進軍にゃん
○王室直轄領 北東 廃道
「「出発!」なの!」
昼休みを終えてリーリとミンクの号令で一〇〇台のトラックの車列が動き出す。森の中のほとんど消えかかってる廃道を片側二車線の舗装道路に造り直しながら進む。
「にゃあ、午後は一段と速くなったにゃんね」
トラックの座席はベンチシートで横並びに猫耳が三人座ってる。四歳と五歳のチビたち五人はまた後ろでまどろんでいた。
「トラックの速度が上がったのは道路造りに慣れてきたからにゃん」
「それに午前中はトラックの慣らし運転も兼ねてたから速度が控えめだったにゃん」
「いまから速度はもっと上がるにゃん、お館様のご命令とあらばいまの倍の速度は出せるにゃんよ」
「にゃお、全車安全運転で頼むにゃん」
オレは真ん中の猫耳に抱っこされている。これは猫耳たちに取って譲れない条件だそうなので仕方ない。
トラックは、日本の高速道路でも余裕でとっ捕まる速度で巡航する。
「まだまだ走るんだね」
リーリがオレの頭から飛び上がって前方を眺める。
「にゃあ、まだまだ掛かるにゃんよ」
「たまには旅もいいものだね」
「にゃあ、駅弁が食べたくなるにゃんね」
「駅弁、なにそれ!?」
食べ物の話にリーリが食い付いた。
「こんな感じに旅をしながら乗り物の中で食べるお弁当にゃん」
「食べたい!」
「ミンクもなの!」
妖精たちはさっきお昼を食べたばかりなのに自分たちが見たこともない駅弁をおねだりする。
「にゃあ、わかったにゃん」
かつて食べたことのあるシャケ弁を豪華にした感じの駅弁を二つ再生してリーリとミンクに渡した。
「「おいしそう」なの」
オレの頭の上は狭いのでそれぞれ左右の猫耳の頭に乗って食べ始める。こちらも頭の上に乗ることは譲れないらしい。
「マコト、今回はどれぐらい遠いの?」
駅弁を食べながらリーリが質問する。ちなみに弁当と箸を浮かせている妖精魔法は人類にはほぼ解析不能な超絶高度な魔法式が使われていた。
妖精魔法は技術の無駄遣いの極みだ。
「にゃあ、そうにゃんね、今回の行程は最短でも普通の馬車だと北に向かって一ヶ月、更にそこから西に向かって一ヶ月かかる距離にゃん」
実際にはとても馬車は通れない道だけどな。
「二ヶ月とは驚きなの」
ミンクは口をもぐもぐさせながら驚きの声を上げた。
「もちろんオレたちのトラックはそこを短期間で走り切るにゃん、敵も動いてるからもっと手前で会敵にゃんね」
アキントゥス州では、見通しの悪い森の中での魔法を撃ち合いだから、お互い肉眼で敵を見ること無く終わってしまうかもな。
「にゃあ、お館様、最後はフェルティリータ州の州都カダルまで行くから更に一ヶ月がプラスされるにゃんよ」
「馬車を使ったら三ヶ月の長旅だったにゃんね」
オレが普通の馬車ぐらいしか持っていない魔法使いだったら世界の危機とは無縁のままいまでもプリンキピウムで冒険者をしていたと思う。
チビたち五人には猫耳たちが魔法の指導を行い、オレは各拠点の猫耳たちやユウカに連絡を取って情報の収集などを行った。
特に新情報もなくその間もトラックは距離を稼いだ。
○リーリウム州 境界門
王室直轄領とリーリウム州との境界に到着した辺りで空は暗くなって来た。
境界門とは名ばかりで実際には杭が立ってるだけだ。
オレたちはトラックの速度を落とすこと無く境界を通過してリーリウム州に入った。廃棄された場所なので杭があるだけマシなのかも。
○リーリウム州 廃道
「お館様、野営はどうするにゃん?」
