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オレの秘策にゃん

 今回ネオケラスから移動したのは、フレデリカ第一王女殿下と側仕えのイライザ・ベケットそれにアーヴィン様と守護騎士のキャサリン・マクダニエルとエラ・オーツだ。エラはネオケラスからとんぼ返りだったが護衛だからその点は仕方がないにゃんね。



 ○王都タリス 城壁内 貴族街 上級地区 人喰い大公の館 ゲストルーム


 夕食前にアイリーン第二王妃の部屋を訪ねた。この屋敷はゲスト用の客間というのがあるのな。

「失礼するにゃん」

「おお、マコト戻ったか」

 扉を開けると出迎えてくれたのはアーヴィン様だった。王宮から一足先に戻っていた。

「ご苦労であった」

 ソファーにはアイリーン第二王妃とフレデリカ第一王女が座っていた。

「にゃあ、姫様が無事に到着して何よりにゃん」

「ネコちゃん!」

 フレデリカ王女殿下がソファーから飛び出してオレに抱き着いた。

「にゃあ」

 それから姫様と一緒に戻ってきた側仕えのイライザに剥がされて元の場所に置かれた。

「にゃあ、ハリエット様のところに寄って来たにゃん」

 アーヴィン様とオレも対面のソファーに座った。

「ドゥーガルドからマコトに説教されたと連絡があったのである」

「にゃあ、魔獣の調査に正規軍を出すとか言ってたから止めただけにゃん」

「確かに正規軍でもアレは荷が重かろう」

「にゃあ、まったくにゃん」

 キャリーとベルがいるんだから安全には細心の注意を払って欲しい。

「ハリエット様とドゥーガルドにもマコトの秘策も話したのであるな?」

「にゃあ、少し固まっていたけど理解してくれたにゃん」

「固まったのは私も同じだぞ」

 アイリーン第二王妃が頷く。

「にゃあ、アイリーン様も聞いたにゃんね」

「ああ、さっきアーヴィン殿に聞いた、私もマコトの案が最上だと思う」

 アイリーン第二王妃は愉快そうな顔をする。

「にゃあ、いまオレが出来る時間稼ぎにゃん、根本的な解決にはならないにゃん」

「いや、時間は重要だぞ、マコトのおかげで命拾いをする者も多かろう」

「そうだといいにゃんね」


 最高機密が絡んだ話はここまでにした。


「マコト、陛下より正式にアイリーン様とフレデリカ様の護衛の任をいただいた故、吾輩もこの館に滞在しても良いだろうか?」

「もちろんにゃん」

「陛下も心配性でいらしゃる、私にはアナイスとドミニクがいるというのに、それにアネットも戻ってきたくれた」

 アイリーンに名前を出されたアネット・フリエルは壁際から一礼する。

 フレデリカの一件で王宮で取り調べを受けていたアイリーンの本来の側仕えだ。今日遅れて合流した。

 あらかじめ仕入れていた情報によれば上級貴族出身の二六歳、夫は王国軍の正規軍将校。見た目もザ・メイドって感じだ。

「アイリーン様、ご不便をおかけするがしばらくの間はご辛抱いただきたい」

「いや、こちらこそこの大事な時期にアーヴィン殿を領地から離れた場所に留め置くのは心苦しいのだが」

「なに、領地は倅が仕切っております故、ご心配なさらず」

 まだアーヴィン様のそっくりさんがいるらしい。

「わかった、アーヴィン殿に任せるとしよう、それにここは王宮より快適だ、好きに馬に乗れるのもいい」

「確かにマコトの屋敷ならば、乗馬も可能でありますな」

「まさかフレデリカがあんなに上手に馬に乗れるとは思いもしなかったが、しかも銃まで撃てるとは」

