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帝都へ行くにゃん

 ○帝国暦 二七三〇年十一月二三日


 ○王都タリス 上空


 抱っこ会から猫耳ゴーレムたちとの入浴会を経て湯上がりでさっぱりしたところで、夜明けの王都の屋敷から三兄弟を帝都エクシトマへ送って行くべくルーファスとチャドを乗せて離陸する。カホは自分のドラゴンゴーレムだ。

 当初の予定では猫耳たちとグランキエ大トンネルに突入するつもりだったが、エサイアスが丸ごと手に入ったので、記憶の解析とついでにチャドからこっそり抜いたトンネルのヤバい仕掛けの情報も精査してからに変更した。


「本当にドラゴンゴーレムなのだな、人が使えるとは改めて驚かされる」

 ルーファスもドラゴンゴーレムのことは聞き及んでいた様だ。

「にゃあ、こいつを使えるようにするには手間取ったにゃん」

「だろうな、ドラゴンゴーレムはヤバいからな」

 チャドが下を見る。

「この高さから見る風景はまた違いますね」

 ルーファスも少年の目になる。

「にゃあ、殿下は飛翔は使わないにゃん?」

「飛翔か、残念ながら習得はしていない」

「殿下の魔力なら十分使えるから後で猫耳に教えて貰うといいにゃん、使えると便利にゃんよ」

「それは助かる」

「マコトは気前がいいな」

「にゃあ、殿下にはハリエット様の為に働いて貰うにゃん、だからこのぐらいどうってことないにゃん」

 元はフルゲオ大公国の永遠の中二病レオナール大公からのパクリだしな。

「ふたりともはしゃいで落ちるなよ」

 隣を飛ぶカホが注意する。

「マコトのドラゴンゴーレムなら簡単に落ちることは無いから心配するな」

「そうにゃんね」

「しかしドラゴンゴーレムか、追い回されて殺されそうになったのが昨日のように思い出されるぜ」

 チャドが語るが実際には二五〇〇年前の思い出だろう。

「にゃあ、野良のドラゴンゴーレムだと魔獣と大して変わらなかったにゃんね」

「だろ?」

 野良のドラゴンゴーレムの飛行魔法は中途半端で、頭上なんか飛ばれたらぺしゃんこになる。

「空を飛ぶといえば、チャドは飛空船の情報はないにゃん?」

「飛空船か、子供の頃に一度だけ飛空船に乗った事があるぐらいだな」

「にゃあ、実際に乗ったことがあるにゃん?」

「親父が外務大臣だったからな、外遊に付いて行ったんだ」

「チャドは前世もお坊ちゃんだったにゃんね」

「まあ、途中までな、親父が飛空船で遭難してからは国を出たり何だり苦労したんだぜ、ジャンヌとも離れ離れになったしな」

「前世も波乱万丈だったにゃんね」

「まあ、時代が時代だからな」

「戦国時代にゃんね」

「ああ、それでもいまの時代よりいろいろ進んでいたんだぜ」

「にゃあ、エクシトマを見るとそんな感じにゃんね、一〇〇〇年前の魔獣の大発生で一気に魔法関係が後退した影響にゃんね」