運転担当の猫耳が質問する。
「にゃあ、今日はもうちょっと走っておきたいにゃんね、距離は任せるにゃん」
「了解にゃん、全車に通達するにゃん」
「にゃあ、頼んだにゃん」
「お館様たちは、到着まで荷台で遊んでていいにゃんよ」
「荷台にゃん?」
立ち上がって荷台を覗き込むとチビたち五人と猫耳たちが大量のスポンジに埋もれて満足げな顔をしていた。
「後ろが静かだと思ったらそういうことだったにゃんね」
悪くないとは思う。
「面白そう!」
「ミンクもなの!」
リーリとミンクが先にスポンジのプールに飛び込んだ。
「にゃあ、ふたりとも子供にゃんね」
でも楽しそう。
お尻が勝手にフリフリしてしまう。
「にゃ~ん、お館様も遊んで来るにゃん」
「みゃあ!」
猫耳に持ち上げられそのまま荷台に投げ入れられた。
ポフ!っとスポンジのプールに沈んだ。身体がふんわり沈む感じがたまらなく心地良いにゃん。
「「「おやかたさま!」」」
シアとニアとノアの四歳児たちがスポンジをかき分けて泳いでくる。
「「マコトさま」」
続けてビッキーとチャスもオレのところに来た。
「今日は、一日トラックに乗って運動不足だったから、運動するにゃんよ」
「「「はい!」」」
チビたち五人を引き連れてスポンジのプールを泳ぐ。
「にゃあ! 楽しいにゃん!」
スポンジのプールに潜ったり泳いだりしてるうちに眠ってしまった。
○リーリウム州 廃道脇 猫ピラミッド
「お館様、今日の野営地に到着したにゃん」
「にゃ?」
猫耳に抱き上げられて目を覚ました。
チビたちは既にトラックを降りて魔法馬で駆け回っている。パトロールをしてくれてるらしい。
四歳児たちはともかくビッキーとチャスの精霊系の探査魔法はとんでもなく飛ぶのでなかなか侮れない実力を持っている。
オレは猫耳に抱きかかえられたままトラックを降りた。
葉の無い裸の黒い木々がまばらに生えた大地は、夜空に浮かぶオルビスの光を受け磨かれた石の様な光沢を浮かべる。
実に幻想的な風景だ。
「綺麗にゃんね」
猫耳に抱き上げられたまま眺めている。
「大昔の魔法の影響で変質した土地と伝えられてるにゃん」
「確かに自然の産物ではなさそうにゃんね」
「にゃあ、暮らすには大変な場所と聞いてるにゃん、実際ほとんど人は住んでないはずにゃん」
「そうにゃんね、土地はカチカチだし、獣すら居ないし、木は超硬くて燃えそうにないにゃん」
どんな魔法を使うとこんな土地になるのだろうか? 時間があったらじっくり調べてみたい案件だ。
「お館様は、まずはウチらとお風呂にゃん」
猫耳たちによって道路脇に猫ピラミッドが造られていた。
「仕事が早いにゃんね」
「お館様とお風呂に入るためにゃん」
「この猫ピラミッドは魔獣の森前衛拠点みたいに胴体があるにゃんね」
「魔獣の森前衛拠点と同じくそこがお風呂にゃん」
「にゃ、お風呂にゃん? でも魔獣の森前衛拠点より大きいにゃんよ」
「全員で入れる大きさにゃん」
魔獣の森前衛拠点より大きい猫ピラミッドの背中にメチャクチャ大きい露天風呂が造られていた。どうやら猫耳たちは本気で全員で入るつもりらしい。
「お館様、トンネルの接続完了にゃん」
「ご苦労にゃん」
『『『ニャア』』』
トンネル経由で野営地防衛の猫耳ゴーレムたちもやって来た。八〇〇体の猫耳ゴーレムが野営地では一〇〇〇体を超える。
「まずはひとっ風呂にゃん」
猫耳がオレを地面に降ろすことなく猫ピラミッドに連れて行こうとする。
