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準備にゃん

『にゃあ、大丈夫にゃんよ』

 オレはユウカに返事を返した。

『マコトもいきなり戦争とは派手なことを始めたものだな』

『こればっかりは仕方ないにゃんね、ユウカはカズキから聞いたにゃん?』

『もちろんカズキからも連絡はあったし、情報は各方面から入ってる』

『派手にやった甲斐があるにゃん』

『考えたなマコト、私は悪くない手だと思うぞ』

『にゃあ、ありがとうにゃん』

『それからマコトが心配している魔獣の大発生だが現実味を帯びつつある』

『にゃ、どういうことにゃん?』

『貴族派の領地の幾つかで魔獣の越境が確認された。いずれも騎士団に大規模な動員を掛けた領地だ』

『騎士団を動かしたぐらいで魔獣が反応して越境したにゃん?』

『いや、どうやらくだんの領内で反乱が起こったらしい、そのさなかに魔獣が現れたそうだ』

『戦闘があったにゃんね』

『カズキは知らなかったが、大規模な軍事衝突に魔獣が付き物なのはこちらの常識だ、普通は必死に回避策を練るのだが、フェルティリータ連合のヤツらは自殺願望でもあるらしいな』

『にゃあ、そうにゃんね』

『マコトも気を付けろよ、フェルティリータ連合との戦争だって魔獣が出てくる可能性があるんだぞ』

『にゃあ、オレのところは魔法でカタを付ける予定だから命をやり取りする戦いにはならないにゃんよ、それに出て来たとしても僻地だし魔獣は対処可能にゃん』

『マコトが魔獣を倒せるって話は本当なんだな?』

『魔獣の森から越境してきた魔獣ならそんなに強くないにゃん』

『マコトの基準で語られてもな』

『問題なのはフェルティリータ連合と貴族派にゃんね、ヤツらを操ってる黒幕の目的が王国の滅亡としか思えないにゃん』

『封印図書館第二階層の国を滅ぼす禁呪か?』

『にゃあ、それにゃん』

『しかし今回は、そこまで大きな呪術は使われてないのではないか?』

『すべて合わせれば大きい呪術にゃん、それは冗談としても、いまが下地作りでこれから使われる可能性があるにゃんよ』

『下地作りか』

『人の命なんてこれっぽっちも敬意を払わないイカれた魔導師のくせに、仕込みは丁寧だから困るにゃん』

『マコト、やはり今回の一連の事件に転生者が絡んでると思うか?』

『にゃあ、オレたちの知らない転生者がいると考えた方がいいにゃんよ』

『そいつはこの世界で私たちを殺せる力を持ってると?』

『にゃあ、出遭いたくない相手にゃん』

『私もそうだ。しかし往々にして出遭ってしまうものだ。マコト、心の準備をしておけ、躊躇は命取りになる』

『にゃあ、わかってるにゃん、オレだってやる時はやるにゃん』


 例え誰であろうとオレの大切な仲間を傷付けようとするヤツに容赦はしない。見つけ次第ブッ飛ばす。



 ○旧男爵領 エイリー拠点 作戦司令室


 午後からはエイリー拠点の作戦司令室でノルドとヌーラの探検の進捗具合を確認する。

『こちらノルド拠点にゃん』

『どうにゃん、カイザル湖は見付かったにゃん?』

『にゃあ、それらしい場所は見付かったにゃん、でも管理局が無いにゃん』

『無いにゃん?』

『管理局があったらしき場所がクレーターになってるにゃん』

『にゃ、クレーターにゃん?』

 ノルドを探検してる猫耳たちから映像を共有する。

 透明な水の底にかつての湖の形が残されていた。そしてその一角に地面が丸くえぐられているのが見える。

『ヌーラの研究所跡と似た感じにゃん、違いはこちらは全部水没してることぐらいにゃん』

『水を造る魔導具は見付かってないにゃんね?』

『にゃあ、まだ発見できてないにゃん、その代わり毒の除去はほぼ完了にゃん』

『お疲れにゃん』

『このままウチらはアリエース州とタウルス州とゲミニ州の境界も確認するにゃん』

『にゃあ、魔獣避けの結界とマナ変換炉の設置を頼むにゃん』

『そうにゃんね、魔獣の越境はノーサンキューにゃん』

 ノルドの南側がアリエース州、東側はタウルス州、北側はゲミニ州だ。いずれも廃領地だった場所なのでほぼ一〇〇%が魔獣の森だ。ただでさえ広大なノルドだからかなりの距離になる。ヌーラほどではないけど。