「だろうな、魔法馬なんかもっと作れるはずなんだが、すっかり廃れてるしな」

「兄上がいちばん現状に詳しい様だ」

 カホも外に出ているが、いいところまだ屋台で買い食いする程度だ。

「殿下もいろいろ調べたと違うにゃん」

 オレはルーファスを見た。

「無論だ、帝国の再興を決意する程度には荒廃していた」

「そうにゃんね、現状は衰退する一方にゃん、でも、これは人間というよりも魔獣によるファクターが大きいと思うにゃん」

 あと迷惑系転生者な。

「魔獣に関しては正直そこまでは、重視していなかった」

「ケントルムでの魔獣の被害はどうにゃん?」

「被害らしい被害は聞いたことが無かった」

「そいつは単に知らなかっただけじゃないか? ケントルムの王都フリソスといえば国土の中心だ、魔獣の森から最も遠い場所だからな」

 チャドに突っ込まれる。

「にゃあ、アナトリの場合は王宮からの干渉を嫌って、領主が被害状況を隠蔽することが多かったみたいにゃんよ」

 現在は猫耳たちが常時国内を監視しているので直ぐにわかる。

「そりゃ下手に報告して王国軍なんて派遣されたら一大事だからな」

「にゃあ、以前の王国軍ならそうにゃんね、泣きっ面に蜂にゃん」

 魔獣に無力でも一般人からの略奪や火付けには長けていたからな。

「ケントルムでも王宮に対して弱味は見せられないかと」

 ケントルムの領主と国王の関係からそうなるか。

「公爵、帝都が滅んだのはやはり魔獣の大発生なのか?」

「にゃあ、それは伝承通りで間違いないにゃんよ」

「すると魔獣の森の中か?」

 チャドはかつての地図と現在の地図を頭の中で重ね合わせる。

「そうにゃん」

 魔獣はかなり排除したが、帝都より西側はまだ手つかずに近い。

「なあマコト、本当に帝都エクシトマが復活しているんだよな?」

 チャドはいまだに半信半疑だ。

「ちゃんと一〇〇〇年前に消滅の刻印が使われた状態に戻されているぞ」

 隣を飛ぶカホがオレに代わって答えた。

「消滅の刻印が使われたのですか?」

 ルーファスが問う。

「ああ、子孫たちはちゃんと使った様だ」

「あれは自動起動だが、律儀に一五〇〇年も刻印を守ったんだな」

 チャドも感心する。

「魔獣の大発生が起こったら帝都に集めるような仕掛けを作ったのもチャドにゃん?」

「刻印を使わなくても七割近い魔獣が集まると試算されていたからな、それなら全部帝都に集めてしまえと」

「七割にゃん?」

「別の場所に魔獣を集めるのも俺たちには無理だったしな」

「だから全部を帝都に集めることにしたにゃんね」

 想定通りだったわけか。

「そういうことだ、俺が関わっていたのは計画段階までだったが、消滅の刻印を利用して魔獣を集めるというのはいいアイデアだろう? そんな無茶な代物を子孫たちが完成させてくれたんだな」

