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先王とアナステシアス公爵にゃん

 ○帝国暦 二七三〇年十一月十一日


 ○エクウス州 カダル街道 宿場町ダリ 青麦亭


『にゃあ、お館様、ニックスから報告にゃん』

 早朝、アーヴィン様の領地ニービス州の州都ニックスに詰めている猫耳から報告が入った。

『何かあったにゃん?』

 オレの部屋の筈なのだが、猫耳たちが折り重なって眠っていた。

 ゴソゴソと猫耳たちをかき分けて抜け出す。

『ニックスに滞在中の先王コンスタンティン二世が、家族を連れて州都を出たにゃん』

『何処に行ったにゃん?』

『リアンティス州にゃん』

『にゃあ、あの若作りの爺さんのところにゃんね』


 見た目は四〇ぐらいだが六〇を越えているリアンティス州の領主アナステシアス・アクロイド公爵は、かつての国王派の中心人物だ。老化の抑制は内向きながら強力な魔力を持っているおかげだ。

 先王の地位を護りたかったがそれが叶わず、革命を成功させたオレたちへの複雑な思いを隠せないでいた。

 それだけに先王をオレ寄りのアーヴィン様のところに預けて置けないと判断したのか? 粗末に扱った事実はないのだが。


『アナステシアス公爵の招待で、州都イリオトに滞在予定にゃん』

『戻る予定はあるにゃん?』

『にゃあ、完全な引っ越しだったにゃん』

『先王のオッサンも懲りないにゃんね、自分の行動が騒乱の火種になり得る自覚が無いにゃん』

『まったくにゃん、考えなしのエドモンド元第二王子の親父だけはあるにゃん』

『親子揃って考えなしにゃん、ハリエット様はしっかりしてるのにとても血縁とは思えないにゃん』

『環境の違いにゃん』

『にゃあ、それはあるにゃんね』


 父親を暗殺され使えない国軍のトップを一〇歳そこそこでやらされたら、自然としっかりするか。


『アナステシアス公爵もアーヴィン様が不在の時に騎士を派遣する辺り、完全に狙っていたにゃん』

『あのおっさん共は、ハリエット様と事を構えるつもりにゃん?』

『ウチらとの絶対的な戦力差を理解していない可能性があるにゃん』

『困ったおっさんたちにゃん』

『止めた方が良かったにゃん?』

『先王とアナステシアス公爵の好きにさせて構わないにゃん、下手に止めても反発されるだけにゃん』

『にゃあ、アナステシアス公爵の派遣した迎えの騎士から、ウチらの護衛も不要と断られたにゃん』

『リアンティス州ならアキントゥス州を通って行くルートにゃんね、雪以外は、危なくは無いから大丈夫にゃん』

『アキントゥス州のエドワーズ・アンヴィル侯爵が盗賊の類を近付けないはずにゃん』

『大佐にゃんね』

 元近衛軍大佐だったので大佐と呼ばれる。筋肉隆々だが魔法剣士だ。

『いちばん危ないのは先王一家にゃんね』

 爆薬庫に仕掛けられた導火線だ。

『先王一家を根絶やしにしない限り、革命の危険は消えないにゃん』

『にゃあ、先王一家の処刑はコスパのいい対処方法だったにゃんね』

『ウチらが実行してもいいにゃん』

 無論、猫耳化だ。

『にゃあ、それも今更にゃん、ヤメておくにゃん』

 既に事態は動いてしまった。

『にゃあ、アナステシアス公爵も、オレたちとの不要な軋轢を避けようとは思わないにゃんね』

『お館様を侮っている証拠にゃん、同じ公爵でも自分が上だと思ってるのは間違い無いにゃんね、完全に自分の立場がわかって無いにゃん』

『オレとしては、これ以上の軋轢は避けたいところにゃん、リアンティス州からは猫耳とネコミミマコトの宅配便は引き上げた方が良さそうにゃんね』

『了解にゃん、問題が起こる前に移動させるにゃん』

『退去後の情報収集は、協力者とブラッドフィールド傭兵団で頼むにゃん、不穏な動きには目を光らせて欲しいにゃん』

『お館様は、アナステシアス公爵が動くと予想しているにゃん?』

『にゃあ、念には念を入れるだけにゃん、何事も平和がいちばんにゃん、でもそれを決めるのがオレじゃないのが悲しいにゃんね』


 大きな問題は無いと思うが油断はならない。オレたちを露骨に挑発してるだけに何か隠し玉を持ってる可能性もある。

 もし、そんなモノが本当にあったのなら先王が退位させられる前に使え!と言いたいところではあるが。


『お館様、情報がもう一つあるにゃん、護国派らしき人間がリアンティス州の州都イリオトに数名、入り込んだにゃん』

『護国派って王国の為なら命を懸ける連中だったにゃんね』

『にゃあ、法衣貴族が中心と言われているけど、詳細は不明にゃん』

『犯罪に手を染めなければ、オレたちから文句を付ける筋合いは無いにゃん』

『今後はわからないにゃんね』

『面倒くさいヤツらとは、なるべくお近付きにはなりたくないにゃん』

