テランス・デュランにゃん
「テランス、お前、何をしている!?」
モリスが駆け寄って倒れかけたマコトを支えた。
「公爵の始末は俺の使命だが?」
テランスは不思議そうに首を傾げる。
「誰の命令だ?」
国王が問う。
「命令ではありません、これは暗部に課せられた使命でございます。何より公爵は面白い素材ですからね、手に入れないわけにはいきません」
テランスは、マコトからナイフを引き抜いた。
「稀人とはいえ、大した違いはないか、ふん、思った通り配下の者も頭を潰されると動けなくなるようだ」
猫耳たちは微動だにしない。
「テランス、ああ、もうひとりの方か」
モリスはテランスを睨みつけた。
「いまさらだなモリス、あれもまたテランス・デュランだ」
表情はわからないはずだが笑みを浮かべているのはわかる。
「それでどうするつもりだ?」
国王が再び問う。
「我が国の国体は守らなければなりません、それが最優先でございます」
「王都を再建するのかい?」
モリスは肩の力を抜いて問い掛ける。
「奴隷と魔導師でどうにかなる、主席殿にもご尽力を頂くことになるが」
「奴隷って?」
ケントルムに奴隷は犯罪奴隷以外は存在しないことになっている。
「棄民を奴隷として扱っても構うまい」
「王都の再建に奴隷や魔導師を使うんだったら、こんなことをしないでマコト公爵にお願いした方が良かったんじゃないかな?」
「いや、公爵を仕留める機会はこの時をおいて他にない。それに敵国人に王都の再建を任せるわけにはいくまい?」
「戦争に負けたのにいまさらだけどね、それに公爵に手を掛けたことが知れたらあっちから怖い人たちがくるよ」
「なに、返り討ちするまでだ。公爵を喰えばそう難しい仕事ではない」
「果たしてそうかな?」
「……」
モリスの言葉にテランスは改めてマコトを見た。
「ほぅ、なかなか面白い手品を見せてくれるではないか」
テランスは一歩下がって刀身の消えていたナイフの柄を投げ捨てた。
「手品とはご挨拶にゃんね」
オレは顔を上げた。
「マコト公爵、無事だったのか?」
王太子がオレを見る。
「にゃあ、大丈夫にゃんよ」
「流石だよね」
「主席も助かったにゃん」
モリスの手を離れてひとりで立つ。ナオが絡まなきゃいたって普通か。カズキと同じく異常に若作りだけどな。
「直接触ってわかったにゃん、暗部の元締めテランス・デュランは死霊の集合体にゃんね、そして現在の依代が転生者にゃん」
ややこしい構成をしている。
「死霊の集合体?」
モリスはテランスを見た。
「ほぉ、一瞬でそこまでわかるとは面白い、これはぜひその力を手に入れなくてはなるまい」
テランスが答え合わせをしてくれた。そして次の依代をオレに決めたらしい。
「にゃあ、オレの身体はちっちゃいからそんなに入んないにゃんよ」
「問題ない、器などどうにでもなる」
冗談にマジレスとは真面目か?
「にゃあ、ひとつ質問にゃん、三〇年前アナトリに来たことはあるにゃん?」
「いや、ないよ。テランス師が王都を離れたことは二〇〇年前の戦争の時を含めてもないんじゃないかな?」
テランスに代わってモリスが答えた。
すると三〇年前アナトリのエクウス州で巡回治癒師をしていたカロロス・ダリを特異種に変えた魔法使いではなさそうだ。
モリスの言葉が正しければだが、ケントルム王国の宮廷魔導師団を実質的に率いてきたテランス・デュランがアナトリをウロチョロしている暇はないか。
「にゃあ、アナトリで悪さをしなかったのは良かったにゃんね」
「ふん、アナトリの田舎者に用はない」
「あっちが田舎者なのは否定しないにゃん、ただこっちが進んでるかというと微妙にゃんね」
「ふふ、これは手厳しい」
「まずは死霊どもを始末するにゃん、魂だけで二〇は入っているにゃんね」
「ほぉ」
テランスに慌てる様子はない。その自信は何処から来てるんだ?