「ちょっと待つにゃん」
オレは空を指差した。
「また来たにゃん」
夜空に真っ赤に焼けた鉄球が流星のように輝く。
落ちて来なければ最高なのだが、ヤツらはオレたちの行軍が停まったのを察知して条件反射の様に鉄球の雨を降らせる。
防御結界に付与した鉄球の自動分解&格納でオレの格納空間にどんどん蓄積される。
「にゃあ、お館様、反撃はウチらにお任せにゃん」
「任せるにゃん」
適当なところで猫耳たちが反撃して敵魔導師たちの身ぐるみを剥がす。
その間にオレは猫ピラミッドの背中に作られた露天風呂に連れ込まれた。
○リーリウム州 廃道脇 猫ピラミッド 露天風呂
「にゃあ、極楽にゃん」
多少、鉄球が五月蝿いが幻想的な風景を眺めながらの露天風呂は最高だが、バケツリレーのごとく次々と猫耳たちに抱っこされて落ち着かない。
『『『ニャア、オ館様とオ風呂ニャン♪』』』
猫耳ゴーレムも混ざっていた。
お風呂大好きの猫耳ゴーレムたちはオレ+露天風呂と聞いてじっとしていられなかったらしい。
リーリとミンクの妖精ふたりは早々に食堂に飛んで行ってる。
チビたちもパトロールの後、オレと一緒にお風呂に入ってくれたが早々に出て食堂に向かった。
食堂でブタの丸焼きをやってるので、興味はそちらにあるらしい。
『にゃあ、お館様、貴族派の三州に魔獣出現情報にゃん!』
露天風呂でバケツリレーのバケツになってる最中に研究拠点の総合作戦室から念話が入った。
『貴族派の何処にゃん?』
『クァルク、オーリィ、アブシントの三州にゃん、いずれもフェルティリータ連合の西隣の領地にゃん』
確かいずれも人の住める西の端の州だ。
『情報の信頼度はどうにゃん?』
『犯罪ギルド経由の情報にゃん、さっきヌーラからも観測したからほぼ間違いないにゃん』
『魔獣が越境した理由はわかるにゃん?」
『にゃあ、お館様とフェルティリータ連合の開戦の前に領民の反乱が発生したらしいにゃん、魔獣はその騒ぎの中に突っ込んで来たみたいにゃん』
『ユウカの念話にあった魔獣が越境したって話はこれのことにゃん?』
『にゃあ、たぶんそうにゃん、犯罪ギルド経由の情報はタイムラグがあったにゃん、ユウカの話が第一報だったにゃん』
『被害はどうにゃん?』
『にゃあ、犯罪ギルドの構成員は速攻で逃げ出しているので詳細は不明にゃん』
『反撃の動きはあるにゃん?』
『お館様のところに飛んで来ているのと同じ鉄球攻撃で何匹か仕留めたみたいにゃん』
『にゃお、本当にゃん?』
『今日、ヌーラからの観測で鉄球の落下と新しい魔獣が湧いた反応を確認してるから間違いないにゃん』
『しかも今日にゃん!?』
『そうにゃん、お館様との開戦の後にゃん、ヌーラから鉄球の落下を観測したにゃん、その後に犯罪ギルドからの情報にゃん、最後が魔獣の存在を確かめたにゃん』
『鉄球はフェルティリータ連合の秘密兵器だったにゃんね』
『そうにゃん、普通なら鉄球で勝負が決まるにゃん、だから開戦になるまで鉄球は使われなかったにゃん』
『いまはどうにゃん?』
『断続的に鉄球を降らせてるみたいにゃん、おかげで魔獣が増えてマナの濃度が上がってるにゃん』
『にゃお、このままだと近い将来、魔獣の森の飛び地が完成するにゃん』
『飛び地で済めば御の字にゃん』
『にゃあ、小規模の戦乱にも魔獣が引き寄せられるにゃんね』
『魔獣が何処でそれを察知してるのかが謎にゃん、ウチらも解析出来てないにゃん』
『魔獣を引き寄せる魔法があったりすると厄介なことになりそうにゃんね』