『情報収集は続けるにゃん』

『頼んだにゃん』


 リアンティス州から猫耳とネコミミマコトの宅配便が撤退しても、魔法蟻がトンネルは掘りまくってるから何が有っても対応は可能だ。


 宿屋での朝食は野菜スープとパンだった。

『にゃあ、なかなか美味いにゃんね』

 素朴な料理だが昨夜に増して美味しかった。

 料理は第二王子が改革したとはいえ、王宮ですらも微妙だったからな。

 ポレックス村で貰ったお弁当は美味しかったが、結局アレは薄く切らないといまひとつなので、料理というにはちょっと違う。

「そうだね、これは美味しいね」

「とても美味しいの」

 妖精たちもそれぞれ一人前ずつ食べている。

 それはそうと。

「マリナの誘拐事件はすべて解決したにゃん、直ぐに帰って大丈夫だから魔法車を用意するにゃん、ここから三日程度でクプレックスのキパリスまで送って行けるにゃん」

「ここからたった三日で帰れるのですか?」

 マリナが顔を向けた。地理上の位置をしっかり把握している賢いお嬢さんだ。

「にゃあ、もう危険は去ったにゃん、だからここでお別れにゃん」

「マコト様とお別れなのですね」

 マリナがしゅんとする。

「お姉ちゃんのところに帰れるにゃんよ、寂しかったと違うにゃん?」

「いいえ、お姉さまには一ヶ月に一度ぐらしかお会いすること出来ませんから」

「あまり会えないにゃんね」

「お姉さまは、領主の仕事でお忙しいですから」

「にゃあ、そうにゃんね、領主は忙しいにゃんね」

 オレの場合は、複数の領地があるが実作業は猫耳たちに任せている。初めから人任せではあるが。

「それにマコト様たちとの旅は、楽しかったですから、こんなに遠く来たのも初めてですし」

 相変わらず五歳児とは思えないしっかりとした受け答えだ。

「マリナが大きくなったら好きなだけ旅が出来るように、オレたちがもっと街道を安全にするにゃん」

「はい、楽しみにしています」

「にゃあ、オレもまたマリナと会えることを楽しみにしてるにゃんよ、ベルダもキパリスまで頼むにゃん」

「お任せ下さい」

「ベルダは、今回の依頼を終えたらどうするにゃん?」

 生真面目な元騎士に声を掛ける。

「ララクゥに戻る予定であります」

 ベルダの地元だが身元を確かめた結果、血縁者はすでに無く天涯孤独の身の上となっていた。

「にゃあ、オレのところの仕事を手伝うってのはどうにゃん?」

「マコト様のお仕事ですか?」

「大公国にあるオレの領地に女子だけの騎士団があるにゃん、そこの団員を絶賛募集中にゃん」

「騎士団でありますか!?」

「本拠地は大公国の領地でも、オレの騎士団だから活動範囲は王国とフィーニエンスにまで広がるにゃん」

 昨夜のうちフルゲオ大公国のドクサ州執政官を任せているルチアに連絡して了承を貰っていた。大歓迎とのことだった。

「私でよろしいのですか?」

「にゃあ、是非来て欲しいにゃん」

「かしこまりました、お受けいたします」

「よろしく頼むにゃん」


 ベルダのドクサ騎士団への採用も決まって、大満足の朝食を終えた。


「マコト様! ありがとうございました!」

「にゃあ、またにゃん!」

 そして宿の前でマリナとベルダを乗せたジープを見送った。

 ジープが見えなくなるまで手を振ってから振り返った。

「オレたちも出発にゃん」

 魔法馬での旅を再開だ。

「出発!」

「進行なの!」

 妖精たちがオレの頭の上で飛び跳ねた。



 ○エクウス州 アゲラダ街道


 宿場町ダリを出て直ぐにフェルティリータ州の州都カダルに向かうカダル街道と更に東に伸びるアゲラダ街道が分岐する。

 アゲラダ街道はフェルティリータ州をかすめボース州の州都アゲラダに続く道だ。オレたちの進路もそちらになる。


 アゲラダ街道に入った途端あれほどいた馬車がすっかりいなくなった。オレたち以外は全部カダル方面に向かうらしい。

「寂れた道に逆戻りか」

「賑やかな街道がいいならそっちを通るにゃんよ」

「いや、遠回りする必要はない、通り道に街があれば見物させて貰えばいいからルートの変更は不要だ」

「にゃあ、了解にゃん」

 ボース州に抜ければまた賑やかな街道を通ることになるが、もうちょっと先だ。それまではオレたちだけが魔法馬を連ねてパカポコ進む。


 ボース州に抜けるアゲラダ街道は直ぐに森に入った。マナは安定しており、肌寒い程度の気温で魔法馬の防御結界が無くてもちょっと着込んでいれば問題ない感じだ。

 この森は、エクウス州からフェルティリータ州の一部を通ってボース州に抜けるまで続く。プリンキピウムの森と違って常識はずれの危険な獣は少なく、活動している冒険者も多いので街道沿いは比較的安全だ。