 感慨深そうなチャド。

「にゃあ、ちゃんと完成したにゃん、今回その刻印も復元もされたけどそこは無効化させて貰ったにゃん」

「マコトたちがいれば不要か」

「不要にゃん、それ以前に防御結界が魔力を外に漏らしていないから、例え起動しても魔獣には気付かれないにゃん」

「そいつも凄いな……って、もう王都を抜けてタンピスかよ、やっぱこいつは速いなんてもんじゃないな」

「まったくだ」

 チャドの言葉にルーファスも頷いていた。



 ○タンピス州 上空


 ドラゴンゴーレムは王都から西隣のタンピス州の境界門上空を通り抜けた。

「空からでも律儀に境界門を通るんだな」

 チャドが身を乗り出して確認する。

「にゃあ、境界の結界をブチ抜くより簡単にゃん」

「境界の結界なんて生きているのか?」

「にゃあ、王都と直轄領それに領地の結界は復元ついでに強化したにゃん、だから境界門以外は通れないにゃんよ」

「マコトたちならそこまで神経質にやらなくてもいいんじゃないか?」

「人間はともかく魔獣がまた湧き出さないとも限らないにゃん」

「公爵たちならそれも防げるのではないか?」

「この前の大発生は運良く押さえられただけにゃん、それに魔獣発生のメカニズムも解明できてないにゃん」

「「魔獣発生のメカニズム?」」

 チャドとルーファスが声を揃えた。

「魔獣の森で勝手に増えるのではないか?」

「そう簡単な話じゃないにゃん、魔獣の森じゃなくても条件が揃えばどこでも湧き出す可能性があるにゃん」

「条件次第でいくらでも湧き出すと?」

「そうにゃん、この世界の魔獣を供給する仕組み自体を特定して潰さないことには、何処で大発生が起こっても不思議じゃないにゃん」

「そいつは厄介だな」

「にゃあ、いまのところある程度守れそうなのはオレの領地だけにゃん、それだって絶対じゃないにゃん、人間同士で争っている場合じゃないにゃんよ」

「……耳が痛い」

 ルーファスがうつむく。

「オレたちが実験を重ねて最近たどり着いた推測にゃん、殿下が知らないのは仕方ないにゃん」

「魔獣相手に実験か、以前の俺たちだって出来なかった荒業だな」

 チャドが感心する。オレたちが出来たのは研究拠点のあるレオ州を始め誰もいない広大な土地が手に入ったからだ。

「ルーファスのいた東方大陸では魔獣についてはどうなんだ?」

 カホが質問する。

「あちらでは魔獣の大発生の記録はないとされています。ですから魔獣の研究もそれほど力を入れてはなかったかと、いまは血相を変えていると思いますが」

「そりゃこっちも同じだ、王都の貴族は魔獣の大発生が無かったとか、寝言を言ってるヤツがいたぐらいだからな」

「にゃあ、王都のヤツらは現在、啓蒙中にゃん」

「城壁門前の魔獣か、触りたくて長蛇の列が出来ていたぞ、私も並んだが」

 カホも王都の城壁門に転がしてある魔獣をペタペタ触っていた。

「貴族たちも目も覚めたんじゃないか?」

「にゃあ、魔獣の大発生が無かったとかほざいていた連中は再革命が潰されたから、そっちで大人しくしてるにゃん、そういや中にはケントルムからの信書を受け取っていたヤツがいたにゃんね」

 信書に関してはエサイアスの記憶から発見した。

「公爵、ケントルムからの信書とは?」

 ルーファスは知らなかったらしい。

「にゃあ、裏でエサイアスが動いていたみたいにゃん、信書を受け取ったのに報告しなかった貴族はこれから取り潰すにゃん」

 信書を受け取ったほぼ全員が報告を怠っていた。今朝から王国軍が動いている。

「取り潰しといっても平民落ちだろう、甘くないか?」

 チャドが意見する。

「晒し首を量産しても意味はないにゃん、それに財力も頭もない連中ではオレたちに嫌がらせも難しいにゃんね」

「それもそうか」


 話をしているうちにドラゴンゴーレムは、復興の進むタンピス州を抜けクプレックス州に入った。



 ○クプレックス州 上空


「マコトはこの国をどうしたいんだ?」

 チャドが質問する。

「みんながそこそこ快適に暮らせる国にしたいにゃんね、具体的には女の子が夜中にひとりで歩いても安全な国にゃん」

「若い女が夜中に出歩くのは感心しないが、そいつは随分と安全だな」

 チャドは意外と常識人だ。

「その前に中央集権国家への国体の変更と身分制度の撤廃にゃんね、中央集権国家のおぼろげな構想はハリエット陛下の父君クリフォード・ベッドフォード公爵が持ってたにゃん」

