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ローゼ村にゃん

 ○ケントルム王国 アドウェント州 ローゼ村


 ローゼ村をナオの魔法馬に乗ってパカポコとのんびり案内して貰っている。

 村の風景は行ったことないけどヨーロッパのきれいな農村に近いイメージ?

 オレの知るポレックス村とかと比べるとこちらはずっとカラフルだ。

「いいところにゃんね」

「うん、いいところだよ」

 笑みを浮かべるナオ。

「村はナオが整備したにゃん?」

「ううん、風景はほとんど変わってないよ、あたしね、この近くの森で目を覚ましたの、いやーパニックだったよ」

 ナオは南を指差す。

 村の南はケントルムの実質的な国境である大森林地帯だ。プリンキピウムと同じく森林地帯の更に南は魔獣の森になっている。

「にゃあ、オレなんて死んだって思ったら次の瞬間、いきなりパラシュート無しのスカイダイビングだったにゃんよ」

「えっ、スカイダイビング?」

「そうにゃん、猛スピードで落ちているし、高度限界のレーザーには撃たれるし、危なくもう一回転生するところだったにゃんよ」

「そ、それはハードモードだね」

「にゃあ、ギリギリ魔法を使えて何とか助かったにゃん」

「おお、ギリギリでもいきなり魔法を使えるのはスゴいね」

「オレにとっても奇跡にゃん」

 精霊情報体をキャッチできなかったら転生早々に詰んでた。

「にゃあ、その後はいい人たちに巡り会えたのはラッキーだったにゃん、むしろそっちが奇跡だったにゃんね」

 キャリーとベルに出会えなかったらいまのオレは無かった。いまもプリンキピウムの森で暮らしていたかもしれない。

「うん、出会いは大事だと思うよ、あたしは薔薇園に住んでいた魔法使いのお婆さんに拾われたの」

「いい人だったみたいにゃんね」

「うん、とてもいいお婆ちゃんだったよ、あたしなんか弟子にして貰っちゃったし」

「するとナオはずっとこの村にいたにゃんね」

「うん、なんたって村の人たちはみんな親切だったからね、大きな街も見物したけどあたしの肌には合わなかったな」

 貴族が威張り散らかしているケントルムではそうだろう。

「にゃあ、だったら無理して移動する必要はないにゃんね」

 ナオがいたからローゼ村は盗賊に荒らされることもなく、昔のままの姿を保てたのだろう。アドウェント州の薔薇園がヤバいのはその業界筋では古くから知れ渡っているからな。

「ネコちゃんたちは、これからどうするの?」

「まずはこの戦争を終らせたいにゃん」

 オレは平和を愛する六歳児だ。

「戦争が終わる前にこの国が無くなっちゃっいそうだけど」

「砂海の魔獣の集合体とあのヤバい国王を放置すればそうにゃんね」

「国王? ユーグも駄目なの」

 ユーグは現国王ハムレット三世の戴冠前の名前だ。ナオはユーグ時代の国王と面識があり、ノシたことがあったとか。

「にゃあ、ユーグは駄目にゃん、国を守る気がこれっぽっちもないにゃん」

 封印の魔神とか後生大事に仕舞っておかないで、さっさと使えよ。何を出し惜しみしているんだか。

「ああ、そんなところはあるかもね。まあ、他領の衰退は王宮の利益なわけよ」

「内政はおざなりなのに王座に固執するとか意味がわからないにゃん」

「親兄弟を謀殺して手に入れた玉座だからね」

「地方の衰退は国が滅ぶ原因にゃんよ」

 既に結構ヤバい領地が散見されている。

 例えばアドウェント州に攻め込んだ北方連合一〇州や隣のテスタ州あたりも近年の天候不順と制度的な問題で農地が荒廃し、かなりマズいことになっていた。

 だから戦争奴隷を手に入れたら開拓が成功して領地が豊かになるとか現実無視のハッピーな思考回路に命運を賭けたのだろう。

「ユーグは、自分の後がどうなろうとも構わないのかもね、無意識に王国を終わらせようとしているのかも」

 フルゲオ大公国のかつての第一公子デフロット・ボワモルティエの思考に近い? いやヤツは国の行く末を憂いてなどいない。

「親兄弟を手に掛けてまで手に入れた王座なんだから大事にして欲しいにゃん」

「根本的な価値観の違いってのもあるけど、ユーグの場合、生き残ることが玉座を得ることだったみたいだからね、あたしたちには理解できない部分があるんじゃない? アレも可愛そうなヤツなのよ」