 比較的安全なだけで過信は禁物だけどな。

 人間を味的に大好きな狼が、たまに群れで街道に接近することもあるらしいし。いまのところは平和そのものだが。


「「敵襲!!」」


 ビッキーとチャスが声を上げた。

 その直後、黒い人影が街道の両側から飛び出した。

 人が隠れられるような茂みは無いのだが。

 速い!

 黒い剣がオレたちの魔法馬の防御結界に突き刺さる。

 火花と共に剣が弾け飛ぶ。

 襲撃者は、剣を使って防衛結界の魔法式を読み取ろうとしたが自動的に弾く。

 襲撃者は全部で一〇人。

 弾かれてもなお、次々と剣を突き刺す襲撃者。

「うざいにゃんよ!」

 突き刺した剣に大量の魔法式のダミーをブチ込んでやった。

 連続した破裂音と共に黒い剣ごと敵の腕が弾け飛んだ。

「「「にゃ!?」」」

 次の瞬間には剣ごと腕が完全に再生する。

 グール以上、オーガ並の再生能力だ。

「人間じゃないのにゃん!?」

「でも、格納出来ないにゃん!」

「少なくとも魂があるにゃん」

 人間では無さそうだが少なくとも生命と判断された。

 何度も弾き飛ばすが、直ぐに再生されまた突っ込んで来る。

「お館様、切りがないにゃん!」

 人間ではありえない速度と再生力、そして近距離からの高度な戦闘技術に押される。

 防御結界を抜かれることは無いが、敵に足止めされているのはよろしくない。

 猫耳たちはビッキーとチャスを護りながら応戦する。

「「「速すぎにゃん!」」」

 とにかくその速度に翻弄されて攻めあぐねていた。

「マコト、コイツらは戦闘ゴーレムだ!」

 カホが声を上げた。

「魂を動力源にしているタイプにゃんね」

「そうだ」

「こうなったら、まとめてぶっ飛ばすにゃん!」

「マコト、それはヤメた方がいいぞ、私の知ってるタイプなら下手に潰すと大爆発を起こす」

 カホに止められた。

「にゃお、大爆発はヤバいにゃんね」

「街道に大きなクレーターが出来る」

「にゃお」

「マコト、ここは私に任せろ、こいつを取り出せたからなんとか出来そうだ」

 カホが鞘に収まった刀を取り出す。

「にゃ?」

 カホは自分の格納空間にアクセスした。これまで使っている様子を見せなかったが、使えて無かったのが正解だったようだ。

「普通の刀じゃないにゃんね?」

「傀儡殺しだ」

 カホが刀を抜く。

 刀身に刻印が刻まれている。

 カホは全身に魔力をまとうと魔法馬の上から消えた。

 次の瞬間、一〇体の戦闘ゴーレムが輪切りになって崩れた。

 カチっと刀を鞘に収めたカホがその傍らに立つ。

 オレは輪切りになった戦闘ゴーレムの残骸を残らず格納する。時間を止めて自壊を防止する為だ。この手の魔導具にはよくある機能だ。

「人型戦闘ゴーレムとは、随分と珍しいものを当てて来たにゃん」

「この時代でも珍しいのか?」

「人型の戦闘ゴーレムは初見にゃん」

「「「にゃあ」」」

 オレたちの猫耳ゴーレムも人型だが戦闘特化ではなく汎用タイプだ。

「戦闘ゴーレムよりもカホの凄さを実感したにゃん」

「「「にゃあ」」」

 ビッキーとチャスもコクコクと頷いた。

 人型戦闘ゴーレムは、とてつもない速度で攻撃して来たが、カホはそれ以上の速度で殲滅した。

「カホは、自分の格納空間にアクセス出来たにゃんね」

「眠ってる間に喪失したかと思っていたが、危険な状態に陥って途切れていたパスが復活したらしい」

「傀儡殺しとは、かっこいい名前の刀にゃんね」

「作ったのは私だが、名前を付けたのは弟だから、私じゃないからな」

 プゥっと膨れる。

 でも、名前を変えてない辺りカホが気に入ってると思われ。

 カホをイジりつつオレは回収した輪切りの戦闘ゴーレムを格納空間で復元してチェックする。

「にゃ、この戦闘ゴーレムは封印図書館のものじゃないにゃん、オリエーンス連邦のアーキテクチャでは無いにゃんよ」

 魂を使っているからオリエーンス連邦時代の禁忌呪術の流れかと思ったが、まったく違っていた。

「私の知ってる戦闘ゴーレムなら、マコトたちの言うところの現代魔法で作られてるはずだぞ」

「現代魔法にゃん?」