「おお、クリフォード公爵な」

「知ってるにゃん?」

「一〇年以上前だが親父に付いて王宮に登城した時に話をしたことがあるぞ、そういや、あの方も俺たちの子孫だったんだな」

「そうなるにゃんね」

「中央集権国家とはフィーニエンスのようなものか?」

「そうにゃん、ただ秘密警察は使わないにゃんよ」

「すると帝国と比べても中央政府が強い国家なのだろうか?」

 ルーファスが質問する。

「にゃあ、そうにゃん、各州の州政府は中央政府の下部組織になるにゃん」

「領主の反発が強そうだな」

「にゃあ、一気に変えるのは無理があるにゃんね」

「まずは直轄地を増やす方向か?」

 チャドが訊く。

「そうにゃん、直轄地では生活と教育水準を引き上げるにゃん、それと産業の振興を強化するから自ずと栄えるにゃん」

「公爵は先のことを考えているのだな、とても六歳の子供とは思えない」

 ルーファスがオレを見る。

「良く言われるにゃん」

 三九歳うんぬんは誰も信じてくれないので言わない。

「その点、ライナスは前世の二〇の頃とは見た目が大違いだな」

 チャドはルーファスを見る。

 オリエーンス帝国初代皇帝ライナス・アナトリアは大男だった。いまは贔屓目に見ても十二歳より上には見えない。

「前世より魔力に恵まれた結果かと」

 強い魔力を持つ者は実際の年齢より若く見える。

「中身は変わってないが」

 カホがぼそっと呟く。

「そうだな、ライナスの場合、ジャンヌの救出が目的ならわざわざ戦争を仕掛けなくてもヌーラだったら金を積めばどうにでもなったろうに」

 ヌーラでの発掘が目的なら戦争する意味はほぼない。

「それは言えるにゃんね」

「アナトリの現状から獲った方が早道と判断したが、公爵の本当の力を知っていたらいくら私でも馬鹿な判断はしなかったと思う」

「去年だったら戦も有りにゃんね」

「いや、こっちには、お前のところの親父と兄貴よりヤバい宮廷魔導師がいたから、普通に殺されていたか利用されていたんじゃないか?」

「にゃあ、確かに去年だったらエドガー・クルシュマンがピンピンしてたにゃんね、たぶんケントルムの王宮で魔獣にされていたにゃん」

「暗部のエサイアスですら手玉に取られたのであれば、私も無事では済まなかっただろう」

 エドガー・クルシュマンの中身のケイジ・カーターは、新しいオモチャに夢中になってたかもな。放っておいても衰退の進むアナトリよりもまだマシなケントルムの方が潰しがいがあるだろうし。