「そう言えば、ナオは国王の秘密を知っていたにゃんね」

 先王が戯れで貧民の子を息子として育てたのがユーグだ。

「そう、ユーグも被害者だね」

「にゃお、だからといってオレは手加減はしないにゃんよ」

「いいんじゃない、あたしも今回の件でお仕置きしなきゃって思っていたし」

 ナオはまた王宮を焼く気まんまんだ。

「オレも特大のお灸を据えてやるにゃん」

 国王がちゃんと生き残っていたらの話だが。

「この戦争が終わったら、ネコちゃんがケントルムの王様になるの?」

「にゃ?」

「だって、王宮を占領するんでしょ?」

「占領したとしても一時的なモノにゃんよ」

 頂けるものは既にかっぱらっているのでケントルムの王宮に用事はない。

「占領するだけで王様にならないの?」

「にゃあ、国王なんて遠慮するにゃん、いまだって占領した土地を魔獣から守るだけで手一杯にゃん」

「魔獣を狩れるだけでもスゴいけど」

「だからケントルム全土の面倒を見るつもりはないにゃんよ、こっちのことはこっちの人間でやって欲しいにゃん」

「うーん、そうなんだけどね、王宮が弱体化したらケントルムでは大規模な内戦が起こるんじゃない?」

 王宮を焼こうとしている人がなんか言ってる。

「大規模な内戦とかフザケた真似をすると魔獣で国土が埋まるにゃんよ」

 いやマジで。

「やっぱり?」

 ナオも魔獣の特性は知っているみたいだ。

「特に今回は東部の大発生が収まっていないにゃん、内戦が無くてもかなり危ない状況にゃんよ」

 これは遠距離からの観測結果ではっきりしている。まだ大発生のレベルではないが北と南の魔獣の森から魔獣の越境が多くなっていた。

「魔獣の大発生が拡大するってこと?」

「そうにゃん、ここだって南から結構な数が越境しているにゃん」

「えっ、マジで?」

「嘘だと思うなら近所で狩った魔獣を館の前に積み上げてもいいにゃん」

「いえ、疑ってはいないけど積み上げるほどいたの?」

「正確にはいまもいるにゃん」

「えっ、どれどれ……って、うわ! 本当だ」

 ナオが南に向けて探査魔法を打って声を上げた。

「南の森のかなり奥だけど魔獣の森から越境しているね、やっぱり州都でドンパチやったから?」

「原因は州都よりも砂海の魔獣の集合体にゃん」

「集合体か、濃いマナを撒き散らしているものね」

 ナオはオレが伝授した砂海の魔獣専用の探査魔法で集合体の動向を詳細にチェックしていた。

「にゃあ、マナというより集合体の魔力に引き寄せられているっぽいにゃんよ」

「いずれにしろ移動している砂海の魔獣の集合体に反応しているんだね、すると今後は東に加えて南と北からも危ないか」

 ナオは難しい顔で考え込む。

「東からの魔獣は物理障壁で止めているからこれ以上の拡がりはないにゃん、南と北はヤバいにゃんね」

「これは内戦なんてやっている場合じゃないか」