『お館様は怖いことを言うにゃん』
『ない可能性じゃないにゃんよ』
『にゃあ、油断はしないにゃん、魔獣が何処から現れようとウチらは対処するにゃん』
『入り込んだ魔獣の数によっては貴族派の三つの州は、このまま復興されない可能性もあるにゃんね』
『高確率でそうなりそうにゃん』
『かなりマズい状況になってるみたいにゃんね』
『このままだとケラスのアウルム以来、最大の惨事になりそうにゃん』
『にゃお、王宮もこんな時は、停戦を勧告して周囲の領地に救援を要請するぐらいはして欲しいにゃん』
『にゃあ、お館様の意見に全面的に賛成にゃん、貴族派を割るチャンスなのに、どうにも王宮は腰が重くてダメにゃんね』
情報も集まってるはずなのに対応が後手後手になっている。
『その王宮の動きはどうなってるにゃん?』
『法衣貴族が城内に避難を開始したにゃん』
『にゃ、王宮内に避難するにゃん?』
『にゃあ、城の中にある明かりが消えた地下都市みたいのを使うらしいにゃん』
『あんな暗いところ使えるにゃん?』
『宮廷魔導師が集められてるそうにゃん、きっとそいつらでどうにかするにゃん』
『にゃあ、宮廷魔導師ならランプ代わりにするには十分にゃんね』
『法衣貴族たちは我先に王宮に逃げ込んで、今回の件で対応を練るどころかお館様の動きを警戒しているみたいにゃん』
『何でそうなるにゃん』
『お館様が貴族の中で最大の戦力を持ってるからにゃん』
『トラック一〇〇台にゃんよ』
『国王派が煽ったのを真に受けてるみたいにゃん、それにユウカがお館様の情報を売って稼いでるにゃん』
『抜け目の無い女にゃん』
『戦後を見据えていかにお館様の手綱を握るか知恵を絞ってるみたいにゃん』
『困ったヤツらにゃんね、王国軍には何か命令は出てないにゃん?』
『正規軍は城壁内の警備で、新軍は王都外縁部の警備を割り当てられたにゃん』
『妥当なところにゃんね、魔獣が入り込んだ貴族派の三州への出撃命令なんか出ていたら面倒なことになっていたにゃん』
『王宮も貴族派も、王国軍はいまだ装備も練度も盗賊の類と思われているから、出撃なんかしたら逆に宣戦布告かと思われるにゃん』
『ついこのあいだまでならそうにゃんね』
『城壁内に展開している正規軍は、法衣貴族の引っ越しみたいな避難を手伝って儲けてるみたいにゃん』
『この非常時でも抜目がないのはドゥーガルド副司令にゃんね』
『たぶんそうにゃん』
ドゥーガルド副司令は新たな現金収入を見付けたらしい。
『新軍に関しては王宮よりも、お館様の命令で動く集団に作り変えてあるにゃん』
『王宮がその体たらくでは、それも仕方無しにゃん、魔獣退治の命令が出されたら厄介どころのさわぎじゃないにゃん』
『新軍に限っていえば魔獣とそこそこ戦えるぐらいの仕上がりにはなってるにゃん』
『にゃ、いつの間にそこまでになったにゃん?』
『ウチらで急ピッチで仕上げたにゃん』
『だから改造にゃんね?』
『にゃあ、そうにゃん、魔獣に対抗する武器も使えるにゃん、でもいまだと半分は死ぬにゃん』
『もうちょっと練度を上げるにゃん』
『エーテル器官を弄って魔法を使えるようにするのが早道にゃん』
『許可するにゃん』
『いまでも魔獣を威嚇しつつ避難民を保護するぐらいには使えるにゃん、以前の武装した盗賊状態とは大違いにゃん』
『使えないヤツらが成長したものにゃん』
『全てはお館様の為ににゃん』
オレがダシに使われてないか?