『水棲人が言ってたドラゴンは見付かったにゃん?』

『にゃあ、まだ見つからないにゃん、もしかしたら毒から上手く逃げたのかもしれないにゃん』

『それなら何処かで会えるかもしれないにゃんね』

『もしかしたら、お館様がプリンキピウムで手に入れたドラゴンゴーレムが実はそれと違うにゃん』

『にゃあ、言われてみるとその可能性は十分にあるにゃん』

『長い間、稼働してたから変質したのかもしれないにゃんね、そう考えると確率はますます高まるにゃん』

『ドラゴンなんてそうそういるわけがないからそうにゃんね』

 オレがプリンキピウムで見付けたドラゴンは、空を飛ぶのが下手っぴだったから元はカイザル湖の水棲ドラゴンのゴーレムだったとすれば説明が付く。

『ウチらはこのまま調査と洗浄と浄化を続けるにゃん』

『頼んだにゃん、ドラゴンゴーレムで飛ぶなら高度に気をつけるにゃんよ』

『『『にゃあ、了解にゃん』』』

 戦艦に空母にドラゴンゴーレムを大量投入してるので危険は無いだろう。危険なのは内側に魔獣の森と正体の知れてない大いなる災いとやらを内在しているヌーラだ。


 続けてそのヌーラを探検してる猫耳たちに念話をする。


『にゃあ、オレにゃん』

『『『お館様にゃん!』』』

『そっちはどうにゃん?』

『にゃあ、城壁の改修とマナ変換炉の設置は終わったにゃん』

『もう終わったにゃん?』

『幾つも班を分けてそれぞれ場所を変えて出発したにゃん、魔法蟻のトンネルが先行してたから出来る芸当にゃんね』

『魔獣との接触はあったにゃん?』

『『『にゃあ』』』

『全部で三回あったにゃん、蛇型が二体にアメーバ型が一体にゃん』

『アメーバ型は珍しいにゃんね、確かめちゃくちゃ大きくなるけど大丈夫だったにゃん?』

『エーテル機関が外から丸見えだから対処は簡単にゃん』

『にゃあ、無事で何よりにゃん』

『ウチらもお館様と一緒で逃げ足は速いから心配ご無用にゃん』

『オレも信用はしてるにゃん』

『ウチらよりもむしろお館様がいちばん危険なことをするにゃん』

『にゃお、オレはいいにゃん』

『子供みたいな言い訳にゃん』

『オレは六歳児にゃん』

『にゃお、否定出来ないのが辛いところにゃん』

『オレのことよりヌーラにゃん』

『お館様、ウチらも戦艦ゴーレムと空母ゴーレムで探検したいにゃん』

『『『にゃあ』』』

『戦艦と空母で構成された艦隊なら、魔獣が群れをなしてもある程度は抵抗できるにゃんね』

『ついでにオートマタの実戦訓練もやるにゃん、襲ってくる魔獣はブッコロにゃん』

『にゃあ、それはいいにゃんね』

『問題は大いなる災いにゃん、お館様も予想が付かないにゃん?』

『予想するとすれば、ヌーラを城壁で囲ったことから大いなる災いは拡散するものだというぐらいにゃんね』

『にゃあ、なるほどにゃん、拡散を阻止するための城壁にゃんね』

『いくら調べても記録が残ってないから、オレたちが実際に目の当たりにするまで正体は不明のままにゃん』

『にゃあ、ウチらが大いなる災いの再発見者になるにゃんね』

『出来れば分解して調べるにゃん』

『お館様にかかったら大いなる災いもかた無しにゃん』

『にゃあ、オレたち全員にゃん』

『『『にゃあ!』』』


 猫耳たちの手によってヌーラにも戦艦型ゴーレムと空母型ゴーレムが四隻ずつ再生された。ノルドと違って森の上を飛ぶのでマナを大量に消費する。マナ変換炉の効率を上げればマナの消費は抑えられるが、魔獣の森に遠慮はいらない。


