特異ランクの魔獣にゃん
オレはフェルティリータ州の五つの遺跡の防御結界を剥ぎ取った。
「にゃああ!」
同時に遺跡を埋めていた土砂を消し去る。遺跡も分解が出来れば話は早いのだが、まったく効かなかった。
遺跡の構造は五つとも基本は同じだ。直径三〇〇メートル高さ五〇〇メートルの巨大な金属の円柱の中に三角錐の空間がある。それが魔獣の子宮なのだろう。
いずれの遺跡もいまは円柱の天井部分が見えていた。
「にゃあ、ダメ押しでマナを抜くにゃん!」
五つの遺跡からマナを吸い上げる。なにもここで待って生まれたての魔獣にマナをくれてやる義理はない。
遺跡の最後の抵抗を引き剥がしそのシステムに侵入する。内部では魔獣が恐ろしい勢いで錬成されていた。
オレはシステムに干渉して七割でき上がっていた錬成にストップを掛ける。
「これで魔獣は完全な姿では生まれないにゃん」
しかし、そう簡単にはいかないか。
システムが干渉を受け付けなくなった。
「にゃ!? 魔獣が遺跡のシステムを切り離しやがったにゃん!」
「どういうこと?」
リーリが質問する。
「にゃあ、魔獣の子宮が途中で敵に乗っ取られる危険を想定してたにゃんね、魔獣が目を覚ましたにゃん」
七割の錬成で切り上げた魔獣が活動を開始した。
「にゃお、完成率が七割でも十分てことにゃん」
「そうらしい、出てくるぞ」
天使アルマは愉快そうだ。
五つの遺跡の天井部分が消滅した。
「分解にゃん?」
「そうだ、いまので遺跡の上半分が消滅した」
魔獣はどれも判で押したみたいに同じ動きをしていた。シンクロしてるのか?
「エドモンドがいたの!」
ミンクが叫んだ。
「遺跡の底に三人分見えるね」
リーリが具体的な場所を教えてくれる。遺跡の上半分がなくなって探査魔法が簡単に届くようになった。
「にゃあ、オレも金属化してる人間を三人確認したにゃん」
遺跡の底、魔獣の足元に三人並んで転がっていた。
金属だから助かる可能性もある。これで魔獣ごと焼き払うわけにはいかなくなった。
「にゃあ、相変わらず邪魔をすることにかけては超一流にゃん」
そんなオマヌケ三人組より問題は魔獣だ。
「二足歩行の人型魔獣にゃんね」
足が無いかいっぱいある魔獣とは何度も対峙したが、人間みたいな姿形は大公国で闘った赤ちゃん型以来か。
あれは二足歩行とはいい難いけど。
「来るぞ」
天使アルマの言葉の直後、遺跡周辺の土砂がごっそり消えた。
「分解を使う魔獣は厄介にゃん」
防御結界をごっそり持っていかれるから好きじゃない。
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!』
魔獣が遺跡の穴から飛び出した。デカいのに身軽で速い。人っていうより猿の動きに近い。オレの封印結界にぶつかって絡め取られた。
連続して分解魔法を使ってくるがオレの封印結界には効かない。いや、厳密には効いているのだが分解魔法には既に対策が確立している。
消されるよりも早く再生すればいい。まったく効いてないように見える。
魔獣は全身が空中刻印で構成されていた。
「特異ランクだけあって、何もかも違うにゃね」
まるで影が動いているみたいだ。
「うん、初めて見るけどこれが魔獣とは驚きだよ」
リーリも初見だった。
「魔石があるのだからくくりは魔獣で間違いあるまい」
天使アルマのいうとおりなのだが、魔獣の魔石つまりエーテル機関を持っているのはわかるのだが、場所が特定できない。
「にゃお、体内の何処かに格納空間が作られているみたいにゃん」
人型魔獣は封印結界から身体を引き剥がした。
影のような身体の中で空中刻印がいくつもの螺旋を描いてオレの厨二心が刺激される。
「かっこいいにゃん」
四つの目が赤く光りオレを凝視した。
致死性の呪いが赤い蛇となって飛んで来る。魔獣は魔法を使うがこいつはそれに特化した存在らしい。
魔獣というより封印図書館の生み出した化物と言った方がピンとくる。
四匹の呪いの蛇はきっちり魔獣に返した。
「にゃお、オレに呪いは効かないにゃんよ」
他の四体も同じく呪いを打ったが同様に返した。
「こいつ、他の遺跡の四体と完全につながってるにゃんね、五体で一体の魔獣みたいにゃん」
「完成率の低さを数で補ってるのだろう」
天使アルマはオレの横に立つ。
瞬間移動か!?
