしてご奉仕しそうなので、そこは間違いないように教育しなくては。
ホテルが娼館に逆戻りしてしまう。
娼館そのものは普通にある世界なので否定も毛嫌いもしない。
オパルスにも娼館はあるし何度も前も通った。
孤児たちの数少ない就職先の一つでもある。
しかも人気なのだそうだ。
オレだって思うことがないわけではない。
少なくともプリンキピウムの子供たちはもっと別の就職先を用意してあげたい。
娼館そのものは六歳児が関わることでもないので、いままで通り基本スルーにゃん。
「にゃあ、前評判と違って盗賊がぜんぜん出ないにゃんね」
「なんでそう残念そうなんだ?」
「にゃあ、片っ端から犯罪奴隷に売っ払ってお小遣いにするつもりだったにゃん」
「これだけ貴族の馬車が多いから無理だろう」
「直ぐに剣を振り回す従者が山のようにいては盗賊だって逃げ出すさ」
「それに騎士がいるわね」
「大公国軍の騎士です」
「にゃあ、大公国軍には騎士がいるにゃんね」
「大公国には近衛軍がありませんから」
「近衛軍がないというより実質、王国軍がない感じだな」
「にゃあ、近衛の騎士だったらあまりお近づきなりたくないにゃん」
「そうだね」
リーリも同意してくれる。
「そうなのですか? 騎士様と褥を共にするのは女子の誉れと言われてますが」
目を覚ましたばかりのキュカは不思議そうだ。
「皆さん、お上手ですよ」
ファナが知りたくもない豆知識を教えてくれる。
「にゃお、例え騎士だろうがオレの褥に忍び込んだら、高度限界まで打ち上げてレーザーで黒焦げにしてやるにゃん」
「そうだよ、マコトのポヨポヨなおなかはあたしのモノなんだから誰にも渡さないからね!」
妖精が高らかに宣言した。
「にゃお、オレのおなかはそんなにポヨポヨじゃないにゃんよ」
夕方には国境に向かう貴族の馬車の流れが一段落した。
「にゃあ、馬車が一台もいなくなったにゃんね」
「夜間外出禁止令が出てるからな」
「にゃあ、国境地帯はそうだったにゃんね」
「いや、先週から大公国全域でだ」
「にゃ」
チャドが仕入れた最新情報に依ると国境地帯どころか、大公国全域で夜の外出禁止が発令されていた。
「俺たちも野営しないとマズいか?」
ラルフがのんびり尋ねた。
「当たり前じゃない」
「次の野営地で停めて下さい」
カティが指示した。
○フルゲオ大公国 アナトリ街道 野営地 テント
五分ほどで野営地とは名ばかりの野っ原に到着した。こんなところまでプリンキピウム街道に似ている。
森を走る街道は急に暗くなる。
「野営地で野営するのはいいにゃん?」
「はい、認められています」
「森に入るのは?」
「禁止です」
「結界と地雷抜きでも禁止にゃん?」
「はい、結界を越えること自体が禁止されていますし、まず越えられません」
「盗賊はどうにゃん?」
「森の中ではなく街道を移動します」
「にゃお」
「残念ですが目立つロッジは使わないほうがいいですね」
街道に人気がないとは言え野営地で目立つロッジを出すのはトラブルを自分から呼び込むようなものか
「にゃあ、了解にゃん」
「森には入らない方がいいね、結界は森から来るものを防ぐ効能もあるみたいだし」
リーリは森を見てる。
なるほどマナの濃い塊が獣のように動き回っていた。
それが何なのかわからないが、リーリの反応からしてよろしいものではないのだろう。
「にゃあ、だったらテントにゃんね」
「いいんじゃない?」
リーリが代表して決めた。
「にゃあ、用意するにゃん、まずは馬車に幌を掛けるにゃん」
馬車の荷台に幌を再生して幌馬車に早変わりさせた。
「おおお」
チャドが変な声を出す。
「テントを出すにゃん」
幌馬車からサイドオーニングを広げる感じにテントを展開した。
