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廃州都アウルムにゃん

 ○帝国暦 二七三〇年〇九月二一日


 ○ケラス州 境界門前 宿泊施設


「にゃあ、今日は明日からの長旅に備えてゆっくりして欲しいにゃん」

 朝食の席で皆んなに声を掛けた。

 夕食と違って朝食は全員で食べてる。

「わたしもゆっくりするの?」

 今朝の姫様はビッキーとチャスそれに四歳児たちを始め十七人の子供たちと一緒に大きなテーブルを囲んでいる。

 あっさりネコちゃん離れをされてちょっと寂しい。

「にゃあ、姫様はお友だちと思い切り遊んでいいにゃん」

「うん、あそぶ!」

「「「姫様とあそぶ!」」」

 四歳児たちも盛り上がる。

「「「わたしたちも!」」」

 残りの子たちも手を上げる。

「みんなであそぶよ!」

「「「おお!」」」

 子供たちをまとめあげる姫様は王家の人間だけあって生まれ持ってのリーダーだ。

 五歳児にして暗殺の対象なだけはある。

「ネコちゃんは、あそばないの?」

「にゃあ、オレは仕事があるので出掛けるにゃん」

「おしごとではしかたないね」

「オレの分もたっぷり遊んで欲しいにゃん」

「うん、ネコちゃんのぶんもあそぶね」

「にゃあ、頼んだにゃん」

 姫様に全面的にお願いした。

「マコト様はお出掛けされるのですか?」

 アガサに尋ねられる。

「にゃあ、ちょっといろいろ見てくるところがあるにゃん」

「マコト、我輩も同行して良いか?」

「姫様の護衛のアーヴィン様がフラフラしちゃダメにゃん」

「確かにそうであった」

「にゃあ、オレのはちょっとしたヤボ用にゃん、アーヴィン様は姫様をよろしく頼むにゃん」

「任せるが良い、しかし吾輩たちだけでは呪いと魔法は手も足も出ぬぞ」

「そこは猫耳たちが結界を張り巡らして監視を続けているにゃん、敵がどんなからめ手を使って来るかわからないから油断は禁物にゃん」

「まったくそうであるな」

「ネコちゃん、私も行っちゃダメ?」

「にゃあ、キャサリンもダメにゃん」

「即答でしたね」

 エラが冷ややかな視線をキャサリンに送る。

「あぅ~」

「キャサリン、マコトを困らせるでない、辺境伯当主につきまとったら普通はただではすまぬぞ」

「良くて牢屋行きです」

 エラが冷ややかな視線のままボソっと呟く。

「そうでした、ネコちゃんは辺境伯様でしたね」

「友だちを牢屋に入れるほどオレはイカれてないから大丈夫にゃん、いずれ教えるからいまは勘弁にゃん」

「何も全てを教える必要はないのだぞ」

「にゃあ、そこはオレもちゃんと加減するにゃん」



 ○ケラス州 魔法蟻トンネル


 拠点の地下のトンネルに降りたオレは魔法蟻に跨った。

「何処に行くの?」

 リーリがオレの胸元から出て来た。

「にゃあ、ケラスの本当の州都アウルムにゃん」

「ああ、魔獣がいっぱいいるところだね」

「にゃあ、そうにゃん」

「じゃあ、アウルムに向けて出発!」

『……』

 魔法蟻は口をカチカチさせて頷いた。


 アウルム拠点までは速度を上げまくった魔法蟻でも軽く四時間は掛かる。

『にゃあ、アウルム拠点、オレにゃん』

『『『お館様、おはようにゃん』』』

 アウルム拠点に常駐しているローたちから返事が来た。

『いまそちらに向かってるにゃん』

『にゃあ、アウルムは昨日までと変化無しにゃん、というよりここ一〇〇年は変化なしみたいにゃんね』

『オレたちが仕掛けない限り動きそうにないにゃんね、地下はどうにゃん?』

『地下の側面も底も分厚い防御結界で覆われていて全くアクセスできないにゃん』

『にゃあ、オリエーンス神聖帝国の都市様式の一つにゃんね、精霊情報体のデータにもそこに都市があったことが記録されてるにゃん」

『アウルムの真下にオリエーンス神聖帝国の都市遺跡があるにゃん?』

『もし現存するなら、オレたちが初めて見るオリエーンス神聖帝国の遺物にゃん』

『『『にゃあ!』』』

 各地の猫耳から興奮の鳴き声が送られてくる。

『にゃあ、オリエーンス神聖帝国の都市遺跡が実在するならマナの爆発的増加も原因の説明が付くにゃん』