『にゃあ、船の周りはマナゼロ地帯に近くなるにゃん、逃げる魔獣はそのままでいいにゃん』

『了解にゃん、襲ってくる魔獣には容赦しないにゃん』

 研究拠点での実験だと七対三の割合で襲って来る。マナに敏感な魔獣ほど強いヤツなので弱体化する率も大きい。

『にゃあ、後は頼んだにゃん』

『『『お任せにゃん!』』』

 冒険にはオレも参加したかったのだが、戦争の当事者なので仕方ない。


 夕方には一旦、王都の屋敷に戻ることにした。

「あたしたちも一緒に行くよ!」

「ミンクも行くの」

 ふたりの妖精がオレの頭に着地した。

 エイリー拠点から三台の猫耳ジープを連ねて王都に向かう。途中の道路はオレたちが舗装をやり直し幅員も広げたので速度はかなり上げられる。



 ○王都タリス 外縁部 環状線


「にゃあ、ミンクはいつ頃から王宮にいたにゃん?」

「前からなの」

 妖精の言う前からとはどのぐらい前なのだろうか?

「ミンクに正確な時間を聞いても無駄だよ」

 リーリからオレの心を読み取ったような発言が。

「にゃあ、わかったにゃん、時期のことは置いておくにゃん、それでミンクが前から王宮にいたのなら封印図書館のことは知らないにゃん?」

「封印図書館?」

 オレの頭の上で首を傾げる。視点を変えなくてもわかる。

「にゃあ、空間魔法でぎゅっと圧縮されてる場所にゃん」

「それなら、お城の中にいっぱいあるの」

「にゃ、いっぱいあるにゃん?」

「うん、ほとんどが人間の入れない場所なの」

 それはそれで興味があるが、いま質問をしてるのは封印図書館だ。

「にゃあ、たまに人が入る場所にゃん、そのまま帰って来なかったりするにゃん」

「それならこの前まであったの」

「この前までって、もしかしていまは無いにゃん」

「うん、無いよ」

「にゃ、何でないにゃん?」

「仮面が持って行ったの」

「仮面にゃん? それって最近にゃん」

「うん、最近のことなの」

「マコトの考える最近で合ってるよ」

 リーリが補足してくれる。

「にゃあ、エマは何か知ってるにゃん」

 助手席にいる元宰相のニエマイア・マクアルパインだったエマに尋ねた。

「ウチは、王宮内に封印図書館が実在していたことにまず驚いたにゃん、新米の衛兵をおどかす怪談だと思ってたにゃん」

「にゃあ、それがどうも実在するにゃん」

「いまならわかるにゃん」

「仮面の魔導師についてはどうにゃん?」

「王宮内の隔離区画に入れる人間の中で仮面を付けてるのは、ウチが知る限り主席宮廷魔導師のエドガー・クルシュマンだけにゃん」

「殺された主席宮廷魔導師にゃんね、ミンクは知ってるにゃん?」

「ミンクは知らないの」

「にゃあ、仮面を着けてたのはどんなヤツだったにゃん?」

「嫌な感じだったからミンクは近付かなかったの、だから直接は見て無いの」

「性別や年令はわかるにゃん?」

「たぶん男なの、他はわからないの」

「にゃあ、そいつはいまも王宮内にいるにゃん?」

「ううん、いまはいないの」

「にゃあ、すると封印図書館の在り処も不明にゃんね?」

「そうなの、ミンクも知らないの」

「仮面の男が封印図書館をどうやって持ち出したかはわかるにゃん?」

「それもミンクはわからないの」

「にゃあ、了解にゃん、王宮に無いことがわかっただけでも大きな収穫にゃん、ありがとうにゃん」

「どういたしましてなの」

 ミンクは、はにかんだ笑みを見せた。頭に乗ったミンクの表情はオレの防御結界の中なので見えるのだ。魔法は実に便利だ。

 封印図書館だが、例えば個人の格納空間に仕舞われてしまうと一人一人を調べる必要があるため探査はかなり困難になる。出来なくは無いが一気に王都内を探査魔法で調べるとかは無理だ。