「問題は依代の転生者にゃんね、しかも特異種化しているとは最悪にゃん」
テランス・デュランを構成する死霊の集合体が、転生者の身体を乗っ取った影響で特異種化したのだろうか?
それとも死霊たちが狙って特異種にしたのか? それは無さそうだが。
いずれにしろ特異種化したことでこれまで出会った転生者と比べて桁違いの力を持っている。それは間違いない。
「不思議なのは死霊どもも特異種も理性を失ってないことにゃんね」
無差別に人間を喰い殺す死霊と何よりも人殺しを最優先にする特異種のちゃんぽんなら、城の何処かに理不尽に殺され喰われた死体の山が隠されてそうだが、それらしき痕跡はなかった。
そして暗部の元締めとして仕事を全うしている。謀略を司る機関だが人を殺す為に活動しているわけじゃない。個人的にヤバい魔導師はいたが。
「死霊化したら高位の魔法使いでも理性を長く保つのは不可能だと思っていたにゃん、いったいどんなからくりにゃん?」
例えば大公国の元軍人の死霊の場合は変化してから日が浅かった為に理性を保っていた。その後、天に還らず残っていたヤツはオレが細工をしたので現在は死霊ではない。
他にはフィーニエンスとの間の魔獣の森に潜んでいた死霊に混ざっていた元宮廷魔導師たちの例だが、こちらは時代を経ていた為、魔法を使っても人間としての理性は完全に失って化け物に成り果てていた。
また、死霊ではないがフルゲオ大公国の元第一公子デフロット・ボワモルティエの例は、人工的な細工がテランスに近い。
「からくりか? この身体は先人が魔法によって作り出した奇跡の結晶だ」
「確かに魔力だけでもわざわざ厄介なモノを解放しなくても、テランスひとりで十分に魔神の役目は果たせるレベルにゃん」
「へえ、そんなに強いんだ」
ひとり感心するモリス。こんな状況でもマイペースなヤツだ。
オレは話をしながら小ホールを聖魔法で囲った。
「ふん、聖魔法か」
表情は読めなくても鼻でせせら笑ったのはわかる。
「にゃお、死霊のくせに聖魔法に耐性があるとは驚きにゃん」
「私を薄汚い死霊と一緒にして貰っては困る」
「死霊から変質しているにゃんね、それでいて禁忌呪法は使ってないみたいにゃん」
クンクンと臭いを嗅いで確認する。禁忌呪法の嫌な感じはない。この辺りはデフロットとは違う。
例えば封印の魔神を作ったサクラあたりが絡んでいれば、死霊の集合体だろうが禁忌呪法を使わずに作り変えられそうだ。
サクラがこっちでもやってくれたのか?
「「「禁忌呪法などではない」」」
テランスの声がダブって聞こえた。
「にゃ?」
何かテランスの様子が変だ。
「「「はぁ、はぁ、はぁ、貴様、俺に何をした……」」」
呼吸を荒くし身体を震わせるテランス。
「オレは聖魔法しか使ってないにゃんよ」
聖魔法は効かないんじゃなかったのか?