『お館様、するとアレがある可能性があるにゃんね』

『にゃあ、そうにゃん、オレたちが求めてやまなかった魔力炉にゃん』

 魔力炉とは、オリエーンス神聖帝国の文明を支えたその名の通り魔力を生み出す発電所みたいなものだ。

 エーテルから直接、しかも高効率で魔力に変換できるのが特徴だ。当然マナも出せる。

 オレの持ってる精霊情報体には魔力炉は設計図もありその構造も原理もわかってるのだが、実物がないので再生できないでいる。

『魔力炉だとすると嬉しい半面、厄介でもあるにゃんね、これまでオレたちが経験したことのないマナの激流に直面するかもしれないにゃん』

『にゃあ、お館様、魔力炉が有っても無くてもアウルム内部にあるマナの供給源には物理的接触をする必要があるから厄介なのは一緒にゃんよ』

『魔獣が死ぬ濃度にウチらが耐えられるかどうかが問題にゃん』

『死にはしないけど倒れるにゃんね』

『魔獣だらけの場所で倒れるのは遠慮したいにゃん』

『防御結界の他にも防護服が必要にゃん、それが無ければ突入は無しにゃん』

 ジェド・ダッドがカチンコチンになっていた地獄の裂け目が可愛く感じる濃度とあっては生身で飛び込むのはヤバすぎる。

『にゃあ、こちら研究拠点にゃん』

 研究拠点にいる猫耳セイが念話に加わった。セイは元近衛軍の騎士で悪霊になって森をさまよっていたヤツらのひとりだ。いまは研究拠点で研究三昧の日々を送ってる。

『防護服の開発はウチらにお任せにゃん』

『任せるにゃん』

 丸投げするオレ。

『にゃあ、頑張るにゃん』

『お館様、アウルム拠点では最初に何をするにゃん?』

『アウルムの城壁にマナ変換炉の設置をするにゃん、吸い取った濃厚マナを魔力に変換してパイプラインでケラス内の各拠点に送るにゃん』

 魔力を送るパイプはプロトポロスで回収、解析済だ。

『にゃあ、マナはどっさりあるからアウルムは魔力の供給源にはピッタリにゃん』

『アウルム専用のマナ変換炉の設計は終わってるから現地で再生して欲しいにゃん』

 研究拠点からリクエストが入る。

『にゃあ、アウルム拠点、了解にゃん』

『こちらネオケラス拠点建設予定地にゃん、魔力の供給をお願いするにゃん』

 ネオケラスのリーからもリクエストの念話が入った。

『アウルム拠点、了解にゃん、マナ変換炉の設置が終わり次第、魔力をパイプラインに流すにゃん』

『にゃあ、魔法蟻もパイプラインの接続を頼むにゃん』

 今度はローから魔法蟻にリクエストが入る。

『『『……!』』』

 大勢の魔法蟻たちが右前脚を上げて口をカチカチさせた。

『にゃあ、準備が出来しだい始めていいにゃんよ』

『いいよ!』

 オレとリーリからGOサインを出した。

『アウルム拠点、了解にゃん、マナ変換炉を再生開始するにゃん』

『『『にゃあ!』』』

 直径二〇メートルの銀色の球体に蜘蛛のような八本の長い足が付いた自走式のマナ変換炉が、アウルム拠点の猫耳たちによって次々と再生され地上に出る。

 そして一列に並んで州都アウルムに向かってひょこひょこと丸い身体を左右に揺らしながら行進する姿が、オレは猫耳たちと思考同調してるのでその光景が間近に見えた。

『思っていた以上に虫っぽいにゃんね』

『そうだね』

 リーリも見えてるらしい。思考共有してないはずだが痕跡を残さず割り込んでるみたいだ。妖精魔法は何でもありだ。

 自走式のマナ変換炉は城壁に到着すると二手に別れて壁に沿って歩いて行く。

 総数二〇〇体のマナ変換炉が城壁を囲んで等間隔に配置された。

 廃州都アウルムの城壁を守る防御結界は優秀だが、想定外のマナ変換炉の侵食結界の前では無力だった。

 塀の表面をガリガリと前脚の硬い爪で削いだマナ変換炉たちは、自分の身体が半分収まりそうな半球状の窪みを作った。

 マナ変換炉は城壁の半球の窪みに自分の丸い身体を据付ける。そこから本来の仕事であるマナから魔力への変換を開始する。

『『『……』』』

 魔法蟻たちが地面に這い出してマナ変換炉一台一台に魔力を通すケーブルを装着して行く。ケーブルは最終的にまとめられパイプラインに繋げられる。準備が整い次第、魔力が流される予定だ。