 それ以前に封印図書館の実物を知らないから、探査自体があまり現実的じゃないし、そもそも仮面の男が封印図書館を格納空間に入れたのかも不明だ。

 格納空間に入れたのなら、仮面の男は少なくとも転生者並みの魔力を備えた人間ということになる。

 最悪、オレたちの魔法が一切効かない可能性がある、その場合の対処法も考えないと駄目か。いちばんはその場からの離脱だが無理だな。



 ○王都タリス 城壁内 貴族街 上級地区 人喰い大公の館 車寄せ


「マコト、戦争のことを聞いたぞ!って妖精がふたり!?」

 屋敷に戻るとすぐにアイリーン第二王妃が車寄せまで出迎えてくれたが、頭の上にいるリーリとミンクに驚きの声を上げた。リアクションの大きな王妃様だ。一〇代半ばの見た目もあって元気な女子高生って感じだ。

「にゃあ、こっちの子はミンクにゃん」

 ふたりともオレの頭の上で仲良くドーナツを食べている。落ちてくる砂糖も二倍だ。

「妖精をふたり連れてる人間は初めて見たぞ」

「にゃあ、ミンクはリーリの友だちにゃん」

「ミンクなの」

「私はアイリーンだ」

 ミンクは王宮に住んでいたはずだがアイリーンとは面識が無かったらしい。

 あのバカでかい城なら十分考えられるか。

「アイリーン様、玄関先で立ち話もなんですのでどうぞお部屋に」

 第二王妃の側仕えのアネット・フリエルが誘導する。そつがないにゃん。

「おおそうだった、マコトも疲れているところを済まない」

「にゃあ、オレは大丈夫にゃん」

「あたしも大丈夫だよ」

「ミンクもなの」

 ふたりはオレの頭に座ってるからな。



 ○王都タリス 城壁内 貴族街 上級地区 人喰い大公の館 ゲストルーム


 ゲストルームにはアイリーンとアーヴィン様それにそれぞれのお付きの人たちがいる。

「間もなく開戦であるな」

「にゃあ、そうにゃん」

「すまない、またマコトにだけ貧乏くじを引かせてしまった」

 アイリーンに再度謝罪される。

「にゃあ、これはオレじゃないと出来ないことだから仕方ないことにゃん」

「アーヴィン殿、本当にマコトではないと出来ないことなのですか?」

「そうでありますな」

 アーヴィン様は腕を組んで唸る。

「戦闘ゴーレムとの対処など宮廷魔導師でも可能ではありますが、今回は完全に後手に回ってしまった為、魔導師を動かす時間がございません。さすればマコトの策が最善なのは間違いのないところでありましょう」