「ああ、当時の技術でオリエーンス連邦時代のそれ系の魔法は、模倣すら難しかったはずだ」

「にゃあ、現代魔法でも本格的な戦闘ゴーレムが作れたにゃんね」

 確かに回収した人型戦闘ゴーレムは、大きなくくりで言えば、現代魔法の形式で作られていた。魂を使う手法も良く見れば現代魔法の範疇に入る。

 そうは言っても魂を使う魔法式は、レオカディオ・ナルディエーロの双子の生き人形よりもずっと高度で複雑なものだ。大本が一緒なだけでまったく別なモノだ。

「呆れるぐらい面倒くさい手順を使って人間の魂を使ってるにゃんね、これなら魔獣のエーテル機関を使った方がずっと簡単にゃん」

「にゃあ、それはお館様だけにゃん」

「「「にゃあ~」」」

 カホではなく猫耳たちからツッコミが入った。

「カホは、人型戦闘ゴーレムと闘い方が手慣れていたにゃんね」

 それ用の刀も持っていたわけだし。

「私の時代でも珍しくはあったが、確かに似たモノとは何度か対峙したことがある、毎回手を焼かされたものだ」

「やっぱり大量には作れないにゃんね」

「制作には膨大な魔力を消費し、使用される魂も適合条件が厳しいらしい、コスパは最悪と聞いた」

「高価な武器にゃんね、使い所は暗殺あたりにゃん?」

「そうだ」

「それでカホは、よくケシカケられたにゃんね」

「私というより兄弟たちだ、当時はマコトの魔法馬ほどの防御結界が存在しなかったので、傀儡殺しで対抗したというわけだ」

 カホが自分の格納空間から取り出した傀儡殺しの刀は、起動中の魔法式を切り裂くとかメチャクチャな性能を持っていた。

 当然、サーチ済だ。

 後でじっくり解析させて貰うにゃん。

「今回の現代魔法ベースの人型戦闘ゴーレムは、カホの知ってるそれと同じ流れを汲むモノで間違い無いにゃん?」

「ああ、同じモノだと思う、これといって進化も無いみたいだが」

「これだけ複雑では、複製だけで精一杯だったと違うにゃん?」

「大きく劣化してないだけ、まだマシということか」

「にゃ、少し劣化しているにゃん?」

「私が知るモノより柔らかくなっている」

「もっと硬かったにゃん?」

「全身が鋼のモノもあった、アレにはまいった」

「それは硬そうにゃんね」

「いまは、この手の戦闘ゴーレムは無いのか?」

「オリエーンス連邦時代の魔法がベースの魂を使う戦闘ゴーレムは有ったにゃんよ、でも現代魔法ベースの人型戦闘ゴーレムは初めて見たにゃん」

「「「ウチらも初めて見たにゃん」」」

「猫耳たちも知らなかったとなると、かなり厳重に秘匿されていたにゃんね」

「マコト、国王の護衛にも気を付けた方がいいぞ」

「にゃあ、ハリエット様もオレの魔法馬を持ってるにゃん」

「では、いきなり殺されることは無いか」

「王宮内にも簡単には入れないにゃんよ」

「不意を突くのが暗殺だ、念には念を入れた方がいい」

「にゃあ、肝に銘じるにゃん」

 暗殺の攻守いずれも経験したであろうカホの貴重な意見なので参考にさせて貰う。


 周囲を軽く探索したが襲撃者の手掛かりは無かった。

 格納空間で再生した戦闘ゴーレムの刻印から操作元を探ったが、失敗も考慮されていたのか、起動前に完全に通信チャンネルを放棄しており追うことは出来なかった。

 燃料代わりの魂も、幽霊の類を利用しており生きてる人間から採取したものではなかった。禁呪一歩手前か。

 これだけの戦闘ゴーレムを最初から使い捨てにするとか、かなりの力を持った組織と思われる。

 そしてオレを殺して利益を得られる集団か。オレたちも王国内も網羅しているわけじゃないから直ぐには思い当たらない。


 格納空間が復活したカホはタブレットみたいな魔導具を取り出した。

「ふふん、マコト、私はやることが決まったぞ!」

 ごきげんな表情でオレを見る。

「何をするにゃん?」

「宝探しだ!」

「にゃ?」

「私が集めた宝の地図の真偽を確かめるのだ、二五〇〇年前は兄弟たちが口うるさく反対していたから諦めていたが、いまなら問題あるまい」

「カホの兄弟たちは、何で宝探しを反対していたにゃん?」

「政務に追われていたからな、その点、いまは住所不定無職だ」