 ○ヌーラ州 ロッジ


 昼食の為にヌーラに降り立ってロッジを出した。

「マコト、本当にここがヌーラなのか?」

「魔獣の森だったはずだが」

 チャドとルーファスは、真っ平らな大地には月光草の草原が何処までも続いている風景とかつてのヌーラが一致しないらしい。

「にゃあ、ジャンヌを発掘した時にこの辺りは大規模な地盤沈下が起きたにゃん、だから平らに整地したにゃんよ」

「ここがそうなのか?」

 ジャンヌ・アナトリアことカホも周囲を見回す。

「にゃあ、そうにゃん、この地下にゃん」

 オレは地面を指差す。

 カホのいた地下迷宮が崩壊した影響は広大なヌーラの四分の一に及んでいた。平らにした地面は月光草でマナの濃度を下げている。

「流石に二五〇〇年前の面影はないか」

 チャドが呟く。

「かつての風景は、魔獣の森に沈んだ時点で失われていましたよ」

 きっと二五〇〇年前のルーファスは何度もここに通ったのだろう。

「なんかいるな」

 チャドが目を凝らす。

「あれは毛虫にゃん」

 遠くで毛虫が何匹もがごろんとして日光浴をしている。体長五メートル胴回りは七~八メートルは有りそうなずんぐりとした身体なので虫感はない。

「毛虫、危険ではないのか?」

 ルーファスが身構える。

「にゃあ、心配しなくても大丈夫にゃん、品種改良したから毒は出さないにゃん」

「ああ、そういやマコトたちが毛虫を飼ってるって話は聞いたが、毛虫ってあんなにずんぐりむっくりした生き物だったんだな」

「かわいいにゃんよ」

「うん」

 カホが何度も頷く。どうやら好みらしい。



 ○ヌーラ州 上空


 昼食の後はチャドとルーファスは直ぐに眠ってしまった。

「ふたりともはしゃぎ過ぎだ」

 カホは優しい顔で兄弟たちを見る。

 生まれ変わりとはいえ再会できたのは嬉しい様だ。長らく苦楽を共にした兄弟たちが帰って来たのだから当然か。


『にゃあ、お館様に報告にゃん』

 王宮に詰めているエマから念話が入った。

『ケントルムと密約を結んでいた貴族を全員捕縛したにゃん』

『信書だけじゃなく密約まで結んでいたにゃんね』

『にゃあ、エサイアスは実にマメに動いていたにゃん』

『貴族連中はケントルムとの侵攻軍に協力でも約束していたにゃん?』

『にゃあ、そうにゃん、今回は法衣貴族の他にも複数の貴族派領主と大公国の領主も含まれていたにゃん』

『エサイアスは実に有能にゃんね』

 大公国まで入り込んでいたのは驚きだ。

『ハリエット様と黒幕のアーヴィン卿に反感を持っている連中を取り込んだみたいにゃん』

『いまだにアーヴィン様が黒幕にされているにゃんね』

 陰謀論が収まってない。アーヴィン様はとんだ風評被害だ。

『お館様の偉大さがわからない哀れな連中にゃん』

『六歳児が革命を主導したとは、普通は思わないにゃん』

『事実を事実として受け入れられない者は貴族としての資質に欠けるにゃん』

『それはあるにゃんね』

 情報の取捨選択を誤れば命取りになる。今回のように。

『大公国にも連絡を入れたにゃん?』

『にゃあ、大公閣下はこっちに丸投げされたからネコミミマコトの宅配便が動いているにゃん』

『バルドゥル・シャインプフルーク司令は元気にゃんね』

 組織した当初から宅配便専業ってわけじゃなかったからな。

『お館様の領地と王宮の直轄地に大公国とフィーニエンスの物流は、ほぼ独占したみたいにゃん』

『元気なのはいいことにゃん』

 物流の安全は領地を安定させる。


 エマとの念話の後は大公国レオナール・ボワモルティエ大公からも連絡が来た。

『世話を掛けたな、まさかケントルムの連中と手を組むヤツが国内にいるとは思わなかった』

『にゃあ、ヤツらは大公国の小麦を狙っていたにゃん』

『実質、マコトの小麦だけどな、まあ、バカどもをあぶり出すにはちょうどいい機会だった訳だ』

『接収した大公閣下の領地は直轄地でいいにゃんね?』

『それで頼む、ついでに森の結界も消してくれ』

『了解にゃん』

 フルゲオ大公国を長年悩ませていた森の結界は、最近になって無効化に成功した。カンケル州で発見された魔の森の都市遺跡を再生する段階でその方法のヒントを得たのだ。

 それから各種実験を経てオレの領地とネコミミマコトの宅配便の支配地域の森の結界を解放した。大公の意向もあってその直轄地でも同様に解放している。

『ああ、それとマコトのところの大学に我が国から二〇〇人ほど留学させたいのだがいいだろうか?』

『にゃあ、プリンキピウムの大学にゃんね、いいにゃんよ、寮は完備しているから手ぶらで来てもいいにゃんよ』

 プリンキピウムの大学には既に騎士たちからも何人かが留学することになっていた。

『助かる、頭は良くても金のないヤツらばかりだからな、俺からも助けたいところだが手も金も足りないのが実情だ』

 大公国の食糧事情は急速に改善してはいるが、まだまだ国庫は貧しいままだ。

『いきなりすべてを改善するのは無理にゃん』

『そうだな、マコトは今度はケントルムか?』

『にゃあ、トンネル次第にゃんね』

『マコトなら大丈夫だろう』

『そう願いたいにゃん』

 どの世界であろうとも絶対はないからな。

『さっき聞いたのだが、アナトリの王都では門前に魔獣を飾っているらしな』

『大公閣下も欲しいにゃん?』

『無論だ、かっこいいだろ?』

 永遠の中二病は健在だ。

『にゃあ、だったら届けるから好きに飾るといいにゃん』

 後で双子の妹アンジェリーヌとブランディーヌに怒られても知らないけどな。


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