 アーヴィン様の守護騎士キャサリンとエラもうなずいている。

「やはりそうなってしまうか」

「にゃあ、オレもなるべく人死が出ないようにするにゃん」

 誰も傷付けないとか綺麗事をいうつもりはない。罪のない人を傷付けないようにはしたいがオレに何処まで出来るかは不明だ。

「でも、基本的にはただの時間稼ぎにゃん」

「国王派領地でも準備は進めておる、しかし王宮は期待できぬかもしれぬ」

「そうにゃん?」

「法衣貴族は王都に戦力を留めようと画策しているようである」

「陛下はどうにゃん」

「わからぬ」

「難しいところにゃんね、王都を優先的に守る法衣貴族の方針も間違ってはいないにゃん」

「そうであるな、ただ臣民に甚大な犠牲が出るであろう」

「そうにゃんね」

「いまから心配しても仕方ないよ、だってなるようにしかならないんだし」

 リーリがオレの頭の上でドーナツを齧りながら深いことを言う。

「そうだ、妖精殿の仰るとおりだ」

「でしょう!」

 リーリはオレの頭の上で立ち上がって胸を張った。

「そうなの!」

 ミンクもそれに続いた。

「にゃあ、アイリーン様も気を付けて欲しいにゃん、何処に黒幕の息が掛かった人間がいるかわからないにゃん」

「黒幕は既に死んだのではないか?」

「宰相だったニエマイア・マクアルパインは捨て駒だったにゃん、黒幕は別にいると思われるにゃん」

「あの宰相殿が捨て駒だというのか?」

「そうにゃん、宰相ですら捨て駒にゃん」

「宰相殿が」

 アイリーンが呟く。

「少なくとも黒幕が、まともな人間じゃないのは確かにゃん」

「これまでの状況を考えればマコトの言う通りであろう」

 アーヴィン様が頷く。

「心を持たない人間は何処までも冷酷にゃん、現に人間を操ってはゴミのように使い捨てているにゃん」

「私もフレデリカもマコトの負担にならないように気をつけよう」

「にゃあ、何があっても屋敷の敷地の外には出ないことにゃん」

「わかった、心しよう」

「アーヴィン様も頼んだにゃん、敵はどんな手を使って来るかわからないにゃん」

「吾輩も心得たのである」

「にゃあ、王族が黒幕に狙われたのは何か意味があるはずにゃん、だからまた狙ってくる可能性があるにゃん」

 国王に対する揺さぶりだけではないはずだ。



 ○王都タリス 城壁内 貴族街 上級地区 人喰い大公の館 リビング


 リビングのソファーにはチビたち五人が並んで座っていた。

「「「おやかたさま!」」」

「「マコトさま!」」

 オレが部屋に入ると五人が駆け寄って来た。

「にゃあ、お待たせにゃん」

 風の魔法でやんわり受け止めた。



 ○王都タリス 城壁内 貴族街 上級地区 人喰い大公の館 中庭


 夕食は中庭で景気づけにウシの丸焼きを始めた。猫耳たちと猫耳ゴーレムが数人がかりでセッティングする。

「「丸焼き」なの!」

 テンションが高いのは妖精たちだ。

「「「おおきい」」」

 四歳児たちは、異世界和牛の大きさにビックリしている。

「「とくいしゅですか?」」

 ビッキーとチャスが指差した。

「にゃ?」

 良く見たら特異種だった。

「にゃあ、当たりにゃん、良くわかったにゃんね」

 プリンキピウム森で群れを率いていたクロウシの特異種もいまは串刺されてロースト中だ。いい匂いがしている。

 驕れる者は久しからずにゃんね。

「これは凄いな」

 アイリーン第二王妃も見物に来た。どうやらこのワイルドな王妃様も外で食べるつもりらしい。

「わあ、おおきい!」」

 フレデリカ王女もチビたちと一緒に大はしゃぎだ。

「マコトのところでは料理にも魔法を使うのだな」

 アイリーンは猫耳たちがクロウシの特異種を丸焼きにする様子を眺めながら感心する。

「魔導具を使って普通に焼くこともあるにゃんよ、今回は直ぐに食べたいから魔法を使って仕上げるにゃん」

「丸焼きを作る魔導具もあるのか」

「にゃあ、そっちもまた美味しいにゃんよ」

「それにしてもクロウシの特異種であるか、吾輩も狩ってみたいものだ」

 アーヴィン様も出て来た。

 キャサリンとエラは距離を置いて周囲を警戒している。

 人間の目と勘は馬鹿にならない。


 宴会とまでは行かなかったが、全員でクロウシの特異種を美味しく頂いた。



 ○王都タリス 城壁内 貴族街 上級地区 人喰い大公の館 寝室


 夜はチビたちとお風呂に入ってからベッドをくっつけて一緒に寝る。再会したばかりだがまたしばしのお別れだ。

「「マコトさま」」

 ビッキーとチャスがオレに抱き着いてる。

「にゃあ、なるべく早く帰って来るにゃん、その間、チビたちや姫様のことを頼むにゃん」

「「はい」」


 ふたりはオレに抱き着いたまま眠ってしまった。前世でも結婚して子供が出来たらこんな愛おしい気持ちになったのだろうか?


 いまとなってはそれは永遠の謎だ。


 この世界をオレが救うなんて大仰なことを言うつもりはない。だが、せめてこれまで関わった人たちぐらいは守りたい。

『にゃあ、各拠点は警戒を密にするにゃん、異常を察知したらすぐに知らせるにゃん』

 オレは各拠点に念話を送った。

『『『にゃあ、了解にゃん』』』


 猫耳たちの返事を聞いてから目を閉じた。


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