 ○ケラス州 アウルム拠点


「お待たせにゃん!」

 オレは魔法蟻とのちょっとした旅を終えてアウルム拠点に到着した。

「お館様にゃん!」

「「「にゃあ、抱っこにゃん!」」」


 ローたちに出迎えられた途端に抱っこの嵐だった。


「にゃあ、まずはアウルムの実物を見に行くにゃん」

 臨時抱っこ会の後、やっと本題に入った。

「準備は出来てるにゃん」



 ○ケラス州 廃州都アウルム 近郊


 猫耳たちといつもの猫耳ジープに分乗して地上に出る。森の中だが木々を伐採してかつての街道の一部を復活させてある。

「この辺りのエーテルはそれほどでもないね」

 リーリが鼻をヒクヒクさせる。

 廃棄された州都アウルムに向かってパステルピンクのジープが三台連なって鬱蒼とした森の中を走る。

「にゃあ、意外とこの辺りは普通にゃんね、雰囲気はプリンキピウムの森に似てるにゃん」

「特異種が多いところも似てるにゃん」

 案内役のローが答える。

「正確には特異種しか居ないにゃん」

 ロロが情報追加する。

「にゃお、普通の獣がいないにゃん?」

「ウチらが調査した結果では一匹もいないにゃん」

「邪魔なので近隣の特異種は全部狩ったにゃん」

「どのぐらい居たにゃん?」

「二〇〇〇ぐらいにゃん」

「にゃあ、近隣だけでもかなりの数にゃんね」

「アウルムの影響の可能性が大きいにゃん」

 過去の記録にはアウルムの周囲に特異種がいた記述はない。記録に出てくるのは魔獣の大発生の後の調査隊が特異種に悩まされたことが書かれている。

「特異種発生のメカニズムはともかく、城壁内のマナが問題にゃんね」

 現状では危なくてとてもじゃないが中には入れない。

「そうにゃんね、マナをどうにかしないと先に進めないにゃん」



 ○ケラス州 廃州都アウルム 城壁前


 猫耳たちが整備した街道を走り、ジープはアウルムの城壁前にたどり着いた。昼間でもバチバチと放電してるのが見える。それに魔獣がうごめく音がしていた。

「城壁そのものはごく普通の石造りにゃんね」

「お館様、防御結界の刻印はこっちにゃん」

 風雨に晒され劣化はしてるがいまだに濃厚なマナをしっかり遮っている。

「にゃあ、打ち直ししておくにゃんね」

 刻印に魔力を注ぎ込んで補修する。魔法馬の刻印でよく行われる簡易化をしなければ刻印そのものが劣化することはない。

 簡易化は手抜きではない、本当の打ち直しは刻印を刻むのと同等以上の魔力と魔法式の理解を要求されるので仕方がないことなのだ。

「この結界が使えれば中に入れるのにね」

「そうにゃんね」

「流用できるにゃん?」

 元アナグマのアナが質問する。

「にゃあ、流用は無理にゃんね、城壁用の防御結界の刻印はデカい上に防御対象が動くと途端に効力が弱まってしまうにゃん」

「それは残念にゃん」

「にゃあ、いまならアナも魔法式が読めるはずだから自分で解析してみるにゃん」

「やってみるにゃん」

 アナは刻印を見つめる。

「にゃああ、わかるにゃん」

 そう呟いてるからオレの解説は不要だろう。


「マナ変換炉はいい感じにマナを吸い取ってるにゃんね」

 城壁に半分埋まったマナ変換炉たちが順調に稼働してる。マナを魔力に変換しお尻から出たケーブルで地下のパイプラインに送っていた。ケーブルはかつて研究拠点を襲ったヤマタノオロチタイプの魔獣から採取したものを生きてる金属で作り変えたモノだ。