呪い返しが当たった部分の刻印の魔法式が赤く燃えた。修復機能はあるようだが消火してないので効果がいまいち。これも完成率七割のせいか。
「マコト、あとはミンクがやるの! エドモンドの敵はミンクが取るの!」
「にゃ?」
オレが止める間もなく、ミンクは封印結界をぶち抜いて人型魔獣に突っ込んだ。
まるで弾丸だった。
人型魔獣がミンクを狙って拳を繰り出す。
「危ないにゃん!」
ミンクは魔獣の拳を砕いた。
「にゃ!?」
拳を形作っていた空中刻印が千切れ魔法式が四散する。
「ぶっ飛ばすの!」
ミンクのちっちゃな拳が魔獣の顔面をとらえた。
まるで衝撃を受けた頭部がゼリーみたいに波紋が大きく広がる。空中刻印の流れがあるべき形を失って魔法式の多くが崩れた。
空中刻印はその位置が狂うと途端に効力を弱体化させる。
普通は触れないので形を崩すなんてできないが、いまミンクがやったみたいに半エーテル体の密度を同じにした結界を被せた状態でなら、物理的な衝撃を与えられるらしい。
ミンクは攻撃の手を緩めずパンチにキックを繰り出す。
「まだまだなの!」
まるで魔獣からミンクのパンチやキックに当たりに行ってるみたいに見えた。それってミンクが魔獣が避けた場所に先回りしてるってことか。
「ミンクってめちゃくちゃ強かったにゃんね」
「そうだよ、ミンクは妖精の中でも武闘派だからね、格闘術なら誰にも負けないと思うよ」
リーリが教えてくれた。
「にゃあ」
妖精にも武闘派とかあるんだ。
人型魔獣は、ミンクの繰り出す物理的な攻撃でボロボロになっていた。もはや人の形をたもっていない。
刻印を破壊され魔法式はことごとく効果を失った。
他の四つの魔獣にダメージを分散したのだろうが完全に裏目になってる。どれも修復が不可能な状態まで破壊されていた。
「とどめなの!」
ミンクのワンサイドゲームで終わるかと見えたが、最後の攻撃の瞬間、人型魔獣の中で魔法式が替わった。
「ミンク、逃げるにゃん!」
人型魔獣が形を捨てミンクを包み込んだ。
「マコト! 聖魔法を打って!」
「にゃあ!」
リーリの声にオレは封印結界に飛び込んだ。
人型魔獣はミンクの防御結界の表面を覆う。丸い風船みたいな形になった。ミンクの防御結界から魔力を吸い上げるつもりか!?