「はっ!? 銃でありますか?」

 アーヴィン様が驚きの声を上げた。どうやら知らなかったらしい。チビたちときゃっきゃやっているうちに覚えたのだろう。

「にゃあ、攻撃は最大の防御にゃん」

「確かにそれは言える」

 アイリーンが深く頷く。

「わたしがおかあさまをまもるね!」

 フレデリカが宣言した。

「うん、期待してるぞ、フレデリカ」

「はい、おかあさま!」


 この屋敷にいる限りオレたちが守るけどな。



 ○王都タリス 城壁内 貴族街 上級地区 人喰い大公の館 食堂


 夕食は久し振りにチビたちと一緒に食べた。

「「「おいしい!」」

 お子様ランチに五人は声をそろえた。

「美味しいよね」

 リーリもご満悦だ。

「にゃあ、他の子は皆んな元気にゃん?」

「「「げんき!」」」

 シアとニアとノアが声を上げた。

「ちっちゃいこは、おねえさんたちがめんどうをみてくれてたからだいじょうぶです」

「みんなとウマではしりました」

 ビッキーとチャスもケラスでの状況を説明してくれた。

「五人はトラックで来たにゃん?」

「「「トラック!」」」

 声を揃えるチビたち。

「ニャアって言ってたよ」

「はやかった」

「アーヴィンさまもはやい!っていってたよ」

 シアとニアとノアが教えてくれた。

「途中で泊まったにゃん?」

「とまりませんでした」

「あぶないから」

 ビッキーとチャスが答えた。

「そうにゃんね、停まると危ないにゃんね」

 黒幕が特定されたとはいえ、現状では警戒を緩めるわけにはいかない。特に今後はオレたちが攻撃の標的になるかもしれない。


 五人は王都に来る途中に見たことを身振り手振りを教えてくれたが夕食を食べ終わ頃には電池が切れて船を漕ぎ始めた。

「全員、寝ちゃったね」

 リーリが一人ひとり見て回った。

「にゃあ、疲れてたにゃんね」

「マコトと会ってテンションが上がってたものね」

 リーリの言った通りだ。

『『『ニャア』』』

 猫耳ゴーレムたちに一人ずつベッドに運ばせる。

「最悪の場合はチビたちを研究拠点に送るにゃん」

『『『了解ニャン』』』

「にゃあ、頼むにゃん」

 チビたちはオレたちが全力で守る。


『各拠点も魔獣の大発生に備えるにゃん!』

『『『にゃあ! 了解にゃん!』』』

 すべての猫耳たちが声を上げた。



 ○帝国暦 二七三〇年一〇月十一日


 ○王都タリス 城壁内 タリス城 儀式の間


 王宮の儀式の間に王都内すべての上級貴族、もしくはその代理人が集められた。

「これより宣戦布告の儀を行う」

 国王陛下が開会を宣言した。

「当事者、前に」

 右側からオレ。

 左側からフェルティリータ連合五領地の代理人が前に出た。

「開戦理由開示!」

 後は文官が全部やってくれるのでオレは立ってるだけだ。

「フェルティリータ州、エクウス州、ボース州、スース州、カペル州以上五領地は共謀し、ケラス州、アリエース州、タウルス州、ゲミニ州、カンケル州、レオ州、ウィルゴ州、アポリト州、ノルド州、ヌーラ州、エクシトマ州の十一領地及び、オルビー領、エイリー領、バデリー領の三領を領有する領主マコト・アマノ侯爵の暗殺を企てた。

 よってここに賠償を求め、拒否する場合はその領地と財産を以て贖いとする。なお賠償額は一領地辺り大金貨二〇〇〇枚及びすべてのゴーレムとクーストース遺跡群に属する四つの遺跡の所有権の移譲とする」