「お館様、さっきマナ変換炉を倍の四〇〇機に増やしたけど焼け石に水にゃんね、城壁内の濃度はピクリとも変わらないにゃん」

「にゃあ、半端ないにゃん、魔力パイプラインを増設すればマナ変換炉は二〇〇〇機程度まで増やしても良さそうにゃん」

「増設のパイプラインの敷設が終わり次第、マナ変換炉を増設するにゃん」

「にゃあ、次は門の方に回ってみるにゃん」

「にゃあ」

 そのままジープを門に向け城壁に添って走る。アウルムは綺麗な円形をしている。これは城壁都市のパターンのひとつなのでそう珍しくはない。

「アウルムの門は東西南北の四つがあるにゃん、魔獣の道が作られたのが南門、ウチらがこれから行くのが西門にゃん」

「にゃあ、報告書で報告者が逃げた門にゃんね」

「そうにゃん、東門と北門は現在も閉じたままなので、ウチらも肉眼で観察可能なのは西門だけにゃん」

「魔獣も見れそうにゃんね」

「にゃあ、間違いなく見れるにゃん」

「いまもアウルムの中は魔獣で満員御礼状態にゃん」

「アウルムの城壁内に入った途端にエーテル機関が爆発するんじゃないにゃんね」

「にゃあ、観察したところ三日程度でエーテル機関が暴走状態になる例が多いみたいにゃん」

「しかも、これだけのマナの中で死なない魔獣も一匹いるみたいにゃん、いつ頃からいるのかは不明にゃん」

「にゃあ、アウルムの主がいるにゃん?」

「そうにゃん、アウルムの真ん中でとぐろを巻いてるにゃん」

「にゃあ、見てみるにゃん」

 オレは探査魔法を打った。特にレジストされることはなくアウルムの中心にいる魔獣を簡単に探り当てた。

「にゃあ、とぐろを巻いてるけどこれって蛇じゃないにゃん!」

「そうにゃん、羽根と手足があるにゃん」

 既にローたちは確認済みのようだ。

「ドラゴンにゃんね、しかもゴーレムじゃなくて魔獣の集合体にゃん」

「にゃあ、お館様はそこまで読み取れたにゃんね、ウチらではシルエットまでしかみえてなかったにゃん」

 ロロが感心してオレを見る。

「にゃあ、魔法の使い方にゃん」

 猫耳たちに探査魔法を打つコツを伝授した。オレは生まれたての猫耳たちより一日の長がある。

「全長二〇〇メートル超えにゃんね、お館様の中のディオニシスクラスにゃん」

「にゃあ、集合数二億八〇〇〇万てどういうことにゃん?」

「魔力が半端なさそうにゃん」

 猫耳たちは探査魔法を新たに打って声を上げる。

「エーテル機関を拡張空間で並べて、マナ変換炉に近い状態にしてる可能性が高いにゃんね、それで濃厚なマナから身体を守ってるにゃん」

「にゃあ、でもアウルムから出た瞬間、魔力が枯渇して即死は間違いないにゃん」

「究極の引きこもりにゃん」

「無敵のニートドラゴンにゃん」

「アウルムの外で即死するヤツがどうやってここに来たにゃん?」

「観察してるといまも他の魔獣を取り込んでるにゃん」

「集合体を形成する能力を持つ個体が州都アウルムに入り込んで適応した姿になったと推測できるにゃん」

「突然変異と言う可能性もあるにゃん」

「元々そういう機能を有してるエーテル機関が有るのかも知れないにゃん」

「取り込まれてる魔獣の種類はどうにゃん?」

「にゃあ、観察中に取り込まれたのは鎧蛇にゃん」