「にゃあ、それだけにゃん?」

 政務も大事だが、カホをそんなことで縛り付けることが可能とは思えない。

「宝の在処の多くが、魔獣の森の中というのも有る」

「それは反対されるにゃんね」

「魔獣の森と言っても魔獣に遭わなければただのマナの濃い森だぞ」

「カホそれは甘いにゃんよ、魔獣の森で危ないのは魔獣だけじゃないにゃん、野良のゴーレムとか、でっかい虫の大群とか、底なしの穴もあるにゃん」

「そこまで危険な目には遭ったことが無いが」

「カホが入った魔獣の森は、既に誰かが出入りした地図のある場所と違うにゃん?」

「言われるとそうかも、案内をしてくれた人間がいた」

「オレは反対しないけど魔獣の森に入るなら、猫耳を誰か付けるにゃん、そうすれば最悪死んでも魂は回収出来るにゃん」

「そのまま天に還して貰ってもいいのだが」

「にゃあ、せっかく蘇ったんだから簡単に死なれては困るにゃん」

「わかった、細心の注意を払おう、直ぐに出発してもいいか?」

「にゃあ、慌てちゃ駄目にゃん、王都でハリエット陛下が待ってるにゃん」

「ああ、現国王な」

「仕方が無かったとはいえ、十二歳の女の子を国王に据えたのは可愛そうなことをしたと思ってるにゃん、だからカホには陛下の相談相手になって欲しいと思ってるにゃん」

「何故、私に面倒事を押し付ける?」

「可愛い子孫を助けるのは、ご先祖様の責務にゃん」

「私が十二の頃は、戦場を駆け回っていたぞ、それに比べたらマシだとは思うが」

「自分が苦労したからって、若い者にそれを求めちゃいけないにゃん」

「むむ、確かに」

「にゃあ、陛下には頼れる親戚が少ないにゃん」

 伯父たちがしっかりしていれば十二歳で王位に就くなんて事態にならずに済んだわけだが。

「親戚というには離れ過ぎているぞ、ハリエットが認めてくれるのか?」

「問題ないにゃん、帝国の初代皇帝の姉なら伝説上の偉人にゃん、その辺りの親戚よりランクはずっと上にゃん」

「兄弟たちが偉いのであって、私は大した事はないのだが」

「にゃあ、初代皇帝の情報もあまり残ってないにゃん、だから誰が偉いかは伝わってないにゃん」

「それこそ私が出て行って信用されるのか?」

「オレが保証するにゃん、それにひと目見ればわかるにゃん、カホと陛下は誰が見たって血縁にゃん」

 カホとハリエットは生き写しだ。普通の姉妹より似ている。

 もしかしてハリエットも宝探しに行きたがるだろうか? その時は願いを叶えてやりたいものだ。


 直ぐにでも宝探しに飛び出したいカホの為に魔法馬の旅はここまでにして、ドラゴンゴーレムで一気に王都に飛ぶことにした。

 それに宿場町などでまた襲撃されたら洒落にならない事態になる。自爆テロとか普通にやりそうだ。

 カホをオレのドラゴンゴーレムに乗せ、猫耳たちとビッキーとチャスはそれぞれ自分のドラゴンゴーレムを再生して離陸する。

 王都タリスを空路で目指す。夜には王都の屋敷に入れるだろう。



 ○エクウス州 森 上空


「おお、やはり空は速いな」

 カホが眼下の風景を見下ろす。

「にゃあ、しかも最短ルートで行くにゃん、宝探しにも使っていいにゃんよ、魔獣の森の中を歩かずに済むにゃん」

「助かる、正直、大きな虫の大群とかは勘弁だからな」

「にゃあ、そんなのに遭遇したら、食べられて死ぬにゃん」

「その死に方は嫌すぎる」

「猫耳が一緒なら大丈夫にゃん、だから一緒に行動するにゃん」

「わかった」

 カホが勝手に飛び出さないように牽制して、ドラゴンゴーレムの速度を上げた。


 何故、人型戦闘ゴーレムは魔法馬でパカポコ進んでいたオレたちを待ち伏せ出来たか?だが、それは見当が付いている。


『にゃあ、ユウカにちょっと聞きたいことがあるにゃん?』

 ユウカに念話を送った。

『ああ、マコトか』

『オレの居場所を誰かに売ったにゃんね? 嘘は吐かない方が身のためにゃんよ』

『ははは、既にマコトのところの猫耳たちに捕まってるわけだが』

『『『にゃあ、ユウカはウチらが簀巻きにしたにゃん』』』

 猫耳たちは仕事が早かった。

 王都近郊のブラッドフィールド傭兵団の秘密のアジトを急襲して、ユウカを捕まえて簀巻きにして転がしていた。