「にゃあ! そんなことはさせないにゃん!」
人型魔獣の魔法式を直に掴んだ。
ヌルヌルした暴れるウナギみたいな感覚だが逃しはしない。人型魔獣はチャンス到来とばかりにオレを飲み込もうとした。
リーリの言葉に従いオレは掴んだ魔法式に高出力の聖魔法を流し込んだ。
ウネウネ動く魔獣を構成する黒い刻印が聖魔法の青に染まる。
ミンクを防御結界ごと包んでいた人型魔獣が魔法式を壊されて剥がれた。
「マコト! そいつ魂があるよ!」
「にゃあ!」
そこに聖魔法の雷を撃ち込んだ。
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』
人型魔獣は断末魔の叫びをあげ消し飛んだ。光の粒子が弾ける。
本当に魂があったみたいだ。
他の四体の魔獣も同じく聖魔法の雷を浴びて消し飛んでいた。
「聖魔石にゃん?」
地面に転がってる青く光る球体はまさしく聖魔石だったが、直径がオレの背丈ほどもあった。
残り四つの遺跡にもこの巨大な聖魔石が落ちていた。
聖魔石の魔法馬どころじゃない濃厚な聖魔法をまき散らしてるので、健康な人間でも下手に近付いたら昇天しかねない。
それらを回収するとトンネルから猫耳たちが飛び出してきた。
「「「にゃあ、お館様! 無事だったにゃん!?」」」
オレを抱き上げた後はバケツリレーみたいに猫耳たちの間を次々とパスされた。
上半分が消滅した魔獣の子宮を猫耳たちが回収する。研究拠点での解析がすぐに開始された。
この膨大なマナの生成能力はオレたちが求めてやまない魔力炉に通じるものがある。
そして運び出された三人の金属化した身体。
あたりはすっかり暗くなっていた。
エドモンド、セザール、マリオンのお騒がせ三人衆だ。
投光機の明かりを浴びて銅のような光沢を見せていた。這いつくばった格好なのでインテリアには向かないが芸術作品ならありかもしれない。
「にゃあ、お館様、こいつらの魂は問題なく入ってるにゃん」
猫耳が検分する。
「にゃあ、マリオンはともかくエドモンドとセザールはこのまま復活させるわけにはいかないにゃんね」
「ダメなの?」
ミンクが悲しそうな顔をする。
「こいつらを元のまま復活させると間違いなく斬首コースにゃん」
拷問されないだけありがたく思えって感じだ。
「マコトはエドモンドをどうするの?」
「にゃあ、猫耳にするのが安全にゃんね、ついでに根性を叩き直すにゃん」
「わかったの、猫耳なら賛成なの」
エドモンドが大好きなミンクも賛成した。
「にゃあ」
「お館様、エドモンド王子の中身がちょっと変にゃんよ」
「にゃ?」
エドモンドはもともと変だとは思うが。
「見てみるにゃん」
エドモンドの魂を見た。
「にゃ!? これはまさかにゃん!」
ヤツの魂には日本の風景が記憶されていた。
しかもオレが知ってる地域って……。
「こいつ、中身が転生者にゃん!」
「「「にゃ!?」」」
「お館様、エドモンド王子は魔力は強くても完全な内向きで魔法使いじゃないはずにゃん、それでも転生者にゃん?」
「にゃあ、記憶をそのまま持ってきたカズキやオレなんかと違って、こっちで普通に誕生したエドモンドに転生者の意識はなかったみたいにゃんね、実際、魂以外はこっちの人間の肉体にゃん」
大公妃のテレーザに近いが、彼女は転生者としての記憶を持っていた。エドモンドの場合は何らかの理由で覚醒しなかったらしい。
「年齢も固定されてないにゃんね」
「にゃあ、こいつは本来の転生者の姿に戻した方が良さそうにゃん」
「猫耳はなしなの?」
「そうにゃん、転生者だから猫耳化してもオレのコントロールが効かない可能性があるにゃん、しかも迷惑王子エドモンドの中身だから余計な力を与えるのは危険にゃん」
「セザールは猫耳化にゃんね」
「にゃあ、そっちはそれで決まりにゃん」
まずはセザールから、魂のブートキャンプで根性を叩き直してから猫耳化する。
「にゃあ!」
金属の身体から裸の猫耳を引っ張り出した。
「にゃ?」
元セザールの猫耳は自分の手を見てから身体を見た。以前のセザールと同じなのは灰色の髪ぐらいだ。こちらはクセっ毛じゃないけど。