「にゃあ、内戦より逃げるなり隠れる準備をした方がいいにゃん」

「ここと違ってネコちゃんたちが守ってくれないものね」

「にゃあ、州都が健在の他の領地には手を出さないにゃん」

 騎士とか出て来ると面倒くさいことになる。盗賊ではないから箱に入れて運び去るわけにもいかない。

「ねえ、南からの魔獣の侵攻って、もう始まってるって言ってもいいんじゃない?」

 ナオは南を見る。その瞳は一〇〇キロ以上先の魔獣の森との境界をとらえていた。

「ネコちゃんたちが防いでくれなかったら、ここも魔獣の森に沈んでいたね」

「アドウェント州はオレが占領したことになっているから、当然守るにゃん」

「おお、いまも何かわからないけど魔獣が潰れているね」

「ナオだったら何が魔獣を潰しているか良く見ればわかるにゃんよ」

「どれどれ」

 ナオは改めて南に向けて探査魔法を打つ。

「おおお、これはえげつない認識阻害が掛けてあるね、よく見えないけど大きいのが何体も動いているのはわかるよ」

 認識阻害の結界をまとったオートマタの存在がわかったらしい。

「さすがにゃん」

 転生者の中でも強力な魔力を持ち魔法の造詣が深いだけはある。転生者の中でも古……おっと背筋がゾクっとしたにゃん。

「ネコちゃんに教えて貰ったからわかっただけだよ、普通は気が付かないって、おお、魔獣が次々と狩られている」

 オートマタが囲んで越境した魔獣をボコっていた。

「簡単に魔獣を狩れるとか、ネコちゃんたちは本当にスゴいよ」

「にゃあ、魔獣は狩るより後始末が大事にゃん」

「だよね、放置すると魔獣の森の苗床になっちゃうものね、この領内にも魔獣の森の飛び地があるよ」

「領内ならついでに綺麗にしておくにゃん」

「おお」

「にゃあ、でも、高濃度のマナを除去するのにはそれなりに時間が必要にゃんよ」

「魔獣がいなくなるだけでも安心感が違うから」

「マナが落ち着いても魔獣の森に一度沈んだ土地は、マナが濃くなるとまた魔獣が湧く可能性があるから入らないほうがいいにゃんよ」

「禁足地だから誰も好き好んで入らないとは思うけどね、あとは自己責任だね」

「にゃあ、それがいいにゃん」


 アドウェント州の魔獣の森の飛び地にもオートマタを飛ばした。



 ○ケントルム王国 アドウェント州 ローゼ村 薔薇園の館


 夕食はナオのところで用意してくれたバーベキューだ。館の前に置かれたコンロの炭火で肉が焼かれる。

「にゃあ、これは美味しいにゃんね」

 豚肉っぽい串焼きが醤油ダレっぽいので焼いてある。実際には豚ではなく、こっちで広く飼育されているアルパカをちょっぴりヤバくしたような家畜の肉だそうだ。それのミルクで乳製品も作られているらしい。

「野菜も美味しいよ」

 ナオがサラダを取ってくれる。

「にゃ!? スゴく美味しいにゃん!」

 野菜が美味い!