 その場に居合わせた団員たちは、団長を助けること無くさっさとアジトから姿を消しておりトラブルにはならなかった。

 金で動く傭兵とはそういうものらしい。

『オレとしては別にユウカが誰の情報を売ろうが、構わないにゃん』

『それが私の商売だからな』

『ただし、オレたちが許すかどうかは別問題にゃん』

『私の関知するところではないな』

『同郷の友人をこの手で始末しなくてはならないのは、悲しいにゃん』

『『『にゃあ! 血祭りにゃん!』』』

『ちょ! ちょっと待て! 早まるな!』

『質問にゃん、オレの情報を売ったのは、誰にゃん?』

『その情報、いくらで買う?』

『オレを売った料金と同額でどうにゃん?』

『もうちょっと色を付けてくれ』

『にゃあ、だったらユウカの命でどうにゃん?』

『お館様、面倒だからウチらが聞き出すにゃん、少しオツムがおかしくなるかもしれないけど些細な問題にゃん』

『『『賛成にゃん!』』』

『オレは、どっちでもいいにゃん』

『決まりにゃんね』

『『『にゃあ!』』』

『ま、待て! わ、わかった、それで手を打とう! マコトにとっても悪くない情報だぞ!』

『にゃあ、さっき死んでたら良いも悪いも無いにゃん』

『何を言ってる、マコトがそう簡単に死ぬわけないだろう?』

『まあ、いいにゃん、聞くにゃん、オレの情報を渡したのは何者にゃん?』

『リアンティス州の州都イリオトで大店を構えている商人の紹介で来た人間だ、マコトの知見を得たいので、いま何処にいるのか知りたいとのことだった』

『こっちの世界でも飛び込み営業があるにゃんね』

『いや、本当にそれをやったら捕まるぞ、実際には立ち寄りそうな街に先回りして面会を願い出るのが普通だ』

『その仲介者のイリオトの商人は、信用に足る人間にゃん?』

『身元は問題ない、領主の御用商人だ』

『リアンティス州のアナステシアス公爵の動向は知ってるにゃんね?』

『無論だ、先王コンスタンティン二世の再革命を狙っているのは明確だろう、先王も同調している』

『何も考えてないと違うにゃん?』

『盲従は同調と解釈されても仕方あるまい』

『実際にオレの情報を買った人間は、何者にゃん?』

『表向きは気のいい商人風ではあったが、アレは表側の人間では無いな」

『リアンティス州の人間にゃん?』

『正確な所属は不明だが、出身はケントルム王国だな、僅かだが言葉に訛りがあった」

『ケントルムにゃん?』

『ああ、たぶん間違い無い』

『すると人型戦闘ゴーレムは、ケントルムの術者が操っていた可能性があるにゃんね』

『人型戦闘ゴーレムか? だったらケントルム由来の術者で間違いない、人型戦闘ゴーレムを使う暗殺術はあちらにしか無いはずだ』

『アナステシアス公爵は、ケントルムと繋がってるにゃん?』

『顔の広い方だから何らかの繋がりを持って不思議は無い。だが、いきなり実力行使するような短絡さも無いと思うのだが』

『計画的な犯行の可能性があるにゃん』

『短絡さは無いが計画性とも無縁な方だ、計画的な思考が出来るなら先王が退位することは無かったはずだ』

『簡単に言うと、使えない若作りのおっさんてことにゃんね』

『少なくともアナステシアス公爵が、マコトの脅威になることはあるまい』

「そうだといいにゃんね、オレたちはリアンティス州から撤退するにゃん、今後の情報収集は任せるにゃん』

『了解した』

『にゃあ、オレの用事は済んだから後はお前らの好きにしていいにゃん』

『『『にゃあ!』』』

『ちょ、ちょっと待てぇぇ!』

 ユウカとの念話を終了した。



 ○リアンティス州 州都イリオト イリオト城


 リアンティス州の領主アナステシアス・アクロイド公爵は、執務室で客が到着したとの知らせを受け席を立った。

「父上! お待ち下さい」

 執務室の扉を乱暴に開け、息子のユリウスが駆け込んで来た。

 三八歳の息子は、領主補佐として領内の実務を取り仕切っている。歳相応の風貌で父親の公爵と並ぶと兄弟にしか見えない。

「何事であるか、騒々しい」

「父上、お話しがございます」

 人払いをして扉を締める。