「すぐに服を着せてやるにゃん」
猫耳たちが寄ってたかって元セザール・マクアルパインの猫耳に服を着せた。
「にゃあ、これがウチの新しい身体にゃん?」
「そうにゃん、今日からおまえはセリと名乗るといいにゃん」
「了解にゃん、ウチからもひとつお館様にお願いがあるにゃん」
「なににゃん?」
「お館様を抱っこさせて欲しいにゃん!」
元セザール・マクアルパインのセリに抱きかかえられた。
「にゃあ、わかったから下ろすにゃん、おまえらもセリの後ろに並ぶんじゃないにゃん、スキンシップは次の厄介ごとが片付いてからにゃん」
「「「にゃあ」」」
続けてエドモンドの中身だ。いったい何が出るのかオレにもわからない。同郷の人間らしいが。
「行くにゃんよ!」
引っ張り出したエドモンドの中身は、黒髪の女の子だった。
一四歳ぐらいで凸凹のない痩せっぽちなプロポーション。顔は日本人というより西洋人に近い。長い髪だ。
「な、何だこれは!」
自分の身体を見て叫んでる。
「ひとまず服を着せるにゃん」
猫耳たちがまたも寄ってたかって服を着せた。猫耳たちと同じ戦闘服だ。
「日本人にゃん?」
オレは黒髪の少女に聞いた。
「待ってくれ、私はエドモンドだ」
「にゃあ、オレが言ってるのはその前の話にゃん、おまえの魂に記憶されていた風景はオレにも見覚えがあったにゃん」
つまり以前のオレが生活していた地域出身の人物である可能性が高い。
「ちょっと待ってくれ、マコト」
少女は手を突き出してオレを制した。
「ああ、思い出した、これが前世の記憶か!?」
黒髪の少女は思い出したらしい。途中にエドモンドの三〇年近い人生を挟み込んでいるからどれほど思い出せるかはわからないが。
「マコトもその名前からすると日本人なのか?」
「にゃあ、そうにゃん」
「マコト・アマノという名前もそのままなのか?」
「そうにゃん、でも、オレの姿形は以前とぜんぜん違うにゃんよ」
「すると私が知ってるマコトかもしれないということか? いや、しかし、いくらなんでも変わり過ぎだろう」
黒髪の少女はあきれた苦笑いを浮かべた。
「にゃあ、オレの場合はぜんぜん違ってるにゃん、そういうおまえは誰にゃん?」
「キサラギ・ミマ、それが前世での私の名前だ」
「にゃあ、ミマにゃん!? 十九の時に事故で死んだミマにゃん!」
「前世の私を知ってるってことは本当にマコトなのか?」
ミマはオレを抱え上げた。
「マコトは女の子になったのか?」
「にゃあ」
こうして改めて見ると中学生の頃の面影が少しあるようだ。
キサラギ・ミマとオレは中学、高校の同級生だった。
仲のいい同級生から出ることなく高校を卒業して一年もたたずにミマはこの世を去った。まさか本当に再会するとは。
魔王にはならなかったが王子になっていたか。
迷惑度は確かに魔王級だ。
考古学に興味を持っていたのは生前からだったから、記憶を取り戻さなくても影響はあったらしい。
「マコトは、いつこっちに来たんだ?」
「半年ほど前にゃん」
「そうか、私はこちらで二七歳になる」
「にゃあ、オレは三九で死んだにゃん」
「積もる話もあるが後回しだな」
「そのとおりにゃん」
「私とセザール教授、それにマリオンの身体はいったいどうなっているんだ?」
ミマは興味深そうに彫像と化した自分の元の身体を突き回してる。
「にゃあ、濃いマナで一瞬で彫像化したにゃん、おかげで蘇生できたにゃん」
「彫像病か」
「エドモンドとセザールのは抜け殻にゃん、マリオンはまだ入ってるから触っちゃダメにゃんよ」
「セザール教授も抜け殻?」
「ウチはここにゃん」
元セザール・マクアルパインの猫耳セリが手を挙げた。
「セザール教授なのか?」
「そうにゃん」
セリはコクリとうなずいた。
「他人のことは言えないが、ずいぶんと可愛らしい姿になったものだ」
「にゃあ、エドモンドとセザールは斬首が決定してるにゃん、だから姿を変えて死んだことにするにゃん」
「この惨状を招いた責任は取らなくてはなるまい、無知とはいえバカな行動をしたものだ」
ミマはこれまでの行動を俯瞰で見ていた。一回死んで遺跡バカが少しは治ったのだろうか?