「村の人たちが丹精込めて作っているからね」

 ナオは誇らしげだ。

「前世の記憶と合わせてもこんなに美味しい野菜は初めてにゃん」

 オレたちも野菜を生産しているが段違いだ。

「それにシーザーみたいなドレッシングもなかなかにゃん」

「ドレッシングは、あたしの師匠のレシピだよ」

「間違いなく魔導具と食べ物はケントルムが圧勝にゃん」

「「「にゃあ」」」

 猫耳たちも同意した。現地猫耳も驚いているからローゼ村の野菜はケントルムでも群を抜いて美味しいみたいだ。

 ただ元が生焼け上等、塩が掛かってりゃご馳走な連中だからあまり参考にはならないかもな。

「食べ物がこれだけ美味しければ、わざわざ前世の記憶を手繰り寄せてレシピを再現しなくてもいいにゃんね」

「ネコちゃんのコーラとハンバーガーにポテトのセットも捨てがたいよ」

 ナオはオレたちが出したジャンクフードに舌鼓を打つ。

「にゃあ、それもわかるにゃん」

「うん、わかるよ」

「このサラダにチーズをたっぷり掛けると美味しいと思うの」

 ふたりのグルメ妖精がオレの両側に姿を現した。

「トンネルだけじゃなくこっちにも一瞬で来れるにゃんね」

 リーリとミンクの前にも皿とフォークを並べた。

「美味しいと聞いたら黙っていられないからね」

 リーリはフォークを片手に得意げに語る。

「そうなの!」

 ミンクも両手でフォークを持ち上げた。

「妖精さん?」

 ナオの目が点。

「そうにゃん、リーリとミンクにゃん」

 ナオにふたりを紹介した。

「よろしくね! おおお、串焼きもサラダもレベルが高くて驚いたよ!」

 リーリも納得の美味しさだ。

「ミンクもよろしくなの! 思ったとおり美味しいの!」

 ミンクは早速サラダにたっぷりとチーズをすり下ろして貰っていた。

「妖精さんをふたりも連れているなんてすごいね」

「友達にゃん」

 リーリとミンクは、オレたちの拠点やホテルの総料理長と副総料理長でもある。料理はしないけどな。


 野菜をたっぷり貰って、オレたちはリーリとミンクを連れて戦艦型ゴーレムに戻った。



 ○ケントルム王国 トリフォリウム州 上空 戦艦型ゴーレム 艦橋


 戦艦型ゴーレムはアドウェント州の北にあるトリフォリウム州上空を飛行中だ。今回はギリギリ低空で魔獣を直に重力魔法で押し潰す。

「にゃお、おかしいにゃんね、そこいらの魔獣の森より魔獣が濃いにゃん」

 モニターを見るまでもなく濃厚な気配が尻尾にくる。

 来る途中もオートマタをばらまいて魔獣を狩っているのだが、逆に増えてないか?

「お館様、これが本当の魔獣の大発生なのかもしれないにゃん」

「アナトリのはひよっこレベルだったにゃん」

「でも、いまだに増えてるのは変にゃん」

 猫耳たちも考察する。

 アナトリでは大発生が始まる兆候を掴んだ段階で動いたとはいえ、こちらとは規模が圧倒的に小さかった。現状で狩った魔獣の数の総数は既にこちらの方が多い。

「ここで魔獣が湧いてるみたいだね」

 リーリがオレの頭の上で語る。

「にゃ、魔獣の森じゃない場所で魔獣が湧くにゃん?」

 魔獣を倒しマナを下げて魔獣の森だった場所を解放しても、またマナの濃度が高まると魔獣が湧き出すのは確認している。これは大規模な永久魔法による効果だと推察しているが、まだオレには認識できないモノらしい。