死霊の集合が解けようとしていた。
「「「はぁ、はぁ、はぁ、聖魔法ではない」」」
「だったらオレは知らないにゃん」
何でもかんでもオレのせいにされても困る。
『お館様、さっき城を再生した時に消したいくつかの刻印のうちどれかがテランスに関係していたと違うにゃん?』
猫耳がそっと念話を送ってきた。
『にゃ、そういえば消したにゃんね』
オレもコソっと念話で返した。
再生した王宮の刻印の中には、死霊に関係するヤバそうなものがあったので問答無用で消した。地下王宮に残されていた刻印も再生した本体と繋がった時点で、自動的に消去されたはずだ。
「にゃあ、もしかして王宮に刻んであった死霊関係の刻印が関係しているにゃん?」
テランス本人に聞く。
『『『貴様、それをどうした?』』』
声は割れているが早口だ。
「そんなヤバいもんは即消しにゃん」
『『『貴様っ!』』』
「テランス・デュランの存在を維持するのに必要なモノだったにゃんね」
まさかテランスに死霊の集合体が入っているとは予想だにしてなかったが、消して正解だ。死霊の刻印なんぞ放置してもいいことなんかひとつもないからな。
「意外とデリケートにゃんね」
「だから王都から出なかったんだ」
モリスも納得した。
『『『はぁ、はぁ、はぁ……』』』
これは理性を失って暴れるパターンか?
「テランス師が死霊の集合体を体内に宿しているのは、先代までの魂を死霊化して残していたからなんだね」
モリスがひとりうなずく。
「でも、何でそんな手間のかかることをしたんだろう?」
「オレに聞かれても知らないにゃん」
他所の国のヤバい儀式なんぞ知るわけがない。
『記憶の伝承だ』
『『『余計なことを言うな』』』
『うるさい爺ども! 俺の身体から出て行きやがれ!』
テランスの中で転生者と死霊の集合体が仲間割れか?
テランス・デュランを形成する刻印が消えて、これまで抑え込まれていた死霊と特異種の融合が破綻する。
『『『オオオオオオオッ!』』』
テランス・デュランの身体から死霊の集合体が抜け出し転生者の特異種に分離した。途端に死霊どもの絶叫が響いた。
「聖魔法の耐性が消滅したみたいにゃんね」
オレは聖魔法の出力を上げた。
『『『ウォォォォォォッ……』』』
声が消え死霊の集合が完全に崩れて剥き出しの魂になる。
「魂は回収にゃん」
「「「にゃあ」」」
猫耳たちが天に還る前の魂を回収する。
残された転生者で特異種に備えてオレは城の上半分を消した。
○ケントルム王国 王都フリソス フリソス城
「うわ、スゴい!」
モリスが声を上げた。真っ平らな床だけが残り冬の冷たい風が吹き抜ける。
「邪魔なモノは消したから好きに暴れていいにゃんよ」
『なるほどこれが特異種の本能か……』
テランス・デュランの偽装が消え去り、そこには中学生ぐらいの黒髪の男の子が立っていた。
ただ特異種の特徴をそのまま有している。
耳まで避けた口。尖ったサメの様な歯。四つの目。これで身体が大きくなればグールだが、大きさは中坊のままだ。
その姿が低予算のホラー映画っぽく感じるのはオレも経験を積んだからにゃんね。
「特異種になると不思議と人を殺したくなるみたいにゃんよ」
『なるほど』
人間の肉を喰うのか、精神を喰うのかはわからんけど。喋るところみると後者か?
「言葉は通じるみたいだけど、ちょっと見ない間にずいぶんと姿が変わったね」
モリスが声を掛ける。
『これが俺の本当の姿だ』
いまのところ会話をすることができるだけの知能は残っているが、これがいつまで持つのかはわからない。
「主席は、テランス・デュランの正体を知っているにゃんね?」
「ボクの友達だからね」
するとこの転生者も元宮廷魔導師か。その辺りにいた転生者にいきなり寄生したわけじゃなさそうだ。
「主席の友達なら、どうにかして欲しいにゃん」
コソッとモリスに囁く。
「いやいや、友達といっても、あんな姿は始めてだし」
モリスは小さく首を横に振った。
「元テランス・デュランの本当の名前はなんていうにゃん?」
「名前? リョウマだよ、リョウマ・サタケ」
「リョウマにゃんね、オレと同郷で間違いなさそうにゃん」
オレとモリスがコソコソ話している前で元テランス・デュランのリョウマ・サタケは自分の身体を興味深そうに眺めていた。
本当の姿とかいいつつも実際に確認したことは無かったのだろう。
「リョウマ、提案なんだけど元のテランス・デュランの姿に戻って宮廷魔導師を続けるってわけにはいかない?」
「にゃあ、それはいい考えにゃん」
モリスの提案にオレも賛同する。
『爺どもが消えて自由になれたというのに、俺にまた王宮の犬になれというのか?』
「犬になる必要はないよ、リョウマにも平穏に暮らして欲しいだけだよ」
モリスの言葉に嘘はないと思う。
『お前こそ俺を始末しなくていいのか?』
「そのつもりはないけど」
モリスは手をヒラヒラさせて攻撃の意思が無いことをアピールする。
『ここで俺を始末しないとお前の大切なナオ様が生きたまま喰われるかもしれないぞ』
「なに?」
モリスがリョウマを睨む。人の嫌がることを進んでやる特異種だけはある。
「ママに手を出したら殺すよ」
モリスが冷たい声を出す。ただでも寒い空間の空気も更に下がった。
『俺を殺せモリス、魂の芯まで化け物に変わる前に』
もしかして人間としての理性が残っているのか?