馬車の幌とテントが一体化して居室を広げる。
憧れのオートキャンプにゃん。
「マコト、このテント、外から見た感じはではそうでもないが、中はメチャクチャ大きくないか?」
ラルフがテントの頭を突っ込んで見回す。
「空間拡張か、この大きさはヤバいな」
チャドは直ぐにわかった。
「意外と魔法に造詣が深いにゃんね」
「中身がロッジよりデカいテントが野営地に収まるわけないだろ」
チャドのくせに頭の回転が速い。
「にゃあ、狭苦しいのは嫌にゃん」
一人で潜り込むなら狭い場所は好きだが、暑苦しい野郎どもと一緒は無理だ。
「ネコちゃん、これって本当にテントなの? 壁とかドアとか普通にあるし、カーペットの下に床板があるみたいにしっかりしてるし」
「にゃあ、外からはわからないから問題ないにゃん」
外からの見た目は幌馬車とサイドオーニング風のテントだ。
ロッジよりは目立たないと思う。
多分。
「前のご主人様の邸宅よりも豪華です」
「ご不浄まで魔導具とは驚きです」
キュカとファナはテントの中を見て回って目を丸くする。
「ご不浄って何?」
「トイレのことだと思うにゃん」
リーリに教える。
以前、営業先の上品な婆様が言ってた。
「にゃあ、まずはお風呂に入るといいにゃん」
「お風呂ですか?」
「テントで湯浴みができるのですか?」
キュカとファナは風呂の知識はあるようだ。
「にゃあ、各部屋に付いてるにゃん、キュカとファナはオレと一緒に来るにゃん、使い方を教えるにゃん」
「「はい」」
リビングから廊下が伸びてる作りは崖に掘ったロッジとほぼ同じ作りだ。
「にゃあ、キュカとファナは別々の部屋でも大丈夫にゃんね?」
「問題ございません」
「マコト様の仰せのままに」
さっきまで奴隷として愛玩動物の様な扱いを受けていたふたりに『自分の好きにしていい』と言っても戸惑うだけか。
「にゃあ、一緒に入って教えるにゃん」
お風呂にキュカとファナと一緒に入った。
リーリはリビングのお菓子のカゴに陣取ってるのでここにはいない。
日本で同じことをしてるのがバレたら、間違いなくしょっ引かれる年頃のふたりと湯船に浸かる。
いつものようにまったく性的な興奮はない。
最近は残念とも思わなくなった。
人間、慣れるもんにゃんね。
キュカとファナは直ぐに風呂の魔導具の使い方を憶えた。
オレはふたりに洗われて耳の先から尻尾までつやつやにゃん。
風呂の後は夕食はオレがちゃっちゃと作る。
キュカとファナにはエッチな感じのメイド服から、かっちりとした冒険者風の衣装を支給してやった。
いまは当然、スエットだ。オレにファッションうんぬん以下略。
「当主のマコト様がお料理するのですか?」
「にゃあ」
「料理は料理人の仕事ではないのですか?」
キッチンの踏み台に立つオレにキュカとファナはまた目を丸くする。
「にゃあ、冒険者は料理人なんて連れて歩かないにゃん」
「それにマコト以外、誰もお料理ができないから仕方ないんだよ」
リーリが結論を出してしまう。
アレシアもカティも料理はしない主義だ。できないのではなくてしない主義だ。
作っても買って来ても食べに行っても激マズではね。
手早く用意した皿をテーブルに並べた。
「こいつは美味そうだな」
「マコト、俺とラルフにビールをくれ」
「にゃあ」
「ちょっと、野営中に飲むわけ?」
「なに、へべれけになるまで飲むわけないだろう、それにカティの実験もあるしな」
「にゃあ、飲んでも大丈夫かの確認だったにゃんね」
「もしかして、いま飲むのですか?」
カティが驚きの表情を浮かべる。
「呪いが解けたかどうかの確認だ、早い方がいいだろう?」
「それはそうなんですが」
「にゃあ、ここならオレがいるからファイヤーボールを連射しても平気にゃん」
ぶっ放す前にストップを掛ける。