「客人を待たせている、時間は無いぞ」

「父上、先王陛下とそのご家族を領内にお呼びしたというのは本当ですか?」

「ああ、相違ない」

「何ということをされたのですか! 父上はハリエット様に反旗を翻すおつもりですか!?」

「無論、ハリエット様は王位を先王陛下に返上されるべきだと思うが、事を起こす様な真似はせぬ」

「マコト公爵様の配下の者が領外へ移動しております、父上が革命権の行使をするものと想定されての動きかと思われます」

「バカな、何故革命など」

「ハリエット陛下の監視下から先王陛下とご一家を呼び寄せたではありませんか? 対外的に革命の準備に入ったと思われて当然です」

「下衆な発想だ」

「父上!」

「こちらが動かねば、マコトも攻撃はしまい」

「そう思いたいところですが」

「もし我が領に手を出せば、マコトと言えども手痛い代償を払うことになる」

「父上、マコト公爵様と事を構えれば我が領は一日も持たずに滅びます!」

「ユリウス、そなたは我が領の本当の力を知らぬ、何故、我らが公爵家としてあるのか、後で教えるとしよう」


 不満げな息子を執務に戻しアナステシアス公爵は、謁見の間に向かった。


 先王陛下ご一家をニービス州などの僻地に置くのは忍びなく、我が領にお誘いしただけなのだが、面倒な事になり掛けている。

 マコトが仕掛けて来ることは無いと思うが、いざとなれば戦うまでだ。先日の事件では遅れを取ったが、同じ過ちは繰り返さぬ。


 謁見の間にはふたりの男がいた。

 ひとりはマルク・ヘーグバリ。王都の法衣貴族で外務省の役人でもある。騎士のような体格だが文官だ。

 ヘーグバリ家はリアンティス州の出だった縁で先代以前から懇意にしている。

 マルク自身は、息子よりも若い男だが有能で、年の離れた友人の様な存在だ。有益な情報も数多くもたらしてくれていた。

 もうひとりは初めて見る顔だ。

 マルクと変わらぬ年齢のようで、にこやかな表情を浮かべていた。商人の様に見える。

「久しいなマルク、実際に顔を合わせるのは二年振りか?」

「はい、魔導具にてお話しさせて頂いているとはいえ、ご無沙汰しておりました、公爵様におかれましてはお変わり無く元気なご様子に安心いたしました」

「その方も変わらぬな、それで王都からわざわざ我が領に顔を出すとは何用だ? この時期に先祖の墓参りでもあるまい」

「本日は、こちらのエサイアス・ネルソン殿を公爵様にご紹介いたしたく参上いたしました」

「ほう」

 アナステシアス公爵の視線を受け、紹介された男は会釈した。糸のような細い目が更に柔らかくなる。

「マルク・ヘーグバリ様よりご紹介頂きましたエサイアス・ネルソンと申します、ケントルム王国より貿易事務官を拝命しております」

「ほう、ケントルム王国の外交官であるか」

「左様にございます、とは言え、大使館にはほとんどおりませんが」

「そのケントルム王国の貿易事務官殿が、我が領にお越し頂いた理由は?」

「私からご説明いたします、公爵様、貿易事務官はエサイアス殿の表向きの顔であります」

「表向きとな?」

「その実、ケントルム王国第二王子ルーファス殿下の秘密特使として、本日は公爵様の下にいらしているのです」

 柔和な表情のまま頷くエサイアス。

「第二王子ルーファス殿下とは、一〇年ほど前にあちらでお会いしたきりだが」

 アナステシアス公爵には秘密特使を送られる理由が思い当たらない。

「いったい何用であろう?」

 公爵の問にエサイアスは表情を引き締める。

「ルーファス殿下は、今回のアナトリ王国での政変で姉上のアイリーン様が先王陛下から引き離され国に戻される事態に心を痛めていらっしゃいます」

「そうであろうな」

「公爵様、私も先王陛下に王位へとご復帰いただき、ハリエット様とマコト公爵様に改変された国体を正常に戻して頂きたいと願っております」

 マルクも言葉を重ねる。

「先王陛下のご復帰か」

「はい、既に王宮を蝕んでいた貴族たちは、その多くが先の事件で命を落としており排除は済んでおります、故にハリエット様とマコト公爵の国体を大きく変える過剰な改革は不要と考える者は少なくございません」