「公爵様、リョウマのことどうにかならない?」
悲しい目でオレを見るモリス。
「六歳児に何をさせるつもりにゃん? この流れなら主席が倒して、リョウマの躯を抱いて慟哭するまでやって欲しいにゃん」
「無理言わないでよ」
どっちが無理言ってる?
『いいのかモリス? ナオ様を喰うぞ』
リョウマがニヤリといやらしい笑みを浮かべた。
「精神系かと思ったら肉食系だったにゃんね」
モリスを煽っているのだろうが、喰い殺したい願望も本当だろう。特異種の本能はそう簡単には抑えられないはずだ。
「マジでナオを食べる気みたいにゃんよ」
「でもさ、いくら特異種になってもママには敵わないんじゃないかな? なんたってボクがぜんぜん敵わないんだから」
「にゃあ、確かにナオは強いにゃん」
モリスもかなり強いけどな。隠しているがこいつの戦闘力もえげつない。
ナオが仕込んだのか、それとも血筋(たぶん没落した魔導師あたりに子孫だと思われる)か、もしくは両方か。
『どうした、お前から来ないならこちらから……』
リョウマのセリフの途中で雷が落ちた。
「もう昼食会の途中で騒がないでよね!」
「マナー違反なの!」
昼食会の邪魔をされてご立腹の妖精ふたりの仕業だった。
リョウマが特異種から消し炭に変わって、猫耳が魂を回収しオレも城を元に戻した。
○ケントルム王国 王都フリソス フリソス城 小ホール
デザートまで食べて妖精たちが満足したところで会談を再開した。
「主席殿が私の叔父上なのですか?」
王太子がモリスを見た。
「にゃあ、そうにゃんよ」
「いろいろ事情があって公にはできなかったんだよ、こんな状況にならなかったら教えるつもりも無かったんだけどね」
肩をすくめるモリスはいつもの調子だ。
「はあ」
唐突すぎるカミングアウトに王太子は理解が追いつかない様だ。
「お城だけ再生したのね、相変わらずネコちゃんたちの魔力は半端ないよね、それとモリス、あんたはコロス」
ナオは現れると同時に養子に殺害宣言をした。
「ママ、いきなりなんで!?」
涙目でこの世の終わりみたいな顔をするモリス。
「自分の胸に聞きなさい!」
ビシっとモリスを指差すナオ。
「えっ?」
モリスがオレを見る。
「にゃ、にゃお、オレは何も知らないにゃんよ、そんなことよりナオも到着したにゃんね」
ドラゴンゴーレムで王宮まで来てもらったのだ。
「王宮なんかに絡みたくなかったんだけど、こんな状況になったら知らんふりもできないでしょ」
こちらも肩をすくめる。
「それでネコちゃんは、あたしに何をさせたいの?」
「にゃあ、ナオには次の国王の後見人になって欲しいにゃん」
「次の国王ってユーグは辞めちゃうの?」
ナオは国王を見る。
「私は退位する」
国王は視線を逸した。
「そう」
ナオはスタスタと国王に近づいた。
そしてぶん殴った。
「……っ!」
魔力を載せてないからナオの手の方が痛いんじゃないか?