『王国騎士団と近衛軍の動きはどうにゃん?』
『どちらも城壁の外には出さないみたいにゃん』
『にゃ、アキントゥス州の森林地帯に展開する話はどうなったにゃん?』
『いま動くとフェルティリータ連合を刺激したくないとかで、籠城に作戦変更したみたいにゃん』
『刺激しているのはあっちにゃんよ』
大規模な内戦は何としても避けたいところだが、戦闘しないまでも境界線を挟んで睨み合いで侵攻を牽制して欲しかったのだが。
法衣貴族の希望通りになったわけだ。おかげでオレの時間稼ぎの意味が半減にゃん。
『他の貴族派の動きはどうにゃん?』
『いまのところ自領の中で動員を掛けてるだけみたいにゃん、どちらかと言うと反乱が飛び火するのを恐れてるみたいにゃん』
『間近で魔獣が出現したと聞けば、内戦どころじゃないにゃんね』
『にゃあ、それが人間としての普通の反応にゃん』
『お館様、お願いがあるにゃん』
続けて王都拠点にいる元宰相ニエマイア・マクアルパインの猫耳のエマから念話が入った。
『にゃあ、どうしたにゃん?』
『お館様の力で魔獣が入り込んだクァルク、オーリィ、アブシントの三州の人たちを助けて欲しいにゃん』
『にゃあ、オレも出来るならそうしたいにゃん、でも戦争中では猫耳も動かせないにゃんよ』
『そこはウチが根回しして何とかするにゃん』
『わかったにゃん、エマができるなら任せるにゃん、でも無理はダメにゃんよ』
『にゃあ、わかってるにゃん、お館様には感謝にゃん』
『先にヌーラに猫耳を集めて準備するといいにゃん、でも他所の連中には知られないように行動するにゃんよ』
『心得てるにゃん、トンネル経由での移動だからバレないにゃん』
『にゃあ、頼むにゃん』
こうしてエマを中心にクァルク、オーリィ、アブシントの三州の救援活動の準備に入った。
○リーリウム州 廃道脇 猫ピラミッド 頂上
オレはブタの丸焼きで作ったチャーシューメンの夕食の後、猫ピラミッドの頂上で夜空を眺めている。
「星が綺麗にゃん」
こっちに来てからじっくりと夜空を眺めるのは初めてかもしれない。森の中では木が邪魔して星が見えなかったし、ホテルの上は夜景を見ていた。
前世で星を見る趣味も無かったので中学の時の「星を見る会」以来か。何でそんな会に参加したのか、いまはもう思い出せない。
あの時のメンバーではもしかしてオレがいちばんの早死にか? いや十九で死んだのがいたっけ。
あいつも転生してたりして。
でもこの世界にはいないか。いたら魔王か何かその辺りになってそうだし。マジでそう思うにゃん。
風が吹き抜ける無人の荒野は、気温はだいたい摂氏一桁の前半で本当なら寒くてたまらないはずだが、猫ピラミッドの防御結界が守ってくれていた。防御結界はすべてのものからオレたちを守ってくれる便利魔法だ。
「「「おやかたさま!」」」
「「マコトさま」」
チビたち五人がやってきた。
「にゃあ、眠くないにゃん?」
「ねむくない」
シアが代表して答えた。
ウシの丸焼きを食べてウトウトしてたはずだが、お風呂に入って目が冴えてしまったらしい。昼間、トラックで寝ていたのもあるか。
「にゃあ、明日も早いから寝たほうがいいにゃんよ」
「おやかたさまとねる」
ニアがオレにくっついた。
「おやかたさま、かわいい」
ノアに頭を撫でられた。四歳児から見てオレは可愛い部類に入ってしまうのだろうか? 複雑な気分にゃん。
「にゃあ、わかったにゃん、皆んなと寝るにゃん」
『『『ニャア』』』
何故か、猫耳ゴーレムに抱え上げられるオレたち。
『『『一緒ニ寝ルニャン』』』
そのまま全員連れて行かれた。