 こちらはつい先日まで人が住んでいた場所だから、かつて魔獣の森だった可能性はかなり低い。

「もしかして魔獣の大発生があると外でも湧くにゃん?」

「魔獣の大発生じゃなくてもたまにある現象なの」

 リーリと一緒にオレの頭の上にいるミンクが教えてくれた。

「にゃ、魔獣って何処でも湧くにゃん?」

「何処でもじゃないよ、マナが濃い場所限定かな? 魔獣の森と同等の濃さがあると湧きやすいよ」

「魔獣の森の外でも湧き出すのなら、いまは納得の状況にゃん」

「間違いないと思うよ」

「広範囲に高濃度のマナが拡がっているせいで、湧き出す範囲も拡がっているみたいなの」

 リーリとミンクが確認してくれた。

「にゃあ、でも、これまで局地的にマナの濃度が馬鹿高い場所のいくつか足を踏み入れたことがあるけど、魔獣がいたことは無かったにゃんよ」

「それもそうだったね」

「これは濃度以外の条件も有りそうにゃん」

「なんだろうね?」

「ミンクもわからないの」

 妖精たちもオレの頭の上で首を捻った。

「条件があるとはいえ魔獣の森じゃない場所でも魔獣が湧き出すのは厄介にゃん」

 これが何処でも魔獣が湧く仕様だったら既に人間の世界は滅んでいるけどな。

「どうする?」

「魔獣の湧き出す条件が不明な以上は考えても仕方ないにゃん、オレたちはこれまでどおり物量で押しまくるにゃん」

「物量か、いちばん効果があるんじゃない?」

「ミンクもそう思うの」

 リーリとミンクも同意してくれる。

「「「にゃあ!」」」

 猫耳たちも声を上げた。

「決まりにゃん、オートマタを追加するにゃん! マナを使いまくるにゃんよ!」

 拳を振り上げた。

「「「にゃあ」」」


 戦艦型ゴーレムを飛ばしたまま大量のオートマタをオレたちが占領しているアナトリ派領地とその西隣りの合計十一州各地に追加配置した。

 オートマタも絶えず改良を進めており、現在のバージョンではマナを吸いながら魔獣を狩ることが出来る。

「にゃあ、戦艦型と空母型ゴーレムも追加配備にゃん!」

「「「にゃあ!」」」


 戦艦型と空母型ゴーレムも艦を飛ばしたまま次々と建造しては艦長席に座って起動させる。クルーの猫耳ゴーレムたちが乗り込んだ後は、オレは別の艦へと放り投げられた。


 一〇艦ずつ合計三〇艦が東南北の三方向に飛び立ち、オレはまた元の艦に放り投げられて戻った。


「ただいまにゃん」

「「お帰り」なの」

 リーリとミンクは艦長席の横っちょのテーブルでサンドイッチを食べていた。


 オートマタはともかく戦艦型と空母型のゴーレムセットの建造は、周囲のマナの濃度を大きく引き下げた。これまで生産には格納空間の砂海の砂のマナを使っていたが、大気中のマナに切り替えたおかげで大量に消費できた。

 猫耳たちも地上の拠点に地下都市を増設する。人のいない地下都市もゴーストタウンみたいなものだが、いくら大きくしても目立たないからセーフということで。

「にゃあ、いい感じにゃん」

「うん、マナが減ってるね」

「マナが少なくなれば安心なの」

 妖精たちも納得だ。

「にゃあ、ついでに魔獣をもうちょっと間引いておくにゃん」

 高高度にいる魔法龍のディオニシスとシンクロして眼下にいる魔獣どもをランダムに一〇万ほどマーキングした。

「にゃあ!」

 一〇万の魔獣にまばゆく輝く特大の杭を撃ち込んだ。

 エーテル機関を砕かれた魔獣たちは動きを止める。

「「「にゃあ、お館様、魔獣の回収はウチらにお任せにゃん!」」」

 猫耳たちが手を挙げた。

「任せたにゃん」

 猫耳たちが一〇万の魔獣の躯と砕けたエーテル機関を格納空間に回収する。

 大地に残された杭は、周囲のマナを吸って光を増す。暫くは街灯代わりに使えそうだ。街角でもなければ人の姿もないけどな。



 ○ケントルム王国 王都フリソス フリソス城 宮廷魔導師団 主席執務室


「これは、マコト公爵かな?」

 夜の執務室にひとりいる主席宮廷魔導師モリス・クラプトンは椅子にもたれたまま東の方向を見る。

「うん、ママと同郷なだけはあるよね、力はもっと上か~」

 愉快そうな笑みを浮かべたモリスは正面を向く。

「ねえ、テランス、キミとマコト公爵、どっちが強いだろうね?」

 モリスの前に次席宮廷魔導師テランス・デュランが立っていた。

「ふん、あんな化け物に敵うわけないだろ」

 テランスはいつもと違う砕けた口調で答えた。


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