「にゃあ、まずは食べるにゃん」
皆んなに出来たてのサンドイッチとスープを勧める。
「キュカとファナも食べるにゃん」
「私たちもマコト様と一緒にですか?」
「にゃあ、そうにゃん」
「私たちは給仕を致しますが」
「にゃあ、手掴みで食べるサンドイッチに給仕もないにゃん、それにここは野営のテントの中にゃん」
「確かにテントってことにはなってるな」
「外からならともかく中からはそう見えないけどな」
うなずき合うチャドとラルフ。
「にゃあ、とにかく給仕は不要だから、キュカとファナも一緒に食べるにゃん」
「「かしこまりました」」
丁寧なお辞儀をするふたり。
「にゃん、嫌いなものがあったら残してもいいにゃんよ」
「いいえ、嫌いなものなどありません」
「マコト様に戴いた糧を無駄にすることなどあり得ません」
「だよね、あたしもあり得ないと思うよ!」
キュカとファナの言葉に妖精は腕を組んで同意する。
「皆んな食べるにゃん」
追加でチャドとラルフにはビール、カティとアレシアにはワインを出した。
「あたしも飲んでいいの?」
「にゃあ、オヤジふたりとだけじゃカティが可哀想にゃん」
「「ちょっと待て!」」
チャドとラルフから物言いが付いた。
「にゃ?」
「ネコちゃんからしたらふたりともいい年をしたオジサンでしょう?」
「おいおい、俺がオヤジだったら」
「だったら何かしら?」
アレシアがニッコリ。
「いえ、なんでもないです」
チャドの声が小さくなった。
今夜のメニューをサンドイッチにしたのは、単にオレがカツサンドが食べたくなったから作っただけだ。
「美味しい! カツサンドはやっぱりクロブタだよね、しかも特異種だもん、最高だよ!」
妖精はご満悦だ。
「「「クロブタの特異種!?」」
リーリの言葉に皆んな驚きの声を上げた。
「にゃあ、リーリの言う通りクロブタの特異種にゃん、カツサンドにはこれがいちばん合うにゃん」
「マコトは良くわかってるよ」
妖精は深く頷いてからカツサンドを齧る。
「マコト様はお金持ちなのですね」
「にゃ?」
「奴隷の私たちにまで、このような食材を下賜されるのですから」
「にゃあ、自分で狩った獲物だからお金は掛かってないにゃんよ」
「マコト様が狩ったのですか?」
「マコトはあたしが認めた優秀な魔法使いだからね」
「ネコちゃんがお金持ちなのは本当よ、間違いなくあなたたちの前の主人よりもね」
アレシアが思い切りバラしてくれる。
「「本当ですか?」」
「ああ、大公国の貧乏貴族とは比べ物にならないほどの財産家だぜ、そうだろうカティ?」
「チャドさんの仰る通りです、大公国の上級貴族と肩を並べると思います」
真面目なカティはチャドの質問にもちゃんと答えてしまう。
「にゃあ、たまたま稼げただけにゃん」
「たまたまってレベルじゃないだろう、俺だったら余裕で死んでるぞ」
「魔法の差だな、マコト、ビールをもう一本もらっていいか?」
「にゃあ、好きなだけ飲んでいいにゃん、その代わり全員、夜の内にアルコールは分解するにゃんよ」
「ああ、俺たちとしてもその方が助かる」
「もし私が暴れたら頼みます」
カティは緊張を隠せないでいた。
「にゃあ、心配要らないにゃん」
カティがワインの入ったグラスに口を付けた。
事情を知らないキュカとファナと興味がないリーリ以外が固唾を飲んで見守る。
「美味しいです」
グラスのワインを飲み干すと早くも顔が真っ赤になった。
全員がカティを見詰める。
カティは恥ずかしそうに首をすくめる。
「にゃあ、ファイヤーボールを撃ちたくなったにゃん?」
「い、いいえ、そんなことありません」
「カティのままにゃんね、もう一杯飲んでみるにゃん?」
「一杯だけですよ」
カティのグラスにワインを注ぐ。