 文官がオレの要求を読み上げた。

「フェルティリータ州、エクウス州、ボース州、スース州、カペル州以上の五領地はマコト・アマノ侯爵の要求をすべて拒否するものとする」

 続いてフェルティリータ連合からの回答を別の文官が読み上げた。

「以上、交渉は決裂とし、開戦は三日後の日の出とする」

 国王陛下の裁定が下された。

「勝利条件はフェルティリータ州、エクウス州、ボース州、スース州、カペル州以上五領地の降伏もしくは州都の占領とする。

 マコト・アマノ侯爵の州都はエイリー領を以てこれに代えるものとする」


 その後は侵攻ルートが決定された。


 今回はヌーラを除き隣接していない領地同士なので、誰も通らない廃道に等しい道を中心に設定される。

 王都の東側、レーム山脈の麓を北上してリーリウム州を抜けてニービス州北部の荒野に進み、そこから西に進路を変えアキントゥス州を通ってボース州に至る。

 普通に移動すると二ヶ月は掛かりそうな約六〇〇〇キロにも及ぶルートだ。

 ヌーラからの電撃作戦という手もあるが後で文句を言われそうだし、正式にはまだ州都がない状態なので勝利条件の設定ができないから使えない。

 なお、この戦争が終了するまでは革命を始めとする他の戦闘行為は自動凍結されるので、エドモンドが攻めて来ても王都の城壁内には入れない。また州の境界の結界も維持される。