「あんたの事情も知らないわけじゃないから、このぐらいで勘弁してあげる」
腕組みして宣言する。
一発だけでいいのか?
「それで、そこに倒れている裸の男の子はなんなの?」
ナオが指差したのはリョウマが転がっていた。
転生者は猫耳にしない方針なのでコソっと肉体を修復して魂を戻しておいたのだ。
「あれは転生者にゃん」
「何でここに来て転生者が出てくるの?」
「あれがテランス・デュランの中身の半分だったにゃん」
「クロエは知ってる?」
ナオの問いにクロエが姿を現した。
「いいえ、テランス様の本当のご尊顔は拝見したことはございません」
「クロエも知らなかったんだ」
「知ってたのは主席ぐらいにゃん」
「ふーん、何あんた、あたしにもそんな大事なことを黙っていたわけ」
ナオはモリスを詰問する。
「ママがボクのお嫁さんになってくれたら話していたかも」
頬を赤らめる。
「あたしがあんたと結婚するの?」
「そう、いまからでもいいよ!」
「無理、生理的に無理だわ」
ナオは容赦なかった。
改めてぶっ倒れているテランス・デュランことリョウマ・サタケの記憶を見る。
転生前も中学生だった様だ。うん、日本人で間違いない。
登校の途中、交通事故で命を落とした彼は、ケントルムの北の辺境にある直轄地の寒村に近い道端で目を覚ました。
そこで親切な村人に拾われ保護された。
空の上から始まったオレに比べたらイージーモードにゃんね。
当初は混乱していたリョウマも土地に慣れ、数年間はその地域を中心に冒険者として活動したらしい。
転生者はやっぱり冒険者にゃん。
魔法も覚えてCランクにランクアップして、カズキほどじゃないがチーレムな日々だった様だ。何回か女に刺されている。
チャド並みのクズに育った様だ。
そんなある日、大規模な盗賊団をたった一人で討伐したことから、宮廷魔導師団の目に止まりスカウトされた。
当然、平民のリョウマに拒否権はない。
宮廷魔導師団では改めて魔法の基礎を叩き込まれた。
ここで現主席宮廷魔導師のモリス・クラプトンと知り合い仲良くなったらしい。
転生者なので当然、短期間で頭角を現し目立つ存在になった。
ただし、こちらでも貴族の女にまで手を出して何度もトラブルを起こしていた様だ。
仕事はできるがクズ具合にも磨きがかかっていた。
……このまま天に還した方が良かったかも。
そのトラブルの中でも高位の貴族の奥方に手を出したいちばんヤバいのを収めてくれたのが、前任のテランス・デュランだった。
それをきっかけに密かに暗部のメンバーに加わったらしい。
暗部でもかなり活躍した様で、数年後には中心的な役割を担うようになっていた。それでも理不尽なことは拒否する自身の倫理観は持っていた様だ。
女には何度も刺されてるけどな。
そして当時かなり高齢だった前任のテランス・デュランの死期が迫ったことから、後任に選出された。
これもまた本人に拒否権はなく、死霊の集合体が植え付けられテランス・デュランの名と姿を受け継いだのだった。
同時にリョウマは魔獣討伐で死亡したとされ、宮廷魔術師団からその名が抹消された。
後日、モリスがテランス・デュランの正体を見抜いたのは歴代のテランスと違って、リョウマの自我が完全に乗っ取られず色濃く残ったことに起因すると思われる。特異種化もそれに関係しているのかもしれない。
「にゃあ、そろそろ起きたらどうにゃん?」
ぶっ倒れたままのリョウマに声を掛けてビリっと軽く電気を走らせた。