「全部が全部エドモンドとセザールのせいとは言わないにゃん、いちばん悪いのは黒幕にゃん。でも王宮は立場上おまえらを無罪放免にするはずないにゃん」
「わかってる、父上にもいらぬ苦労をかけてしまった」
しゅんとするミマ。
「にゃあ、ひとまずミマもオレのところで保護するにゃん、マリオンにはエドモンドとセザールは蘇生できなかったと説明するにゃん」
「すまない」
「にゃあ、後は黒幕のあぶり出しにゃん」
猫耳たちがカダルの城にある領主専用の通信の魔導具を調査している最中だ。黒幕が直に残した痕跡だと思われる。
「マコト、黒幕だが私は見たぞ」
ミマがそう言った。
「にゃ、見たにゃん!?」
「そうだ、ヤツは私たちが彫像になる直前に実体では無かったが幻影となって姿を現した」
「にゃお、黒幕はどんなヤツにゃん!?」
「あれは主席殿、エドガー・クルシュマン主席宮廷魔導師だ。マコトも名前は知ってるだろう?」
「知ってるにゃん、エドガー・クルシュマンは死んだと聞いてるし確認済にゃん」
「だが主席殿は確かにいた。幻影だからなりすましの可能性は否めないが、あの魔力は紛れもなくエドガー・クルシュマンのものだ」
「にゃあ、ミマは魔力の違いがわかるにゃん?」
「エドモンドだった頃の私は魔法は使えないが、魔力を見ることが出来た。個人の特定も可能だ」
「エドガー・クルシュマンは政治力は長けているが、魔導師としての実力はいまいちと聞いてるにゃん」
「いや、それは外野の戯言だ。仮面の魔導具を使って魔力を増やしているのもフェイクだ。主席殿はマコトと対等にやり合える魔力を持っている」
「にゃ、オレとやり合えるにゃん?」
「そうだ、魔力の大きさも確認済だ」
「にゃお」
「主席殿の魔力が国内で随一のアルボラの領主カズキ殿をも超える。ふたりの魔力をこの目で確かめたから間違いない」
「カズキより上にゃん?」
「そもそも主席殿を殺せる人間がいるのだろうか?」
「にゃあ、記録ではチンピラを使った刺殺だったはずにゃん」
「防御結界を持つ主席殿に刺殺などありえない」
「そうにゃんね、カズキ以上の魔力となると話は違ってくるにゃん」
黒幕の条件に合致する可能性が出てきた。
「エドガー・クルシュマンは転生者にゃん?」
「いや、そこは何とも言えない、なにせマコト以外の転生者に会ったことがない」
「にゃあ、アルボラの領主カズキがそうにゃん」
「ああそうか、確かに名前は日本人か」
「にゃあ」
「カズキ殿と主席殿の魔力は質が似ている」
「もう一つ、黒幕は先史文明オリエーンス連邦時代の魔法に明るい人間にゃん」
「主席殿も当てはまる」
「そして、封印図書館を持ち去ってる可能性が高いにゃん」
「封印図書館だと、アレを持ち運ぶなんて出来るのか?」
「にゃあ、エドモンドが入った封印図書館はダミーにゃん、本物は上級の宮廷魔術師じゃないと入れないにゃん」
「待ってくれ、あれでダミーなのか!?」
「本物に比べたら毒がないにゃん」
「主席殿の案内だったから完全に信じていた」
「上手く騙されたにゃんね、黒幕は主席宮廷魔導師のエドガー・クルシュマンで決まりにゃん」
問題はヤツが何処に隠れてるかだ。