 最後に両者が署名して開戦の儀が終わった。


「すまぬ、マコト」

 開戦の儀の後、謁見の間の隣にある会議の間で国王に謝られた。ここには国王の他の国王派の有力領主のみが集められている。

「にゃあ、オレが言い出したことにゃん」

 どこまでやれるかわからないが、なるべく人死がないように収めれば、魔獣の大発生も阻止できる可能性だってある。

 それに引っ掛かることがあった。

「しかし六歳の子にすべてを任せると言うのも体裁が悪いですな、陛下」

「全くだ」

 アナステシアス・アクロイド公爵と国王が頷き合う。

「にゃあ、昨日話したとおりオレが思い付いた革命までの時間を稼ぐ方法にゃん、これですべてが解決するわけじゃないにゃん」

「そうではあるが、卿の働きは感謝することに変わりはない」

「ですな」

 国王陛下にはオレが作り出した時間を有効活用して貰いたい。


 この間に近衛軍と第二騎士団は、アキントゥス州とボース州の境界に近い森林地帯に展開するらしい。使えない王国軍は王都でお留守番だ。


「気になるのが、セザール・マクアルパインにゃん、聞いた話ではエドモンド殿下と同じ遺跡バカにゃん」

「マコト殿、王の御前で」

 アキントゥス州の領主のエドワーズ・アンヴィル侯爵が小声で注意する。

「構わぬ、嘘偽りのない事実だ」

「ニエマイア・マクアルパインも宰相として職務を果たしつつ毒殺とか、ちょっとチグハグな印象にゃん」

「マコト様、権力を目の前にすると狂う人間もいると言うことですよ」

 ダンスタン・ヘルメル伯爵が吸血鬼っぽい表情で言う。

「にゃあ、それはわかってるにゃん、でも宰相として最高権力を握ってるにゃん、それなのに良好な関係を保っていた王太子殿下を暗殺しようとするとか意味不明にゃん」

「突然、おかしくなる人間はいるものですよ」

 ダンスタンが口元に笑みを浮かべる。思わず牙が有るんじゃないかと凝視してしまったにゃん。

「問題はその原因にゃん」

 オレは壁に映像を投影する。

「これを見て欲しいにゃん」

 カロロス・ダリの姿を見せる。

「この老人は?」

 アナステシアス公爵はじっと映像を睨んだ。

「魂を食う一種の特異種にゃん、人を操って憎悪を煽りそれを食らうにゃん」

「グールではないのか?」

 国王も眉間にシワを寄せた。

「違うにゃん、全く別の特異種にゃん、こいつはオレが始末したけど、もう現れないとは断言できないにゃん」

「マコト様は、それに似た特異種がマクアルパイン親子を操っていると?」

 見た目が中学生のグエンドリン・ナルディエーロ伯爵が訊く。

「にゃあ、そう考えると納得が行くにゃん」

「我もニエマイアの変心には引っ掛かるものがあった。心根の優しいあの男が息子や孫のように慈しんだ王太子やフレデリカに毒を盛るのかと」

 王太子も深く頷く。

「にゃあ、陛下、ニエマイア・マクアルパインをオレに譲って欲しいにゃん」

「譲るとは?」

「訊きたいことがあるにゃん、でもそれにはニエマイア・マクアルパインとしての形は失うにゃん」

「マコト、まだ公表していないがニエマイアは既に廃人だ、呼びかけにも全く反応せぬ、ただ生きてるだけだ」

「「「……!」」」

 他の領主も知らなかった様だ。

「時限制の毒か呪いの可能性があるにゃんね、とにかくやるだけやってみるにゃん、宰相は亡くなって聖魔法で送ったとマクアルパイン家に伝えて欲しいにゃん」

「手配しよう」

 王太子が請け負ってくれた。

「感謝にゃん」

「マコト、我らも同行したかったのだが、戦争規定でそれが出来ぬ、すまない」

 アナステシアス公爵に頭を下げられる。

「にゃあ、皆さんは皆さんの仕事をして欲しいにゃん、貴族派が行儀良くしてる保証はないにゃん」

「奇襲があると?」

「にゃあ、どんな隠し玉があるかわからないにゃん」

「本当の黒幕は、王権の奪取が目的では無く大規模な内戦そのものが目的であると?」

 アーヴィン様が口を開いた。

「にゃあ、それも可能性の一つとして考慮して欲しいにゃん」

「もとより州境での紛争は想定内だ、問題はあるまい、あるとしたら戦闘ゴーレムの存在だ」

 アナステシアス公爵も戦闘ゴーレムを警戒している。

「人馬型ゴーレムは、照準が魔法使いの探査魔法が頼りなのでそれを妨害すれば射程が肉眼で確認出来るところまで短くなるにゃん、それと魔法馬に対する対策はすべて有効にゃん」