「鎧蛇のエーテル機関なら手持ちが有るから研究拠点で調べた方がいいにゃんね」

『にゃあ、できるにゃん?』

 研究拠点に念話を送る。

『にゃあ、研究拠点、了解にゃん、鎧蛇のエーテル機関に集合体を作る機能があるのか調べるにゃん』

『出来たら集合数二億八〇〇〇万のドラゴンのシミュレーションも頼むにゃん』

『了解にゃん』

 研究拠点での調査を頼んだ。



 ○ケラス州 廃州都アウルム 西門前


 ジープの車列は廃州都アウルムの西門前に到着した。

 門自体には元々状態保存の魔法が掛けられているので、それほど荒れた様子はない。

「これはスゴいね」

 リーリも目の前の光景に驚きの声を上げた。

「にゃあ、スゴいにゃん」

 オレも頷く。

 開け放たれたままの門の向こう側には魔獣の躯が折り重なり、その上をいまはまだ生きてる魔獣が這いずって行く。

 魔獣たちは時計回りにゆっくりとした速度で進んでいた。

 目も眩むような濃厚なマナが時折スパークする。

「にゃあ、直ぐ近くにおいしそうなオレたちがいるのに全く注意を払わないにゃんね」

「濃いマナでラリってる可能性があるにゃん」

「にゃあ、確かにそんな感じにゃんね」

 すぐ近くで蛇とムカデのハーフ&ハーフみたいのが力尽きる。

 亡骸からマナが吹き出して近くにいる魔獣のエーテル機関が破裂した。小さな魔獣が出てくるかと思ったが、それが出来ないほど破壊されたらしい。

 他の魔獣たちは避けもせず死んだばかりの躯の上を這い回る。

「濃いマナは魔獣にとっての麻薬にゃんね」

「にゃあ、後は集合体のドラゴンが何かしているか調べる必要があるにゃんね」

 いまのアウルムにどんな影響を与えているのかが未知数だ。

「にゃあ、引き続きウチらがじっくり調査するにゃん」

 ローが請け負う。

「頼むにゃん」


 オレたちはアウルムの城壁を一周して拠点に戻った。



 ○ケラス州 アウルム拠点


「にゃあ、マナ変換炉の増設とアウルムを囲む物理障壁の建設、それと先に魔獣の道をどうにかする必要があるにゃんね」

 魔獣の道を先に遮断しないと当然アウルムの魔獣が減ることがない。

「にゃあ、まずはヤツらが魔獣の森から何を嗅ぎ付けてやって来るのか解明しないとダメにゃんね」

「そうにゃん、それがわからないと魔獣の流入が止まらないにゃん」

 城壁のマナを遮断する結界は現在に至るまで動作し続けている。当時も魔獣にマナの濃度などわかるわけがないのにアウルムは襲われている。

「直ぐに突入できないのは残念にゃん」

「「「にゃあ」」」

 猫耳たちはやる気満々だ。

「焦りは禁物にゃん、でもアウルムの下の遺跡は早く調べたいにゃんね」

「「「にゃあ」」」

 こちらも全員同感らしい。

 アウルムの地下は強力な認識阻害の結界が張られていて、大きさ以外は何もわからない状態だった。本当にオリエーンス神聖帝国時代の遺物なのかもいまのところは謎だ。


 駆け足でアウルムの視察を終えたオレとリーリは、また魔法蟻に跨って急ぎトンネルでケラス州境の拠点に帰った。


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