恥ずかしそうな表情のままグラスに唇を着ける。
「本当に美味しい」
カティの横でアレシアも飲み始めていた。
「ふぅ」
カティが二杯目のグラスを空けた。
「だいじょうぶれす、くらくらするだけれす、ほのおのまほうもつかえないれす」
そのままテーブルに頭を載せた。
「にゃあ、呪いは完全に消えたにゃんね」
検証を終えたのでカティからアルコールを抜いた。
「はぅ、あ、大丈夫ですよね」
「そんなに強くないけど大丈夫にゃん、普通にゃん」
「マコトにもカティに呪いを掛けた奴はわからないんだな?」
ラルフに質問される。
「にゃあ、いまのところ術者の特定は無理にゃんね」
「呪いなんてアナトリの宮廷魔導師で決まりだろう」
チャドも顔が赤い。いつの間にか缶ビールを五本も空けていた。
「にゃあ、呪いは術者に返したからそのうちわかるかもしれないにゃん」
「私に掛けられていた呪いを返したのですか?」
「にゃあ、カティに掛けられていた呪いは分解したけど消えて無くなったわけじゃないにゃん」
「行き場を失った呪いが術者に帰るのは自然の摂理だね」
リーリがサンドイッチを齧る合間に解説した。
オレが呪いをちょっと弄ったが説明が長くなるので口にはしなかった。
「すると今度はカティに呪いを掛けた術者が酒を飲んだら火を吐くわけか、そいつは愉快だな」
「にゃあ」
「本当に宮廷魔導師だったら、呪い返しの対策ぐらい取ってるんじゃないか?」
「そうにゃんね」
運が良ければ防げる可能性はある。かなり運が良ければだ。
この日、王都の貴族地区で火災が起こったが公にされることは無かった。
『にゃあ、いまいいにゃん?』
オレはキャリーとベルに念話を入れた。
『マコト?』
『オレにゃん』
『あたしもいるよ!』
『わっ、もう一人いた』
『リーリだよ』
『明日はいいことがありそうなのです』
『にゃあ、ふたりに教えて欲しいことがあるにゃん』
『なに?』
『死霊にゃん』
『マコト、もしかしていまフルゲオ大公国にいるんじゃない?』
『にゃあ、何でわかるにゃん!?』
『これまで死霊の大半はフルゲオ大公国で発生してるのです』
『死霊は聖魔法で対抗するか、消滅するまで放っておくかのどっちかだからね。聖魔法の使い手のマコトが呼ばれたわけだ』
『正解だよ』
『にゃあ』
『死霊は物理的な攻撃が効きづらいから厄介なんだよね』
『効くのは陽の光と聖魔法だけなのです』
『陽の光も効くにゃん?』
『昼間に活動しないからそう言われてるね』
『確証はないのです』
『死霊魔導師についてはどうにゃん?』
『厳密には実在が証明されてないんだよね』
『人間の特異種の可能性もあるって聞いたにゃん』
『それは人間に死霊を操れる訳がないという考えが根底にあるので、正確とは言えないのです』
『なるほど』
『にゃあ、すると死霊魔導師が空を飛んだのも嘘にゃん?』
『目撃情報はそれなりにあるね』
『死霊も空を飛ぶから混同されてる可能性もあるのです』
『死霊は飛ぶにゃん?』
『そう、群れになって飛んで来るよ』
空からゾンビが群れて襲ってくるとか、低予算B級ホラーな絵面が脳裏に浮かぶ。
こちらは現実だけに映画と違って本当に丸かじりされる危険がある。
『フルゲオ大公国で死霊が発生してるんだね』
『にゃあ、オレにも正確なところはわからないにゃん』
『たぶん、大公国の人間も正確な状況を把握していない可能性があるのです』
『現場がフルゲオ大公国ではこっちの王国軍も近衛も動けないから気を付けて』
『にゃあ、危なくなったら逃げるから大丈夫にゃん』
『それがいいよ』
『マコトが無事に帰れるように祈ってるのです』
『何か有ったら直ぐに連絡するんだよ!』
『にゃあ』
キャリーとベルの優しさにちょっとウルっとなった。