「まったく攻略できないわけでは無さそうであるな」

 アーヴィン様も思考を巡らせている。

「むしろ危険なのは練度の高い騎士にゃんね」

「それなら問題あるまい、防戦ならやりようはいくらでもある」

「ネコちゃんが作ってくれた時間で準備は整えられるわ」

 アドリアナがオレを抱っこする。よく考えると陛下の御前なわけだが。

「マコト様には感謝の念しかありません」

「にゃあ、オレも出来れば魔獣が動き出す前に決着を付けるにゃん」

「随分と頼もしいが、無理は禁物であるぞ」

 陛下直々にお言葉をいただく。

「にゃあ、オレも猫耳も逃げ足だけは早いにゃん」

 オレたちで無理なら魔獣の森にでも逃げ込むにゃん。

「マコト、冬の備えは大丈夫か? 我が領アキントゥスやリーリウムも真冬ほどではないが条件が良いとは言えぬぞ」

 エドワーズ侯爵がアドバイスしてくれる。

「オレたちは大型の魔法車を使うから問題ないにゃん」

「両者が指定したルートは朽ち果てた廃道で、いまはただの荒れ地だが魔法車が走れるのか?」

「道を造りながら進むにゃん。オレの魔法車じゃないとちょっと走り辛くなるけどいいにゃん」

「使ってない廃道だから構わん、ダンスタンも問題あるまい?」

 ダンスタン・ヘルメル伯爵のリーリウム州も通らせて貰う。

「はい、大佐の仰る通りです、むしろ使いづらい方が好都合かと」

 リーリウム州の領主ダンスタン・ヘルメル伯爵も同意した。

「にゃあ、だったらオレの好きにやらせて貰うにゃん」


 ここにいる国王派の領主たちと念話の回線を開いた。通信の魔導具が使えなくてもオレから呼び掛けられる様にした。



 ○王都タリス 城壁内 タリス城 重罪人留置エリア


 宰相ニエマイア・マクアルパインは、城の地下にある最も監視の厳しい重罪人の留置エリアに監禁されている。

 途中まで実は近衛の騎士より強いと噂されてる王国第二騎士団の騎士たちに案内され、最監視エリアの細い通路から先はオレひとりで進む。

 近衛の騎士と違って第二騎士団の騎士は、連携を取って戦うから強いんだとか。


 分厚く重い扉を開ける。

「宰相までも使い捨てにされるにゃんね」

 ニエマイア・マクアルパインは目と口を半開きした状態で寝台に仰向けに寝かされていた。

 四肢はほぼ金属と化してる。

「回収にゃん」

『了解ニャン』

 再生した猫耳ゴーレムたちが宰相を箱詰めして自走式の台車に乗せた。

 猫耳ゴーレムたちと箱の載った台車を認識阻害の結界で隠し、オレは聖魔法を発動させる。

 場所柄、迷える魂に事欠かないだけあって光の粒子が束になってあふれ天井を抜けて王宮から天に還った。

「にゃあ、終わったにゃん」

 騎士たちの敬礼を受けてオレは監視エリアを後にした。



 ○王都タリス 城壁内 王城区画


 オレは屋敷に戻ること無く真っ直ぐ旧男爵領のエイリー拠点に向かう。

 王城区画の森を城壁門に向けて走る。全部で三台、前後が一応護衛という扱いだ。

「にゃあ、流石にもう闇討ちはないみたいにゃんね」

 変な動きをする人間も魔法もない。

「開戦を承諾した以上、下手を打たない方が有利と考えていると思うにゃん」

「一気に攻め上がって勝負を決めるつもりならそうにゃんね」

「たぶんお館様のことは、並外れた魔力を持つ魔法使いと認識されているにゃん、でも間違いなく誰か後ろで糸を引いてる人間がいると思われてるにゃんね」

「今回も純粋な時間稼ぎと思われてるにゃん」

「フェルティリータ連合はこれ幸いと合法的に攻め上って来るはずにゃん」

「お館様を攻め滅ぼして革命軍に早変わりするはずにゃん」

「にゃお、お館様に歯向かうヤツは全員ブッコロにゃん!」

「「「にゃあ!」」」



 ○王都タリス 外縁部 環状線


 王都の城壁門をオレたちのジープが通り抜ける。待たなくて済む貴族専用門はマジで便利だ。

「オレを攻め滅ぼすには、アキントゥス州とリーリウム州の荒野の廃道を突っ走って来る必要があるにゃんね」

「ヤツらも道路を作る魔導具を持ってる可能性があるにゃん」

「にゃあ、フェルティリータ連合は魔導具の発掘と生産で豊かになった土地にゃん、どんな隠し玉があるかわからないにゃん」

「これまでのお館様の敵とは一味も二味も違うにゃんね」

「油断はしないけど、どんなのが出てくるかちょっと楽しみにゃん」

「お館様、余裕かまし過ぎにゃん」

「みゃー」



 ○オルビー領


 空が茜に染まる頃ジープの車列は旧男爵領のオルビーに入った。

「にゃあ、旧男爵領のオルビーとエイリーとバデリーの三つはオレたち以外の入領を終戦まで禁止にゃん」

「「「了解にゃん」」」

「お館様、旧男爵領には元々、誰も入れてないにゃんよ」

「にゃあ、でも、数人入り込んでるにゃんね」

「うん、いるね」

 リーリも頷く。

「にゃ!? 本当にいたにゃん!」

 ハンドルを握る猫耳が声を上げた。

「いったい、いつの間に入り込んだにゃん?」

 他の猫耳たちも侵入者に気付いた。

「にゃあ、防御結界のログに依るとついさっきみたいにゃんね」

「にゃ、入り込んだのは暗殺系の禁呪使いみたいにゃん」

「帰り道は襲撃が無いと思ったら、こんなところに隠れていたにゃんね」

「油断も隙もないにゃん」

「にゃあ、ひとまず死なない程度に電撃をお見舞いにゃん!」

「「「にゃあ!」」」


 旧男爵領に稲妻が幾つも走った。


『回収よろしくにゃん』

『『『にゃあ』』』


 オレたちは、そこそこの魔法使いを五人ほど手に入れた。


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