「なるほど、同調者が多いということか」

「現在、王宮近辺で密かに先王陛下の復帰を願う者たちが行動を開始しております」

「しかし、ハリエット様とマコトがそれを良しとはしまい?」

「それ故、密かに動いているのです」

「王宮の貴族が動いたところで、ふたりを排除することは出来まい、騎士団は解体され軍は貴族の手を離れている、宮廷魔導師もあちらの支配下だ」

「問題ございません」

「随分と簡単に請け負うのだな」

 即答するマルクに苦笑いを浮かべるアナステシアス公爵。

「そのためにエサイアス殿に来て頂いたのです」

「よもやケントルム王国を巻き込もうと言うのではあるまいな?」

 声を低くする。

「ご協力を頂きますが、排除するのはハリエット様とマコト公爵様、そしてその配下のみ、内政に干渉されることはございません」

「しかし、マコトを排除すれば王国内で冬を越えられぬ者が多く出るぞ」

「問題ございません、ルーファス殿下がご支援を約束されております」

「何も考えていないわけでは無いようだな」

「マコト公爵様の領地は、公爵様が引き継がれるのがよろしいかと、そうすれば小麦の生産も直ぐに増やすことが可能かと思われます」

「マコトの領地か」

「はい、王国そして陛下を支える為にも公爵様に管理して頂くのがよろしいかと」

「王国と陛下をか、しかし、マコトを退けるなど現実に可能なのか?」

「無論でございます」

「随分と自信があるようだが、魔獣をも倒すマコトに対抗できるのか?」

「ここでもルーファス殿下にご協力願います」

「ルーファス殿下がマコトを排除すると?」

「左様でございます」

「ルーファス殿下にとって何の得がある?」

「それにつきましては、殿下より直接お言葉を頂戴いたします」

 エサイアスが応えた。

「ルーファス殿下にであるか?」

「はい」

 エサイアスとマルクが立ち上がり椅子の後ろに下がる。


 淡い光と共にソファーに座った少年の姿が浮かび上がった。


「ルーファス殿下?」

 現れたのは、一〇年前に会った当時一〇歳のケントルム王国第二王子ルーファスの姿そのものだった。

 いや当時に比べると少し成長しているが、到底二〇歳になったはずの青年の姿には見えない。

『久しいなアナステシアス公爵、以前と変わっておらぬのは私と同じだな』

 幻影だがケントルム王国からだとすれば、とてつもない魔力だ。

「お久しぶりでございます殿下、宮廷魔導師の副主席に就任されたとお聞きしました、遅ればせながらお祝い申し上げます」

『なに宮廷魔導師など、王宮内の儀式を行うだけの退屈な仕事だ、誰でも出来る』

「しかしそれ相応の魔力が無いと務まらないのではありませんか?」

『魔法使いに首輪をつける為に用意してる役職に過ぎない、敵に回った魔法使いほど厄介なモノは無いからな』

「確かに」

『それで公爵殿の望みは、マコトとやらの始末で良いのだな?』

「殿下、お言葉ですがマコトは魔獣をも屠る強力な魔法使いであります、一筋縄ではいかないかと」

『アナステシアス公爵は、そのマコトやらが魔獣を屠る姿を実際にその目で確認されたのかな?』

「いや、報告を受けただけであります」

『私にも報告が来たが、魔獣とやらの姿は一体も確認出来なかったぞ』

「確認出来なかったのですか?」

『そうだ、少なくとも私の目には魔獣の姿は一体もとらえることが出来なかった』

「では、魔獣を倒したと言うのは?」

『それなりの魔法使いなら、人の目を誤魔化すことなど容易いということだ』

「つまり殿下は、魔獣の大発生の事実が無かったと仰せですか?」

『魔獣の大発生があったのにその躯が一体も確認出来ぬというのは、どう考えてもおかしいと思わぬか?』

「確かに殿下の仰る通りかと」

『アナステシアス公爵、マコトのことは私に任せてくれ、悪いようにはせぬ』

「よろしいのですか?」

『構わぬ、私もちょうど退屈していたところだ、良い遊び相手になってくれるだろう、ではまた会おう』

「かしこまりました」

 ルーファス第二王子の幻影が消え、アナステシアス公爵は息を吐き出す。

 自分が酷く緊張していたことに気付いた。



 ○リアンティス州 州都イリオト ヘーグバリ家別邸


 アナステシアス公爵を辞したマルクとエサイアスは、ヘーグバリ家別邸の地下にある隠し部屋で改めてルーファス第二王子の幻影と会談する。

「ルーファス殿下、マコト公爵が魔獣を倒していないのは本当でありますか?」

 魔獣の侵攻時に王都にいたマルクとエサイアスも魔獣の姿は確認してはいなかった。

『魔獣の移動が有ったのは事実なのだろう? わかるのはそれだけだ』

「マコト公爵、恐るるに足らずと?」

『それは早計であろう、軽く接触したがなかなかの手応えだったぞ』

「もう接触なされたのですか!?」

 マルクが驚きの声を上げる。

『なに、情報収集の一環だ』

「殺してしまわれなかったのですか?」

 エサイアスが冷たい笑みを浮かべる。

『簡単に殺せるような者なら、私が出るまでも無かったのではないか?』

「ごもっともでございます」

『マルク、卿らは本当にマコトを排除するのか?』

「無論です、我々はアナトリ王国の国体を守らねばなりません」

『凡庸な先王を王位に戻しては国が滅ぶとは思わぬか?』

「国体の維持が王国の終焉を呼ぶというならば、それもまた運命かと」

『わかった、ではエサイアス、引き続き情報を頼む』

「仰せのままに」


 隠し部屋からルーファス第二王子の幻影が消る。


「マルク様のご意見は、護国派全体の統一された見解と思ってよろしいでしょうか?」

 改めて尋ねるエサイアス。

「我らの意思は一つ、揺らぐことはありません」

「かしこまりました、出来る限りの協力をいたします」

「感謝いたします、同士も皆、感謝を捧げるでしょう」


『ふん、狂信者が、護国派とその協力者を特定しろ、マコトの次に始末する』


 エサイアスの脳裏に第二王子の声が響き、その笑みが深まった。


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